此処はベランダ。
僕はデッキチェアに座って星を見ていた。
膝の上には雛苺が一緒。
どうやら昼寝のし過ぎで眠れないらしい。
「ほら、あれが白鳥座のデネブ、あっちが鷲座のアルタイルだ」
「綺麗なの〜」
「で、あそこにある琴座のベガとで三角形ができるだろう」
「あ――ッ、本当だ! ジュンは物知り博士なの!」
夏とはいえ、夜のベランダは風が吹いていて涼しい。
雛苺のヤツも適当に星を見てはしゃいでいるだけだから、始末に困らない。
それに、無邪気に星を見ている様は何となく、可愛くもある。
(ああ、可愛いな。うん……可愛いぞ。そうだ――可愛いんだ)
可愛い……確かにそうだよな。ああそうさ、可愛いんだよ。可愛い……可愛い。
――――――マズイ!
僕の内面で、何か悪しきものが自己主張を始めた。
可愛いなら犯らねば、と。
犯るなら犯らねば、と。
そして、その感情は急速に肥大する余り、もう外界に噴出されていた。
「なあ、チビ」
「? なあに? ジュン?」
「あの空に浮かぶ天の川あるだろ?」
「うー?」
「あれって、死んだ精子の魂なんだ」
「それは知らなかったの〜」
馬鹿が引っ掛かりました。
僕は、もっともらしくなくもない話を捏造する。
「この空の星々はみんな人や動物の魂が天に昇った姿なんだ……だけど、天の川は皆が
流し続けた精子の魂。無為なオナニーや夢精で散った、多くの精子達の魂なんだよ」
「せーし、可哀相なの……」
「ああ……でもオナニーを控えても、定期的に出さなきゃマズイし、夢精も起きる」
クッ、と僕は辛そうな顔をして俯いてみせる。
雛苺は悲しそうな、泣きそうな顔でこう僕に聞いてきた。
「ねえジュン……ヒナはせーしに生きててほしいのよ」
「それは……無理だ」
「何でダメなの? どうして!?」
僕は雛苺の言葉を冷たく返す。
愕然として、更に僕に問い詰めるヤツに、僕は殊更哀しそうにいってやった。
「精子は、長く生きられないんだよ……」
「そんな……可哀相なのよ」
「だけど、精子と笑顔でお別れをする方法が……一つだけある」
「!? どうするの!!? どうすればせーしと笑顔でお別れできるの!??」
「それはね……」
僕は手を伸ばし、ドロワース越しに雛苺のヴァギナを撫でる。
「この……女の子の部分に、精子を入れてあげれば良いんだよ」
「うゆ……?? ヒナの中にせーしを入れてあげるの?」
僕は雛苺を後ろから抱き締め、耳元で囁く。
「精子は子供になる前の状態、だからお母さんのお腹に入れてあげるんだ」
「こどもの前のじょうたい?」
「そう……アリスになる前のお前らみたいなものだよ」
「ヒナと、一緒なの?」
「精子は母の中に息づくもの……だから母の中で消えるなら、それは本望なんだ」
雛苺は少しむつかしい顔をして暫く何かを考え、不意に僕の顔を見た。
哀しげな瞳に一瞬、僕の心が吸い込まれそうになる。
「……ジュンも、せーしを出すの」
僕はワザと嘆息し、雛苺をきつく抱いた。
馬鹿な話しだが、雰囲気づくりも大切である。
「そうさ! 僕だって今日、精子をださなきゃいけないんだ!!!」
僕は目頭を押さえた。
「なら……いいのよ」
いいのよ。
そう雛苺は言った。
「ヒナが全部受け止めてあげるの」
あれほど哀しそうだった表情は鳴りを潜め、
代わりにあるのは満面の笑み。
「ヒナが、ジュンのせーしをぜーんぶ受け止めてあげるのよ!」
マジですか!!?
ホントにこうくるバカが居たとは!!?
「だから、せーしと笑顔でおわかれするのよ……」
バカだけど、笑顔は天使だった。
僕は、小さなドレスのリボンをそっと解き、優しく脱がせてやる。
雛苺はちょっと恥ずかしそうだったけど、まんざらでもなさそうだ。
「最初は痛いかもしれないケド、我慢できるか?」
「大丈夫よ……せーしとキチンとお別れするんだもん、我慢できるわ」
何だか今になって罪悪感も沸いてきましたが、潤滑剤になればと思います。
でも真紅らにバレたら怖い、火遊びもほどほどに。
絶対に続かない。
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すいませんでした、OK牧場の決闘聴いてたらこんなのできてしまいました。
「明日も発情期、明後日も。」の方はまだ書けていないのに、です。
因みに、フランキー・レインに罪はありませんのであしからず。 ('A`)