「ん・・。」
晴れた日曜の昼前、一人の少年が起きた。
「あ・・・」
時計を見るともう午前十一時過ぎ。
「寝過ごした、最悪。」
少年はそう言うとゆっくりとベッドから降りた。
重い足取りで階段を降り、玄関へ向かい、靴を履き、外へ郵便物を取りに出た。
少年の家はそれなりにも大きいため、郵便物を取りに外へ行くのは寝起きには重労働だ。
「えーと」
郵便物はない。と思ったが手紙が一枚あった。
「なんだコレ?」
便箋には何も書いていない。
「誰宛だ?見るだけならいいよな。」
手紙への好奇心に負けたのか、勝手にあけて中を見る事にした。
手紙には、
「まきますか? まきませんか?」
と書いてある。少年にとってはさっぱり意味が分からなかった。
「一応とっととくか。」
父宛かも知れないと思い、取っておく事にした。
「それより明日の言い訳、考えないと。」
少年は部活の朝連を寝過ごしたのである。
来たときと同じ、重い足取りで家に戻りながら、働かない頭で、言い訳を考えていた。
この少年の父は多忙で深夜帰宅であり、朝早くには出勤するエリート道を走っている。
母は住み込みの仕事で家には月数回しか帰ってこない。
「ふう。」
静かな家の中を一人寂しく歩き、リビングにあの手紙をおいて、洗面所へ顔を洗いに行った。
「昨日は夜遅くまで遊んでたからなあ。失敗した。」
一人ぼやいていた。
「今日はのんびりするか。明日学校だし。」
朝食を済ませ、だらだらと遊んで一日が過ぎた。
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どうも、退屈な話です。
まず、自分の文章力がどうかを試したかったので、ここで切りました。
評価によって続きを書くかどうか判断します。どうかよろしく。
「んん・・・」
日曜と同じ晴れた月曜日の朝、少年は昨日と同じように起きた。
昨日と同じように郵便物を取りに行き、昨日と同じように顔を洗い、朝食を済まし、
いつもと同じように学校へ行く準備を始めた。
「あ。」
リビングで、ふとあの手紙を思い出した。やはり気になるのである。
テーブルの上にある手紙はさぐった形跡があった。
「やっぱり父さんのかな。」
中身を見てみると、何も書き込んだ跡はない。
「母さんのかな、けど普通はあっちの住所に直接送るんだけどな・・・。」
少年ははっと気づいた。
「俺宛?」
少年宛の郵便物は年賀状や、誕生日にくるものであった。
初めての体験に浸っていると、いつもの家を出る時間を時計は指していた。
「もう行くか、手紙のことは後だ。」
部活の用意と、通学かばん、薬のビンを持って家を出た。
「お〜い、コウスケ〜。」
コウスケと呼ばれた少年は振り返った。
「やあ。」
「よ。」
軽い挨拶を交わした後、学生特有の雑談に入る。
「あの敵が強くてさー、何度もコンテニューしたよ」
「やっぱり。お前もか」
雑談の中でふと手紙のことを思い出した。
「なんか昨日、変な手紙が来たよ。」
相手は簡潔に
「どんな?」
と聞いてきた。
「巻きますか、巻きませんかって書いてあるだけなんだよ。」
「誰宛?」
コウスケは少し期待しながら発言した。
「俺。」
友人はあ然とした顔で
「うそっぽー。」
「事実なんだから仕方ないだろ。」
コウスケは予想どうりの行動をした彼を愉快に思っていた。
そして、
「もしかしたら一学期始まってすぐに来なくなった桜田からの呪メールか。」
といった。
「それはフツーありえないだろ。」
「やっぱそうだよな。桜田、受験失敗して性格ゆがんだな。」
「確かに。」
相手が話を変える。
「んでよ、あの敵、どうやって効率よく倒す?」
「さあな自分で考えろ。」
「けち。」
学校に着いても、退屈ないつも寝ている授業中もコウスケはなぜかあの手紙のことが気になった。
授業が一通り終わり、生徒たちは楽しみの部活動を始める。
「それで、昨日は発作が起きたと。」
「はい。」
職員室からコウスケと、先生の厳しめの声がする。
「じゃあ今日はあんまり激しくするな。お前は心臓が弱めだからな。」
「わかりました。」
コウスケは返事をして職員室を出た。
コウスケは心臓が弱いのだ。だからスポーツ前に、いつも薬を飲んでいる。
日常は大丈夫だが、部活を素でやると、後でかなりの激痛が心臓に走る。
「んぐっ」
コウスケは薬を飲んで部活をはじめた。
部活も終わり、コウスケはいつもは友達と寄り道するのだが、急用があるといって
一人先に帰った。あの手紙が気になるのである。
「あった。」
コウスケは悩んだ
「どっちに○をつけよう?」
5分ほど悩んだところで答えが出た。
「返事出さなきゃ大丈夫だな。」
コウスケは<まきます>に丸をつけ、風呂に入り、ベッドで眠りに落ちていった。
リビングに現れた二つのカバンに気づかずに。
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火曜日の朝、コウスケはゆっくり起き上がり、外へ重い足取りで外へ郵便物を確かめに行き、
洗面所で顔を洗い、リビングへ向かう。
「んん?」
リビングに入ってみるとトランクが二つ、無造作に置いてあった。
「父さんのか?」
コウスケはトランクをまじまじと見つめ、
「出張なんて聞いてないしな・・・」と一人つぶやく。
昨日きた<まきますか>の不審な手紙の時と同様、やはり好奇心に負けた。
「あけてみるか。」
重い作りのトランクに指をゆっくり近づけると、「カチャ」とトランクの鍵がひとりでに開いた。
予想外の出来事にコウスケは驚き、発作を起こした。
「うっ・・・げホッ、か、かはっ、ぐううう、う、、く、くそ、、あぐ、う、は、はや、く、しない、と、」
やっとの思いでテーブルまで這って行き、テーブルの上に置いてあるにある心臓の薬を取り、震える手でふたを開け中にある錠剤を個数かまわず飲んだ。
「んぐっ、く、は、はあ、はあ、はあ、はあ、ふう」呼吸を整える。
「何だこれ、反則的なドッキリだな。殺す気か?ったく。」
父親への悪態を一通りつくと、電話をかけるため立ち上がった。
コウスケは基本的に、発作が起きると学校を休むことになっている。
「あ、先生。今日は発作が起きましたので、休ませてもらいます。」
コウスケは電話を終えると、トランクをあける続きを再開した。
鍵はすでに開いている。後はトランクの蓋を開けるのみ。
「今度はもう驚かねーぞ。」そう言って蓋に手をやり、ゆっくりと開ける。
トランクの中にある物が、光に照らし出されていく。
「ぶっ!」コウスケはトランクの中に入っていたものを見て、また発作を起こしそうになった。
「ナンだよコレ、父さん趣味悪ー。しかもこれ男子じゃん。」
中に入っていたのは青い服を着た人形だった。それも、限りなく人に近い。
「どっかでもらってきたのか?この分じゃ、もう一つも・・・」
コウスケはもう一つも開けてみる。「カチャ」やはりトランクはひとりでに鍵を開ける。
「センサーでもついてんのか?」と言いつつ、トランクの蓋を開ける。
もう一つは緑色のドレスを着た、ロングヘアーの人形。
「こっちは女子か。なかなかかわいいじゃん。 ん?」
見てみると、金色の装飾が施されたゼンマイが着いている。
「巻いてもいいよな。父さんが無造作においてるのが悪いんだし・・・」
青い服を着た、帽子をかぶっている人形から巻くことにした。