【逆襲の真紅】
「ふー」
ジュンがゆっくりと階段を上がる。
「ジュン、遅かったのね」
ジュンが部屋に入ると、真紅が床に座り本を読みながら話しかけた。
「ああ・・・。また雑誌を読んでたんだ」
ジュンはいつもこの言い訳で逃げている。
「・・・そう」
・・・が。今日は違った。
真紅はじっとジュンを見つめ続けている。
「・・・?・・・なんだよ。どうかしたのか?」
いつもとは違う雰囲気。
「・・・ジュン。私は分かっているのよ」
真紅が口を開く。
「な・・・」
驚くジュン。
まさか・・・ばれたとか?
そんなわけ無いよな・・・うん。ないな・・・
「雑誌を読んでるだなんて・・・嘘なんでしょう?」
「・・・・・」
やばい。
なんでこんな事言うんだよ?
ジュンの鼓動が高鳴る。
しらばっくれなきゃ。
「何言ってんだよ真紅、なんで僕がそんな嘘を言わなきゃなんないんだよ。
全く、馬鹿ばかしい、あーもう。さあ、勉強勉強・・・」
「これ」
真紅が一枚の写真を取り出す。
「・・・・!こ・・・、・・・・」
その写真は、真紅が持っているはずの無いもの・・・。
何故ならば、ジュンが机の鍵付き引き出しのなかにしまって置いたのだから・・・。
「・・・これは、私の写真ね。寝ている隙に撮ったの?」
そう、それは真紅の寝顔の写った写真。
夜中に勇気を出して、こっそりとった写真の内の一枚だ。
「・・・・あ・・」
終わった。
真紅は全てを知っている。
ジュンは瞬間的に悟る。
ふと目をやると、机の引き出しが開けっ放しに・・・。
しまった・・・。
「トイレでいつも何をしているの?答えて」
真紅は尚も聞いてくる。
お願いだ真紅・・・。
分かっているのならもう聞かないでくれ・・・。
「・・・その・・」
ジュンが言葉に詰まっていると、更なる追い討ちをかけるように真紅が言葉を続ける。
「・・・そのポケットの中を見せて」
そういうと、ポケットに立ち上がり、ジュンのポケットに手を伸ばす。
「な・・・おい、止めろ・・・!」
ジュンは抵抗する。
「・・・っ!・・・ジュン・・・」
ポケットの中身を見せようとしないジュンに対し、真紅が言葉を投げつける。
「言いなさい。言わないと、翠星石達にもばらすわよ」
・・・く・・・。
もしもこの事が性悪人形達の耳に伝われば・・・。
「わ、分かったよ・・・・言うから・・・」
ぎゅっと目をつむり、決心する。
「オ・・・オナニーをしてたんだよ!悪いかよ!こんなの、当たり前だ、男なら誰だって・・・」
「私の写真を見ながら?」
真紅が尋ねる。
「!・・・そ・・・その・・・」
「ねえ、ジュン?どうして私の写真を見ながらそんな事をしていたの?」
まだ続けるのか?
お前、どれだけサディストなんだよ・・・。
「・・・・・・」
「答えて」
言えってか?
人形に・・・小さな女の子の姿をした人形に・・・。
「真紅・・・僕・・・僕・・・」
ジュンの言葉の詰まりを、真紅が味わうようにじっくりと聞く。
気のせいだろうか、彼女の顔は、笑っているように感じられた。
そして、さらなる質問をジュンに投げかける。
「・・・ジュン、貴方は一体どんな事を考えながらそれをしていたのかしら。教えて頂戴」
・・・・!
いえるかよ・・・!
僕が、真紅に・・・、・・・。
「・・・し・・・真紅と・・・その・・・え、え、・・・」
「エッチな事?」
「・・・・」
もうイヤだ、終わりだ。
このあと、僕は何て言われるんだろう?
最低?変態?
「・・・そう。よく分かったわ」
そう言うと、真紅はまた床に座り本を読み始めた・・・。
罪悪感と、強烈な羞恥感。
「し、しん・・・ぼ・・く・・・ごめ・・!」
いい残すと、ジュンは部屋を飛び出て階段を駆け下りていった。
「・・・ふふ」
真紅は、微笑んだ。
彼女は満足したのだ。
ジュンの困っている様子を見て。
彼女はジュンをなじっている間中、ずっと歓喜に打ち震えていた。
「ジュンったら、あんなに困って・・・。・・・かわいい」
おわり
いまいちかしら!
まあいつも真紅はあれだったんで今回くらい、ね・・・(´д`;)
とりあえず水晶の星空の続きに激しく期待