秋も漸く深まりを見せた或る日の午前、桜田姉弟と柏葉巴の一行は彩り豊かな落葉と戯れていた。 
 場所は手近な山の小道。木々の質も量もそれなりで、景色が悪くも風情が無い事もない。 
 無論、紅葉の名所は全国に津々浦々、遠くない所にも知られた場所が幾つかある。 
 されど、此処を選んだのには、それなりの理由があった……。 

「ふぃ〜苦しかったです、もうボチボチ顔を出してもOKですね」 
「やっぱりリュックは駄目ね……ドレスが皺になってしまうわ」 
「トゥ、モッ、エ――ッ! 綺麗な葉っぱが一杯なのよ!」 

 理由は勿論、人形達の存在。 
 真紅、翠星石、雛苺はそれぞれジュン、のり、巴の背負ったリュックに入っている。 
 彼女等をバスや電車に乗せて遠出する勇気は、流石に無かった。 
 おまけにジュンが引き篭もりときたら、もう近場で済ます他はあるまい。 

「そうそう、今日のお弁当は秋の味覚が沢山入ってるわよぉ」 
「それは楽しみね……煎れたての紅茶が無いのは少し残念だけれど」 
「今日のお弁当は翠星石も手伝ったですよ。ジュン、有り難く食えです」 
「……ったく、何が“有り難く”だよ」 

 とは言え、人それぞれに楽しみ方は色々と有る訳であり、 
 何も、行き先の距離がどうとか有名無名とかで行楽の価値が決まりはしない。 
 リュックからひょっこり顔を出したドールズと話でもしながら歩けば、きっと楽しい筈。 

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「はあ、何で僕がワザワザこんな処に来てんだろ……」 
 と、溜息混じりに呟くジュンだが、決して嫌がってはいない。 
 ジュンはジュンなりに、大分御無沙汰していた山野の景色を楽しんでいるのだ。 
 その証拠に、彼方此方の色付いた木々を眺める目元は柔らかい。 

「ジュン、頭が邪魔で前の方が見えないわ。ちょっとだけ曲げて頂戴」 

 少しばかり背中が重くて煩いのが難点だが、そこは我慢するところだ。 
「もう少し静かに歩きなさいな、揺れていては見辛いでしょう」 
 幸い、家の中に比べて随分大人しくしてくれている。 

「ねえ、ジュン……」 
「ああああ全く、今度は一体何だよ?」 

 とは言え、耳のすぐ近くで矢鱈と注文されてはジュンも鬱陶しくて堪らない。 
 しかし、真紅は構わず続ける。 

「あそこに見える真っ赤な木があるでしょう……?」 

 ひょいと身を乗り出して指差した方向には、紅葉した中でも一際の紅。 
 距離があって判り辛いが、きっと紅葉か楓だろう。 

「あれをもっと近くで見たいのだわ」 

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「近くで……って、あそこまで行くのか?」 

 ジュンは少し面倒臭そうに答える。 
 お目当ての木は山道から離れて立っている為、直に木々の間に入っていかねばならないのだ。 
 別に、遠くから眺めるだけで満足だったし……第一、無駄に疲れるのは嫌だった。 

「……ダメなの?」 

 リュックの口をきゅっと握り締め、俯き加減に真紅が問いかける。 
 ジュンの思いに感付いたのか、控えめで縋るような口調だ。 

「いや……まあ、良いけどさ」 
 実際の気持ちとは裏腹に、ジュンはあっさりそう答えた。 
 別に、面倒なら面倒、と言うのが容易ならざると言う訳でもない。 
 ただ真紅の声に何時もの気高さとは違った、可憐さと言うか、いたいけさを感じて、思わずそう言ってしまったのだ。 
「いい子ね、ジュン」 
「何がいい子だよ……行くぞ」 

 ジュンはのりに一声掛けて、木々の間に足を踏み入れる。 
 人の手が入っているお陰か草も無く、また傾斜も殆ど無い。 
 だから、一人と一体で何か話しながら歩いていると、何時の間にか辿り着いていた。 

「さて、此処で良いんだろ」 

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「それじゃあ抱っこして頂戴」 
「へいへい」 

 ジュンは背嚢から真紅を出してやり、腕に抱きかかえる。 
 真紅は抱かれたままジュンに凭れ掛かり、ぴったり体をくっ付けていた。 

(……何か、べったりしてるな) 

 ふと、真紅の様子を不思議に思うジュン。 
 矢鱈と体を密着させている上、木でなく自分を見ているからだ。 

「……久し振りなのだわ」 

 しかし真紅が零した一言に、ああそうかと納得する。 
(……そう言えば) 
 そう言えばこのところ、二人で過ごす時間が無かった。 
(あいつらが毎日暴れてたからなあ……) 
 部屋に雛苺と翠星石、庭に金糸雀、鏡から水銀燈、その中に進化兎。 
 昼夜を問わず誰かが間に割って入る所為で、二人で居る時間などある筈が無い。 
 故に、此処まで連れて来させたのも、ジュンと二人きりになる為。 
 邪魔の入らない場所で、静かに二人だけの時を分かつ為だ。 
 ただ、素直にそうと言えなかったので、ジュンの理解が多少遅れた。 

「漸く、これで二人きりなのだわ」 
「ああ……そうだな」 

(で……二人っきりになりたかったって事は、やっぱ……OKなのかな) 

 だが、ジュンは何かを大きく勘違いしていたッッッ!!! 

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 ジュンは手近な木の幹に真紅を押し付けると、唇に吸い付く。 
 そして手はスカートに滑り込ませ、ドロワースを掴み、下ろした。 

「ジュ、ジュン!? 何をするの!!?」 

 余りに突然な下僕の暴走に真紅は平手も縦ロールチョップも忘れ、吃驚仰天。 
 だが僅かな隙にも暴走は続き、ドロワースを脱がし切ると、スカートの中に頭を突っ込む。 

「!? どうしてこんな事ッ!?」 
「だって久し振りの二人水入らず……最近御無沙汰だったじゃないかッッ!」 
「わ、私は二人きりで……ただ、幸せな時を……」 
「幸せな時と言えば即ち、SEXに行き着くッッ!」 
「それはハッテンし過ぎ……ひあぁっ! や、止めえぇぇ!」 

 問答無用! とばかりにジュンは股の間に顔を埋め、切れ込みのようなスジに舌を捻じ込む。 
 瞬間、真紅の身体がビクリと跳ね上がり、ジュンの舌はくちゃりと音を立てて秘所から離れた。 
 追うようにジュンは秘所に顔を付け、今度は貪るように舌で撫で回し、突付き、抉る。 
 間も無く、ジュンの舌にはねっとりとした粘液が絡み付き、溢れ出したそれは口内に広がった。 

「ふぁ……あふぅ……!」 
「嗚呼、可愛いよ、真紅……」 

 身体を捩りながら荒い息を吐く真紅。 
 しつこく真紅に吸い付くジュンはとうとうズボンを擦り下ろすと、垂直に勃ったモノを露にした。 

「ああっ! もう、そんな!」 

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「折角のムードが、全部台無しなのだわ!」 
「僕だってムーディーにオナニーしてブルーに射精するんだぞ!」 

 ある意味悲痛な叫びに返される、噛み合わないが、またある意味で悲痛な訴え。 
(ああ、人間のオスはやっぱり下劣ね) 
 真紅の脳内に以前の情事が再生される。 
 あの時も……いや、あの時彼は真っ赤になって、壊れ物を扱う様に慎重な愛撫をした筈であった。 
 だが哀しいかな、思春期の性欲を持て余したジュンは日々眠れぬ欲望の奴隷だ。 
 真紅の身体を求め、転がる石の如く堕ちて行くのみである。 

「うぁっ、んんっ、はうっ、っぁ!」 
「はあ、はあ……行くよ、真紅!」 

 裂け目に亀頭を当て、擦り付けていく。 
 十分に愛液が塗された時点で、ジュンは真紅の中に挿入した。 

「ん…あっ、きゃあぁぁぁぁぁっ!」 

 激しい侵入に悲鳴が上がる。 
 だが構わずジュンは腰を引き、突き上げた。 

「ぁぁっ! ジュン! そんなに激しくされたらッ!!」 

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 激しく、強く、激情に任せてジュンはピストン運動を繰り返す。 
 濡れそぼった性器の擦れる淫猥な音がかき鳴らされる度、肉棒を通して全身が快楽に震える。 
 真紅も口から涎を垂らし、肉壺をしとどに濡らしながら悶えていた。 

「うっ……はあ! 凄い、もうイキそうだ!」 

 ジュンは腰砕けになりかけるも辛うじて堪え、最後の足掻きとばかりに突き出す。 
 これでもかと幼い肢体を貫いていた分、タイムリミットが早いのは当然だった。 

「駄目ぇっ! ジュン! もう抜いてぇ! 中になんて嫌ぁ!」 

 膣内に射精さえる事を拒む真紅。 
 だが、迫り来るオーガズムに脳を痺れさせた下僕に、その言葉が届く事はなかった。 
 彼女のミーディアムは最も深く刺した場所に己の劣情を吐き出したのだ。 
 最後の突き上げとともに、少年にしては甲高い声を上げて。 

「嗚呼……お腹の中……」 

 ……事が終わってから、二人は暫く木に寄り掛かって休んでいた。 
 二人ともクタクタで、一言も言葉を交わさなかった。 
 ただ、はらはらと舞い散る色鮮やかな葉を見ているだけ。 
 お互い小さな身体で激しく貫き貫かれたのだから、無理も無い。 
 真紅など息も絶え絶え、腰まで抜けてさえいた。 
 それでも、ジュンのSEXへの衝動は枯渇していなかった。 

「はあ……さて、次は後ろ向きで……え?」 

 突如視界の脇に迫る、紅い旋風。 

 次の瞬間、ジュンの認識する時が吹き飛んだ……。 

(エピローグ) 

 真紅とその下僕が合流したのは、巴とのり一行が弁当を広げる頃だった。 

「あらぁ、丁度良かったわ。みんなでお昼にしましょう」 
「真紅にチビ人間、さっさと来るですー」 

 と、笑顔で迎えられているが、ジュンも真紅も憮然としてシートに座り込む。 
 その様子のおかしさに雛苺がひょいと二人の顔を覗き、 
「あ――っ! ジュンのほっぺも紅葉してるの――!」 
 と、ジュンの頬に出来た楓の葉に似た真っ赤な跡を指差して笑った。 

「……桜田君、どうかしたの?」 
「別に……」 
「乙女に酷い仕打ちをするからだわ」 

 巴の心配に口篭るジュンへ、つっけんどんな言動の爆弾を落とす真紅。 
 恐らく、まだ可也、いや、思い切り怒っているのだろう。 

「お、お前何言って……!」 
「あら、本当の事ではなくて? 私は傷付いたのだから」 
「そうかよ……はあ」 

 溜息を吐くジュン。 
 此れで暫くは、二人きりの時があってもきっと手は出せない。 
 ムーディにオナニーしてブルーに射精するしかないのだ。 
 それも仕方無い。 
 真紅とて夢に描いた理想の今日を台無しにされたのだから……。 

「真紅……」 
「何かしら……?」 
「お茶でも飲めよ……紅茶じゃないけど」 
「ええ、注いでもらえるかしら」 

(……はあ、今日は素敵な一日になる筈だったのに、くすん) 

 真紅は心の中でさめざめ泣きながら、茶を啜る。 

 その味は、ほんのりしょっぱかった。 

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長々時間掛けたクセに大したもんじゃなくてスンマセン。 
職人さんが帰ってくるまでの保守代わりですんで。 
(´・ω・`) 

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