近頃、蒼星石が変なのです。 
窓の外を見ながらぼーっとしているかと思ったら急に険しい顔になったり、ひどく悲しそうな瞳をしたり。 
ちょっと前の真紅みたいに、トランクに閉じこもってしまう日もあるです。 
「どうしたですかぁ蒼星石?」 
「……え?何でもないよ」 
いつも、こうやってそそくさと私を避けやがります。 
真紅もチビ苺も、チビ人間すら、蒼星石が何か思い詰めてるってとっくにお見通しだってのに。 
「たまにはお姉さんに頼ってみろですぅ!」 
私ともあろうものがガキっちぃことを…と思いながら頬を膨らませて、また窓の遠くに瞳をやった蒼星石に抱きついた。 
「こうして私のところに来てるってことは、何か言いたいことがあるんじゃないですか?」 
「翠星石に頼ってどうにかなることじゃないよ」 
穏やかな妹には似合わない、突き放すような言いぐさ。 
めちゃくちゃ悔しくて、ムカムカした。 
「決めつけるなですぅ!」 
「大体お前はちょっと頭がいいからって、独りよがりになってんじゃねーです!」 
ようやく私に振り向いた。 
「何があったか知らないですが、一人でウジウジしてんじゃねぇです!みんな蒼星石のこと心配してるですよ! 
私だって……蒼星石を放っとけるわけないです」 
蒼星石が、私を心配するような瞳で見ていた。ちくしょう、これじゃかえってお姉さんらしくないですぅ…。 
「ごめんね、翠星石」 
「謝るぐらいなら、最初から素直に何でも話してみるです」 
「じゃあ、翠星石」 
私を引き離して、窓を背に向き直った。 

「ジュン君と僕、どっちの方が好き?」 

「な…何ほざいてるですぅ!」 
「翠星石がジュン君を想ってることぐらい、知ってるよ。それに僕、見てしまったんだ」 
こ、この妹……。 
「真夜中に、寝ているジュン君にキスしてたのを」 

「あ、あれは!」 
どう言い訳すればいいですか……。 
「チビ人間のアホ面に落書きでもしてやろうと思ったら、うっかりつまづいて」 
じぃ、っと私を見つめてきやがります。 
本当にそうなの?と言わんばかりの真っすぐな瞳が。 
私と同じ顔なだけに、鏡が迫ってくるようなプレッシャーですぅ…。 
「そ、それがどうしたです!」 
「ジュン君が愛しいから、あんなことしたんじゃないの?」 
「そんなの……ちゃんちゃらおかしくてへそで茶が沸かせる、ですぅ……」 
いつの間にか、本気でこの妹にたじろいでいた。 
「じゃあ、ジュン君だからしたわけじゃないんだね?」 
「あったり前ですぅ!」 
「だったら、僕にもキスできる?」 

(かなりマイペースに)続きます。 

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やっぱり蒼星石、おかしいです…。言ってることが強引な気がするです…。 

って何尻込んでるですか私!! 
チビ人間とだってへっちゃらだったじゃねぇですか!胸の中で何か激しく鳴ってたり、ジュンのほっぺに触る手から塩水が滲んでたりしたけど! 

「翠星石?」 
うぅ、相変わらず私の反応を伺ってやがります…。あの(姉バカかもですが)利発で愛くるしいけど、腹の底では何考えてんだかわかったもんじゃねぇような微笑みで……。 
「翠星石を見くびるなですぅ!ちゅ、ちゅーぐらいいくらでもしてやるです!」 
蒼星石の肩を勢いよくつかんで、顔を近づけた。 
ポカンとしている蒼星石と、しばらく見つめあった。 
「い、いくですよ!」 
蒼星石はこくんと頷いて、瞳を閉じた。 
瞼がぴくぴくって、震えてる。 

か、かわいいですぅ………。 

って、こんなんじゃイカンです!まったく妹相手にデレデレして! 
「…いーくでーすよー…」 
待ちかまえていたような蒼星石の柔らかいほっぺが、くちびるが、触れた。 
またです。胸の中でどでかいタイコがたくさん鳴って、いしきが、くちびるだけになる。 
合わさったくちびるを、剥がしたくなくなるです。 

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……そろそろ息苦しいですぅ…。 
一体何分間ちゅーしてんですか私…。 
離す時、キュポッて音がしそうなぐらい蒼星石のくちびるに吸いついてたんだって気づいた。 
「どーだこれで満足かぁ?ですぅ。こんなの、ちっともへるもんじゃないですよぉ〜」 
だったらどうして、蒼星石の顔をまともに見れないですか? 
「そうなんだ。 
……今度は僕がいただくよ」 
「へ?」 
蒼星石の繊細な指が私の喉元から顎へ、滑る。 
猫みたいな気分になるけど、とてもじゃれられる空気じゃないです。 
鏡合わせの鋭い瞳が、何もかも映し出そうとするみたいに私を捕らえるから。 

「…………んっ…んむぅ………!」 
生暖かい粘膜が押し当てられ、その隙間からぬらぬらした感触が入り込む。 
私の中の硬いところも脆いところも、それに絡め捕られる。 
甘い水音が、頭に染みわたる。 
「……ぷはっ………っ!?」 

「苦しかった?」 
………………………………。 
「んなもん……見てわかれ、ですぅ………」 
クラクラした。 

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「翠星石………」 
まだ少し焦点の定まらない視界に、蒼星石が覆い被さった。 
そのまま抱きすくめられて、二人で倒れこむ。 
「そう、せい、せき……?」 
このシチュエーションは、何か気まずいです……。 
「君がジュン君にされたいこと、してあげようか?」 
「わ、私がチビ人間に何を求めてるっつーんですか!」 
正直、わからなかった。 
キスをして、「おとことおんなのいとなみ」ってヤツをすれば、本当にジュンとひとつになれるのかも。 
ジュンと真紅のつながりが「特別」なのは、とっくにわかってます。 
だから、一方的でも、一瞬でも、叶えたかったんですか? 

「答えてよ、翠星石。」 
蒼星石が私のドレスのボタンに手をかけた。 
一個ずつ、丁寧にはずしていく。 
「な、なにを……」 
肩があらわになって、レースのスリップの中に蒼星石の手が滑りこんできた。 
「んっ!」 
つかむ…って程どうせ無ぇですけど、翠星石のムネに蒼星石の指がめりこんでます。 

「…本当は、……なんて関係ないんだけどね」 
ぐにゃぐにゃとめりこむ蒼星石の指がくすぐったくて、ゾクゾクして、よく聞き取れなかった。 

耳に、蒼星石の熱い息を感じた。 
柔らかいくちびるが、耳のふちにとまった。 
そして、ぬらっとした感触が這う。 
「……やっ……」 
蒼星石は私の反応を無視してやがるのか、耳の内側をいやらしく舐めながらムネをこね回します。 
指が、ムネの敏感なところに触れた。 
「っ!」 
思わず体がこわばった。 
蒼星石は、不思議な虫でも捕まえるみたいにそれをそうっとつまんだ。 
「…ふ……っ…」 
さらに、指先でくすぐる。 
さっきまで耳をとろかしていた甘いくちびるが、私のムネの先っぽをついばんだ。 
「はぁ……っ………」 
慈しむように、貪るように。 

そんないたずらが繰り返されるうちに、翠星石のそれはコリコリと硬くなってきたですぅ……。 
しかも、その………………ふとももの間も……何か、ジクジクした感じが………。 

「ひゃっ…!?そ、そっちは………!」 
見透かしたように、蒼星石の片手が翠星石のドロワーズをずり下げていく。 

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