真紅ものが最近少ないので投下してみます。 

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全てのドールズはそろってしまった。金糸雀と薔薇水晶の目覚めはアリスゲームの始まりを意味していた。賽は投げられたのである。 
残る一体まで戦い続けローザミスティカを奪い合うこの非常なゲームはドールズ達にとって避けられぬ運命だった。そのために彼女達は存在しているのだから。一切の汚れ無き少女アリスになるため、愛しき造り主に会うために・・・。 

暑い日差しが照りつけるまさに真夏の日。ジュンはいつものように図書館で数式を相手にしていた。もう終わりにさしかかっていた夏休みの宿題。しかしジュンは一向にシャーペンを動かそうとはしなかった。窓をみつめてはため息を繰り返すばかりである。 

「・・・もう帰ろう」 

いつもならまだ帰るには早い時間だったがもうこれ以上進めることはできないと判断したジュンはいそいそと帰路についた。 
ずっと頭から離れない、あの真紅の一言が。 

「全てのドールズがそろってしまった。・・・アリスゲームがはじまる。」 

その一言はジュンの頭にまるでもやがかかるように離れなかった。何をしていても気になって仕方なかった。あの『アリスゲーム』が。全てのドールズが自らのローザミスティカをかけて戦う。最後の一体となるまで。 

(そんなひどい事ってあるかよ・・・。) 

ジュンは下唇を噛み締め心の奥底で嘆いた。確かにローゼンメイデンにとってそれは運命だとも宿命とも言えるのかもしれない。だからといってあのなかむつまじい姉妹たちを(一部はそうとも言えないが)争わせる創造主の意図をジュンは理解できなかった。 

(・・・・・くそ!) 

ジュンは頭をかきむしると夕日にかわろうとしている太陽をみつめながら自宅へと戻った。 

「ただいま。・・・・あれ?」 

いつもなら雛苺や翠星石らが出迎えてくれるものだが玄関は静まり返っていた。玄関だけでなくリビングにもだれもいない。桜田家は空き家のような静寂がただよっていた。 

「なんだよ、誰もいないのか。珍しいな。」 

とりあえず喉の渇きを潤そうと台所までやってきたジュンは申し訳なさそうにおいてあるテーブルの上のメモを見つけた。 

『ジュン君へ おねえちゃんは今日お友達の家に泊まりに行ってきます。雛ちゃんも巴ちゃんの家で泊まりますからお夕飯はシチューを作っておいたのでそれを食べてね。行ってきます。』 

ジュンはメモを読み上げると冷蔵庫からだしたお茶をコップいっぱい一気に飲み干した。 

「あら、おかえりなさい」 
部屋に戻ると真紅がいつものようにベッドの上で本を読んでいた。 

「なんだ、おまえはいたのか」 
「当たり前でしょ。私が巴の家にいく理由はないのだから」 

メモには雛苺とだけ書かれていたので真紅が残っていることは予想できたがジュンは真紅の姿を確認でき何故か軽い安堵を感じていた。 

「なぁ」 
「何?」 
「あいつ大丈夫なのか?柏葉の家に泊まりになんかいって」 

ジュンは椅子に座るなりそう真紅に質問した。以前にマスターを失った雛苺がまだ動けるのは真紅の力(厳密に言えばジュンの力だが)をわけ与えていたためでそれが理由で真紅から離れられないことをジュンは真紅から聞いていのだ。 

「大丈夫よ。一日ぐらい自由に動ける程の力はストックさせといたから」 
「おまえ勝手にそんなことを・・・。もとは僕の力なのに。・・・・まぁいいか。でもまたなんで急に雛苺は柏葉の家に泊まりになんかいったんだよ?」 

本をめくっていた真紅の手が止まる。そして短い間をおきこう答えた。 

「淋しく・・・なったのでしょ。それと最後のお別れに」 

ジュンは目を見開いた。 

「・・・最後ってなんだよ」 

ジュンは少し俯き尋ねる。真紅は本を閉じ答えた。 

「もうすぐ本当のアリスゲームがはじまる。だから巴のところにいったのだわ。あの子はもうアリスにはなれないから・・・」 
「だからってどうして最後なるんだよ?」 
「アリスになれないということはローゼンメイデンとしての存在意義がなくなる。あの子はいずれローザミスティカを誰かに捧がなければならない。・・・・だから最後なのだわ」 
「そんなことって!!」 

ジュンは椅子から立ち上がり叫んだ。あのローゼンメイデンいち無邪気で無垢な雛苺が消えるなんてジュンは認めたくなかった。いや、雛苺だけではない。真紅も含めた全てのローゼンメイデンが命を奪いあうなんてことジュンは想像もしたくなかった。 

「しかたないのだわ。雛苺もそのことをよくわかっている。あの子は成長した。おそらく巴にも別れなど告げずに笑顔でいるはずだわ・・・・」 
「そんな・・・。」 

ジュンは奥歯を噛み締めた。しばしの沈黙のあと重々しくジュンは再び尋ねはじめる。 

「じゃあ雛苺だけじゃなく他のやつらも消えてしまうのか」 
「アリスになれなかったらそうなるわね」 
「翠星石や、蒼星石もか」「そうね・・・」 
「なら・・・・アリスになれなかったら・・・おまえも消えるのか」 
「・・・・」 

真紅は無言で頷いた。 

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なんだか暗いな。おもしろくなかったらやめます。個人的にベタですが真紅が好きです。晒し首氏の蒼かわいすぎて好きです。 

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真紅が消える。もしそうなったら自分はどうなるだろう。ジュンは真紅が頷いたのをみてなぜか冷静になっていた。今は当たり前に桜田家にたたずんでいる真紅。ときどき驚くほど可憐な少女の一面にときめきを覚えたりもした。 
自分は真紅のことをどう思っているだろう。雛苺や翠星石、蒼星石は今となったら素直に大切に思える。どうしようもない自分が立ち直ったのは間違いなくあの人形達のおかげなのだから。そして真紅も。ただ真紅はただ大切には思えなかった。 
この気持ちはなんだろう。わからない。ただこれだけは言える。真紅は・・・・『大切』だ。 

「・・・なんでだよ」 
「え?」 
「なんでそんなに冷静なんだよ!!!」 

そしてジュンは激昂した。真紅が消えるのを是が非でも否定したかった。 

「おまえはそれでいいのかよ!?アリスになれなかったらローゼンメイデンの存在意義がなくなる、だから消えるなんて、そんなこと本当に思っているのか!!」 
「仕方ないのだわ。それが運命だもの・・・。」 
「運命だなんてそんな簡単なことばで片付けるな!」「・・・・」 

あまりのジュンの激昂に真紅はたじろいだ。必死に自分達ローゼンメイデンの運命に抗おうとしているジュンをみて真紅は胸が熱く、そして痛くなるのを感じた。が、何も言い返せない。真紅は何もいわずうつむくことしかできなかった。 

「とにかく僕は・・・・絶対に、絶対に認めないからな!!!」 
「ジュン!」 

ジュンはできるかぎりの力で拒絶すると部屋を飛び出した。 

あとに残された真紅は立ち尽くし窓の外をふと眺めた。差し込む夕日が真紅の顔を悲しく照らしていた。 

(なんでだよ・・・) 

ジュンは公園のベンチに一人たたずんでいた。もうすでに日は暮れ辺りには誰もいない。虫の鳴く声だけが静寂を破っていた。 

「あ!ジュンなの〜!!」 

とっさに顔を上げるジュン。前方の電灯の下の一つの人影。よくみるとそれは巴と巴に抱っこされてた雛苺だった。 

「こんばんわ」 
「よ、よぅ。どうしたんだよ。こんな時間に」 
「雛苺が公園に行きたいって言ったのだけどさすがに昼間じゃ目立つでしょ。だから人気がなくなった今の時間って約束したから]] 
「そうだったのか」 
「巴はやさしいの〜!大好きなの〜!!」 

雛苺はそういうと巴に頬摺りする。 

「くすぐったいよ雛苺」 

巴もほほ笑みながら雛苺の頭を撫でた。そんな二人の光景をみてジュンはやさしくほほ笑んだ。心底微笑ましく思ったのだ。 

「ジュンは何してるの?」 
「え・・・」 

唐突に質問されてジュンはたじろいだ。その様子をみてか雛苺は巴から下りジュンのそばへやってきた。 

「あ〜!!また真紅とケンカしたのね!ケンカはメ〜なのよ!仲良くしなきゃダメなのよ!」 
「う・・・」 

雛苺の無垢な心はときとしていきなり相手の核心をついてくる。それも無邪気に。それが雛苺の良さだということをジュンは知っていたのだがさすがに今この状況でその無邪気さに狼狽してしまうのも仕方なかった。 
「仲良くしないとメ〜なのよ。真紅はジュンのことだ〜い好きなんだからジュンはやさしくしないといけないのよ〜!」 
「えっと・・・」 
「ふふ・・」 

雛苺のお説教に何も言い返せないジュンをやさしくみかねた巴は雛苺に尋ねた。 

「雛苺も桜田君が大好きなのよね?」 
「うん!!ヒナもジュンが大好き!!」 
「お、おい・・・」 

少し顔が赤くなったジュンに気付かず雛苺は天使のような笑顔でジュンの膝へと飛び付いてきた。そして一垢の汚れのない瞳と声でジュンに語り続ける。 

「だからヒナはジュンやみんなとず〜っと一緒にいるの!!たとえヒナが動かなくなってもジュンと一緒にいるの〜!ね〜ジュン!」 
「!!」 

その時ジュンの脳裏に真紅のことばが甦った。 

(雛苺もそのことをよくわかっている) 

そして膝で戯れる雛苺の髪に一滴一滴雫がこぼれ落ちはじめた。 

「うゆ?」 

雛苺が見上げるとジュンが涙を流しながら雛苺を見つめていた。 

「ジュンどこか痛いの!?お腹痛いの!?えっと・・・・痛いの痛いのとんでけーなの!痛いのとんでけーなの!・・きゃ!!」 

次の瞬間ジュンは雛苺を強く抱き締めていた。体が勝手に動いた。そうせざるをえなかった。ジュンにはそれしか雛苺にできなかった。 

「ジュ、ジュン?」 
「・・・・どう、して・・・・・どうして!!」 

ジュンの嗚咽まじりの声の意味を雛苺はわかっているのかジュンの頭をその小さい手でよしよしと撫でた。 

「大丈夫なのよ。ヒナはずっとずっとジュンと一緒なのよ。さびしくないのよ」 
「・・ひな・・いちご・・・・」 

ジュンは雛苺を正面へと向き直す。 

「だってジュンはヒナをこんなにも大切にしてくれるんだもの。ヒナはさびしくないのよ。ヒナは、幸せなのよ」 

運命を受け入れている雛苺。ジュンは何もできない自分が憎くてしかたなかった。どれほど自分がこの無邪気さで明るくなれたか。そのことを言おうと思っても涙と嗚咽でしゃべれない。 
雛苺はそれらすべてをわかっていたかのようにそのあとずっとジュンが鳴き止むまでジュンの頭をよしよしと撫で続けた。 

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あれ?雛苺がこんなおいしい役になってる・・・。えっと一応言っときますがこれはジュン×雛苺ではなくジュン×真紅です。このあとどうなるやら・・・。とりあえず頑張って駄文仕上げたいと思います。 

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