注意:逆レイプ気味。苦手な人はスルーよろ。
草木も眠る丑三つ時に、なぜだか目が覚めた。
部屋はいつもと変わらな――え?
「あらぁ……起きちゃったのぉ?」
窓際に小さな影。
「水銀燈…………何を、しにきた?」
思考がはっきりとしてくる。
彼女の目的なんて、一つしか無い。
傍らに並んだ3つの鞄を見る。
彼女達のローザミスティカ。それを奪われれば、ただの人形に戻ってしまう。
頭の中に、嫌な映像が浮かんだ。
それはダメだ。起こさないと。
「おい!真紅……」
黒い羽が、頬をかすめていった。
「静かにしなさぁい……言うことを聞けば、真紅達には何もしないわ」
頬に触れてみると、僅かに血が出ていた。
…必ずしも信用はできないが、無意味な戦いは避けておくに越したことはないな。
「……本当だな?」
「ええ……今日は、遊びにきただけよぉ……?」
彼女は口元を僅かに動かし、目を細めて笑った。
ひどく不吉な予感がした。
だけどなぜだか、一瞬変なことを思ってしまった。
まったく、何を血迷ったことを考えてるんだ僕は!
呪い人形の中でもとびきり質の悪いヤツのことを、可愛いだなんて、さ。
「じゃあ、ついてきなさい…」
…一体、何をするんだろう?
連れてこられたのは、階下の物置部屋。
鏡は案の定、光り輝きながら別の世界に繋がっている。
「この中に入れ、って?」
「……不満でもあるのぉ?」
「急に寝込みを襲われて文句がないと思うか?」
「ふふっ、それもそうねぇ…」
彼女はそう言いながらも、構わず鏡に入っていく。
仕方なく、後についていった。
連れてこられたのは、階下の物置部屋。
鏡は案の定、光り輝きながら別の世界に繋がっている。
「この中に入れ、って?」
「……不満でもあるのぉ?」
「急に寝込みを襲われて文句がないと思うか?」
「ふふっ、それもそうねぇ…」
彼女はそう言いながらも、構わず鏡に入っていく。
仕方なく、後についていった。
出てきたところには、見覚えがあった。
薄暗い空と廃墟と化した街並み。
…この場合、廃墟と化したという表現は正しくないのかもしれない。
この風景が作られた時点でこの状態だった、ということも有り得るからだ。
ともかく、ここが水銀燈の夢の中であるということだけは確定した。
だけど、未だ分からないことがあった。
「こんなとこへ呼び出して、どうする気だ?」
「すぐに分かるわ」
水銀燈が振り向いて、さっきの微笑みを浮かべた。
次の瞬間、大量の羽と強烈な風が真っ正面からぶつかってくる。
反射的に腕で顔をガードするが、同じ場所に立っているだけでも結構キツい。
「っ――遊びに来たんじゃ、ねえのかよ」
「そうよぉ?だから、遊んでるじゃなぁい…」
風と羽の勢いが急激に強くなり、成す術もなく吹き飛ばされながら考える。
ちょっと待て。
そりゃ、水銀燈は闘わせたら強い。
だけど人間を遠慮なく吹き飛ばすほどだったか?
壁に背中がぶつかったが、なぜか地面に落ちる気配はない。
「やっぱり、夢の世界って便利ね」
ああ、納得。
ここでは、彼女が思いさえすれば大体の無茶は通る。
ん?
ってことは、逆らえないのか?
今更になって、自分がどれだけヤバい状態にいるか気付いた。
羽が両手足を拘束する。
手足をバタつかせてみるが、羽の枷はまるで動じない。
……完全にしてやられた。
「それで、どうしようって言うんだ?」
「ふふっ、良い表情してるわよぉ……怖いんでしょう?」
怖くないと言えば嘘になる。だけど、頷く気にもなれない。
何も答えずにいると、いつの間にか彼女は一本の羽を手に持っていた。
目を細めて笑うと、その羽を僕の首、喉仏の下あたりに当てる。
「動かないで」
冷たい感触とかすかな痛みが縦一文字に走る。
直後、僕の服だけが切り裂かれていた。
「えっ……」
「動かないで、と言ったでしょう?」
言われてみると、胸のあたりが切り傷になっている。
彼女は何でもないもののように、俺の服を上下とも剥ぎ取ってしまう。
「な、何すんだよ!」
「まだ分からないのぉ?思った以上にお馬鹿さんねぇ…」
この状態が何を意味するのか。うっすらと答えらしきものは想像がついた。
だけど、それは素直に受け入れられるようなものじゃない。
「とぉっても、楽しいことよ」
そう言って。急にさっきの傷に舌を這わせてきた。
痛いようなむず痒いような感覚が流れ込んできて、妙な声が漏れる。
「ふぅん、感じやすいのね……こっちは?」
おもむろに胸に手を伸ばしてくる。
細い指が、胸の周囲を丹念に撫で回す。
最初はくすぐったいと感じたが、徐々に何故か切ないような気持ちになってきた。
その指の一本が、乳首を軽く爪で弾いた。
「んぁあっ!」
また情けない声が出てしまう。
切なさは一段と強くなり、脳が焼け付きそうだ。
だけど、僕は何を求めてるんだろう。
「いい声ねぇ……もっと鳴きなさぁい…」
五指の動きは止まらない。
さっきまで傷口を舐めていた舌が、首筋をゆっくりと嘗め回してくる。
そこから甘い痺れが全身に広がり、正常な感覚が失われていく。
そんな不思議な行為が続いた後、不意に胸をまさぐる手が止まった。
頬に手が添えられ。水銀燈は上目遣いに僕を見つめてて。
「んっ――――!?」
唇を、奪われた。
舌が入ってきて、僕の舌を絡めとるように弄ぶ。
その舌の感覚や、頬に優しく添えられた手の感触や、人形とキスしててましてそれが水銀燈だという事実とかが入り混じって、不思議と全身が熱くなる。
だけど、それが悪いものだなんて思えなかった。
彼女の唇が離れ、永遠にも思えるような口づけが終わる。
名残を惜しむような唾液の橋が、薄陽に照らされ光っているのが見えた。
ここって必ずしも暗いわけじゃないのかな、なんて少しだけ考えた。
「すっごぉい……こんなになってるわよ?」
「ぁあっ……」
水銀燈は唇から離れると、いつの間にか大きくなっていた僕の一物を突っついてきた。
それだけで、全身に高圧電流が流れたような感覚。
今のは――正直、気持ち、良かった。
「ねえ?……どうして欲しいか、言ってごらんなさぁい?」
僕はどうして欲しいんだろう。
そう考えたとき、妙なイメージが浮かんだ。
――滅茶苦茶に、犯して欲しい。
いや、そんなこと、あるはずない。
そんなこと願うなんて、絶対にどうかしてる。だから有り得ない。
論理も何もなく、そう思った。
「へえ、言わないんだぁ……意外と強情なのねぇ…」
彼女は再び、両手に羽を持っていた。
その羽を構えるのが見えて、今度は何をされるかと怖くなって目を閉じた。
今羽で裂かれれば、大変なことになる。
だけど、そういう様子ではないし……
「ひゃっ!」
あろうことか、彼女は羽で僕のわき腹を撫でてきた。
羽毛の一本一本が肌に擦れて、たまらなくくすぐったい。
「ぃや、やめろぉ…」
拒絶にも力が入らない。
「くす……だめ。やめなぁい」
そう言いながらも、行為は続いている。
小動物をいたぶる子猫みたいな、悪戯っぽい目線で見つめられると、また変な気持ちになる。
それは言うなれば快楽に似ていたかもしれない。
目を合わせていられなくなって目を瞑る。
すると、撫でられる感触だけがより強く感じられて、より一層切なくなってしまう。
ひたすらにその異様な感覚をやり過ごす。
「ふあぁっ!」
羽が、胸の上を横切っていった。
その通った跡全てが電極にでもなったみたいに、激しく疼く。
「そろそろ認めたら?」
再び、羽が胸板を繊細かつ確実に撫でていく。
「ほぉら、気持ち良いんでしょお…?」
そっか……これ、気持ち良いんだ……。
認めてしまえば、その感覚は快楽だったことが容易に分かる。
それも、何もかも燃やし尽くしてしまいそうなほどの。
だけど、今さらそんなこと口に出して言う気にはなれない。
羽の動きは止まる気配を見せない。
水銀燈は上目遣いに僕を見つめながら、小さな唇で左の胸に吸い付いてきた。
その頂点を舌で転がされて、そこが固くなってることに気付いた。
「んぁ……あぁ……っ……」
乳首に歯が当たり、僅かな痛みの交じった快楽で、また声が漏れた。
溶けかかった理性は、喘ぎ声を止めようとすることを放棄したらしい。
自分の声のハズなのに、自分で出している気がしない。
「やめ……てよ」
無意識に発した言葉だった。
だけど、それで水銀燈は僕から離れた。
「あ……れ?」
「言うとおりにしただけよぉ?」
そう。当たり前だ。こんなこと、これ以上続けちゃいられない。
だけど、さっきまで快楽を与え続けられた体は、そんな当たり前のことすら分かってないらしい。
しつこく、しつこく僕を愛撫した羽の感覚が蘇る。
アレはどんなだった?
そう、神経に直接触れられてるような心地よさ。
目の前の少女は、相変わらず可憐かつ残酷な目線で僕のことを見ている。
彼女の意志に背く行動をすればどうなるか分かったものではない。
だけど恐らくは、仮定が無意味なのだろう。
だって、既に僕は、この奇妙な戯れを望んでしまってるんだから――。
「続けて……」
「聞こえないわ」
「続けて!」
「それが、人にものを頼む態度なのぉ?」
「続けて、ください」
「ふふ……仕方のない子ね」
羽の拘束が解け、地面に落ちた。
少し痛かったが、夢の世界なので本来よりはだいぶ衝撃は軽減されたと思う。
体勢を立て直す間もなく、また拘束が戻る。
特に抵抗せずにいると、壁に背を預け、両腕を後ろ手にされ、両足を開いた体勢になる。
水銀燈が降りてきて、微笑む。
ああ、あのまま終わらせなくて良かった。そんな風に考えている自分に驚いた。
こんなに素直になれるんじゃないか。この分なら――なんだろう?
「続けるわ……」
両手に再び羽を持った彼女は、僕の体の側に顔を向けて、僕の両足の間に降り立った。
「へぇ、案外大きいのね」
この体勢だと、その。
水銀燈の目の前に、僕のペニスがあることになるのだった。
彼女は、それを興味津々という様子で見つめている。
「んあっ!?」
好奇心からか、水銀燈は突然それに息を吹きかけた。
「可愛い……壊したくなっちゃったぁ」
言い終わると同時に、片手に握った羽を僕の内腿の間で滑らせ始める。
さっきまでより敏感な部位な分、より強烈な快楽の波が押し寄せてくる。
たぶん情けない声を出していることだと思うけど、そこまで気が回らない。
開いているもう片方の手が、睾丸を撫で回したり転がしたりして弄んでくる。
さっきから止まらない切ない感覚も加速度的に増大している。
これ以上されたら、本当に、壊れそうだ。
「あぁ…や……やめ……」
だけど、さっきのことが思い出された。
僕は既に、この快楽を途中で止めることなんかできない。
そうしたら、もっと酷く壊れてしまいそう。
例えそれが悪い薬のようなものでも、もっと続けて欲しかった。
「ん……やめ、ないで……」
「あははははっ……貴方、本当に可愛らしいわねぇ…」
さっきから視界がいまいちボヤけてる。
目の焦点が合ってない所為だと思う。
「もっと壊れちゃいなさぁい……」
足の間を複雑に動き回る羽の感触が痛いぐらいに気持ちいい。
玉から蟻の戸渡りあたりに指が這わせられて、気持ちよくて熱くて火傷する。
徐々に認識できる世界が狭くなっていく。
即ち快楽とその要素。
少女が、熱っぽい目線で僕を見ているのが何となくだったけど分かった。
僕の一物に、異様な何かがぞわっ、と走る。
羽が一回擦れた。
それだけのことで、目の前が真っ白になりそうな程気持ちよかった。
「震えながら泣いてるわよぉ……?」
あくまでもそれは例えなんだろうけど、本当に全身が震えて涙を流しているのかもしれない。
もう、自分がどんな状態にあるのか良く分かっちゃいない。
「こんなに感じちゃうなんて、貴方、そういう趣味?」
「きっと……そう」
そうだったっけか。
……でも、彼女がそんな風に言うんならその通りかもしれないと思う。
「ねぇ、どうして欲しいか、言ってみなさい」
「分からないけど、さっきから……切なくて狂いそうなんだ」
「くす……こうしたら、どんな感じ?」
彼女の小さな手が、僕のモノを包み込むように、優しく握る。
その僅かな刺激に反応して、それが脈動したのが自分でも解った。
「あ……とっても、気持ちいいよ……」
「良い表情、ジュン君……イッちゃいそう、なんでしょお?」
いまさらになって、切なさの正体に気付いた。
さっきから、感じすぎてるのに、そこだけは触られてなかったから。
「もう一度聞くわ。どうして欲しいか、言いなさい……?」
「イカせて……ください、お願いです」
言ってしまってから、恥ずかしさと罪悪感が湧いてきた。
だけど、今の僕にとってはそれすらも快楽の亜種にすぎないように思えた。
「ふふっ……良いわよぉ」
水銀燈が体勢を変え、僕と向かい合って座る形になる。
何をされるのか分からずにいると、突然ペニスを痛みとその何倍もの気持ちよさが襲う。
黒いブーツを履いた彼女の足が、両側からそこを責めていた。
「あはははっ――こぉんなのでも感じてるんでしょう?」
そう、とっても感じてる。
普通じゃないのかもしれないけど、そんなの問題じゃない。
「そういう人のことはね…」
下半身はさっきから十二分に熱いのに、刺激が強すぎてまるで射精できない。
いや、することを許されていない……のかもしれない。
「『変態』って言うのよ」
ひときわ強く、棒を挟まれた。
凄く痛いのだけど、それを同時に快感と思ってしまっている。
だったら僕はやはり、「変態」とやらなのかもしれない。
「だけど、私は……好きよ、そういうの」
なぜだか一瞬、彼女が――とても儚げに見えた。
「僕も……愛してます…銀様」
下半身の熱は頭にまで回りきってるらしい。
自分で言ってることの意味さえ、良く理解できない。
「妙な呼び方ね……でも、気に入ったわ」
そっか。何でそんな呼び方しちゃったんだろう?
でもまあ、どうでもいいか、そんなこと。
会話が途切れると、入れ替わりにさっきまでの行為が再開する。
彼女こそ完璧な少女なのではないか、なんて思ってしまいそうな、整った美しさと純粋な残酷さの同居する表情に戻っていた。
足で乱暴に僕のモノを扱く。
だけど、今はより彼女のことが狂おしいほど愛おしく思えている。
そのために、さっきまでより強い感覚が全身を貫く。
「にぎやかに喘いじゃって……そんなに気持ち良い?」
喘いでる?僕が?
まるで自覚はなかった。
「はい…気持ち良い、です」
「そう、それじゃ……そろそろ、イッちゃいなさい?」
その言葉を聞いた途端に。
全身が元よりそのためだけの器官であったかのように、激しく――射精する。
その間でさえ、感度が上がっているそこを、彼女が楽しそうに弄ぶ。
痛みも快楽も、本当に、廃人にでもなってしまいそうなほど。
一物が激しく脈動しながら、何度となく白濁を吹き上げる。
その一部が、彼女の普段着……漆黒の衣装にかかった。
精液なんて、穢らわしいもののはずなのに、凄く綺麗に見えた。
彼女は小さな指でそれをすくい取り、舐め取った。
「ん……苦いわねぇ」
「きたない、ですよ…?」
「そんなわけないじゃなぁい……だって、これはジュン君の……あらっ?」
そっか……そう言ってもらえるのは、すっごく、嬉しい。
だけど、ごめんなさい。
今、なんだかとっても、眠いんです――。
目が覚める。
すると、時間は朝になっていて、普段通りのベッドの上だった。
「……夢?」
だとしたら、相当とんでもない夢を見たもんだ。
原因は欲求不満、だろうな。
「え」
上体を起こすと、何かが目の前に落ちてきた。頭に乗っかっていたらしい。
そう、見覚えなら嫌と言うほどある。
黒い、羽だった――。