「あなたなんてジャンクにしてあげるわぁ」
(……ちがう)
「ほらほらぁあなたって本当にお馬鹿さぁん」
(……ちがう)
「仲間ごっこなんかして楽しいのぉ?」
(……ちがう!!本当の私はこんな事思ってない!!)
いつもいつも水銀燈は後悔する。真紅に対する態度が
自分の心の内とは全く正反対なのだ。
今日も今日とて紅い少女に憎まれ口を叩いてしまう。
「本当に(私って)お馬鹿さぁん」
そんな事ばかりだから水銀燈の真紅に対する思いは
日に日に強まって行くのだった。
そしてそれは最早"愛"と呼ばれるものにまで膨れ上がっていた。
切なくて切なくて一人の夜は真紅のことを思い自分を慰める。
そんな日が続いた時だった。ある日とうとう抑えきれなくなった
欲望が水銀燈の理性をすり潰す。
事は慎重に運ばれた。
桜田家住人の動向。
のり…部活
ジュン…勉強のため図書館へ
雛苺…巴の所
翠&蒼…元治ぃの所
桜田家周囲の確認。
半径50メートル以内に人影無し。
(……完璧よぉ……)
水銀燈はうち震えた。
色々な調査により今日の夕方まで真紅は家で一人なのだ。
これはチャンス。早速気配出しまくりで真紅をおびき寄せる。
場所は勿論あの鏡のある物置だ。
「全く!今日はゆっくり出来ると思ったのにとんだお客様なのだわ」
「あらぁ普段からノロノロしてる癖にぃ(真紅ぅ今日も
素敵よぉ)」
「なんですって!!水銀燈いい加減にしなさい」
「あらぁ?怖い怖い。怒るとシワが増えるわよぉ
(キャー怒った顔もソソるわぁ)」
水銀燈は我慢の限界だった。真紅が次の言葉を発する前に
飛びかかっていた。
「真紅ぅ〜〜〜〜〜〜!!!」
「きゃあ!?」
押し倒される真紅。
「真紅ぅ今まで嫌なこと言ってゴメンねぇ。私いつもそうなのよぉ……
昔から自分の思ってることと反対の態度ばかり……」
理性(中途半端なプライド)が半ばなくなった水銀燈は
すんなりと謝罪の言葉を述べることが出来た。
真紅はびっくりして目を見張る。だがやがて柔らかく微笑んで
「……私も謝りたかったわ……あなたをジャンクなんて
言ってごめんなさい。実は私も素直になれないこんな自分が
嫌でしょうがなかったの……」
今度は水銀燈が目を見張った。真紅も自分と同じ気持ちでいてくれた。
見つめ合う二人。潤んだ瞳で
「真紅…」
「水銀燈…」
二人は一つになった。
「真紅ぅ」
「なに?水銀燈」
「うふふ呼んでみただけ」
「もう水銀燈のいじわる」
「だって真紅が可愛いだもぉん」
「あなたには負けるわ。その体の虜にならない男はいないのだわ」
「いやーん真紅のえっちぃ」
「うふふ」
二人は壁を背に仲良く手をつないで座っていた。
全裸で。
その物置の至る所に二人が愛し合った証拠である
様々な液体が飛び散っていた。
「みんなが帰ってくるまでまだ時間があるのだわ」
真紅が時計を見ながら言う。
「じゃあ……」
水銀燈は真紅に覆い被さる。
「もう一発……いえ三発やりましょおぉ!」
「いやん」
この時二人は情事に夢中になりすぎて気付かなかった。
その光景を目の当たりにしてしまった者の存在を。
この行為は後に色々な騒動?を起こすきっかけに
なったのは今の時点ではまだ誰も気付いていない。
つづく?