雪華綺晶分が足りません。というわけで投下。 

*このSSの80%は妄想(ドリームオブマスターベーション。決して実現しないものを指す)で出来ております。 
「原作と違う!」なんてツッコミは破棄するのでご容赦下さい。 

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薔薇の蔓がひらひらと伸びていた。 
上に。下に。右に。左に。奥に。手前に。広がっている。 
――操っている私でさえ、その数を忘れてしまうほどに多い。 
私が今いる世界は乳白色の水晶のようなものと、それらで満たされていた。 
水晶はぴくりとも動かない。薔薇はうねうねと疼くように波打っている。 
ここには私しかいない。 
私の事など誰も、もちろん彼女らも知らない。 
私だけが、鏡の中から彼女らを覗き見ている。 
他人に見せないような瞬間も、この虚ろな眼に収めている。 

ある夜に、服を脱いだ少年を見た。 
少年と言うには華奢なからだ。 
ほら、肋骨が軽く浮き出ている。筋肉も少ない。 
蛍光灯に照らされてはっきりと影が浮き出ている、悪く言えば貧相なからだだった。 
「ジューン、ヒナも一緒にお風呂に入るのー」 
少し距離を置いた先からお姉さまの声が聞こえる。 
どうやら、彼があの桜田ジュンらしい。 

三体のドールのミーディアム。 
真紅の外れた腕を縫合したマエストロ。 
ヒキコモリ。 
彼を形容する言葉を思い浮かべてみた。 
そして先程見た細いからだが脳裏にまざまざと甦る。 
それは、おそらく私が初めて見たであろう男性の裸体。 
面白い。 
実体の無い私でも抱けてしまいそうにくびれた腰。 
幼さの残る顔つき。 
姉に対してのやや反抗的な態度。 

とても、実に、面白い。 
――面白い、だって? 
ふと自問する。 
だけど、こんなにも私は笑っているから。 
それは面白いと言うことなのだろう。 

薔薇に生えた棘を一本、一本と自らの手で抜いていく。 
そこに苦しみは無い。ただ自己満足の為に。 
ぷちん、ぷちんと抜いていく。 
誰も来ることの無いフィールドの片隅で、一人ぼっちの少女が棘を抜いていた。 
自己満足の為?――では、ジコマンゾクとは、何だ。 
その気になれば、いとも容易く棘の無い蔓が現れるだろう。 
理解していても、私は黙々と手を動かしていった。 

そして、その日は23本の蔓が裸になった。 

しばらく経った、ある日の事。 
気晴らしに私は無意識の海に遊びに出た。 
"何かがいる"と感じたのがきっかけではあるのだが。 
ゆらり、ゆらりと水を掻き分けて進んでいく。 
そこにあったのは黒い服を着た誰かと、生まれたままの姿の誰か。 

お姉さま――愛すべき、水銀燈が彼と供にいた。 

水銀燈が彼に抱きついて、会話、と言うより独白に近いものが始まった。 
その憂慮、苦悶、愛。 
しっかりとその記憶を己に焼き付ける。 
彼女が、彼をお父様でないと気付いた、そのときだった。 

ごおっ。激流が、彼らを呑み込んでいく。 
彼はお姉さまを手放すまいと力強く手を握る。 
しかしその努力の甲斐も無く、流されていった。 

現実世界と無意識の海の狭間に立っている。 
奇妙な感覚だった。 
今の私には無意識の海で彼が蒼星石と必死に会話している様子も見られるし、彼の帰ってくる部屋の様子も見えている。 
水に部屋の中の何もかもが浮かび揺らめいている。 
本棚、机、怪しい人形、彼が寝ていたであろうベッド。 
そして、真紅。 
私は今、真紅の頭上にいる。 
「あなたは……誰?」 
少し戸惑ったようにお姉さまは私に尋ねた。 
本当に、目の前の人形が誰だか分からないという口振りで。 
「あなたは、だれ……」 
こだまのように、返す。 
「……私は……だぁれ……?」 
――きっと。 
きっとあなたは、私のことなんて知らなかったでしょう―― 
だから、そう言ってやった。 

その日も棘を抜く。 
棘の無い蔓は、これで丁度100本。 

次の朝から、彼のことを観察することにした。 
彼のみではなく、水銀燈のミーディアムと私自身のミーディアムもだが。 
数限りない、トラウマを見る。 
対して、少なすぎる喜びと、それを糧に生きようとする彼を見る。 

やはり、面白い。 
彼も、病気に伏せる少女も、いずれは私の物になるのだ。 
それにしても、面白い。 

その日、彼は笑った。 
その日、彼は涙を見せた。 
その日、彼とおしゃべりをする姉達を見た。 
私の中で、イメージが固まっていく。 

蔓が108本になった夜。 
何故この数にしたのかは自分でもよく分からない。 
分からないまま、蔓と蔓を束ねていく。 
一本の軸に何本も、何本も長い蔓を巻きつけていく。 
それらは幾つもの螺旋を描き、幾つもの層を作り、やがて四肢のような形を成した。 
それは少しずつ蔓から別のものへと変わっていく。 
腕のようなものには指が生え、脚のようなものは水晶で出来た床から分離していた。 
深い緑色だったそれは次第に人肌のような色へ薄まっていった。 
末端部から、中心にかけて。 
肘、こむら、肩、膝、胸板、股関節、そして首と顔とおなかと――男性器。 
ヒトの身体そのもの。 
それの顔は、まるでどこかのミーディアムにそっくりだった。 
桜田、ジュンに。 

私はそれに近寄り、抱きしめる。 
暖かい。 
私が、一本一本棘を抜いて作った、ただの蔓の寄せ集めで出来た人形。 
否、それは、彼だった。 
眼鏡の無い彼の顔が微笑む。 

私は、強引に唇を重ねた。 

突然の出来事に戸惑ったような彼の表情。 
やがて彼も私も眼を瞑った。 
唇を押しのけ歯茎を舌で舐る。 
くすぐったかったのであろうか、顎の力が抜けた隙に口腔へと侵入する。 
私の手は彼の後頭部と、下顎を掴んでぐい、と私に押し付ける。 
足りない。まだ、足りない。 
唾液が唇の隙間から漏れて、顔がべとべとになっても決して口を離さない。 
「ぷはっ……」 
名残惜しいが、ほんの少しだけ息継ぎ。 
間髪をいれず口付け。 
彼の表情が困惑に揺れる。 
それが、私をどこまでも掻き立てていった。 

……どれだけの時間が経ったのだろう。 
私は飽きもせずに彼の口を犯している。 
どこまでが私の唾液で、どこからが彼の唾液なのかも分からないほどに喰らい続けている。 
たまらない。 
全身が火照っている。無意識にもぞもぞと両脚を擦り合わせている自分に気が付いた。 
不意に、彼の手が私の胸に伸びる。 
「……っ」 
僅かに隆起した胸を両指で吸うように揉まれる。 
薄いドレスの上から与えられる刺激。 
確実に、私を昂ぶらせていく。 
「お返しだ」 
いつのまにか私は口を離していたのか、彼がささやく。 
「……ア……ゃぁっ……」 

下から寄せ上げられ、出来上がった膨らみを崩さないように、常に力を入れられている。 
びり。邪魔なドレスが引き裂かれた。 
「……意外に、可愛い声なんだな」 
今の私は彼と同じ全裸ではないにしても、ドレスの腕部分とブーツのみを身に着けている状態だった。 
むき出しになった女性特有の部位に彼の手が伸びる。 
乳頭には触れないように、周囲のみを弄られる。 
熱が、三つの局所に集まっていった。 
「……んっ……あぁ」 
彼の舌が私のからだを這い回る。 
首筋と鎖骨をなぞって、左胸へ。 
周りから円を描くようにして、やっと彼は私の乳首に触れてくれた。 
「あっ……はぁ……」 
触れられただけで頭の中が真っ白になった。 
舌先で突かれ、唇で吸われ、歯で甘噛みされる。 
空いた右胸は彼の左手で強く揉みしだかれた。 
「……い、いたっ……ああ……」 
千切れそうに痛いと感じる反面、若干の気持ちよさが脊髄を駆け抜けていった。 
左は優しく。右は乱暴に。そうやって生まれた快感が私の脚を濡らしている。 
もどかしい。 
触れてほしい。 
そうしたら、私はもっと高いところへ登りつめてしまうだろう。 
息が、漏れる。 
行き所の無い力が私に両脚を擦らせる。 
気が狂ってしまいそうだった。 
「おい」 
突然彼が私への攻撃を止める。 
思わず私はこてん、と床に尻餅をついてしまった。 
「こいつをどうにかしてくれ」 

そう言って、彼は私の目の前に勃起した男性器を突きつけた。 
そうすることが当然であるかのように、私は両指をそれに絡めて、舐めた。 
「いいぞ」 
彼が私の頭を撫でる。 
嬉しく感じて、私は手の上下運動をより早くした。 
少し厚みのある皮がするすると動く。 
鈴口からは透明な粘液が溢れている。 
私は手をそれから離して彼の腰を掴み、口の中にいちもつを招き入れた。 
「ん……んぅ……ん、ん……」 
頭をゆっくりと上下させる。 
しかし次第に動きを早めて、尚且つ舌を絡ませていった。 
ぴちゃ、ぐちゃ、と水音が響く。 
舌を皮と亀頭の隙間に差し込み、舐る。 
「……ん……ぷあ」 
根元から先まで、彼のものが私の唾液で包まれてから、彼は私の顔を引き剥がした。 
と同時に仰向けだったからだをうつ伏せにさせて、私の腰を掴む。 
「いくぞ」 
亀頭が秘所に押し当てられた。 
液まみれのそこにぴったりと当てられている。 
「あ……ああッ」 
それだけで、私は達してしまった。 
彼による初めての愛撫を受けて、私は言いようの無い興奮に満たされていった。 
「あ、ああんっ」 
ずず、と彼のいちもつが侵入する。 
膜の裂けた音。 
潤滑剤以外の、生暖かいものが私の膣で混ざっている。 
「……ッ……ンッ……」 
遠慮なく、彼は私の臀部を掴み、繰り返し力強く突く。 

ぱちゅん、ぱちゅん、と水の音と肌の音。 
ぐちゃぐちゃに掻き回されている。 
膨張した男性器は私を埋め尽くし、私はそれを逃すまいと締め付けた。 
「うあ……いいぞっ……気持ちいいっ」 
犯す彼。犯される私。 
登りつめていく。全ての思考が破棄されていく。 
まっしろな、頭だけがそこにあった。 
「ジュンッ……ジュンッ……!」 
私のナカで、彼は跳ねた。 

そっと、鏡の中から覗く。 
お姉さま達は見えない。眼鏡を掛けた少年が、風呂場に入っていく姿だけは見られた。 
私のことは誰にも気付かれていない。 
私だけが、彼らの暮らしの、他人にあまり見せない一部分をこの眼に収めている。 

――あなたを、何時手に入れましょうか。 

そっと、誰にも聞こえないのにも関わらず小さな声で呟いた。 
蔓の人形から出来た、彼の模造品しか、私は持っていない。 

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自慰ってこうですか、わかりません>< 

というわけでおしまい。 

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