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.|从_从))
.|゚ -゚ノ| || <キョロキョロ 誰も居ないわね・・・・・
.⊂彡ミ)||
.|ハヽ、≧
.|ッァ-' テ
ジュン、紅茶を入れて頂戴」
「ジュン〜うにゅ〜が食べたいの、うにゅ〜が」
「ちび人間これを読みやがれですわ」
「ジュン君、今日はほうじ茶が飲みたいな」
いつもの様に、好き勝手に要求を口にする薔薇乙女たち。だが、今日は
いつもと様子が違った。
「ああ」
ぼんやりとした返事を返した後、ジュンは怒るわけでも叫ぶわけでもな
く、ただ肯定の言葉を発した後、のっそりとパソコンのモニターの前か離
れ、部屋を出て行った。
「ジュン君に何かあったの?」
ジュンが部屋を出て行った後、開口一番に蒼星石が真紅に尋ねる。蒼星
石と違い、いつもジュンにつかず離れずな真紅なら何か知ってるだろうと
思ったからだ。今必要なのは、正確な答えであり、ツンデレ姉のツンデレ
フィルター越しの答えではない。
「…………そうね──」
そこで言葉を区切り、本から視線を上げしばし考えた後に。
「下僕としての心構えができたのではないかしら」
と、興味なさげに再び本に視線を戻す。
「おーほっほっほっほっ、ついにちび人間もあたしの魅力にめろめろにな
ったですわ!」
口元に手を当て高笑いする翠星石を尻目に雛苺がつぶやく。
「ジュン、なんか変」
「では、第一回桜田ジュン対策会議を行いたいと思います」
その後のジュンは、そのまま変だった。
二、三日は「下僕としての心構えができたのではないかしら」と楽観し
ていた真紅であったが、傍若無人に紅茶を要求しても、雛苺がジュンの体
に何度目かわからないフリークライミングをしかけても、翠星石が鞄で高
速移動し、窓ガラスを半分割りジュンを緩衝材代わりにして部屋に飛び込
んできても、蒼星石が半分残った窓ガラスとジュンに追い討ちをかけても
、ジュンは怒りもせず、雛苺を頭に据えたまま淡々と窓ガラスの破片を集
め、言う通りに紅茶をだした。無言のまま。
ここに至り、流石におかしい、キモッ、変だ、と思い始めた彼女たちは
、ジュンが寝ている早朝にこうして会議を開いたのだったが。
「何故ジュン君があんなそつなく、素っ気無い態度を取ってるか、わかる
人いますか?」
「はーい! ちびちび苺がベタベタとちび人間にまとわりつくから、ちび
人間が怒ってるんだと思いマース!」
「雛のせいじゃないもん! 翠星石がいつも、寝る前にご本を読んで貰っ
てるのがいけないの! 翠星石のワガママにジュン、怒ってるの!」
「な! なななな、なんでそれを知ってやがるんですか!」
「落ち着きなよ、翠星石」
「蒼星石はどっちの味方をするですか!」
「え」
「そうですよね、鞄で飛べば済むのに、姉に内緒で雨の中ジュンと相合傘
で、イチャイチャするような妹が姉を味方する訳ないですね!」
「見てたの!」
「蒼星石、前に「ジュン君にはお茶をいれる訓練がひつよーだ」ってジュ
ンに無理矢理、練習させてたの」
「いやそれは、ジュン君にお茶の心を解かって欲しかったから」
「あなたたちいい加減にしなさい」
「うるさいです! だいたい真紅が一番ジュンに甘えていやがるじゃないで
すか!」
会議は踊る。開始五分で紛糾し議題がいつの間にか、誰がどれだけジ
ュンに構ったかを暴露する会議となった。