書いてみたんで投下するよ。
ジュン×水銀燈です。
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ジュンはパソコンと睨みながら、次は何を買おうか?と思案している。
あの人形たちがジュンの家に居ついてから、色んなことが変わった。
姉には以前よりも優しく接することができるようになった。
幼馴染のトモエは雛苺の様子を見に、よく家に上がるようになった。
何より、ジュン自身が変わった。
趣味と公言していたネット通販に、あまり興味がわかなくなったのがその最たるものだ。
それにもかかわらず、未だに通販サイトを見て回っているのは、単なる惰性なのだろう。
「どれもパッとしないな…」
『金の成る木』と称して売られている苗は、馬鹿げた値段設定のわりに茎が細く、今にも折れそうだ。
翠星石の力で見ることができた心の木。
それが重なって見えて、ジュンは苦々しくそのサイトを閉じた。
その後も色々とサイトを見て回ったが、ジュンはどれにも興味が持てなかった。
いや、一つだけ、面白いことが書かれたサイトがあった。
そのサイトは「魔法」がメインの商品らしい。「魔法使いが云々…」とか胡散臭いことが色々書かれてある。
何でも「魔法には黒魔法と白魔法がある」らしい。
「この世は黒魔法の甘く危険な誘惑」に満ちており「無意識の内にその影響を受けている」、「白魔法の力によってそれを相殺」できるとか。
「『白の波動』を籠めた水晶によって、降りかかる不幸を未然に防ぐ」というフレーズで売られている石は、安っぽいガラス玉にしか見えない。
テキストの内容にヒネリは無く、また商品も凡庸なそのサイトをジュンは閉じようとして、しかし止めた。
スクロール最下部に「もし黒魔法使いに遭遇してしまったら」というリンクが張られていることに気づいたからだ。
なんとなく気になったジュンは、そこをクリックした。
新たなウィンドウに「魔法使いと遭遇した時の対処法」が一から順に記されている。
事細かに書かれた内容を流し読みする。
曰く「魔法を使うには、極度の集中力と魔術式(呪文)を唱える必要があり、対象を何らかの形で補足しなければならない」らしく、弱点はそこにあるという。
ジュンは「弱点を突くための方法」を読もうと、下にスクロールしようとした。その時、異変が起こった。
突如、ディスプレイがブラック・アウトした。
ジュンは配線の接触不良の可能性を考え、しかしすぐに改めた。
配線が切れただけなら、ディスプレイが風船のように膨らんだりはしない。
尋常なら、ただの液晶画面から真っ黒な羽がふわりふわりと落ちてくるはずがない。
尋常ならざる事態が起きようとしている。以前同じようなことがあったのを、ジュンは思い出した。
ディスプレイから吹き出す黒い羽毛の風をやり過ごすと。
案の定、黒とは正反対な、生命感とは程遠い、真っ白い小さな左手がディスプレイから出てきた。
水銀燈の手だ。
前回の襲撃をなぞるような襲撃。
違いがあったとするなら、それはジュンの精神状態だろう。
(どうしてコイツ等は…)
二度目だ。初期の混乱から逸早く脱したジュンは先手を取った。文字通り、突き出した水銀燈の左手首を左手で掴んだのである。
「人の邪魔ばっかりするんだ?」
ぼそりと呟いて、水銀燈をディスプレイから引きずりだした。
「っ!人間っ!」
水銀燈は慌てて手を振りほどこうとするが、引きずり出されたときの勢いが止まらずそのままジュンの胸に背中を預ける形となった。
その時ジュンは水銀燈の肘を、後手に極めた。
まぁ、「極めた」といっても素人が見様見真似でできる範囲だが、その効果は絶大だ。そのまま水銀燈の右手も絡めとる。
「離しなさい人間!」
「嫌だね。お前の眼は、力を吸い取る。そんなのは御免だ」
真紅と水銀燈の第一戦の際、ジュンは水銀燈に力を吸い取られたことがある。
足の先から急激に力を抜き取られる、死んだように冷たくなって動かなくなるあのおぞましい感覚は、二度と経験したくない。
ふと、水銀燈から抵抗が消えた。
「もう一度言うわよぅ?人間。その手を離しなさぁい」
憎たらしい程に高圧的な物言い。この状況下でも余裕たっぷりに言い放つことに違和感を覚えたが
「嫌だ」
ジュンは即答した。その時。
カクンとジュンの膝から力が抜けた。
「っ!?なんだ?」
「フフっ。お馬鹿さんねぇあなた。別に眼で見なくたって力は奪えるのよぅ。ちょっと念じればねぇ。
ホント、とってもとってもお馬鹿さぁん」
こちらを流し見る水銀燈の嘲笑にジュンは戦慄した。水銀燈を抱え込んだまま、尻餅をつく。
足の先には既に感覚はなく、膝が猛烈に寒い。熱量が、力が、奪われていく。
真紅に力を与える時とは明らかに異なる感覚。
一言でいうなら、略奪。
このまま放っておけば、何もかも吸い尽くされて干乾びてしまうのではないか。
冗談じゃない。こんな所で終わってたまるか。まだ自分は何も成していない。人形共が家にやってきて。ブーさんに殺されかけて。それでも生きたくて。
なんだかんだで、今の生活が楽しくなってきて。学校にも未練があって。まだ梅岡をぶん殴ってすらいないのに。
状況を打開するために頭を回転させるジュン。
水銀燈を開放する…有り得ない。そんなことしたらますます状況が悪化する。開放したところで、助かる保障はどこにもない。
さっきのサイト…魔法使いの弱点は…
際限なく吸い取られていく感触は、既に膝を通り越して太腿にまで這い登りつつある。
考えている時間は、もうない。
その時ジュンに天啓がひらめいた。
「?何をする気?」
水銀燈の両腕を束ねて、左手で掴む。驚くほど細い腕は片手でもどうにか拘束することができた。
自由になったジュンの右手。
ジュンはそれを、躊躇うことなく水銀燈の体に這わせた。
「ひゃっ!な、何をす…プッ!あは、あははははは!」
水銀燈の動揺した声は、突如として笑い声に変わった。
ジュンが脇をくすぐっているのである。
ジュンがひらめいたのは、正しくこれだった。
魔法使いを集中させない。この密着状態の中でこれ程的確な行動はないだろう。
無防備な腋に、5本の指をはしらせる。
「いひっ!ちょっ、やめ、ひゃははははは!」
人差し指でツンツンと突く。
「ふぁっ!くひぃ!んうっ!」
他人が見たら、なんと言うだろうか。少女と少年の戯れとでも言うのだろうか。
ただ、ジュンは命が掛かっている。
だから、必死だ。
必死で、水銀燈を笑わせる。
この魔女に、集中させてしまうような隙を、与えまいとして。
「ぅんっ!んんんんん〜」
腰骨から腋下をなぞり上げるように指を滑らすが、水銀燈は口を噤んで笑い声をかみ殺そうとする。
生命感が感じられないほど不自然に白かったその肌は顔を中心に赤く染まっている。白いロングヘアーは振り乱れ、覗く耳は真っ赤だ。
他のドールよりも大人びた水銀燈の、笑いを堪えるその姿 表情はどことなく淫靡で、見る物の劣情を誘いかねない。ジュンには見えていないが。
ジュンはジュンで焦っている。水銀燈が笑い声を上げないことが、何か行動を起こそうとしているように見えて不安になる。
さらに笑わせるには腋の刺激だけでは足りないらしい。
水銀燈のドレスは彼女のイメージにピタリとはまる、黒。
背面は、漆黒の翼を背中に生やすために大きく切れ込み、無防備に素肌を晒している。
ジュンは切れ込みからうなじにかけて、触れるか触れないかの絶妙な加減で指を滑らした。
「ひぃあ!あうううううううう!」
その瞬間。
水銀燈のなかで、何かが変わった。
くすぐられ続けて、体中が敏感になっていた。
その最中に背中をなぞられて、水銀燈はいままで一度も感じたことのない感覚が産声をあげたのを感じた。
蒼星石のローザミスティカを取り込んだ時とはまるで別物の、体の奥からこみ上げてくる疼き。
それが「快楽」であることを、水銀燈は知らない。
ジュンは驚いた。
先程までの笑い声とは明らかに声色の違う水銀燈の悲鳴。
訳がわからなかった。
ここまでのジュンの行動には、僅かな誤算があったのだ。
それがどういう意味を持つのか、どういう効果をもたらすのかを、ジュンは知らなかった。
拘束して、くすぐる。
それ即ち。比較的万人向けの、SMである。
拘束についてはいまさら説明の必要もないだろう。
くすぐりは実に効果的な拷問の手段であり、また本人の意思とは無関係に心身を興奮させ、さらに体中の触覚を鋭敏にさせる。
快楽に何の免疫もない水銀燈は、まさにその直撃をうけたのである。
くすぐりから逃れようと暴れていた体はビクンビクンという痙攣に、その動きを変えている。
汗ばんだ背中は反り返り、覗き込んだその顔には苦痛と笑みとが混ざり合ったような表情が浮かび、紅潮している。
指がうなじまでをなぞりきると悲鳴は止み、糸が切れた操り人形のように体が前方に折れた。
後手で支えられた水銀燈。その背中のラインは荒い吐息と共に上下している。
「はァー、はァー、はァー」
語尾が半音高くなったような吐息は、もはや笑みを含んでいないであろうことはジュンにも理解できた。
ジュンの心臓は痛いくらいに高鳴りだした。
ジュンのなかで、雄の部分が目を覚まし、性的好奇心という形を持って顕現する。
彼女はどこまでいけるだろうか?自分はどこまでいけるんだろう?
そんな、訳のわからない疑問。
眼の前に晒される白い背中に答えを求めて、再度指を伸ばした。
「はぁっ!」
軽くつついただけで、水銀燈の背中は反り返る。
背中をやり過ごし、腋へと指を滑らせ、なぞり上げる。
「んんっ!あふぅ…ふああっ!」
腋の下まで滑らせた指を、喉へと滑らせて顎をくいっと上げさせる。
水銀灯の顔を上から覗き込む。真っ赤に上気した顔に真っ赤な瞳。半開きの口からは熱く切ない喘ぎを洩らす。
目尻に涙を溜めて水銀燈はジュンに哀願した。
「もう…だめぇ…」
漏れ出た言葉は、「もうやめて」という否定のニュアンスよりも
「これ以上されたら、オカシクなっちゃう」という快楽を肯定するようなニュアンスが多分に含まれていた。
少なくともジュンは、そう解釈した。
顎に添えていた手を後頭部に回し、軽く押してやる。
既に全身が弛緩している水銀燈はされるがままだ。右手で丁寧に白いロングヘアーを掻き分けると、ジュンの眼の前には真っ白なうなじが晒された。
髪を撫でつけながらうなじを観賞するジュン。水銀燈は髪への愛撫すらも敏感に感じ取ってしまい、フルフルと体を震わせた。
小さく震えるうなじを食い入るように見つめ、徐々に顔を近づける。
そして。
そのまま。
くちづけた。
「あっ!はあぁぁぁー!」
悲鳴。うなじに掛かる吐息やらジュンの唇の熱やらが、快楽といっしょくたになって水銀燈を襲う。
ジュンは夢中になって唇を押し付けた。それだけでは飽き足らず、強く吸い付き、嘗め回し、軽く噛み付いたりもする。
ジュンの行動が水銀燈をさらに高みへと登らせる。
「んっ、んっ、んぁっ!……ああーっ!」
一際高い鳴き声を上げ、水銀燈は、達した。
ジュンが水銀燈から唇を離したとき、水銀燈はただただ荒く息を吐くだけでピクリとも反応しなかった。
どうやら気絶したらしいとわかると、ジュンは水銀灯を開放しようとして、しかし動きを止めた。
自分が先程までしゃぶりついていた場所に、痣ができているのを発見したのだ。僅かに歯型らしきものも確認できた。
俗に言うキスマークというやつだ。
水銀燈の真っ白な肌にできたそれは、雪原に咲く華やかな薔薇であり、また、無垢の心に突き刺さった欲望の爪痕だ。
その赤に、ジュンの下半身がビクリと反応した。
いつの間にかジュンのペニスはいきり立ち、激しく自己主張をしていた。
このままでは、終われない。
水銀燈を拘束していた左手を解き、折れそうなほどに細い腰に腕を回した。
そして、自分の股間、硬く隆起しズボンを突き上げているモノに、彼女の小ぶりな尻を押し付けた。
腹部の圧迫は、飛んでいた水銀燈の意識を現実に引き戻した。
彼女は自分の身の上に何が起きたのか、全く理解できていなかった。
何故か息が荒く。何故か頭が呆っとし。何故か体に力が入らず。何故か体は上下に揺れている。
自分の体を見下ろすと、腹には何者かの手が回されていた。
しかし、この「揺れ」の原因はこの手ではない。自分が座っている場所。そこが揺れている。
そこまで理解が及んだとき。水銀燈の混沌とした脳内に、鋭い快楽が流れ込んできた。
「くあぁっ!」
イッたばかりで敏感になっている体に打ち込まれる快楽の楔。
それに突きぬかれながら、水銀燈は後ろを流し見た。そこには興奮に顔を紅潮させたジュンの姿があった。
「ひっ!あっ!ちょ、人げ、あぅ!」
体をジュンに、頭の中を強すぎる快感に揺さぶられ満足に言葉も発することができない。
自分が腰を下ろしている場所では硬くて熱い何かが、敏感な場所を擦り上げては突き上げているのだ。
上下に揺さぶられる事で、快楽に蕩けている頭の中が更にシェイクされる。
わけがわからず、そしてわからないままに、水銀燈の柳腰はうねり擦り付ける様に動き出していた。
水銀燈に押し付けた部分からは蕩けるような快楽が送り込まれてくる。夢中になって擦り付ける。
「もう一生この快楽が続けばいい」とまで思えるほどに、ジュンは溺れていた。
ただ、それも限界があった。まずはジュンの体力。いつの間にやら膝には力が戻ってきていたが、基本的には吸い取られたばかりだ。
息が上がっていた。
そして何より。ジュンの体は、更なる高みを目指そうとしていた。布越しの刺激だけじゃ、全然足りない。
もっと直に、もっとヤラシク、コスリあいたい。
上がった息を整えるために、ようやくジュンは水銀燈を突き上げるのをやめた。
そしてその時に初めて気が付いた。水銀燈も腰を振っていることに。自ら積極的に動いて、甘い鳴き声を上げていることに。
「ずいぶん…えっちなんだな」
行為が始まってから初めてジュンに話しかけられて、僅かながらに水銀燈は理性を取り戻す。
そしてそれが、水銀燈に激しい羞恥をもたらす。
「いやぁ…!こ、これは、ちがうのぉ…」
「何が違うんだよ。凄くヤラシク動いてるぞ?」
「からだがぁ、ふあっ!かってに、うごいて、ぁんっ!」
顔を羞恥で真っ赤に染め上げ、必死に否定と言い訳を繰り返し、そしてクネクネと腰を擦り付ける。
何もかもが矛盾したその姿はたまらなく淫靡。
外見の幼さも相まって、強烈なギャップ。
もう一度、思いっきり突き上げてやろうかという衝動を、どうにか押さえつけて。
ジュンはドレスの裾から覗く瑞々しい太腿に手を伸ばした。
「な、何をするのぉ?!…止め あひぃ!」
水銀燈が抵抗する前に思いっきり腰を突き上げて黙らせた。
膝に手を掛ける。閉じられている股は、軽い抵抗しか示せずにジュンの手でこじ開けられていく。
ジュンは水銀燈をM字に開脚させた。
「こんな…こんなカッコウ、いゃあ!」
膝に掛けられていた両手をゆっくりと降ろしていく。繊細な指使いで内腿を愛撫することも忘れない。
「くふぅぅっ…!んあぁ」
些細な、本当に僅かな刺激が水銀灯の官能を揺さぶっていた。
左手でドレスの裾を捲り上げる。
破滅的にやらしい黒のショーツは、一目でわかるほどに濡れていた。
ゆっくりと、そこへ向かって右手の指を滑らせる。
「いやっ!そこはだめぇ!おねがい!ゆるしてぇ!」
はじめて言わせた、本気の拒絶。しかしジュンは止まらなかった。
くちゅり
そんな、音。
「ひいぃっ!ダメ、だめぇ!ぁぁぁああああ〜!」
ビクリと震える水銀燈。
ガクガクという痙攣が全身に伝わる。そして。
ぷしゅっ
そんな音とともに。
黒いショーツの、更に奥から液体があふれだした。
「うあっ!いやあぁぁぁぁっ!」
手に迸る、水銀燈の生暖かい液体。
それがズボンへと染み込み、ジュンのペニスへと伝わり。
「っ!くぁぁっ!」
ジュンは激しく射精した。
ビュクリビュクリと激しくしゃくり上げてズボンの中で暴発する。
普段一人でする処理とは段違いの倒錯的な快楽に酔いしれ、ジュンは最後の一滴まで激しく迸らせた。
完全に呂律の回らなくなった口調でうわ言のように「…らめぇ…らめぇ…」と繰り返す水銀燈。
最後にブルルッと震えてピュッと迸らせると、小水は収まった。
静まり返る室内に、二人の荒い息だけが響く。
その時。
二人の目の前の扉が、ノックも無しに開かれた。
「そろそろ寝る時間なのだわ。あら?ジュンと…す、水銀燈!?あなたなにs」
言いかけて、真紅がフリーズした。二人の痴態に思考が停止した模様。
「急に止まるなです、真紅!どうしたですかまったく!…ってなんですかこれはぁぁ!!!???」
悪態と共に真紅の後ろから登場した翠星石は、二人を見て烈火の如く怒り出した。
「ふゆ?ふたりともどうしたのー。あれ?水銀燈なのー。遊びにきたのー?」
更にその後ろから現れた雛苺はジュンと水銀燈に近寄る。
ピチャリという音が足元から聞こえ、雛苺が床に視線を落とす。
そこには水銀燈が漏らした液体が一面に広がっていた。
「わぁ!水銀燈がお漏らししてるのー!しんくー!水銀燈がお漏らししてるー!!」
突然の乱入に完全に停止していたジュンと水銀燈は、雛苺の一言で再起動した。
「……ゃ…」
「えっ?」
よく聞こえない。
「…ぃゃ…ぃや…いやいやいやぁっ!」
突然激しく暴れだす水銀燈。その顔色は先程の紅潮から一転、真っ青になっている。
呆気にとられるジュンの目の前で水銀燈の背中から翼が生える。
4対の真っ黒い翼が、部屋の狭さに関係無く広げられ。
そして、無茶苦茶に羽ばたき。
「うわああああああああああああんっ!」
窓ガラスを突き破って、水銀燈は飛び去った。
後に残されたのは、飛び散ったガラスの破片。台風一過さながらの荒れた部屋。
そして傷心乙女の恥辱の涙。
未だ石となっている真紅。
怒りに燃えて罵詈雑言を吐き続ける翠星石。
石に話しかけている雛苺。
ジュンは破られた窓から外をみる。
右手は、まだ濡れている。
匂いをかいでみる。
無臭。
ぺろりと舐めてみる。
「しょっぱいな」
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以上です。
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