くちゅっくちゅっ。水銀灯の腰が上下するたびに汗と精液に混じる愛液が粘着質な音を出す。 
「やめろ水銀灯!」 
 ジュンの苛立った叫び。 
 ジュンの手足を水銀灯の背中から生えた翼が拘束していた。 
「ふふふ、嫌よ。お馬鹿さん」 
 ジュンの嘆願をさらり流し、水銀灯は己が睦でジュンのペニスをしごきたてる。そのペニスの根元にはやはり、翼が──羽 
が一枚きちきちと、ジュンのペニスを射精できないように締め上げている。ジュンはいくら昂ぶろうとイクにいけず悶えていた。 
「ならせめて、この羽だけでも──」 
「駄目よ、お馬鹿さん。──所であなたぁ、真紅と二人っきりで楽しそうにおしゃべりしてたわねぇ」 
 肩で呼吸しながらいつも以上に蕩けそうな瞳を向けてくる。だがその奥底は嫉妬の炎で燃えていた。 

「その後、翠星石とも楽しそうに話してたじゃない?」 
「しょうがないだろ。同じ家に住んでんだから」 
「じゃあ、どうして雛苺がまとわり付いても振り払わないの?」 
「子供だろあいつは!」 
「蒼星石は、子供でも同じ家に住んでる分けでもないのにぃ、なんで抱き合ったてたの?」 
「あれは、運んでただけだ!」 
 どこで見てたんだよ。ジュンは利口なのでそれを言わなかった。 
「ふふ、口答えするお馬鹿さんは、こうしてあ・げ・る!」 
 ぎゅっと自分の中にあるジュンのペニスを締め付け、激しくジュンを責め立てる。 

「うわあぁぁぁぁぁぁやめろ! やめてくれ!」 
「ふふ、まだまだよ」 
 全身を火照らせ興奮に満ち陶酔の笑みを浮かべる水銀灯とは別に、激痛のような快楽に涙や鼻をたらし、口から泡を吹き 
全身を強張らせるジュン。 

 その責め、いつも水銀灯のゼンマイが切れる事によって終わる。 
 力の無くなった羽や翼を解かれた瞬間、崩れ落ちたままの水銀灯の中に一ヶ月分の量とも思える精液がでて、睦口から 
溢れる。 
 ジュンは余韻に浸るまもなく、水銀灯を抱き抱えベットの脇にあるゼンマイ巻きをとり巻こうとするが、不意に手がとまる。 

 出会いは最悪だったが、真紅たちに内緒でちょくちょく水銀灯と出会い、二人は恋に落ち、周囲に秘密のまま付き合い始めた。 
 始めは、拗ねた顔をするくらいの可愛い嫉妬だった。だが、それがエスカレートして、水銀灯以外の女の子と喋るだけで 
さっきのような拷問のようなセックスをするようになった。 

 ゼンマイを巻かなければ、こんな拷問受けなくて済む。 
 その葛藤がジュンの手を止める。 

 やがて、ゆっくりとゼンマイを巻きはじめる。 

 水銀灯への愛を消費しながら────。 

                                      〜完〜 

 唐突ですが、翠星石の喋り方は 江戸っ子に「〜ですぅ」「です!」とつければ良いのでしょうか? 

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 愛想がつきた。 
 また、女の子と喋った───よりによって、のり巻きなんかと───という理由で責め立てられたジュンは、水銀灯の 
ゼンマイを巻く前に、水銀灯の体を特殊鋼で出来たワイヤーが芯に入ってるロープで、水銀灯をラブホテルのベットに 
括りつけた。そして、その口に猿轡をつける。 

「──後はコレだな」 
 持ってきた物は、ロープと猿轡だけではない。 
 全裸の水銀灯の、その小さいピンクの乳首を挟むようにローターを両胸に計四つけ、ガムテープで固定し、サランラップ 
を補強として胸にまく──人形の体は皮膚呼吸なんてしないだろう。 
 それが終わった後、今度は先ほどの行為から自己主張を続けるクリトリスにも同様にローターをつけ、ついでにおしりに 
細いバイブを、舌とワセリンで解したアナルに差し込む。 

「これはオマケ」 
 アイマスクもつけてやる。 
 暗い喜びが芽生える中、真紅が言っていた言葉を思い出す。───ゼンマイ切れは、眠りのようなもの。 
 眠っても体は反応するだろう。邪な笑みを浮かべて、ローターのスイッチをoffから中へと変える。 

 何分かたち、再び水銀灯の体が朱に染まってきた頃に、ジュンはゆっくりとゼンマイを回した。 

「んん!あ!ぐむ! んん!」 
 水銀灯は覚醒し、一気に悶えた。 
 あっという間に顔は真っ赤になり、鼻水はでて、猿轡で塞がれた唇の端から唾液が流れ始めた。 
「ははっ気持ちいいだろ。いつものお返しだ、しっかり味わってくれ」 
「はうは! ん! んもんん!」 
 水銀灯の呻き声を聞きながら放置し、水銀灯に邪魔されてできなかった如何わしい商品を探しにネットをつないだ。 

 それから二時間。 
「わあんあ! ぬぬ! わあ!」  
「はは、これはいいや。アマゾンの神秘の素焼き壺、いいねぇ! いかがわしくて! サイコー!」 
「んん!あ!───」 
 不意に水銀灯の呻きが途絶えた。 
 ローターの電池ぎれかな? と思ったが、室内をうぃ〜んとと低く流れる音からすると電池切れではない。どうやら 
ゼンマイ切れであった。 
「ち、いつもよりはやいな」 
 ジュンは、水銀灯の目隠しを取ると、白目を剥いたまま、顔中、涙だか涎だか鼻水だか分からないものでぐしゃぐしゃ 
にしながら快楽に溺れて喜んでいる、変態マゾ人形の顔がそこにあった。 

 ジュンは再びゼンマイを巻き始め、意識が戻る前に、その唯一空けてある「膣」にペニスを突きこむ。 

 水銀灯への憎しみ消費しながら────。 

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