~深夜~ 
「うぃ~、ねむれないの~、こまったの~」 
昼寝のしすぎで眠ることのできない雛苺が鞄から起きだしていく。 
真紅の鞄の前に立ち、真紅を起こそうとするがそんなことをすれば 
激怒することは雛苺にも分かるので流石に諦める。 
「ね~ジュン~、ジュンってば~、起きてぇ~」 
だがジュンはどんなに揺り起こしても目を覚ますことはなかった。 
仕方なく雛苺は所在なさげに1階へと降りていく。 
「うゆ~、まっくらなの~」 
暗い階段を恐る恐る降り、リビングに入る。 
「うゆ~、お昼と違うの~」 
プチン 
「きゃっ」 
床にあったTVのリモコンを踏んでしまい、突然TVがつく。 
「なんなの~これ~、この人たちなにしてるのなの~」 
雛苺はTV画面を食い入るように見ていた。 
のりが気づいてTVを消すまで・・・・ 

「あ~、翠星石、それヒナのうにゅ~なの~」 
「知らねぇですぅ、そんなに大事なものなら名前でも書きやがれですぅ」 
いつも通りのやりとり、のりもいない今、雛苺の泣き寝入りとなるところだ。 
だが今日は違った・・・あらゆる意味で・・・ 
「うぃ~、翠星石!ヒナは怒ったのよ!」 
言うが早いか猛然と翠星石に襲い掛かる。 
「ご~わんらりあーとなの~」 
小さな右腕を翠星石の喉元に叩きつける。 
「ひぃ!ぐお!!」 
勢いよく翠星石がダウンした。雛苺は訳の分からない咆哮をする。 
側で見ていた真紅もジュンも呆気にとられ雛苺の暴走を止められない。 
「ヒナいくの!せいしゅんのにぎりこぶしなの~!!」 
言うが早いかテーブルに登り猛然とアタックする。 
ドシィッ!! 
雛苺のムーンサルトプレスが翠星石にクリティカルヒットした。 
「真紅~!真紅~!はやく~カウントなの~!」 
「・・え?あ、アイン・ツヴァイ・ドライ・・・」 
「ちがうの!ちがうの~!!ジュ~ン!!」 
「・・え、あ、ああ、ワン・ツー・スリー」 
ジュンがしっかり床まで叩いてカウントする。 
ジュンに無理矢理勝ち名乗りまでやらせ、雛苺は両手を高々と上げた。 

後に格闘乙女と呼ばれる彼女のデビュー戦だった・・・。 

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