ノリと勢いでこんな話を書いてみた 
あまり期待しないでくださいまし 

題名は 

『真紅・雛苺戦IF』 

とりあえず原作よりです 
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「そこまでよ、雛苺。後ろをごらんなさい」 
「え……と、トモエッ!?」 
 加減の分からない雛苺のため、マスター柏葉巴は危険な状態にあった。 
 すでに姿は雛苺のようになり、消滅寸前である。 
 巴の元に駆け寄る雛苺。 
「トモエ! トモエッッ!!」 
「ぅ……ぁ……ひな、いちご……ごめんね……一人ぼっちにして……」 
「ト、トモエ……」 
 雛苺が泣き崩れた。 
「ごめんなさい、ごめんなさいっ、もうワガママいわないからっ!! 
 お片づけもするし、おるすばんだってするから、だから! だから……っ!!」 
 泣きじゃくりながら巴の身体を揺する雛苺に、真紅が静かに言った。 
「彼女を助けたいのなら、分かっているわね」 
「……」 
 雛苺が頷く。 
 そして…… 

(だめ……だめ、雛苺……それだけは……) 

 アリスゲームについて、雛苺から一通りのことは聞いている。 
 敗者に待つのは、完全な停止。 
 もう、話す事も、動く事もかなわない。 

(……失いたくない……この子だけは……失いたくない……っっ) 

 雛苺が、指輪に契約破棄の口付けをするため、顔を近づける。 
 朦朧とする視界の中で、目が合った。 
「トモエ、ごめんなさい……でもね、大好き、だから……」 
 雛苺の涙が巴の頬に零れたその瞬間、 
 巴の中で、何かが弾けた。 

 光が溢れる。  
「……え?」 
 最初は、契約破棄に伴う発光だと思った。 
 だが、それは違っていた。 
 やがて光が収束し、巴が立っていた。 
 元通りの姿で、そして。 
「……嘘でしょ」 
 その指には、いまだ輝きを失わない誓いの指輪。 
「信じられない」 
 真紅が呟いた。 
 どういった理屈か分からないが、雛苺が過剰に取りすぎた巴の生命エネルギーが元に返ったのである。 
「……ぁ」 
 真紅もそうだが、雛苺もこの状況についていけなかった。 
 呆然と巴を見上げている。 
 巴はそんな雛苺に優しく微笑み、そして真紅を見る。 
 その目には強い闘争心が燃え上がっていた。 
「……させない」 
「……」 
「……この子を、雛苺を殺させはしない。絶対に、守ってみせるっ!!」 
「……ちょっと、私は」 
 言いかけてから、真紅は自分の失態に気づいた。 
 真紅は、アリスゲームにおける自分のスタンスというか 
 そう言ったものを彼女らに一言も話していない。 
 誰がどう見ても、アリスゲームとしてローザミスティカを奪いにきた敵としか見れないだろう。 
(しまったのだわ) 
 いまさらそれを言ったところで、見え透いた嘘としか取られないだろう。 
 どうするべきか躊躇する真紅。 
 その一瞬に、巴が猛スピードで迫った。 
「……っ!」 
 真紅の反応が遅れる。 
 巴は落ちていた、おそらくヌイグルミが持っていたのであろう手頃なステッキ、を拾い上げ 
 一気に振り下ろす。 

 鈍い音がした。 

「……」 
「……」 
 真紅もまた、愛用のステッキで巴の一撃を間一髪防いでいた。 
 二人はそのまま、鍔迫り合いのような状態になる。 
 それこそ息がかかるほど間近で見詰め合う二人。 
(……う、動かない) 
 巴の額を、驚愕の冷や汗が伝う。 
 相手は幼児とさして体格の変わらない人形、このまま力で押し切れると踏んだのだか、 
 真紅をピクリとも動かせない。 
 まるで師範クラスと戦っているようだった。 
「……くす」 
 真紅が、静かに笑った。 
 巴の背筋が総毛立つ。 

「トモエッ!!」 

 雛苺の叫びに反応し、巴は鍔迫り合いを外し、大きく後ろに跳んだ。 
 半瞬前まで巴がいた位置に、膨大な薔薇の花びらが吹き荒れた。 
「はっ!?」 
 安心するのはまだ早かった。 
 花びらの嵐は、まるで生き物のように巴を追尾する。 
 真紅の必殺技ローズテイル(薔薇の尾)。 
「させないのぉ!!」 
 雛苺が巴の前に立ち、力を解放した。 
 大量の苺わだちが出現し、花びらを防ぐ盾と化す。 
 ぶつかり、そして相殺される花嵐。 
「……やるわね」 
 真紅の攻撃を防ぎきった事ももちろんだが、 
 雛苺が巴とのエネルギー供給のバランスを、完璧に制御している事の方が驚きだった。 
(ほんの五分前までの未熟さが嘘のよう) 
 そうして巴と雛苺が、お互いを庇い合うように真紅と対峙する。 

「ていうか、ちょっと待ちなさい」 
 ある事に気づいて、真紅が言った。 
「何?」 
「巴、あなたも戦うの?」 
「ダメなの?」 
「……」 
 ミーディアムがここまで積極的に戦うアリスゲームなんて、まったく前例が無い。 
 と言うより、そもそも、アリスゲームに明確なルールなど無い。 
 ある程度の暗黙の了解があるくらいである。 
 その一つに 
「……人間を傷つけてはいけないっていうのが……」 
「真紅、おもいっきりトモエをこうげきしてたの」 
 雛苺の突っ込み。 
「やられたからやりかえしたのよ」 
 堂々と答える真紅。 
「……」 
「……」 
 この時点で、決まり事もへったくれもない。 
「ルールが無いなら、私は問題無しよ」 
 巴が言う。 
「確認しとくけど、命がけよ」 
 真紅の問いに、 
「……」 
 巴は雛苺を見つめ、 
「私は……これからもずっと、雛苺と一緒にいたい。 
 それは、私にとって命をかけるに値するわ」 
「トモエ……」 
「……」 
 真紅が笑った。 

(良いマスターに出会えたわね、雛苺) 

 戦いの場に似合わない、優しい笑みだった。 
「そう……なら」 
「……」 
「……」 
 構える三者。 

「アリスゲームを、始めましょう」 

 第二ラウンド、開始。 

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というわけで、とりあえずここまで 

巴さんに、少年漫画的熱血バトル主人公補正を与えてみたお話です 
今回、全然エロねえですけど、次回あたり微エロか萌エロあたりを…… 

後、煩雑になるため書かなかったですけど、 
作中のローズテイルは拘束目的で出しており、殺傷能力は限りなく0と思ってください 
なんだかんだで、この作品の真紅はルールに忠実です 
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