ちょっと鬼畜系かも……です。
カジュアル陵辱、ってぐらい。
苦手な方は適当によろしくです。
----
燦々とさす陽光。
春の訪れを告げる鳥たちのさえずり。
日ごとに濃さを増してくる緑なる木々。
そして桜田家に今日も響き渡るジュンの絶叫。
「いってえーっ! 何すんだよ、このっ……!」
真紅のツインテールびしばし攻撃を受けたジュンが、抗議の声を上げる。
「紅茶が5.24度ぬるいのだわ。まったく……何度言わせるのかしら? 紅茶は、温度が一℃違うだけで味わいが変わってしまうものよ。本当に、使えない下僕ね」
「だったら自分で淹れればいいじゃないか!」
「あら。私においしい紅茶を淹れるのも下僕の務めではなくって? 淹れ直してきて頂戴」
そんな理不尽なことがあるかよ、とブツブツ言いながら階下へ行こうとするジュンに、なおもツインテールの追撃。
「ブツブツ言わないの」
「…………」
真紅に背を向けたジュンの表情に、怒りは無かった。
それは諦めでも無かった。
口角をわずかに吊り上げ……暗い笑み。
(ああ、今日も俺にひどい仕打ちをしてくれてありがとう、って言いたい気分だな)
今日に限って優しくされたりなどしたら(そんなことはありえないが)、良心の呵責もあるかもしれない。
今日は、翠星石は、蒼星石のところへ用があるとかで、朝からいない。
雛苺も、巴のところに遊びに行っている。
のりは、部活の試合。
つまるところ、今、桜田家にいるのは、ジュンと真紅、二人だけだった。
決行には絶好の日。
ジュンが温度計で計った正しい温度の紅茶を淹れて二階へ上がり、
「まあまあね」
とのお言葉を真紅樣からいただいてしばらく。
真紅はベッドに腰かけて本を読んでいた。
ジュンはPCに向かってキーを叩いていた。
「今日はいつもより熱心なようだけど、何をしているのかしら?」
と、真紅。
そんなことはどうだっていいだろうクソ人形、とはおくびにも出さずに、
「ああ……言ってなかったっけ。ネットの友達が来るんだよ、二人。今日。なんかもう、ウチの近
くまで来てるみたい」
「そう。珍しいこともあるものね、あなたがお友達を呼ぶだなんて」
それはそうさ。
この日のために選りすぐった二人、なんだから。
「私はいない方がいいかしらね。ローゼンメイデンの存在が知れたら、何かと面倒でしょうし」
いや、そういうわけにはいかないんだよ。
今日の主賓は真紅、君なんだから。
「そうだなあ……悪いけど、少しリビングの方にでも行っててくれるか?」
その時ちょうど、ジュンの携帯が鳴った。
すかさず取る。
「あ、ジュンです。あ、もう家の前ですか。いいですよ、上がってください。俺の部屋、二階ですか
ら。今日は他に誰もいませんし……」
「ちょ、ちょっとジュン!」
電話を切ったジュンに、真紅が抗議する。
「どうするつもりなの! このタイミングで上がって来られたら……」
「大丈夫だよ。真紅は普通の人形のフリしてればいいじゃんか。じーっとしててくれよ」
「……っ! この借りは高く付くわよ」
ふん。
ばぁか。
こっちは、今までの借りを全部まとめて今からお前に返すんだよ。
分かってないな、全然なんにも分かってないな、だから馬鹿なんだよだからお前は馬鹿なんだよ
馬鹿真紅なんだよ。
「お邪魔しまーす」
玄関で声が聞こえ、
階段を上がる足音が聞こえ、
「や、こんにちは。はじめまして……ってのも変かな(笑)」
「うわー、なんか小ざっぱりした部屋だねえ」
二人の男がジュンの部屋へと入ってきた。
一人は、大学生くらいの歳の頃の、端正な顔をした青年だった。
いま一人は、三十すぎだろうか、美男というわけではないが、物静かな、知性を感じさせる雰囲気の男だった。
二人の男とジュンは、掲示板やチャットやビデオチャットで見知った仲である。
真紅は、いつの間にかタンスの上によじ登って腰かけ、普通の人形のフリをしているようだ。
三人の男は、しばらくの間、当たり障りの無い挨拶や世間話をしていた。
Winnyの情報流出問題が相次いでるのは上層部のワナだ、とかなんとか。
「ところでジュン君、今日の『主賓』は?」
と、大学生風の男が言う。
ああ……そうだった。
く、く、く、と抑え切れない笑いをこぼしながら、ジュンはタンスの上を指差す。
「アレですよ。あの、センスのねえ真っ赤な人形」
(……っ!?)
真紅の内心の動揺は激しかった。
何が起こっているのか。起ころうとしているのか。分からなかった。
「へえ、あれがローゼンメイデン……第五ドールですか」
(……!!!!)
「なあ真紅、もう普通の人形のフリなんかいいから。降りてこいよ」
と、ジュン。
二人の男は、無表情に、あるいはニコニコと、真紅を見上げている。
瞳の奥に、何か恐ろしいものを宿らせながら。
しばらくの逡巡。
決心したのか、真紅は降りてきた。
「どういうつもりかしら、ジュン」
「『どういうつもりかしら、ジュン』? そうだなぁ……」
ジュンも、にこにこと笑いながら、
ドガァッ!
いきなり真紅の腹に蹴りを入れた。
「げふぁっ!?」
人形の体躯で、中学生男子の蹴りを、不意打ちでまともに食らってはたまらない。
真紅は壁まで吹き飛ばされ、倒れた。
「げほっ…… な、なん……」
よろよろと立ち上がる真紅。
「はは。ジュン君、あまり手荒なことは……」
三十男が苦笑する。
「そうそう。どーせ、今からどんどん面白い目には遭ってもらうんだし」
大学生風の男も笑う。
「あ、そうそう。紹介が遅れたけど、こちらは、えーと、Aさん。オリキャラだから名前は適当でいい
よね。東京大学の医学部の学生さん。親は大病院の院長。人生勝ち組」
「どうも、Aです」
「で、こちらはBさん。オリキャラだから名前はいらないよね。大手法律事務所の中堅どころ。こち
らも人生勝ち組。ヤになるよね」
「はじめまして」
「二人とも、アンティークドールにはかなり興味があるみたいでね。なんか、ローゼンメイデンのこ
とは最初っから知ってたみたいだよ。ウチにたくさんある、ってのはもちろん最初は知らなかった
みたいだけど、いろいろ話をしてるうちに、じゃあちょっとウチで遊んでみるか、ってことになって
ね……」
普段のジュンらしくなく、饒舌にペラペラと喋る。
その間、真紅は、思いっきり蹴られた腹部の痛みからなんとか立ち上がっていた。
まだ状況は100%飲み込めないものの、どうやらこの二人とジュンが真紅に、何かとてもよくな
いことをしようとしていることは明らかのようだった。
やるしかない、と思った。まずは、悪いけれど、気絶くらいはしてもらう。
「ホーリエ!」
人工精霊が彼女の呼びかけに応じて現れる。
……はずであった。
しかし何事も起こらない。
「ああ、すみません。無駄ですよ、それは」
法律事務所のBさんが、ニコニコしながら言う。
「さっき、この家の周囲に結界を張らせていただきました。人工精霊は使えません。nのフィールド
への出入りもできません。薔薇の花びらとか使った特殊攻撃もできません」
「つまり、今のあなたは、ただの無力な、喋って動く人形に過ぎない」
と、東大医学部のAさんが無表情に言う。
「せっかく男三人、女一人なんだし、やることやっちゃいますかね」
と、ジュン。
ここに至って、真紅は、今から自分が何をされるのか、100%に近く理解した。
その瞳に、初めて恐怖が宿った。
それを見たジュン。
……いい。これだ。これを見たかったんだ。真紅のこの表情……っ!
----
とりあえず今日はこんなところで。
----
よく考えたらAさんとかBさんとか全然要らないんだよね
Aさんは教授から論文のことで呼び出されたので、ジュンに不思議な薬を渡して帰りました。
Bさんは法律事務所が火事に遭ったので、結界はそのままにして帰りました。
--
(ダメよ、こんなのでは……)
真紅は、一時たりとも恐怖を感じてしまった自分を恥じた。
(……私は、誇り高きローゼンメイデンの第五ドール。こんなことで取り乱したりしては)
自分の恐怖感を誤魔化すかのように、いつも通りに気高くそして高慢に、
「ジュン。これは何の真似かしら? 返事によっては、いくらあなたでも」
そう、言い終わらぬうちに、ジュンの右手が真紅の顎を掴んでいた。
きりきりと、壊れてしまわない限界までに締め付ける。
「『何の真似かしら』だ? ふざけるなよ呪い人形っ! いつもいつも、俺がどんな気持ちでいたと思ってるんだ! お前に理不尽な命令をされるたびにっ! お前に髪の毛ではたかれるたびにっ!」
「ジュン、私はそんな……っ、そんなつもりじゃ、痛っ! 痛いっ! やめっ……」
びし、びしっ、びしっ、びしっ、と、続けざまに四度、真紅の頬を平手で叩いた。
白磁のような白い頬は、血管が通っていないにもかかわらず、真っ赤になった。
ジュンは真紅の両腕を掴み、顔を覗き込む。
真紅は目に涙を浮かべながらも、気丈にこちらを睨み返してくる。
自慢の金髪はほつれ、頬は打たれて真っ赤になり、うっすら涙を流している真紅。
美しいと、ジュンは思った。
そう、それに、あっさり屈服されたのでは、やりがいがない。
「くくっ、そうだよなぁ、誇り高きロォォォォォゼンメイデンの第五ドール、だっけ? だもんなあ?
蹴られたり、殴られたりした程度でオタオタしてちゃ話にならねえよなぁ、
ふひ、ふひ、ウヒラウヒラウヒラウヒラ……」
ジャンクのような笑い声が馬鹿みたいに続き、突然ぴたりと止まって静寂。
ぞっ。と、不気味なものを真紅は感じた。
俯いたジュンの表情は、伺い知れない。
真紅の細い両腕を握るジュンの手に、力がこもる。
瞬間。
ぐき、ぐきりっ、と、二つの音が連続した。
ジュンが真紅の両腕を、ドレスを着せたまま肩から外した音だった。
甲高い絶叫が、響いた。
----
「ぐうぅぅぅ、うあぁぁぁぁあああっっ!!」
あまりの激痛。真紅は体をのけ反らせて叫んだ。
それを笑いながら見ていたジュン。トン、と軽く真紅の胸を小突いた。
バランスを失った真紅はヨロヨロとよろめき、無様にひっくり返った。
「ぷっ。バカみたいだな」
ジュンは真紅に歩み寄り、ドレスの袖の中に残っていた両腕を、器用に取り出す。
そして床の上に放り捨て、踏み付けた。
何度も。何度も。
「あああぁぁぁ」
真紅は絶望に近い表情でそれを見る。
真紅の両腕だったそれらは、だんだん形を変えてゆき、
ばきっ、
とか、
めしぃっ、
とか、元に戻りそうにもない音を立ててゆく。
と、熱心に腕を踏み付けていたジュンは、人形の動作のように首を真紅の方に向け直す。
「以前に右腕を無くした時の真紅も、かなりジャンクっぽくて笑えたけど…
両腕無くなっちゃったらもっと笑えるなあ。あはははははー」
「…………っ!!!」
怒りよりも、悲しみが、真紅を貫いた。
なぜ。なぜジュンはここまでするのか。そんなに、自分が憎かったのか。
ジュンは真紅の胸元にそっと手を寄せ、ドレスの袖を、器用に結び上げる。
「うん。うん。うん。うん、まあ、これはこれで可愛いんじゃないかな、真紅。鏡見る?」
あはははははは、とジュンは本当に楽しそうに快活に笑った。
普通の少年のように。
倒れたまま起き上がれない真紅。
起き上がろうとするが、両腕が無くては思うようにいかない。
何度も転んだ。
そのたびにジュンはケタケタと笑った。
「ジュン…… 何があなたをそうさせてしまったの……?」
「はぁ? お前、自分の仕打ち考えてみろよ。僕はお前のせいで死にかけたことだって何度もある
んだぞ。人間性を無視した扱いをされるのはいつものことだしなあ。恨み持たない方が変」
椅子にもたれかかってジュースを飲みながら、真紅の様子を観察しながら、ジュンは答えた。
興奮が少し醒めたのか、一人称が「僕」に戻っていた。
「真紅ー。キミさあ、罪悪感が無いってのも、ヒドい話だよなぁー」
立ち上がり、ジュンは真紅の頭を踏み付ける。
「ぶっ! や、やめて頂戴っ!」
踏んだり。
軽く蹴ったり。
髪を掴んで放り投げたり。
その度に真紅は、怒り、あるいは悲しそうに抗議の声を上げる。
気丈さは、まだ失っていないようだ。
それらの様子を、ジュンはデジカメで三十枚ほど撮った。
「ジュン、やめるのだわ…… やめて……」
「やめるわけないだろ。ばぁぁか」
「なんか……思ってたよりつまんないなぁ」
さんざん真紅を弄んで、ぽつりとつぶやくジュン。
「アレ、使ってみるか……」
ジュンが目を遣ったのは、机の上に置かれてあった、幾つかのアンプルや注射器だった。
----
両腕を外された真紅をジュンは抱きかかえて、椅子に座らせた。
そして、PC用のラックの中にあった長いケーブルで、何重にも拘束する。
真紅の頬は打擲されて真っ赤に腫れ、何度も蹴られたり放られたりしたせいで、髪はバラバラに
ほつれて、ところどころ、涙によって顔にはり付いている。瞳は濡れ、肩で荒い息をしていた。
「真紅……泣いてるのか?」
先ほどとはまるで一転したかのように、優しげとすら言える声で、ジュンは真紅の目を見た。
「な、泣いてなんか……いないわ……」
「ああ、そうだな。誇り高きローゼンメイデン、だもんな。僕ももう痛いことはしないよ」
「……」
真紅は戸惑った。
ジュンのこの異様な態度は何なのだろう。
自分がいつの間にか、ジュンをそんなにも追い詰めていたのだろうか。
真紅がそんな思いを巡らすうちに、ジュンは机の上でガチャガチャ音を立てていた。
薬品の入った瓶や、注射器。
それらが、真紅の目にも映った。
ぞっ、
とした。
何をされるのか分からないけど、とてもよくないことをされるのだろうと分かった。
「もう、痛いことはしないよ、真紅。痛いことはしないよ、痛いことはしない」
つぶやきながら、アンプルを何本か折り、小さなビーカーに入れ、ガラス棒で混ぜる。
「こんなところかな……わりと適当だけど……」
「ジュン……何をするの……」
真紅の声色は微かだが明確に恐怖に染まっている。
ジュンは無言で、注射器を真紅に見せる。
「ひっ……」
「大丈夫だよ。毒じゃない。……というか、何の効力もない、ただの水」
耳元で囁きながら、真紅の首筋、人間ならば頚静脈のあるあたりを、注射器の針でなぞる。
「ひ、ひっ…… やめなさい、ジュン……」
「だぁめ、だめ、だめ、だめ、だめ。だめだめだめだめだめだめだめだめ。
誇り高きローゼンメイデン第五ドールが、このぐらいのことでオタオタしてちゃダメだろう?」
ぷつっ、と小さな音。
注射器が真紅の首筋に少しだけ刺し込まれる。
あまり深く刺してしまうと、人形の構造上、中空に突き抜けてしまうから、精密な手さばきが必要
なのだが、マイスターの手を持つジュンにとって、それはたやすいことだった。
「ああ……入っていくよ、クスリ……。分かるだろ、真紅?」
「何、何、何のクスリなの、ジュン」
薬液は全て真紅の首筋に吸い込まれた。
「言ったろ。ただの水だって。……ただし、人間にとっては、の話だけど。
詳しいことは知らないんだけど、これが真紅たちの体の中に入ると、ローザミスティカと反応して
どうだこうだってコトらしいよ。……あ、効いてきたかな?」
真紅の表情。より切なく、何かを我慢するように眉根を寄せて。
真紅の呼吸。いったんおさまった呼吸が、また乱れている。
「……何、よ、これ、は。ジュン、何これ……」
「陳腐で恐縮なんだけどもね。媚薬みたいな効果があるとか言ってたなあ。
カラダがアツくなったりとかしない?」
「し、知らないのだわ、そんなことっ」
ふい、と真紅はそっぽを向く。
「ああ、そう。まあいいけどね。効果はもっと強くなってくはずだし。
……そうだ、こんなのどうかな」
ジュンはiPodを取り出して、真紅の耳にイヤホンをテープで固定する。(そうしないと、真紅の耳
の穴のサイズには、人間用のイヤホンは大きすぎた)
そして、何人もの女優が入れ替わり立ち替わりセックスして喘ぎまくっている洋モノのAVから
リップした音声を幾つか、エンドレス再生のモードに設定して再生する。
「……っ! ちょっと、ジュンっ! これは……っ!」
真紅の言葉を無視し、ジュンはドレスを掻き分け、女性器……少なくとも人間ならばソレがある
べき部位を露出させる。真紅は当然抗議するが、ジュンは当然無視する。
そして、やはり、そこにソレはあった。
「あー、あー、かなりイイカンジになってきてるなー。ドレス汚れちゃうよ、これじゃあ」
ソレは、人間の女性のものをそのまま真紅の体躯に縮小したにしては大きめのものだった。
明らかに、人間がソレを使用することを想定して作られているようだ。
「さて、真紅は腕を取って拘束した。媚薬は打った。えろ音声はエンドレスで流れる。いくら発情し
ても、自分でオナニーもできない、と。
ま、こんなもんかな。じゃ、疲れたんでしばらく散歩してくるよ。苦労してセッティングしたんだ
から、それなりに楽しんでくれよな」
真紅に状況がよく分かるように、ことさら説明的にジュンは言った。
「ジュンっ! ど、どうするのよ、これっ!」
「いや、今言った通りだけど? さっきも言ったけど、クスリの効き目はまだどんどん強くなるから。
とりあえず、散歩行ってくる」
----
とりあえず今回の投下はこんなとこで…。
甘めに軌道修正してみました。
----
ジュンは本当に部屋を出ていってしまった。
一人取り残された真紅。
拘束された姿で。
今日起こったこと、考えようとするが、頭がぼうっとして考えがまとまらない。
体が、熱い。
体が、熱い。内側から湧き上がる……何なのだろう、これは。
いや、勉強家の真紅は、それが何なのか知っていた。その感覚が何であるのか。
認めたくなかった。
"この私が"、ミーディアムに足蹴にされ、蹂躙され、薬を打たれ、拘束され、絶え間なく続く男女の嬌態を両耳から聞かされ、こんな感覚を感じているなんて。認め、たく、ない。
五分経過。
「はっ、はぁっ、はぁぁぁ……」
真紅は切なかった。
真紅の体全体が、局所を中心に、切ないと言っている。
(腕……手さえあれば、少しは……)
そんなことを考えてしまった自分に、真紅は愕然とした。
十分経過。
「へ、へぁ…… ら、めぇ……」
ショーツがびしょ濡れだ。嫌な感覚。
きっと椅子まで濡れている。
床にまでこぼれているかもしれない。
思考力がほとんど働かない。
真紅は無意識のうち、内ももを悩ましく擦り合わせていた。
(足りない…… こんなのでは、足り、ない、わ……)
そして三十分が経った。どこで時間をつぶしてきたのか、鼻歌を歌いながらジュンは階段を上が
る。ドアを開ける。そして、予想の範囲内の光景に苦笑した。
「ん゛ん゛〜〜っ、い、いやぁ…… い、いグぅ……っっ!!」
コードによる拘束を強引に外したのだろう、床に這いつくばり、首を支点にして尻を付き出し、
秘所を机の脚に擦り付けている真紅の姿。愛液が机の脚にヌラヌラと光り、床にまで垂れていた。
焦点の合わない目で中空を見ている。
ジュンの姿には気付いていないようだった。
今の真紅には、普段の優雅さも、気品も、プライドも、何も無い。
波のように体の中をうねる性欲に完全に支配されたメスの姿しか、そこには無かった。
「おい、真紅」
「……?」
虚ろな目で、声のする方をゆっくり見る真紅。
「ジュ、ジュン……。ち、ちがうのだわ、これは……。あうっ!」
ジュンは真紅の背中を踏み付けて嘲笑する。
「何が! どう! 違うってんだよ! バカじゃないのかなあ。発情期のメス犬だってこんなマネしない
ぞ? 誇り高きローゼンメイデン樣はメス犬以下か? Huh?」
そう言いながら、もうグシャグシャになったドレスを、手際よく脱がせる。
体に絡みついていたコードも、もはや不要なので、取った。イヤホンも外した。
完全に体の力が抜けた真紅を、ベッドの上に放り投げる。
普段なら
「ちょっと、乱暴に扱うのはよしなさい!」
などと言うのだろうが、今回は何も言わなかった。
ただ、裸で天井を見つめ、体全体で荒い呼吸をしている。
白磁のように白い肌が、ピンク色に染まっていた。
その上に無言でジュンはのしかかる。ニヤついた笑いを顔にへばりつかせて。
「なあ、あんなもんじゃ物足りなかっただろ?」
「…………」
真紅は否定しなかった。泣きそうな目、眉根を寄せて見つめてくるだけだ。
「そこで、こんなのはどうかなー、って。ほら、これ、これ」
ジュンの指差す方を見た真紅は、さらに顔を赤くする。
ジュンの股間に、真っ赤に充血して膨らんだペニスを見たからだ。
「ジュン、そんなっ!」
「いやー、僕はどっちでもいいんだけどねー?」
へらへら笑いながら、ジュンは亀頭の先で真紅の秘所を軽く擦る。
「あ、ああっ……あああっ……」
「まあ、童貞なんでね、見よう見まねだけどさ」
擦り続けながら、真紅の耳元で淫らに囁く。
「気持ちいいと思うよー、きっと。僕のちんこが、真紅の中に入って、ヒダヒダを擦り上げたり、
子宮の口をつっついたりさぁ……。だって、こうしてるだけでたまんないだろ? ほらほらほらっ」
ほらほら、という声に合わせて、いっそう激しく亀頭を擦り付ける。
「ちょっ、あっ、だっ、なっ、あっ、うあ、ああ、あああああん゛ん゛ん゛ん゛っ!!!」
卑猥なグチュグチュという音を立てて、愛液があたり一面に飛び散った。
突如。
ふい、と亀頭を秘所から離してしまうジュン。
「あ……」
「ははっ、残念。イクとこだったろ? 悪いな、僕そんなに優しくないから」
----
今日はこんなとこで。
もうちょっとで終わる予定です。
文章力、というかSS力を付けたい。修業あるのみかな。
----
絶頂に昇りつめそうになった真紅。
ほんの少しだけクールダウンさせてやるために、ジュンは、ペニスを秘所から離してやった。
その瞬間の、真紅の表情といったら。
「なぁなぁ、真紅は勉強熱心だよなー? 読書家だよなー?」
謎かけのようにジュンは言う。
真紅の、湿ってほつれたツインテールを引っ張りながら。
引っ張るたびに、泣き出しそうな真紅の顔がカクカクと動くのが可笑しかった。
「僕のエロ本も、時々こっそり読んでるだろー? バレてないつもりなんだろうけどさー」
「……っ! 気付いてたの……?」
「だから、さ。イキたいだろ? だったらこういう時、どういう風にすればいいか、分かるだろ?
僕の愛読のエロ漫画にもよくあるもんなぁ?」
こういう時、どういう風にすればいいか、分かる。
明晰な真紅には、分かってしまう。
さっき無理矢理聞かされたアダルトビデオで、女優が甘い声でペニスをおねだりしていたセリフ
も、思い出してしまった。
しかし、あの女優のあれは、演技だ。台本通りの。
しかし、今の真紅は。
「あー、別に嫌ならいいんだけどねー?」
薄笑いながら、ジュンは人差し指の先で真紅のクリトリスを軽く撫でさすっている。
逡巡は数瞬も無かった。
「……て、下さい……」
消え入りそうな、擦れた声、そのくせこの上も無く艶っぽい声で、真紅は言う。
「入れて下さい……お……おちんちん、入れてください……真紅の……お……まんこに……
お願い、します……」
一語一語、刻むように言うたびに、羞恥と屈辱と悦楽が真紅の脳髄を侵食してゆく。
しかしジュンは不満げに、
「んー、もうちょっとかなぁ。そんな、ためらいがちに言うぐらいなら、別にいいんだよ?」
「う……」
おかしく、なる。
「じゃあ、特別サービスで演技指導! 自分で脚を広げて、『真紅のおまんこにジュン樣のペニスを
入れて動かしてください』って十回言ってみてよ。なんかもう、あんまり複雑なセリフ言う余裕と
か無さそうだし、十回言えればそれでいいや」
屈辱と欲情に体を震わせながら(もっとも欲情の割合の方が圧倒的に多かったが)、真紅は言わ
れた通りに、自らの太ももを抱え、脚を広げてみせる。
「真紅の……し、真紅の……」
最後のためらい。
そして最後の理性は、切れた。
「真紅のおまんこにジュン様のペニスを入れて動かしてください!
真紅のおまんこにジュン様のペニスを入れて動かしてください!
真紅のッおまんこにジュン様のッペニスを入れてッ動かしてくださいぃ!
真紅の」
ずぶり、と。
何の前触れも無く。
予想だにしないタイミングで。
待ちかねたソレは、そこに根元まで挿入された。
「くぁっ…… あ…… あか、はっ……」
ほとんど限界まで目を見開いて、真紅は鯉のようにパクパクと口を閉じたり開いたり。
一瞬で、あまりにも高い絶頂に運ばれていた。
「ああ、ごめん。回数、何回だったか忘れちゃった。ま、いいよね」
絶頂の余韻に浸らせてあげようなどという気はもちろん微塵も無く、ジュンは好き勝手に腰を動か
し始める。しかし、初めてのはずのその行為は、真紅にとって的確すぎた。
「うあ、あ、あっ! はあ、はう、はあ、や、い、いすぎ、気持ちいすぎぃぃぃっ!!」
ジュンのペニスが、突き入れられ、内部の濡れきったヒダを存分に擦り立てる。
引き抜かれる時には、カリの部分が膣と擦れ合い、言語化不可能な快楽を真紅に与える。
「うっはー、真紅のまんこ、すげー気持ちいいぞ。通販で買ったオナホールより断然だな。
サイズも、なんか、人間用にできてるんだなぁ。ははっ、さすがローゼンメイデン」
そんな言葉も、真紅にはもはや聞こえていない。
「ん゛〜〜〜〜〜〜〜〜っ! っっ!! っっっ!!!」
真紅は、歯が折れそうなほど口を噛みしめ、目をきつく閉じ、半狂乱のように悶え狂った。
そんな真紅をジュンは抱きかかえ、ベッドから立ち上がる。
いわゆる駅弁の体位で、真紅の膣も子宮口も、気が狂ってジャンクになれと言わんばかりの勢
いで、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も、拷問のように責め立てた。
そのたびに真紅は何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も絶頂に運ばれた。
数時間後。
真紅がしばらく気絶していた間に、ジュンは部屋の掃除をし、真紅の体を拭いてやり、髪を整
え、あらかじめ作っておいた替えのドレスを着せていた。
今は真紅も目が覚めているのだが、茫然自失、ベッドに横たわって虚空を眺めている。
そんな真紅に、ジュンは一つ提案をする。
「なあ真紅。僕としては、別に、これっきりでもいいんだ。
ただ、真紅がこれからも、って望むのならーーーー」
夕食時。
のりも、翠星石たちも帰ってきて、いつもと変わらぬ食卓。
ただ、真紅は小刻みに震えている。
その様子に気付く者はいない。
花丸ハンバーグがどうだとか、翠星石のデザートを取るなですぅとか、いつもと変わらない喧騒。
「早くやれよ」
薄笑いを浮かべながら、ジュンは真紅に促す。
ためらいながらも真紅は立ち上がる。突然に。
「真紅、どうしたですぅ?」
「おなかでも痛くなったのー?」
皆の視線が集中する。
真紅は少しうろたえた。
しかし、少しだけだった。
ドレスの裾を自らめくり上げ、下着を着けていない秘所を晒す。
クリトリスには小型のローターが固定されていた。
そして宣誓をする。
「わ、私は……真紅は、今日から、ジュン……樣の、性奴隷になりました……
皆様も、どうか、淫らな真紅を可愛がってください…… よろしくお願いします……」
----
とりあえず以上です。
めちゃくちゃ久しぶりのSSでした。見直して、変だと思う箇所も色々ありました。
----
338 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/03/21(火) 01:51:38 ID:0mhtzyyW
腕ないのになんでいつもと変わらぬ食卓なん?つかどうやってドレスめくったん?
----
339 名前:『桜田家の人びと』 ◆LBlmecjNys [sage] 投稿日:2006/03/21(火) 01:52:36 ID:i4dWwyJf
ああ、しまった。
腕は付けたってことにしといてください。
----