久々に描いたぜ

「っく!なんなのよ!」
気がつくと水銀燈は見たこともない所にいた。腕と足には地面に埋め込まれた鎖に縛られている。
「お目覚めかい?」
「・・・誰?」
水銀燈の鋭い視線の先にはサングラスをつけた中年の男が立っていた。
「俺はお前を絶望の淵に叩き落しに来た死神。デュード様だ」
すると水銀燈は鼻で笑い飛ばした。
「あはははは!あなたがデュードぉ?なんだか草臥れちゃって頼りないカンジぃ」
「そいつはどうも」
「真紅たちが酷い目に会ったらしいけど、私はそうはいかないわよぉ」
「そりゃどうかな。まあ俺もお前は殺すには勿体無いと思ってる」
デュードは水銀燈に顔を近づけた。
「な、なによ」
「ふむ、良く見りゃ俺の好みの顔だな。服装も露出度が高いし売春婦みたいだぜ。まあ髪がブロンドじゃねえからボツだけどな。所詮ジャンクよ」
『ジャンク』その言葉を聞いた瞬間水銀燈の形相が変わった。
「あなた・・・殺されたいようね!」
水銀燈は翼を広げて攻撃態勢に入ろうとした。だが
「う・・・!は、はなしなさいよぉ!」
デュードは水銀燈が気づく暇もないくらい素早く喉元を強く掴んだ。
「クズが。望み通りジャンクにしてやるぜ!」
デュードは水銀燈を地面に投げつけた。コンクリートの地面に強く打ち付けられる。
「きゃあ!やってくれたわね!」
素早く地面を蹴り、デュードを殴ろうとする。
だが鎖が邪魔となって届かない。
「おいおい、あんまり力使うなよ。でないとメスガキが死んじまうぜぇ?」
一瞬、水銀燈の頭に少女の顔が過ぎる。
「めぐ!・・・っく!」
水銀燈の体が青白い光に包まれたが、その少女のことを考えると治まった。
「やっぱり情が移ってるやつは弱いよなあ。以前の強かったお前も、そういう奴が出来ちまったから弱くなったんだよなあ」
「あなたに何がわかるっていうのよ!」
「わかるぜぇ。そんなお前を解放してやろうってんだ。俺なりのやり方でな!」
デュードは鎌で水銀燈の両足を切断した。
足は崩れ落ち、水銀燈の胴体も地面に落ちる。
「いやあああ!あ、あ、足が!お父様から頂いた体が!」
さらにそんな彼女の顔面に蹴りが飛ぶ。
「ったくよぉ。オヤジかガキかどっちかにしろってんだ。優柔不断はらしくないぜ!」
デュードはズボンのチャックを下ろし水銀燈の顔に放尿した。
「いや!汚い!やめてぇ!」
「ジャンク人形に恵みの雨だぜ!へっへっへ」
「やめてって・・・言ってるでしょ!」
すると水銀燈の右手に幾つものの羽が集まり剣となった。
すかさずそれをデュードの腹部に突き刺す。

「うげえ!は、腹が・・・」
その場に倒れこんでしまうデュード。だが水銀燈もぐったりしている。
「足が・・・」
こんな姿でめぐの前に現れたらきっと悲しむに違いない。そう思うとこんな姿にしたデュードが憎くてたまらなかった。
「この変態人間!」
デュードの腹に突き刺さった剣で彼の体を何度も何度も突き刺した。
「この!この!・・・はあはあ・・・」
「気は済んだか」
横たわるデュードの方から声が聞こえたような気がした。
するとボロボロになったコートを着たデュードはムクリと立ち上がった。
刺された筈なのに血は一滴も出ていない。
「嘘・・・あれだけ刺したのに!」
「俺は万物の存在を超えてるんだよ。なにせ死神だからな!ところでこんなに痛めつけられたお礼はたっぷりさせてもらうぜ」
水銀燈の顔から血の気が引いた。
「いやよ・・・まだ死にたくない・・・めぐ!お父様ぁ!」
デュードの顔に再び薄気味悪い笑みが戻る。
水銀燈は取り乱している。彼女がこの後どうなったかは知る由もない。

The End

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