―昨日、私はフラれた。
「…」
空を眺めた翠星石は何をするでもなくぼんやりとしていた。
フラれたというのに不思議と涙は出なかった。
頭の中は空っぽで、自分はジュンを本当に好きだったのかと思ったほど頭の中は空っぽだった。
「…ごめん翠星石」
その空っぽの中で、申し訳なさそうにして言うジュンの顔が今も頭から離れない。
少し離れた場所で二人を見守っている真紅の顔も複雑だ。
どこで自分はジュンを好きになったのかと思う。
契約をした日?初めてであった日?どこでもない。自然といつの間にか好きになっていた。
それからは出来るかぎりジュンのそばに居た。
彼と居るとすごくたのしかった。寝ているジュンにこっそりとキスをしたこともあった、甘い秘密。
けれど今は苦すぎる思い出。
「ふぅ…」
何もやる気が起きない。何もせずにぼんやり空をと眺めている。
ズン
「!?」
ふとジュンの顔が頭を通り過ぎた瞬間、何かに叩きつけられたような感覚。
胸が苦しい、ものすごい力で胸が締め付けられる。
「…ン……ジュン…」
やっと口から出た言葉はそれだった。そして目から大量の涙。
「うぐ…えぐ…ジュン……やだぁ……」
ジュンが好きだった。好きでした。本当に大好きでした。
「うわぁぁぁぁぁぁん」
彼のことが好きでいられなくなるだけでこんなに辛いとは思わなかった。
胸の痛み、涙が止まらない。
彼女の涙は止まることはない。
終
駄文失礼しました。