時計の針がそろそろ今日の終わりを告げ、明日の始まりを宣言しようかという時間だが、 
“カッチ……カッチカッチ…………” 
 桜田家のヒキコモリ長男の部屋では、絶えることなくマウスをクリックする音が響いている。 
 ただデスクトップに映っている“一粒で十キロ痩せる薬”などという画面を見ながらも、意識は部屋の真ん中に我が物顔で鎮座する 
三つのカバンに向いていた。 
「……おい、性悪人形ども…………………………寝てるよなぁ……」 
 椅子を軋ませながらジュンがそちらを見ても、三つのカバンの一つとしてピクリとも動かない。 
 それでもジュンはしばらくは、ジ――――ッとカバンを見つめていた。 
 その時間が長いのか短いのかはわからないが、とりあえずはどのカバンも動く気配がない。 
「よしっ ……オマエらのことを……ボクは信じるからな……」 
 言ってジュンは自分の部屋を、足音を立てないように“そ〜〜っ”と出ていった。ただ細心の注意を払ってはいても、 
“カチャン……” 
 僅かに音がしてしまうのはどうしょもなかった。まるでそれが合図だったかのように、 
“カチャン……” 
 三つのカバンが同時に開いた。 

 電気も付けない暗いリビングで、ジュンはソファーにゆったりと座りながらも、チラチラと部屋の入り口を見ながらリモコンを入れる。 
 イヤホンを片耳だけすると、どんなに気をつけようが音はするのだが、ゆっくりとビデオテープをデッキにセットした。 
 再生されるそこに映っていたのは中学生、に見えなくもない制服姿で微笑む一人の少女(?)である。 
 少女(?)はベッドに座りながら、なにやら自己紹介しているようだが、よくよく見れば誰かに似ているような気がしないでもない。 
 ジュンはもちろん、そう思ったからこそこのビデオを購入したのだが、やはり誰が見てもそう見えるようだ。 
「あら?この娘、巴によく似ているのだわ」 
「たしかに、あの竹刀女によく似てやがるですぅ」 
「ジュンジュン!! トッモッエッ、の声が私聞きたいのぉ!!」 
 当たり前のように会話している人形たちの声はそれぞれ、ジュンの右隣、左隣、そして頭の上である。 
 ジュンは真っ赤な顔をしながら怒鳴るために大きく息を吸い込んで、 
「!?」 
“ピッ” 
 あわててビデオを停止した。 
「ジュン、なぜ消すのかしら……」 
 ジ――――ッと問い詰めるように見つめてくる、ジュンの右隣に座る真紅の瞳はなぜか冷たい。 
 わかってるんじゃないのかコイツ? 
 などとも思うのだが、まさかジュンはそう聞くわけにもいかなかった。視線は激しくイタいが、とりあえず無視しようとすると、 
“ピッ” 
 ビデオはジュンの意志とは関係なく勝手に再生されて、巴に似た少女(?)はセーラー服のスカーフに手を掛けている。 
 少し恥ずかしそうに微笑みながら、それでも躊躇することなくシュルッと小気味いい音を立てて抜き取った。 
 ここまで見てからハッと我に返ったジュンは、 
「あっ!? オ、オマエ!!」 
 翠星石からリモコンをひったくる。ビデオが勝手に再生になったのならちょっとしたホラーだ。 
 まぁ、三体の人形に囲まれて今更いうセリフでもないが。 

「な〜〜にをさっきからオドオドしてるですか?いつも小さいですが、今日はまた一段と人間が小さいです」 
「余計なお世……」 
「ねぇジュン、巴、お着替えしてるの?」 
「え!?」 
 頭の上から聞こえる雛苺の声に、ジュンは弾かれたように画面を見た。 
 少女(?)のアクションはなんともせっかちで、ジュンがほんの少し翠星石にかまっていただけですでに上着を脱ぎ去っている。 
 飾り気のないスリーブ(ていうの?)が、はにかんだ笑顔とマッチしていて可愛らしい。 
 思わずジュンは、怒っているのとは種類がまったく違う理由で顔を赤くすると、ぽか〜〜んと間抜けに口を開けて魅入ってしまった。 
“ドガッ!!” 
「ぶぅッ!?」 
 頬にいきなり真紅の小さな拳が叩き込まれる。ミニマムな拳とは反比例して、その衝撃はけっこうビッグだ。しかもいまは頭の上に、 
「落ちぃ〜〜〜〜〜る!! ジュ〜〜ンあぶないのぉ〜〜〜〜!!」 
「あだだだだぁっ!? オマエ髪の毛が、痛ッ!? イテイテ、離せチビ苺!!本気で痛いんだ!!」 
 落ちないよう必死の雛苺と、痛みの為に暴れるジュン。二人は見事なハーモニーの悪循環に陥っていた。 
「ふんっ 踊れ踊れですぅ …………ただでさえシマリのない顔なのに、間抜け面晒してるからそういう目に遭うです」 
 そしてそうやってジュンと雛苺が踊っている間にも、画面の少女(?)の手は止まらない。 
 いまどきの女の子の制服にしては珍しい、膝下までキッチリあるスカートを、カメラのレンズの向こうにいる人間を充分意識してか、 
ゆっくりと焦らすように捲り上げていく。 
 ジュンは髪の毛の痛みも忘れて、またまたぽか〜〜んとアホ面さげて見つめていた。 
 健康そうな白い太股が目にも眩しいが、スカートに隠されている下着は見えそうで見えない。 
“ゴ……クンッ……” 
 まだあまり、いや全然目立ってないジュンの喉仏が、大きく上下して生唾を嚥下する。 
“ゴズッ!!” 
「ぶふぅッ!?」 
 衝撃がまたしても不意打ちでジュンの頬を襲った。しかも今度はダブルで。 

「……ジュン、レディーをそんな目で見るものではないわ」 
「これだからヒキコモリのムッツリは始末に負えねぇです」 
 両頬を押さえてうずくまるジュンへと掛けられる言葉は、左右からとも非常に冷たい。 
 ちなみに雛苺はというと地球の重力に従って、いまだにぷら〜〜〜〜んとジュンの髪の毛にぶら下がっている。 
「……おいチビ苺、いいかげんに離せ……」 
「う、うぃ」 
 雛苺は素直にジュンの髪の毛から手を離し、“トンッ”と軽やかな音をさせて床に下りた。 
 でも“んしょんしょ”とジュン登りをすると、今度はうずくまっている背中に“ピトッ”と張り付く。 
 これでドールズたちは意外と重くて鬱陶しいのだが、ジュンは文句一つも言わず、ただ黙って雛苺を背中に乗せていた。 
 うずくまったときに、ジュンはやっとこさ気づいたことがある。 
 礼儀正しく背筋を伸ばして座ってはいけないと、この体勢をキープしなくてはヤバいと、遅まきながら気づいた。 
 一応コイツら…………女の子…………なんだよな……………… 
 なにを人形相手に血迷ってるんだと思わなくもないが、それでも胸のドキドキが止まらない。 
 女の子にいまの自分の身体の変化を悟られたら、そう思うとジュンの胸のドキドキが増々ハイペースになる。 
 チラッと右隣を見ると、リモコンは食い入るように画面を凝視する真紅の手の中だ。 
 よく見れば真紅の白い面が、うっすらと赤く染まっている。それを見てジュンの胸がまたヤバいくらいにペースアップする。 
「……くすっ」 
 誰か、女の子の笑い声がした気がした。イヤホンをした左耳だけに聞こえる。 
 画面を見ると、少女(?)はジュンに向かって微笑んでいた。 
「まだまだこれからよん……………………………………………………ジュンくん♪」 

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一応これで終わり。続きも書けそうですけど、ローゼンでエロは難しいですね。コメント戴けたら嬉しいです。 

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 その少女(?)ははっきりとジュンへと語りかけている。 
 少しからかいを含んだような言い方が心のどこかに引っかかるが、少女(?)は幼馴染の声でたしかに自分に向かってしゃべっていた。 
「ジュンくんに…………本当の私を見てもらいたいの…………」 
 ただこの少女(?)が幼馴染でないのだけは、当たり前だが間違いない。 
 幼馴染は自分のことを『ジュンくん』などと呼びはしないのだ。それになによりこんな風には微笑まない。 
「……お願い……よく見て……」 
 スカートの裾を両手でそっと摘んで、こういうのを“艶然”というのだろうか、なんにしても中学生が習得するには早すぎる表情で 
自分になにか、そう魅力的ななにかを訴えかけてきていた。 
 そしてとりあえずいまジュンにとって一番魅力的なのは“よく見て”とお願いされるまでもない、清潔さを感じさせる白い布地である。 
「…………いただけないわね」 
「は、恥じらいというものがねぇですかこの女は!!」 
「ねぇジュン、巴お着替えまだ終わらないの?」 
 外野の声が右から左から上からうるさくていまいち集中出来ないが、ジュンはそのおかげで醜態を晒さずにすんでいた。 
 それでも知らず知らず鼻息が荒くなっている。 
 窮屈なズボンの中に収められている勃起は、もう痛いくらいにパンパンだ。この状況はある意味地獄である。 
「もっともっと……恥ずかしい私を見て…………ジュンくん」 
 少女(?)が指先を、白い下着の両端に引っ掛けた。 
 男の子のツボというのを心得ているのか、頬に朱を散らせながらほんの少しだけずり下げる。でもそれで手を止めると、 

「そんなにジッと見られたら…………恥ずかしいよジュンくん」 
 ずいぶんと少女(?)は矛盾したことを言っていた。 
 自分が見てくれって言ったんじゃないか……それも恥ずかしい自分を見てくれって……なのになんだよそれは? 
 このようにジュンは少女(?)に対して軽い憤りを感じたのだが、人間は本心を見透かされたときほど恥ずかしいものはない。 
 怒ったフリをしながら、ジュンは少女(?)から“ツィ”と目線を逸らした。だが今度は、 
「な、なんだよ!?」 
 綺麗な青い瞳でジ――ッと真紅が見つめている。その瞳には少女(?)以上に、自分の深いところを見られている気がした。 
「べつに……なんでもないのだわ」 
 そう言いながらも真紅は、なにか言いたそうにジ――ッとジュンを真っ直ぐ見つめている。 
 どういうわけだかそれだけで、物凄く良心の呵責を感じてしまったジュンは、 
「ふんっ 変なヤツ」 
 真紅の瞳から逃げるように、鼻を鳴らして目線を逸らした。でもまぁ、ジュンはあまり学習してないと言うべきか逸らした先で、 
「な、なんだよ!?」 
 同じセリフを吐きながら、今度はオッドアイに見つめられてたじろいでしまう。ただ、こっちはジュンにも考えてることがわかった。 
「オマエ、なに怒ってんだよ?」 
 まぁ、正確には拗ねてるように見えるのだが。どっちにしてもジュンはやっぱり学習してない。 
 人形だって本心を見透かされたときほど恥ずかしいものはないのだ。その誤魔化し方も人間とあまり変わらない。 
「!? お、お、思い上がるなですぅチビ人間 なぁ〜〜んで私がヤキモチ焼かきゃならんですかぁ お、お、一昨日来やがれですぅ!」 
 アセリまくりの早口で捲くし立てると“プイッ”と翠星石はそっぽを向いてしまった。 
 その頬はうっすらを通り越して、誰が見ても顔全体が真っ赤になっているが、なぜそうなっているかまではジュンには思い至らない。 
 わけわかんないヤツだなぁ 
 そう思いながら、今度はジュンがジ――ッと見つめる番だった。 
 翠星石の顔が視線を感じてか、完熟トマトみたいにどんどん赤い濃度を増していく。 

「い、いいかげ……」 
 羞恥心の限界がアッサリ訪れた翠星石が、いつものことだが逆ギレでこの場を乗り切ろうと口を開いたタイミングで、 
「……ねぇジュンくん」 
 少女(?)に呼ばれたジュンは、まるで操り人形のように画面に視線を移した。 
「………………」 
 キレるタイミングを逸した翠星石は、どうしたら良いかわからず口をパクパクさせている。 
「……女の子の…………うぅん、私のアソコ…………見たい?」 
 幼馴染、によく似た少女(?)の媚びているような声と潤んだ瞳に誘われて、思わずジュンは画面に向かって、 
「……うん」 
 声を出して頷いてしまった。 
「!?」 
 あわてて口を押さえたが当然もう遅い。ドールズの視線が集まる。更にそれに追い討ちを掛けたのはまたしても少女(?)の一言だ。 
「うん、じゃなくて…………もっとちゃんと言って………………見たいって…………お願いジュンくん」 
 絶対ボクはからかわれている 
 その自信も自覚もジュンにはあったが、少女(?)の瞳は『早く……』そう急かしてるようで、でもなぜか逆らう気も起きない。 
 右から左から上からアイパワーを感じるが、それでもジュンは、 
「み、み、み、……見たい」 
 言っちゃってた。うわずったみっともない声で、しかもドモッてジュンは言っちゃってた。 
「なにを? なにを見たいのなのぅジュン?」 
 ジュンの肩に乗っている雛苺は不思議な顔をして首を傾げる。少女(?)の声が聞こえていない雛苺には意味がわからない。 
 それは他のドールズも同じで、 
「へんっ ジュンの心の病はかなり深いところまで達してやがるようですぅ もう末期症状が出てやがるですぅ」 
 先程は無視された形になった翠星石などは口を尖らせて毒づく。 
 いつもならこれでジュンは翠星石にリアクション(頭グリグリしたりとか)するのだが、それでも視線は画面の少女(?)に釘付けだ。 

 白い下着に掛かっている指先が、また少しだけずり下がっている。 
 いまはジュンの視界のみならず思考までもが、その素敵な光景に百%独占されていた。 
 その態度が非常に翠星石のカンに触ったのか、 
「ゆ、許さんですよぉ! こうしてやるですぅ!!」 
「ヤァ〜〜ン!? 前が見えないのよぉ!! もう翠星石のバ〜〜カッ!!」 
 腹いせに雛苺のリボンをグチャグチャにして、僅かばかりだが溜飲を下げる。 
 とうのジュンはというと“チラッ”とそちらを見はするが、すぐに少女(?)と二人だけの世界に戻ってしまった。 
 ただ、いま少女(?)を見ているのは、なにもジュンだけではない。 
「…………………………」 
 厳しい目つきで真紅も画面の少女(?)を見つめていた。そして静かに命じる。 
「……ホーリエ……イヤホンを抜いてきてちょうだい」 

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コメント並びにご指摘くださった方、ありがとうございます。続き、書いてみましたがエロに辿り着かない。 
少女(?)にもうちっと積極的に動いてもらえば展開は楽かな? 

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 どこからともなく現れたその光り輝く球体、人工精霊ホーリエはすぐに主人の命令を実行した。 
「アナタになら見せてあげる」 
 言の葉をドールズの耳朶にも響かせながら少女(?)はスルリッと、いままでの焦らしっぷりはなんだったんだというくらいに 
素早く足首から白いショーツを抜き取る。 
「あ!?」 
 少女(?)はすぐに膝を立てると体育座りのような格好になって、スカートですっぽりと女の子のアソコを覆い隠してしまった。 
 油断していたジュンは『そんなのありかよ!!』という表情になったが、少女(?)はそれを見て艶然とした笑みを一段と深くする。 
 膝小僧に小さな顔を乗せて小首を傾げると、少女(?)は上目遣いでジュンへと囁いた。 
「これが……女の子のア・ソ・コ……だよ…………」 
 もう流石にこれ以上は焦らす気はないのか、またジュンの予想をはぐらかすようにあっさりと、上半身を倒しながら立てた膝を大きく、 
標本になったカエルのように無様に開いた。 
「あ……」 
 ジュンはヒキコモリのネット中毒のわりに、こうして女の子のアソコをまじまじと見たのは初めての経験である。 
 露になった少女(?)の白い恥丘は縦線一本。極めて造りはシンプルだ。 
 毛もチョボチョボと、目を凝らせば“これがそうかな?”というくらいしかない。 
 成人女性と比べればまだまだ“女”として未完成な存在である。でもそれがジュンにとっては良かったのかもしれない。 
 ジュンに限らずこの年頃の男の子は、完成された女性のアソコを“グロい”などと、失礼な感想を抱くのもよくある話である。 
 まぁ少女(?)のアソコもべつに美しいというものでもない…………のだが、知らず知らずジュンの呼吸はどんどん荒くなっていった。 
 この造形美は理性ではなく、牡本能に強烈に刷り込まれているのかもしれない。 
 誘うようにわずかにほころんでいる裂け目からは、鮮烈な桜色が垣間見える。そこはもう……透明な愛液をにじませていた。 

「もっと…………もっと奥までアナタに見て欲しいの」 
 女の子らしい爪まで綺麗な指先が、二本揃えられてそっと秘唇に宛がわれる。 
 チョキの形にして割り開くと、女の子の粘膜に埋もれている小さな穴から、包皮の下から半分だけ顔を覗かせひっそりと鎮座する真珠 
まで、ジュンにはバッチリ見えた。 
「どう? 私のアソコ? 変じゃない?」 
 少女(?)がはにかみながら、それでいて恥らうような仕草でジュンに聞いてくる。 
 淫靡な痴態を晒しているはずなのに、そこからは清純な雰囲気が失われていない。 
 同じ年頃の(幼馴染とだが)ジュンには正体に気づきようもないが、それが禁忌の匂いを纏った蒼い色香の危険な魅力だった。 
 もっともそんな正体など知らずとも、ジュンは少女(?)の魅力の虜である。 
 身体は股間の勃起を中心にモソモソと所在なげに揺れていた。一人きりだったらおのずと、することは決まっていただろう。 
 画面を見るそれぞれの表情は、ジュンはどこかイライラと(一人になりたい)真紅は醒めた目で、翠星石はなぜかカッカと、そして 
雛苺はキョトンと四者四様だった。 
「これがアナタの指だったら…………もっとずっとず――っと気持ちいいのに…………」 
 変わらず洋々としゃべっているのは少女(?)だけである。 
「アナタは知ってる? 耳を優しく噛まれたりしたら……すごく気持ちいいんだって……これは一人じゃ出来ないから……残念♪」 
 少女(?)の口ぶりはまるで、会いたくとも会えない長距離恋愛のカップルのようだ。 
 幼馴染は近くには住んでいるのだが、そういうのも悪い気分じゃないなぁ、などとジュンが思ったとき、 
“ガブッ!!” 
「!? うぎゃぁああああ!?」 
 耳たぶにいきなり痛みが走る。 
 慌てて顔を振ってその魔手(魔歯か?)から逃れると犯人を見た。 

「チビ苺!! オマエなにしてんだ!! ボクがいったいなにしたんだ!!」 
 右耳を大袈裟に押さえながら、ジュンは“ほえっ?”と不思議そうな顔をしている雛苺を睨みつける。 
 とうの犯人、雛苺は少女(?)以上に幼い仕草で首を傾げると、小さな指先で画面を指した。 
「巴が言ったなのよぅ 耳を噛むとすご――――――く気持ちいいって 雛はジュンを気持ち良くさせてあげたかったなのぅ」 
「優しくって言ってるだろうがっ!!」 
 小さな身体で饅頭だケーキだ花丸ハンバーグだと柔らかいものばかり、人形のくせにがっついて食べてるのに、雛苺の噛む力は強くて、 
あきらかに論点はずれてはいたが、まずはそのことを糾弾しないとジュンのキレやすい腹の虫が収まらない。 
「優しくぅ?」 
「そうだよっ!! 人の言うことはちゃんと聞……!? はぁう!?」 
 ジュンの注文通りに雛苺が噛んだのとは反対側、左耳が優しく甘噛みされる。 
 こんどは痛くはないが、驚愕と自分の洩らしてしまった女の子のような恥ずかしい声に、ジュンは真っ赤な顔でそちらを見た。 
 そして見られた方、翠星石の顔もジュンに負けないくらいに真っ赤である。 
「な、なにしてんだよ……オマエ…………」 
 そんなことはもちろん、ジュンは聞かなくともわかっているが、まさかドールズの中でも翠星石にされるとは思わなかった。 
 どのドールなら妥当ということもないが、左耳を押さえたままで、まじまじと翠星石を見つめてしまう。 
「お、おおおおお手本を チ、チ、チ、チ、チビチビ苺に見せてやったですよぅ べ、べ、べ、勉強しやがれですよぅチビチビ苺ぅ!!」 
 ジュンの肩越しにまたしても“ほえっ?”とした顔をしている雛苺。 
 翠星石は話題をはぐらかすように、矛先を雛苺に向けて一気に捲くし立てた。 
 誰が見ても意識してジュンは無視されている。誰が考えてもその理由は(雛苺以外は)あきらかなので、あえて誰もツッコまない。 

 これはたしかにちょっと気持ちいいなぁ、などと思ってしまったジュンにはもちろんツッコめるわけがなかった。 
 やれやれと、なにがやれやれなのかはわからないが、ジュンが首を振りながら画面に目を戻すと、それを待ってでもいたように、 
「それからね……舌を入れられたり……首筋を舐められたりすると…………もっと感じちゃうのよん」 
 爆弾を投下する。 
 思わず首筋を撫でたジュンがはっとすると、青い瞳でジ――――ッと見つめる真紅と目が合ってしまった。 

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いまだにエロに辿り着く道が見えませんが、今回はここまで。神の光臨を私も期待してます。 

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「ふぅ……」 
 切なそうに(ジュンにはそう思えた)ため息を吐くと、頬をうっすらと赤く染め上げた顔を、すすっとジュンへと寄せてくる。 
「お、おい待って!?……オマエなにしようと……」 
「黙って」 
 その声は短く静かだが、決して無視出来ない強い力が込められていた。いまのジュンはヘビに睨まれたカエルの心境である。 
 ただ真紅の顔が近寄ってくると、鼻孔には“ふわり”と女の子特有の甘い匂いが流れ込んできて、恐怖心を綺麗に消し去ってしまった。 
 口唇が微かに開いて、紅い舌がチロリと覗くと、心臓がドキドキと高鳴る。それは誰が考えても、 
 違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う……違う!! 相手は人形だぞ!! 期待でドキドキなんてするわけ…… 
 素直になれないひねくれた思春期のガキの、隠しようのない期待と興奮の表れだった。 
“ぺろ……” 
「んンッ!?」 
 雛苺に本気噛みされて、ほんの少しだが赤くなっている耳に、真紅の舌が優しく触れる。 
 口からはまたしても恥ずかしい声が洩れてしまったが、ジュンはそれを取り繕うどころではなかった。 
 複雑なつくりの耳朶をねぶるように、真紅は翠星石よりも更に巧みに甘噛みしながら、小さな舌を挿し込んでくる。 
 くすぐったい。ムズがゆい。でも……もっともっとして欲しい。 
 真紅の舌が“ヌロ〜〜”と唾液の糸を引きながら頬を這って降りてくると、ジュンは自分から顔を傾けて首を舐めやすいようにする。 
「んぅ…………んぁッ……んふ………はぁッ………ン……んンッ!?」 
 ジュンの望み通りに舌を這わせると、真紅は“チュッ”と小鳥が啄ばむような音をさせながら、いくつもいくつもキスマークをつけた。 
 それにエラく対抗心を燃やされたのか、反対側のドールが“メラメラ”と瞳に効果音をつけながらジュンを睨んでいる。 
 ただこれで案外引っ込み思案の翠星石は、“行こうか行くまいか?”などと迷っているうちに先を越された。 

「ぅんッ!?」 
 ジュンが顔をしかめる。でもそれは痛みの為ではない。 
 やっぱりそこには、加減がよくわからないのか弱冠の鋭いものはあったが、真紅の舌が伝えてくるのとは違う気持ち良さがあった。 
「お、あ、ああ…………て!? な、なにしやがってるですかぁ!! チビチビ苺!!」 
 本人は決して認めはしないだろうが、ポジションを奪われた翠星石は軽くブチギレるが、ジュンの耳をカミカミしている雛苺は 
まったくそちらを見ようとしない。 
 一瞬だけ“チラッ”と、首筋に舌を這わす真紅と目が合ったが、それもすぐに瞼が閉じられる。 
“チュ〜〜〜ッ” 
 ハシタナイくらいに大きな音を立てて、まるで翠星石に見せつけるかのようにジュンの首に吸い付いた。 
「……クッ!?」 
 多分に独りよがりの思い込みも入っているのだが、翠星石の切れ長の瞳からはちょっぴしだが涙が滲んでいる。 
 メチャメチャ悔しい。そこへ…………。 
「でも男の子が一番気持ちいいのは…………きっと……ア・ソ・コ…………だよね♪」 
 画面の少女(?)の囁くような小さな声に、翠星石はもの凄い勢いで振り向いた。 

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短かったですが今回はここまで。次からは少しだけですがエロのレベルを上げられると思います。 

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 映ったときからずっと変わってはいない。少女(?)はときおり恥ずかしがったりするものの、愉しそうな笑顔を振り撒いている。 
 だがその顔はニコニコしながらも、いつの間にか人を(人形を)小馬鹿にしたような印象に変わっていた。 
 それは冷静に注意深く見ていれば、特にドールズには、不本意ではあるものの見馴れたその表情は、それこそすぐにわかっただろう。 
 しかしいまこの場には、ドールズも含めて冷静なものは誰もいない。 
 そのすっかり冷静さを欠いているドールの一体、翠星石は『早く言いやがれですぅ!!』そんな感じで身を乗り出し、少女(?)の 
次のセリフを待った。 
「やだぁ、そんなに見られたら言えないよ………………恥ずかしいよ」 
 言われてハッとなった翠星石はさっきから真っ赤になっている顔のその上から、またしても羞恥心の色を上塗りする。 
「……くすっ」 
 手を合わせ指を絡めると、目を細め首を傾げながら、少女(?)は本当に愉しそうに、翠星石を見ながら鈴の音が鳴る様な声で笑った。 
 あきらかに、よく知る誰かの仕草なのだが、頭に“カッカッ”と血が上っている(あればだが)翠星石は気づかない。 
 両手をワキワキさせながら、いまにも画面に向かって飛び掛りそうだ。 
 もっともそれを見下ろす少女(?)は、ちっとも怖がっている様子はない。笑みを深くする一方だ。 
 ただ飽きっぽい性格なのか、 
「怖い怖い、そんな顔されたらジャンクに……………じゃなくて、教えてあげないわよン♪」 
 少し調子に乗ってきたのか、少女(?)は思わずお得意の決めセリフを言ってしまったが、それには構わず人差し指を立てると、 
空中を撫でるように“スィッ……”と下ろす。 
「ほら、私の真似をしてみて」 
 なにか色々『納得いかねぇですぅ』と引っかかりを覚えはするが、このままでは話しが進まないので、翠星石は大人しく人差し指を 
立てると、少女(?)よりも多少乱暴に空中を“スィッ……”と撫でた。 

「そうそうウマいウマい」 
 こんなものに上手いもなにもあるわけはない。 
 少女(?)は揶揄する様に言うと、立てた人差し指をこんどは、まだまだ幼さの残る秘裂へと持っていった。 
「それじゃあね………んッ………んぅッ…………こうやって……………あンッ…………」 
 ゆっくりと指先を、丹念に丁寧に優しく、上下に撫でさする。 
 するとすぐに、“ネチャ・ニチャ……”と湿り気のある淫靡な音を立てながら、秘裂は透明な涙を流しはじめた。 
「んぁッ………ジュンくんの………『ココ』を……はぁんッ…………撫でて…………んンッ…………」 
 唇から嬌声を洩らし、少女(?)は身体を“クネクネ”とさせながらも、獲物を弄ぶネコの様な目は翠星石から僅かも逸らさない。 
「うっ!? ううぅっ!?」 
 背筋に“ぞわり”と悪寒が走る。 
 翠星石はその視線から逃げる様に、それでもオイルの切れたブリキの人形のみたいに、“ギッギッ……”と苦労して首を動かすと、 
「!?」 
 目が合ってしまった。 
 真紅と雛苺。 
 ドール二人掛りで“カミカミ・ナメナメ・チュウチュウ”口撃をされて仰け反り無防備になっているジュンの、元気一杯“こんもり” 
膨らんだ股間とバッチリ目が、ピントが合ってしまった。 
 その姿はズボンとパンツ、二つもブラインドがあっても充分、気持ち悪い、おぞましい、グロい、印象は見事に三拍子揃っていた。 
 なのに、それなのに、翠星石は目がまったく逸らせない。 
 そしてそれを、少女(?)は心底愉しそうな笑顔で、“ニヤニヤ”としながら眺めている。 
「ほら早くぅン、ジュンくんだってきっと待ってるわよン♪」 
 ジュン、桜田ジュン。目の前でだらしなくしどけなく、二体のドールに翻弄されている、どうしょもないヒキコモリ少年の名前。 
 それがフリーズしていた翠星石を動かす潤滑油だった。 
 指先は“ふるふる”と震えてはいるが、そっとジュンの股間へとのばされる。 
 ミニマムな身体は人形なのに、肩をゆるやかに上下させ、“ハァハァ”と激しく呼吸を荒くしていた。 

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今回はここまで。続きはなるだけ早く投下したいと思います。 

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