原作が読めないことに絶望した!! 
 なければ作ればいいじゃない 
 というわけで、真紅×きらきーっぽいなにかです。 

「し、白薔薇っ」 
 雪華綺晶の網に囚われた真紅は、苦しげに声を上げた。 
 そうして、ゆっくりと蜘蛛のように迫る雪華綺晶を睨み付ける。 
「そォれは…わたし?」 
「名乗りなさい、貴女もローゼンメイデンなのでしょう」 
「わたしなの?」 
「素敵、素敵、お姉様がくださった、名前、わたしの名前、キヒヒヒヒ」 
 おおよそ、薔薇乙女が浮かべるには相応しくない、虚無の籠もった微笑。軋んだような笑い声。 
 それが自分に向けられたものだと感じた真紅の背筋に冷たい物が走るのを感じた。 
 雪華綺晶は四つんばいのまま、真紅の周りを回る。 
「薔薇乙女は何でできている?」 
 マザー・グースをアカペラで唄いながら、雪華綺晶はじっと真紅を見つめた。 
「薔薇乙女は何でできている?」 
 真紅はその姿に、底知れぬ不気味さを感じずにはいられなかった。 
 茨の網は……ダメだ。真紅が動こうとすればより強く締め付ける。 
「哀しみと愛情、それに矛盾」 
「そういうものでできている? 本当に」 
 詩が終わる頃には、真紅の左足はスネの辺りまで白い薔薇に飲み込まれていた。 
「くっホーリエ、このことを翠星石に」 
 真紅は自分の人工精霊に、翠星石への言づてを頼み、向かわせる。今は、一刻を争う時だ。ジュンを彼女にいいようにさせるわけにはいかない。 
「お姉様、ご挨拶するのは初めてですね。わたしは雪華綺晶。ローゼンメイデンの第七ドール、あなたの末の妹ですわ、真紅お姉様」 
「不意打ちとはたいした物ね、第七ドール」 
 精一杯の虚勢を張る真紅、たとえこの身が奪われるとしても、雪華綺晶に弱音を吐くわけにいかない。 
 真紅の皮肉は一向に気にせず、雪華綺晶は独白を続ける。 
「お姉様は不思議な方、姉妹の誰よりもアリスに恋いこがれているのに、一番姉妹を愛しているのもあなた」 
「あなたには言われたくはないわ」 
「でも、お姉様、アリスになるにはローザミスティカを集めなければなりません。わたしには要りませんが、水銀燈お姉様は欲してらっしゃる」 
 水銀燈、その名前を聞くと、いつも真紅は怒りや哀しみ憎しみや愛情がごちゃ混ぜになった複雑な気分を味わう。 
「素敵、お姉様は矛盾してらっしゃる。お姉様の育てている薔薇は誰よりも複雑で誰よりも奥深い」 
「わたしはその奥が見たい、お姉様に秘められた花の奥を」 
 すっと、雪華綺晶が左手を挙げる。そこには16:9の窓が浮かび上がった。 
 ふさぎ込んだ、怒りと悔しさ、そして哀しみの表情を浮かべた少年の姿が浮かび上がった。 
「ジュン!!」 
「お姉様はそこでごらんになっていて」 
 そう言うと、雪華綺晶は窓へと飛び込んでいく。 

※※※ 

 桜田ジュンは、特に何をするでもなく、PCの電源を入れていた。 
 半ば習慣みたいなものだ。机に座ると、無意識にPCの電源を押している。 
 深くため息をついた。 
 情けなかった、悔しかった、特に知っている人間でもないのに中学の制服を見ただけで、この足は凍り付いたのだ。 
 もう一度ため息をついてから顔を上げた。 
「うわああ!!」 
 椅子を蹴倒しながら、後方に逃げる。 
 ブラックアウトしたままのモニタの一面に白い髪の少女が映し出されていれば、誰だってびっくりするだろう。 
 そして、こんなことが前にも合ったことが否応なしに思い出される。 
 あの時は、水銀燈が現われた。だが、この少女は、右目に薔薇の眼帯を付けたこの少女もローゼンメイデンのドールなのだろうか。 

「初めまして、真紅お姉様の契約者」 
 上半身をモニタからせり出しながら白い少女は話しかけてきた。 
「ま、また新しい呪い人形か!?」 
「呪い……人形?」 
「お前もローゼンの人形なのか」 
「私は雪華綺晶、ローゼンメイデンの第七ドール」 
「そして、あなたを迎えに来たのよ、真紅お姉様が待っていらっしゃる」 
「うるさい、もうお前らなんかには金輪際関わるもんか!」 
「キヒヒヒ」 
 雪華綺晶と名乗った人形は軋むように笑った。そして、ジュンの手を握る。その瞬間、抵抗する気力が失せていた。 
 意識が遠くなる。蜘蛛の巣に掛かった蝶のような真紅が見えた気がした。 

※※※ 

 「んっんん」 

 気持ちよさに目が覚めた。 

「はあ!? 痛っ」 

 ジュンは自分が裸であること、それとほぼ同時に両手両足が茨のツルのような物で囚われ、自分が大の字になっていることを知った。 

「くっあああ」 

 快感は、彼の未熟なオス器官から立ち上っていた。 
 そこには彼の赤い人形がひざまずいており、小さな白い手と舌で懸命に彼自身に奉仕を続けていた。 

「し、真紅っな、何をっおお、ああ、や、止め…」 

 じゅるい、淫猥な音を立てて、真紅はジュンの尿道口に口づける。 

「ここが、気持ちいいのね、ジュン」 

 ぢゅっぢゅっ 
 彼女が両手を上下させるたびに、濡れた水音が陰茎の辺りに響く。 

「あら、また、大きくなったわ。立派ねジュン」 

 そう言って、彼の人形は優しく微笑む。恥ずかしながら、その微笑で、より彼の雄器官はたぎる。 

「素敵よ、こんなになって。あなたは私のことを感じてくれている」 
「あなたは私を必要としてくれる。あなたが私を求めてくれるのなら」 

 言葉を紡ぎながらも、彼女の手は彼を熱くしていく。 

「ねぇ、答えて、ジュン。私はあなたに必要?」 
「あなたは私を求めてくれる?」 

「くああ、はっはっああ」 

 彼女の与える快楽によって、ジュンの脳髄はとろけていた。 

「うふふ、もう答えることもできないの? だらしのない下僕ね」 
 呆れたような声音で、そう言った真紅は手を止める。 
「はっはああ、し、真紅ぅ」 
 もどかしかった、両手両足は縛られ、動かすこともままならない。そんな中、彼自身は屹立して湯気すら上げているのだ。 
「真紅ぅ、はや…く」 
「手でこんな風になってしまうのならココを使ったら、あなたはどんな声で鳴いてくれるのかしらね」 
 真紅の黄金の巻き毛が幾重にも、彼自身にからみつく。彼女の髪の毛は指よりも細かく、陰茎のあらゆる部分に同時に刺激を与え始めた。 

「くっくひいいい」 

 もはや、悲鳴に近いうめき声を上げることしか、ジュンにはできない。 
 そして、なんたることか。真紅の髪は、彼の尻を、その奥の菊門を嬲り始めた。 

「そ、そっちはぁぁあ、ダメ」 
「それは弄ってと言っているのと同じなのだわ」 

 ズンと衝撃が走った。真紅の髪は、それ自体が意識を持つ生物であるかのように、彼の秘められた門をこじ開ける。 

「あ、あがあああ」 
「気持ちいい、ジュン? 人間にはこんなことはできないものね」 
「あく、ああくひぃい」 
「あなたが、深夜に何をしていたか、私が気がついていないとでも思っていたの」 
 サディステイックに真紅は叫ぶ。 
「あなたの夢の世界は私の世界に近い。私たちは同じ海に足を浸しているの。あなたの夢を見たわ、あなたが金髪の少女を抱いている、そんな夢を」 
 そう、その夢は、少年の夢でもあった。 
「それは私にそっくりだけど、私では絶対にない。私は人形、あなたは人間」 
 その夢は叶わない。 
「私は誇り高いローゼンメイデン、あなたの性欲を処理するような汚らわしい存在ではない」 
 だが、その夢は少女の夢でもあった。 
「あぐっくひぃい、あああ」 
 ジュンは喘ぐことしかできない、だがどんなに快楽を得ても、満たされることはなかった。 
「しんくぅ、しんっくぅ」 
 少年は、彼の人形を求めていた。 
「ああ、ジュン、ジュン」 
 真紅の白い裸身が、ジュンの身体に覆い被さった。 
「これは夢、決して醒めない夢。だから、こんな奇跡だって、ありふれた物なのだわ」 
 白い裸身の少女はそう言って、彼に口づけた。 
 濃厚なディープキス。お互いの舌を絡め合わせ、互いの唾液を交換し、互いの舌が互いの口蓋を嬲り合う。 

※※※ 

「あああ、止めて、白薔薇。こんなのはこんなのはイヤよ」 
 雪華綺晶のワナに捕らえられたままの真紅はうなされるように、眼前の白い水晶の中で行なわれる性交を見ていた。 
 もっとも、彼女の目には、全裸のジュンが、ひとりで喘いでいるようにしか見えない。 
 だが、水晶から漏れる、彼女を呼ぶ快楽にとろけた彼の声音を聞けば彼がどんな夢を見ているのかは容易に想像がついた。 
 それは、彼女の夢でもあったのだから。 

「クヒヒ」 
 雪華綺晶は、感情を表わさない左目で、そんなふたりを眺めていた。 
 右目の白薔薇が一層の艶やかさで、咲き誇っていた。 

 あれ? 真紅×きらきーじゃなかったのか、俺よ。 
 え〜〜と、本編はそのうちに。 

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