「・・・・・・・・・・・・・」
「チビ人間見てないでさっさと助けるです」
自室に入った瞬間ジュンの目には翠星石の姿か飛び込んできた。
その翠星石の姿に呆気にとられ立ち尽くしていたジュンに翠星石が助けを求める。
翠星石は両手足を縛られ顔にはクレヨンで落書きをされていた。
「チビ苺め。この翠星石をこんな目に会わせてただで済むと思うなです」
「・・・・・・・・・・・・・」
ジュンは取り合えず翠星石を縛られていた紐から開放した。
落書きをまだ落とさぬ顔で怒りをあらわにする翠星石を見てまだジュンは言葉を失っている。
「さぁ、チビ人間チビ苺を倒しに行くですよ!」
「取り合えず落ち着け。何があったんだ?どうせお前がまた下らないことしたんだろ?」
ジュンの冷ややかな視線と言葉に少しッムとしたが、翠星石は直ぐに反論した。
「そんなわけ無いです。今回は何もしてないですよ!!」
翠星石の必死に訴えかける顔も落書きにより今ひとつジュンの心に訴えかけてこない。
少し溜息混じりにジュンは翠星石に一言だけ言った。
「顔洗って来いよ」
ジュンは翠星石の顔を指差した。
翠星石は自分の顔に落書きがされている事に気付き顔を隠すように手で覆いながらジュンの前から走り去っていった。
洗面所で顔の落書きを落とす翠星石は怒りを顔に滲ませていたが、目には少し涙が浮かんでいた。
「チビ苺めぇ〜。この乙女心を傷つけた代償は大きいですよ!」
翠星石はジュンには頼らず自分一人の力で雛苺に復讐する事を心に誓った。
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「さて・・・・・どうすればチビ苺に復讐できるですか?」
翠星石は雛苺に仕返しをするために首をひねっていた。
しかし、これといった案は出てこなく段々考え方が変わってきた。
「でも、チビ苺は何故私にあんな事をしたんでしょう?私は何もしていないのに・・・・・」
雛苺に実際何もしていない翠星石は更に考え込んだ。
その結果翠星石は雛苺本人に聞く事にした。
「チビ苺ッ!!私が一体何をしたというのですか!?」
とても穏やかとはいえない形相で雛苺に言い迫る翠星石。
言い寄る翠星石に一瞬ひるんだが雛苺は負けじと翠星石に言い寄る。
「雛は悪くないの!!翠星石がまた雛のケーキを食べちゃったの!!」
「わ、私は今回食べてないのです!きっと他の誰かです!!」
翠星石と雛苺が言い合っているとジュンが二階から降りてきた。
ジュンの顔を見るとさっき落書きされた自分の顔見られた事を思い出し顔が自然と赤くなった。
「どうしたんだ?」
泣きそうな顔をした雛苺を見て不安げな顔をして翠星石に尋ねた。
「す、翠星石は悪くないです!!私は何もしていないのに雛苺が・・・・・・・」
翠星石まで泣きそうになって、ジュンはどうしたらいいか分からなくなってきていた。
「ちょ、ちょっと落ち着けよ。まず、何があったか話してみ。な?」
なだめる様に翠星石と雛苺にジュンは言った。
翠星石がジュンの目の前まで顔を近づけて言った。
「雛苺が・・・雛苺が翠星石に言掛りをつけてくるです。私は何もしていないのに」
ジュンの顔に翠星石の息がかかる位まで近寄られてジュンは顔が赤くなり何もいえなくなってしまった。
取り合えずジュンは翠星石を自分の眼前から離した。
「ふぅ・・・・・で、雛苺は何をされたんだ?」
翠星石が離れた事で一息ついてジュンが雛苺に問い掛けた。
「雛はケーキを・・・・・オヤツのケーキを食べられたの!!」
雛苺は泣きそうな顔をして翠星石の方を見ながら言った。
「私は食べていないと言ってるです。濡れ衣です」
必死に言っている翠星石はとても嘘をついているとはジュンの目から見てもそう思えなかった。
「翠星石じゃないなら一体誰だ?」
「そんな事しるかです!!」
翠星石がソッポを向いて言い放った。
ジュンは様々な事を考えたがどれもありえない事だった。
「雛苺。翠星石じゃないみたいだしお前も翠星石に謝ろ。な?」
「うゆ・・・・・ごめんなさいなの」
雛苺が俯き加減に翠星石に言った。
翠星石は少し納得のいかないような顔をした。
「一応許してやるです。この怒りは真犯人にぶつけてやるですから・・・・・」
ジュンは翠星石の頭を撫でた。
「な、何するですかチビ人間!!」
顔を翠星石は真っ赤にした。
「お前、偉くなったな」
ジュンは笑いながら言った。
ちなみにこの後も真犯人は見つからなかったという・・・・・・・