「ふ〜、ようやく終わったか・・」 
ただいまの時刻、2時45分。 
今日の桜田家は普段と少しだけ違った。本来なら掃除や洗濯といった家事は 
全てのりが行ってくれる。ところがそののりがラクロス部の合宿ということで 
3日間ではあるが不在になるのだ。従って当然のことながら家事全般の責任は 
ジュンの双肩にかかっている。食事だけは出前をとるので何とかなるが初日から 
この調子では3日間耐え切れるか早くもジュンには黄色信号が点っていた。 

「お絵描き、お絵描き〜、みんな可愛く描いちゃうの〜」 
リビングでは雛苺が画用紙にクレヨンで楽しくお絵描きをしている。 
ソファーに真紅が座り静かに本を読み、翠星石はTVを見て何やら独りで 
毒づいている。のりがいようがいまいが彼女たちの生活のスタイルは 
いっこうに崩れない。実にゴーイングマイウェイを実践していた。 

「ジュン、紅茶を淹れて頂戴、アッサムティーで、フィナンシェをつけるのを 
忘れずに」 
家事で疲れきったジュンがリビングに入ってくるなり真紅がジュンに命令する。 
「だあァァァァッ!!紅茶ぐらい自分で淹れろおォォォ!!」 
ジュンは持っていた雑巾を床に叩きつけ怒鳴った。 
「まだ自分の立場というものが分かっていないようね。召使い―のりがいない間は 
下僕である貴方がこの家の雑事を行うのは当然のことなのだわ。だからといって 
私への奉仕を怠るということは決して許されないことよ。理解したのなら早く紅茶を 
淹れてきなさい」 
極めて冷静にそして自己中心的に真紅はジュンを諭していく。 
「ふざけるな!!姉ちゃんがいないんだから少しはお前らも手伝えよ!!」 
ジュンは真紅に詰め寄って思い切り抗議する。 
ビシイッ! 
真紅のツインテールが鞭のようにしなりジュンの頬を叩く。 
「まったく、それが主人に対する態度かしら。いいことジュン、貴方は下僕としての 
務めを果たすこと、それが1番大事なことなのだわ。それに、それにあの2人に 
家事などやらせたらどんなことになるか貴方にも想像がつくでしょう」 
そう言って真紅は雛苺と翠星石の方を向いた。ジュンもそれを聞いて半ば納得はした。 
以前に翠星石と雛苺が家事を行い、窓ガラスを割り、電子レンジをメチャメチャにしたのを思い出したようだった。 
半ば納得のいかないままジュンは溜め息をつき、仕方なく紅茶を淹れるのだった。 

「はあ〜、つ、疲れた・・・・」 
ただいまの時刻8時。 
一通りの家事を終え、ジュンはようやく一息つける状況になった。 
慣れない動きをしたからか体が痛い、ジュンは少しでも痛みをとろうと 
ゆっくりと風呂に入ろうと思い浴室に向かった。 
そんな筋肉痛を訴えるジュンのいる浴室の外に何やら光る影がある。 
その正体は!!! 

「フッフッフ、465回の失敗を重ねて、今日こそこの薔薇乙女一の頭脳派、 
金糸雀が真紅たちをとっちめるのかしら♪」 
というわけで、金糸雀推参!! 
その金糸雀は家の塀を浴室の方へと進んでいく。 
「え、何?ピチカート、いつもと侵入経路が違う?これでいいのかしら! 
今回は真紅たちの裏を掻くのかしら!もうカナってば何て素敵で知的なミッション 
なのかしら〜♪」 
これもまたいつも通りの金糸雀とピチカートの漫才である。 
浴室の窓に辿り着き、様子を窺う金糸雀、浴室内は湯気でいっぱいで室内の状況が 
よく分からない。 
「ちょっ、ちょっとよく見えないかしら」 
窓の縁に手をかけてもっとよく覗こうとした瞬間、足が滑り必死に窓の縁にしがみつく。 
「す、すべったかしら!あ、あぶないかしらーーー!!」 
バシャンッッッ!! 
力を入れて這い上がった瞬間、風呂の中に思い切り落ちた。 

「うわッ!な、なんだ!!」 
頭を洗っていたジュンが驚いて風呂を見る。 
「きゃッ、熱いかしら!お、溺れるかしら!このままじゃ土左衛門かしらー!!」 
なんとなく余裕のありそうな金糸雀の悲鳴、ジュンは少し呆れながらも金糸雀を 
風呂から助け出してあげた。 
「うぅ、た、たすかったかしら〜」 
すこしグッタリしたかのように金糸雀は浴室の床に座り込んだ。 
「おい、おいお前、何してんだよ」 
ジュンが当然ながら金糸雀に問いかける。 
金糸雀はジュンの姿を認め、お礼を言おうとする。だが目の前のジュンの姿を見て 
驚きの声をあげた。 

「きゃあァァかしら!お、落ち着くのかしら!こ、こんなときはえ〜と、え〜と」 
慌てふためく金糸雀、それもそのはず、ジュンは裸なのだから。 
気づいたジュンもタオルで前を隠し、改めて金糸雀に尋ねた。 
「カナは、カナは真紅たちをギャフンといわせようと・・・」 
「それで今回は浴室から侵入か、普通に玄関から入れよ」 
「で、でもそれじゃ・・・・ごめんなさいかしら・・・」 
素直だ。ジュンはそう思った。ほかにも聞いてみると今夜もみっちゃんは残業で 
遅くなるらしい、金糸雀は彼女にわがままを言うこともなくよく留守番しているらしい。 
ここに来るのも悪気があるわけではなく、単に淋しいからなのだろう。 
そう思うとジュンは金糸雀が可哀想になった。 
「服、濡れちゃっただろう?乾かしてやるよ」 
金糸雀の頭を優しく撫でながらジュンが言った。 
「あ、ありがとうかしら〜♪」 
金糸雀はお礼を言うとお湯で濡れたドレスを脱いでジュンに渡していった。 
ジュンはドレスを乾燥機に入れてスイッチを押しドレスを乾かし始める。 
「僕の部屋の引き出しにTシャツがあるからそれを着てな」 
ジュンがタオルを取り出して金糸雀に渡して言った。 
しかし金糸雀はタオルを受け取るとジュンを腰掛けに座るように言った。 
「せ、背中流してあげるかしら、後ろ向いて欲しいかしら」 
そう言ってタオルにボディソープをかけて泡立てると、ジュンの背中を擦り始めた。 
「あ、お、おい・・・・」 
驚いたジュンが振り向く。 
「お、お礼かしら、ありがとうかしら」 
自分の裸も見られて少し恥ずかしいのか、金糸雀は顔を赤らめながらお礼を言い、 
ジュンの背中を洗い続ける。そして洗い終えるとシャワーで背中を流していった。 
「か、金糸雀、あ、ありがとう」 
ジュンはドキドキしながらお礼を言う。そして今度は金糸雀を座らせてジュンが 
金糸雀の背中を流してあげた。 
「いっしょにお風呂に入りたいかしら」 
体を洗い終えて金糸雀はジュンを誘った。ジュンは金糸雀を抱き上げていっしょに 
湯船に浸かる。 
「気持ち良いかしら〜、すごく落ち着くかしら〜♪」 
金糸雀がジュンを見つめながら言う。ジュンはそんな金糸雀が艶っぽく見えた。 
(そういえばコイツ、真紅たちよりもお姉さんなんだよな) 

「・・・か、金糸雀」 
ジュンは不意に金糸雀の唇を奪った。 
「んん?!ふぅぅ・・あぁ・・」 
金糸雀は別に抵抗するでもなくジュンを受け入れる。 
「ぷはぁ・はぁ・・・ジュン?・・・・」 
「あ、ご、ごめ・・・・ん?」 
誤ろうとするジュンに今度は金糸雀がジュンの唇を奪う。 
「誤っちゃダメかしら、カナもそうしたいかしら・・・」 
金糸雀はジュンを上目遣いに見て、ジュンに抱きついた。 
「金糸雀、いいのか?」 
「うん、来て欲しいかしら・・・」 
ジュンは金糸雀の華奢な体を抱き上げ、自分のモノを金糸雀の割れ目にあてがった。 
「いくよ金糸雀」 
金糸雀の狭い中をジュンのモノがゆっくりと入っていく。 
「痛かったら言えよ」 
「ううん、大丈夫かしら、ジュン、動いていいかしら」 
金糸雀の言葉にジュンは少し強く腰を動かす。金糸雀は痛みを我慢しているのか、 
ジュンにしがみつく腕の力が強まっていった。 
「金糸雀!金糸雀!!」 
「ジュ、ジュン!ジュンーー!!」 
何度もキスをして重なりを感じあうジュンと金糸雀、やがてジュンの動きが激しさを増し、 
絶頂が近づいてきた。 
「イクよ!イクよ!金糸雀!!」 
「あぁ!ジュン!ジュン!来てかしら〜!!」 
金糸雀の中にジュンが精を放っていく。それを金糸雀はしっかりと受け止めていった。 

「また、体洗わないとな」 
「いっしょに洗うかしら〜」 
2人はまた体を流し合い、ゆっくりとお湯に浸かっていった。 
「そろそろ、服乾いただろ」 
風呂から出たジュンは金糸雀の体を拭いてやり、すっかり乾いたドレスを着せてやった。 
「ありがとうかしら!また来るかしら!」 
金糸雀は真紅たちにバレないようにまた浴室の窓からみっちゃんのマンションに帰ろうとする。 
「今度はちゃんと玄関から入れよな」 
「分かったかしら!でも・・・」 
「でも、何だよ?」 
「夜はまたここから侵入するかしら、またジュンとお風呂に入るかしら♪」 
そう言ってジュンにウィンクするとパラソルを広げて帰っていった。 

部屋に戻るとそこには真紅も雛苺も翠星石もいた。 
「すいぶん長風呂だったのね、ジュン」 
「ジュン〜、お風呂長いの〜」 
「まったくなにチンタラと入ってるですぅ、早食い、早風呂、芸のうちですぅ」 
三者三様で反応は違うが相変わらずマイペースな3人。そんな真紅たちを見て 
ジュンは心より思った。 
(ミーディアムのトレードってできないのかな、と・・・・・・) 

END 

以上です。 
金糸雀ってほとんど需要がなさそうだけど書いてみました。 
でも俺は金糸雀が好きです。 

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