nのフィールドの奥深く。
無数に存在する扉の中に、一つだけ鋼鉄の扉がある。
真紅は導かれるようにそれを開いた。
その瞬間扉からは彼女を飲み込むほどの閃光が走った。
なんか久々に投下

やがてその光も収まり、目を開くとそこにはまるでローマのコロシアムを思わせるような巨大な闘技場のが広がっていた。
「これは?」
真紅は不安げに辺りを見回す。すると壁のレリーフに黒い影が一瞬映った。
「誰!?」
すると目の前には一体のドールが立っていた。
「あらぁ?真紅ぅ、遅いじゃなぁい」
それは真紅の永遠のライバル水銀燈であった。
「水銀燈!あなたが私をここへ導いたのね?」
「私が?何を言っているのよ。ここは死の闘技場。別名『アリス・アリーナ』。ローゼンメイデンなら必然的に導かれるところよ」
「アリスアリーナ?」
「アリスゲームを早く終わらせるためにお父様が用意した最高の場所よ。ほら、あそこを見なさぁい」
水銀燈が指差した先には木でできた十字架が何本も立てられていた。
「あれは・・・ああ、なんてひどい!」
真紅も驚愕するその十字架には彼女達の姉妹、金糸雀、翠星石、蒼星石、雛苺が魂の抜けたような顔をして吊り下げられていた。
「ウフフ、あの子達ったら、あっさりやられちゃうんですもの。本当に弱いことこの上ないわねぇ」
俯いて言葉も出ない真紅を尻目に水銀燈は不気味に笑った。
水銀燈の態度、仲の良かった姉妹たちの無残な姿。この二つに対する怒りが頂点に達した真紅はは顔を上げ、鋭い目つきで水銀燈を睨みつけた。
「あながたやったのね?水銀燈」
「だったらなんだっていうのよ」
水銀燈も真紅を威嚇するように睨み付ける。
「そう。なら手加減はしないわ。この子達の痛みを思い知りなさい!」
「望むところよ真紅!」
真紅は大量の花弁を浮遊させ、水銀燈は翼を広げる。
二人は既に攻撃的になっており、すぐにでも飛びかからんという姿勢である。

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「真紅ぅ!」
水銀燈の体が赤く光ると、目にも止まらぬ速さで真紅に飛びかかった。
真紅は防御している暇もなく、水銀燈のパンチを腹部にクリーンヒットされた。
「くっ!(なんて威力なの!)」
普段の水銀燈とは思えないほどのパワーで、真紅は吹っ飛び、壁に叩きつけられた。
「効いたでしょぉ?このフィールドに設置されたダブルダメージを取れば破壊力は倍よ」
吹っ飛んだ衝動で動けない真紅に水銀燈は歩み寄った。
「力だけがすべてじゃないわ」
「なに!?しまった!」
いつの間にか水銀燈は真紅が張り巡らしていた花弁に囲まれていた。
「ローズネイル。あの子を引き裂きなさい」
真紅が命ずると、花弁は鋭い爪のように水銀燈を襲う。
水銀燈はかろうじて避けているが、大量の花弁で、視界が遮られているため逃げようがない。
「っち!真紅ぅ!そこか!」
花弁の舞う中に微かに見えた真紅の影。それに向かって水銀燈はもう突進した。
「これで終わりよ!」
羽から剣を創作させ、真紅のらしきものを一刀両断した。
「アハハハハ!やっぱりこの水銀燈のほうが強かったわねぇ!弱い真紅ぅ!」
「どこを見ているの?」
後ろから倒したはずの真紅の声が聞こえた。
「え?」
よく見ると、水銀燈が切ったのか、花弁が収束して真紅の姿に似せたものだった。
「フェイク!?」
そして振り返ると、そこには本物の真紅の姿があった。
「愚かね水銀燈」
真紅はステッキで水銀燈を殴った。
「ああ!」
水銀燈は一直線に地面に落下する。真紅もそれを追うようにゆったりと地面に着地する。
「真紅ぅ!まだ終わってない!」
闘志を剥き出しにする水銀燈の顔に真紅はステッキを突きつける。
「今のあなたでは私には勝つのは無理よ。諦めなさい」
「ふざけないで!私はローゼンメイデン最強のドールよ!あなたなんかに負けない!」
「そう。なら仕方ないわね。ローズレイル。水銀燈を突き抜けなさい」
宙を待っていた花弁が一本の針のようになり、水銀燈の顔面に向けて猛突進する。
「最後に教えてあげるわ。強いものが勝つのではない。勝った者が強いのよ」
その瞬間水銀燈の顔は花弁の収束体によって突き抜かれ、木っ端微塵になった。
水銀燈の体からは、先程倒された四体の姉妹のローザミスティカが現れる。
「さ、あなた達、体に戻りなさい。生き返るかどうかはわからないけど」
そう言うとローザミスティカは各ドールに戻っていった。
真紅がそれを見守っていると、真っ先に蒼星石が目を覚ました。
「蒼星石!大丈夫?」
「う・・・僕は一体?」
「無理はしないほうがいいわ。あなたの体は水銀燈に傷つけられたのだから」
「そう。ありがとう」
蒼星石は微笑みながら、真紅の腹部に鋏を突き刺した。
「え?そ、蒼星石・・・何を!」
蒼星石は十字架から飛び降り、冷たい視線を送りつける。
「あれ?真紅は知らなかったの?ここは狂気のフィールド『アリス・アリーナ』だよ。最後の一人になるまで殺しあう。それがルールなんだ」
それを聞いて真紅は驚愕した。
「そんな!それじゃ私がやったことは・・・イヤーーー!」
真紅は倒された姉妹のローザミスティカを戻すことによって、ゲームを振り出しに戻してしまったのだ。
蒼星石は鋏を抜き取り、真紅に突きつける。
「さあ、続きを始めようか。立つんだ真紅!」
ここは狂気のフィールド、アリス・アリーナ。最後の一人になるまで出ることは許されない・・・



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