「ティーカップ」
「あら、もう9時なのだわ眠りに就かなくては。ジュン、私のティーカップを洗っておいてちょうだい」
「おやすみなの〜」
「チビ人間もさっさと寝るですぅ」
人形たちはそそくさと鞄の中に入る。
「まったく、自分が使ったものは自分で洗えよ・・・ブツブツ・・・」
真紅専用のミニサイズのカップを台所に持って行き洗う。
カシャン!
洗い終わったカップが手の中から滑り落ち、床の上で粉々に砕け散る。
(ど、どうしよう〜!前にくんくんのビデオを間違えて消した時は5時間の説教だったし・・・)
真紅お気に入りのいかにも高価そうなカップである、割れたとしれば真紅の怒りは語るのも恐ろしい。
(そ、そうだ!)
カップの破片を集め、真紅達を起こさない様にこっそり床に撒く、部屋の中の物を静かに位置を変える。
ジュンは人形たちの鞄を3段重ねにして渾身の力を振り絞って持ち上げる。
「地震だぁ〜〜〜!!!地震!!地震!」
鞄を前後左右に3分ほど思い切り揺さぶって床の上に放り投げる。
「キャーー!な、何があったですぅ!?」
「うわ〜〜ん、ひな怖いの〜〜」
「ジュン!何が起こったの!」
人形たちが目を回しながら出てくる、雛苺は大泣きである。
「たった今、大地震があったんだよ!あ!!真紅のカップが割れてる!」
「地震・・・ですって?」
真紅が疑いの目を向ける。
「ふ〜〜ん、それでジュンが息を切らしてるのはなぜかしら?テレビをつけてみましょうか?地震速報が出るはずよ」
30秒でばれた、朝まで正座で説教された。
完