17時25分 バイオ観賞
389 名前:24っぽいカナ?[sage] 投稿日:2006/01/28(土) 17:25:43 ID:bED1MOf7
僕の名前は桜田ジュン。訳あって今は自宅に引き込もっている。
Oh very funky!
アリスゲームはリアルタイムで進行している。
17時25分
僕は今リビングで翠星石とCATV「バイオハザードⅡ」を見ている。
「ジュン!どうしてコイツら全然死にやがらないんですか?」
「コイツらは生きてないんだよ。生きてない、つまり犬の糞と大して変わらない。
あ、生きてないのは、お前らと一緒か!ハハハハハハ!」
「…………………」
暇な奴らリアルタイムに続き書いてくれ!
18時30分 辛苦登場
391 名前:389っぽいカナ?[sage] 投稿日:2006/01/28(土) 18:09:01 ID:FtbSV26U
18時30分
物語は、クライマックスを迎えた
「ついに此処まで来たな…」
「ですぅ…」
パチッ
『やぁ、くんくん探偵の時間だよ』
「「え?」」
二人して振り向く、そこには赤色の物体が
「くんくんは最高なのだわ」
翠星石と顔を見合わせた。
二人の瞳を染めた憤りは、さながらゾンビを前にした主人公と同じ色
分る、分りますぅ。
貴方の考えが手に取るように…
そして、僕らの静かな復讐劇が始まった。
19時00分 J&翠、密談開始
393 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2006/01/28(土) 22:12:00 ID:5o+g9osb
17時00分
怒りを胸に滾らせて、僕と翠星石は物置でいかに真紅に復讐をするか話し合っていた。
「さて、まずはあの外道真紅をどうやって始末するかだな」
「そうですね。 問題は誰にも気づかれないようにすることです」
「洗濯のりや雛苺にも気づかれないように……難しいな」
僕は眼鏡を持ち上げ、いい策がないか思考する。
「あっ」
「何かいい考えが浮かんだんですか?」
「お前の力を使って僕の夢の中に閉じ込めればいいんじゃね?」
「うはwwおkwww」
そして、僕らの静かな復讐劇が始まった。
02時27分 吉川ひなの
399 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2006/01/29(日) 02:27:34 ID:mSAsDXyN
>>393っぽいカナ?
2時27分
僕は映画の続きが気になって寝つけなかった
真紅のせいだ!アイツのくんくん好きは異常だ。
僕の預金を勝手に使いくんくんグッズを買いあさっている。
僕の誕生日をひつように聞いてきた時に気付くべきだった
暗証番号を誕生日にしていた僕も僕だが…
だがもう限界だ!人間様の怒りを喰らうがいい!
僕は真紅のくんくん人形を手に取ると油性マジックで落書きをし
最後に大きく書いた…
『ひなの』
フフフ明日が楽しみだ…
僕は気が済み眠りについた
繋がってないカモ
22時50分 通販開始
403 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2006/01/29(日) 12:23:57 ID:MQtBClJ/
>>399かしらー!?
22:50
真紅「こ、これは……!」
寝る直前になってようやく気づき、愕然とする真紅。
ジャム「うはwwww何この達w成w感wwwww(コソコソ」
翠「やってやったですぅwwwジュンが全然寝やがらないですから計画は断念せざるを得ないと思っていたですけれど……ジュンにしてはいいアイディアですw(コソコソ」
真紅「……まぁいいわ、新しく買い換えましょう」
翠「ちょwwwまっwwwwwwww」
真紅「さあ、通販通販。えーっとくんくん探偵SPDX人形2万円……買いね。受取人桜田ジュン、住所は……」
その瞬間、僕の中で何かが音を立てて切れた。
コレで>>392に続けばいいかしらー!?
22時00分 辛苦活動停止
392 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2006/01/28(土) 22:04:16 ID:8yvWYNTg
22時00分
真紅の集めたくんくんグッズを燃やしたりしていたら動かなくなった。
翠星石がスーパー真紅くん人形と名前を付ける。
翠星石が野々村真並みの回答をしたのでボッシュート。
同時刻 水銀、辛苦と邂逅
395 名前:392かしら~[sage] 投稿日:2006/01/28(土) 22:23:40 ID:BrF4sd0B
同時刻
買い置きのヤクルト狙いで桜田家の冷蔵庫を漁る水銀燈がいた。
突然聴こえたお馴染みの効果音に驚く。
ジュン「テ~レッテレッテ~~」
翠星石「これで集中して観られるです。」
銀「(ビクッ!!)」
ジュンがゴミ箱に何か大きな物を捨てたところだった。
銀「…あの人間、そろそろ頭がヤバイわぁ。」
ジュンが去ったのを確認してゴミ箱を覗き込む。するとそこには…。
銀「し、真紅! ちょっと貴女どうしたのよ! ねえ、しっかりしなさいよ!」
揺さぶっても何の反応も示さない真紅。
彼女はござに包まれ、ゼンマイ穴には新聞紙が詰め込まれていた。
銀「契約を結んだドールを捨てるなんて前代未聞だわ!」
水銀燈は怒りに震えた。
22時15分 ガチサド
408 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2006/01/29(日) 19:40:14 ID:mSAsDXyN
じゃあ>>395の続きっぽく
22時15分
「まずは状況を理解しないとぉ。真紅起きなさぁい」
水銀燈は真紅を揺らす。だが真紅は動かないままだ。
「ほらぁ、起きなさい真紅」
バシッ
水銀燈は真紅の頬をぶった。だが真紅は動かないままだ。
「ほらぁ」
バシッ
「ちょっとぉ~」
バシッ
「早くぅ」
バシッ
「フフフフ…楽しいわぁ」
バシッバシッバシッバシッ…
「っ!す、水銀燈!何故貴方が此処に
バシッ
「痛いわ!ちょっ
バシッ
「早く起きてぇ真紅」
「ま、待ちなさい!もう私は起きて
バシッ
「フフフフフ…アハハハハハハハハハ…」
バシッバシッバシッ
彼女は当初の目的も忘れ一心不乱に真紅の頬を張り続けた…
409 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2006/01/29(日) 20:15:16 ID:IUFT3Ebu
真紅「や、やめなさい、、、っ やめ、、、て、、、や、、、 、、、、も、もっとぉ~」
22時16分 22時16分 クリスタルボゥイ(少年)
411 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2006/01/29(日) 21:51:38 ID:6MNQ2ipr
ローゼンSSは初めてですが、勝手に続き書きます。
>>408
22時16分
水銀燈は馬乗りになって真紅の頬を張り続けていた。
永遠のライバルとも言うべき真紅が自分の手によって頬を赤くし、
「もうやめて」と哀願している。
「これが、これが、真紅の肌……!」
叩きながら、水銀燈の唇は不倶戴天の妹の名を連呼していた。
真紅の頬は、その名を具現化したように真っ赤である。
対する水銀燈の手の平も真っ赤であった。ヒリヒリとした痛みと熱が
水銀燈の精神に直接流れ込んでくる。それが無視できない強さになった時
流石の水銀燈も(しまった)と後悔した。何の為に真紅を叩いているのか。
真紅がゴミ箱に捨てられていた原因を聞く為である。断じて
真紅を叩き続けることではない。悪戯が過ぎた。もうやめようか、と思う。
だが、真紅の頬を伝わる涙を見た時、水銀燈の自制心は一気に吹き飛んだ。
手の平だけでなく、体全体が灼熱化する。腹の底から…人間でいえば
子宮にあたる位置から『真紅の』熱を持った塊が背筋を伝わり、水銀燈の
精神を炊きつける。燃え上がる炎の中で、僅かに凍りついた部分が
この状況を分析し、論理的結論を出す。
水銀燈が置かれた現実。
それは単純明快であった。
真紅が己の手によって息も絶え絶えであり、自分の意志一つで
ローザミスティカを奪われジャンクになることも、或いはこの場を
見逃して真紅を助けることも出来る。
(真紅の命は私の手の中!)
もう真紅がジャンクになりかけていたことなどどうでも良かった。
ローザミスティカを奪うことも、アリスになることも、今は二の次だ。
真紅を私の絶対的支配下に置く。
これほど心踊る時間があっただろうか!
412 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2006/01/29(日) 21:54:18 ID:6MNQ2ipr
>>411続き
真紅は静かに涙を流していた。水銀燈が頬を叩く手を休めたことに
不審を抱いたのか、震える瞳が水銀燈を見上げた。
「……水銀燈?」
水銀燈の唇は動かなかったが、答が無いわけではなかった。
水銀燈の瞳が、悪巧みを思いついた翠星石のオッドアイそのままに
妖しい光に包まれている。
「ねぇ、真紅ぅ~」
水銀燈は猫撫で声を出して、真紅の肩を抱きあげた。
そして、母親が赤ん坊をあやすように真紅の涙をすくう。
「フフフ、かわいわぁ真紅」
目を丸くする真紅。
自分を敵視する人形から出た意外な言葉に真紅の活動が止まる。
かまわず水銀燈は真紅の頬を両手で挟んだ。
「ひゃぁ」熱を持った頬に冷たい水銀燈の手の感触が重なり、
真紅がらしくない悲鳴をあげる。水銀燈の瞳が獲物に飛びかかる虎のように
細められ、次の瞬間、真紅の唇の上に水銀燈のそれが重なっていた。
廊下に動くものは何もなかった。
存在するのは、2体のローゼンメイデンだけであった。
それすらも『人形』のように動かなかった。だだ真紅の指先が
思い出したようにビクリ、ビクリと反応していた。
真紅がもがきはじめたのは、水銀燈に唇を奪われてから
たっぷり1分が経過してからだった。
413 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2006/01/29(日) 21:56:04 ID:6MNQ2ipr
「……!! ……!!」
真紅が何事かを喚くが、言葉になるわけがない。
水銀燈の舌が真紅を蹂躙しているからだ。逃げようとする真紅の舌先を追い廻し、
絡めあい、口胞内の粘膜という粘膜と触れ合うことを欲している。
真紅は水銀燈の体を引き剥がそうとするが、無駄だった。頬叩きで体力を奪われた上、
水銀燈の力と体勢による有利が、真紅の抵抗力を完全に上回っている。
(い、いやぁぁ……じゅ、ジュン……!!た、助けて……!!)
真紅はジュンに助けを求めた。
真紅は2つの点で幸運であった。
まず、ジュンの現状を知らずに済んだこと。
もし真紅に透視能力があれば、彼女は、翠星石がジュンの膝の上に乗り、
髪を手で梳いて貰いながら幸せそのものの笑顔で目をつぶる光景を
見たことだろうから。
第ニに、実際に真紅に援軍が現われたからである。
援軍というにはあまりにつつましく、そもそも人ではなかったが、
彼女の強さは人間を遥かに上回る。
「真紅に何をしている、水銀燈!!」
苛烈な声が水銀燈の耳朶を打った。
翠星石に良く似た顔立ち、しかし雰囲気は到底似つかぬ少年の格好をした
『ローゼンの人形』が立ちはだかっていた。既に手には巨大な鋏を具現化させ、
決闘の場に臨んだ戦士のように全身を臨戦体勢に突入させている。
『蒼星石……!!』
はからずも真紅と水銀燈は、翠星石の妹の名を同時に呼んだ。
拙い展開でスマソ。
続きドゾ~。
413の続き
441 名前:413の続きじゃ[sage] 投稿日:2006/01/30(月) 02:22:50 ID:7PHZjX/U
鋏を構える蒼星石、真紅を押さえつけたままの水銀燈。
両者の距離はドールズの歩幅で数歩である。
水「(ローゼンメイデンで最も素早い蒼星石を相手にこの距離は…動けない、迂闊だったわ!)」
水銀燈が少しでも動こうとすれば、庭師の鋏が確実に彼女を破壊するだろう。
周りを見ずに真紅に夢中になった結果であった。
蒼星石は圧倒的有利な立場にあり、いつでも切り掛かれる体勢だが、頭の中はパニック寸前であった。
無理も無い。1階に降りてきてまず目に入ったのが、嫌がる真紅の唇を無理矢理奪う水銀燈だったのだ。
そういう方面に耐性が無いであろう彼女がこれを見て驚かないわけがない。
蒼「(この二人は何をやってるんだああっ!)」
真紅は蒼星石に目撃されてしまったことがショックのようで、声を発する事ができない。
数分に渡る膠着状態を破ったのは水銀燈だった。
水「ねぇ蒼星石、真紅の様子がおかしくて…。」
蒼「だからってどうして廊下でこんなことを!」
水「じ、人工呼吸よ! そんなことも知らないのぉ?」
苦しい言い訳である。意識が明瞭で自立呼吸をしている場合には人工呼吸の必要が無い…。
水「とにかく真紅を休ませなきゃならないわ。あなたこの子の鞄が何処にあるか知らない?」
蒼「真紅の鞄はジュン君の部屋だ。わかった、僕が持ってくるからここに居て。」
庭師の鋏を収めて警戒を解いた蒼星石は、逃げるように2階へ向かった。
とりあえずこの気まずい空気から逃げたい3人であった。
22時30分
443 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2006/01/30(月) 03:02:06 ID:h5F3g8kR
>>413の続きが投下されてるうううっ
書いちゃったので、分岐投下しちゃうお
22時30分
「あらぁ、見て解らないのぉ? 真紅と愛し合っていたのよぉ」
「貴女、何を言って」
「もう隠さなくてもいいのよ。蒼星石に見られちゃったしぃ」
真紅が困惑し、蒼星石が目を丸くする。
トドメとばかりに、再びディープな口付けを蒼星石に披露する。
「あん、真紅のお口、おいしいぃ」
「やめ……水銀、とぉ……」
蒼星石の顔がみるみる真っ赤になる。
「ふ、不潔だよっ。お父様がお怒りになっても知らないからッ」
そう言って彼女はそそくさと退散した。それを見てから水銀燈が真紅を突き放す。
「遊びは終わりよ」
「遊びだったのっ?!」
「当然よ。それとも、本気にしたぁ?」
「馬鹿言わないで。それより、誤解されちゃったじゃないの。どうしてくれるのよ」
「知らなぁい。自分でなんとかすればぁ。あッ、ヤクルト発見!」
冷蔵庫でヤクルトを見つけた水銀燈は、そっちに夢中になってしまった。
「これも全部、ジュンのせいなのだわ。ブチ殺す!」
復讐を胸に、ジュンの元へ向かう真紅だった。
441続き
451 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2006/01/30(月) 15:55:24 ID:PHM5wo41
>>441続き
「水銀燈、あなた何をしたのかわかっているの!?」
真紅の声が静寂を切り裂いた。水銀燈は、ふらつきながら階段を上っていく
蒼星石を呆けたように見つめていたが、真紅の言葉をきっかけにようやく我に帰った。
「え……。な、何よ」と真紅の方に顔を戻す。
真紅が責めるような視線をぶつけてくることにたじろぐ。
蒼星石に真紅との情事(?)を見られたことは、
水銀燈にとってかなりの衝撃を与えていた。
その為に、流石の水銀燈といえども理性回路が混乱していたのである。
真紅の声は水銀燈の顔に冷水を浴びせたのと同じ効果をもたらした。
とりあえず表情だけでも笑みを浮かべ、何もかもさけずむようないつもの態度を取り戻す。
「何って……あなたとキスしていただけじゃない。
それともあなたの唇を味わったと言い換えた方が良いかしら」
「私が問いたいのは行為の定義付けではないのだわ!
貴女が如何なる意志をもって私に狼藉を働いたかを尋ねているのだわ!」
「そんなこと云われてもぉ」
水銀燈は本当に困ってしまった。
答えようがない。真紅を起そうとして彼女の頬を叩いているうちに情動に襲われ、
それが高じて突発的行動に出ただけの話。
『そこに山があるから登るんだ』以上の解答を出しようがなかった。
452 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2006/01/30(月) 15:57:06 ID:PHM5wo41
水銀燈が答えあぐねていると、真紅の唇が震えだした。
ひそめられた細い眉。目の前に水銀燈がいるのに、目には水銀燈が映っているのに、
真紅の瞳は水銀燈を捕らえていない。ただ己の内側に向いている。
真っ赤になっていた頬から血の気が引いていく。
破滅の予感に襲われた真紅は、自らの肩を抱いて嗚咽をあげはじめた。
「ああ、もう私は終わりなのだわ!
強制的とはいえ、水銀燈と破廉恥な行為をして、更に他人に見られてしまうなんて。
私は汚れてしまった。アリスとしての資格を失うどころか、
ローゼンメイデン第5ドールの名はこれで地に落ちてしまうのだわ!」
よよ、と泣き崩れる真紅。
すると、水銀燈の漆黒の翼がザワザワと総毛立ちはじめた。
真紅を見下ろす水銀燈の目に、次第に剣呑なものが混じりはじめる。
水銀燈が本気で戦う時の、容赦無く突き刺す剣の色が瞳を覆う。
「そんなに私とキスしたことが嫌なの?」
水銀燈の口から漏れた声は極寒の冷気よりも凍てついていた。
既に翼は大きく広げられ、無数の羽が水銀燈の意志一つで
いつでも発射できる態勢に入っている。真紅、絶対絶命! 仮にこの状態で攻撃を受ければ、
真紅のローザミスティカは赤子の手を捻るように水銀燈に奪われる。
そうなれば、ローザミスティカを2つ持つ水銀燈に適う相手はいない。
蒼星石、翠星石、雛苺、ことによったらジュンまで、今夜この家で、
物言わぬ骸に変わることになるだろう。
アリスゲームの勝者は水銀燈で決まる。
453 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2006/01/30(月) 15:58:22 ID:PHM5wo41
真紅の舌先にドール達の、ジュンの命運が乗っている。
この重大問題に対し、真紅は小さく首を振ってNOと答えた。
「あなたとキスをしたことより、その場面を蒼星石に見られたことの方が
ずっと大きな問題なのだわ。あの小娘が秘密を隠しておくなんて出来ない。
性悪翠星石が感づいて問えば簡単に口を割ってしまうのだわ。
そうなれば私は身の破滅なのよ!」
「ああ、なるほどね」
水銀燈は肩透かしをくった気持ちだった。
翼が張りをうしなってしなだれる。
溜息を一つつくと、水銀燈は真紅の傍にかがみこんだ。
「あなた、もうちょっと蒼星石を信用してあげたらぁ?
口止めをしておけば問題ないわよ。墓場まで秘密を持っていってくれるわ。
本人は悩むかもしれないけど」
水銀燈の慰めに、蒼ざめた真紅の頬が僅かに薔薇色を取り戻す。
「そうかしら」
「そうよ」
「本当に?」
「あの子は誰? 生真面目蒼星石でしょぉ。
翠星石や金糸雀だったら話は別だけどぉ。
壊れない限り秘密は守ると思うわぁ」
水銀燈と真紅はお互いの息がかかるほどの距離で見詰め合っていた。
どちらともなく「ふふっ」と笑いをふくんだ息が漏れてお互いの鼻先にかかる。
強張っていた真紅の顔が本来の柔らかみを取り戻す。
「これで一件らくちゃ」
「全て見させてもらったのかしらぁ!!」
454 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2006/01/30(月) 15:59:41 ID:PHM5wo41
無意味に元気が良い通る声が桜田家の廊下を駆け抜ける。
2体の人形は文字通り飛び上がった。
水銀燈は弾かれたように顔を上げ、真紅は身体全体で振り向く。
彼女達の視界は廊下の中心に固定された。そこにいた者は……
両足を肩幅45度に開き、左手は腰に当て、胸をはって仁王立ちになる人形。
原色の黄色をつかったやたら目にまぶしい服をつけた、
雛苺とままごと遊びするのが似合いそうな幼い顔立ち。
水銀燈のすぐ下の妹とは到底信じられぬローゼンメイデン第2ドール。
『金糸雀!!』
「これは一大スキャンダルなのかしら!
宿命のライバル、水銀燈と真紅のディープキス。
これにはカナも驚いたのかしら。思わず写真を撮ってしまったのかしら」
「ああ、なんてこと!!」
真紅が絹を裂くような悲鳴を上げた。金糸雀の右手には、
恐らく契約主のものであろうデジタルカメラが収められていた。
真紅は、無機質なデジタルカメラのレンズが、
まるで何処かの緑色動力パイプ剥き出し量産機モノアイの如く不気味に輝いたのを確かに見た。
「あなた、いつから…」
「水銀燈が狂ったように真紅の頬と叩いていた時かしら。
戦いの気配に何事かと思ってきてみたら、凄いネタに出会えたのかしら。
たまには自分の脚で動いてみるのも良いのかしらぁ」
金糸雀は嬉しくてたまらないといった様子でカメラを撫でた。
金糸雀の視線が一瞬下を向く。その瞬間を逃す真紅ではない。
ローゼンメイデンの力が真紅の指先に凝縮し、
薔薇のレーザーがデジタルカメラを撃ち抜こうとして……
455 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2006/01/30(月) 16:01:11 ID:PHM5wo41
「動くな!!」
金糸雀、裂帛の気合が真紅の動きを止めた。
水銀燈と何度も対決して一歩も引かなかった真紅がたじろいだ。
指先に集めた力が大気中に溶け出していく。「か、金糸雀」と力無く呟いた真紅、
真紅の様子に満足気な金糸雀を、水銀燈が「へぇ」と交互に視線を向ける。
「まずはカナの話をききやがれなのかしら」
翠星石かと間違えるような台詞で前置きして、金糸雀は真紅に語る。
「真紅と水銀燈の写真データは、もうみっちゃんのパソコンに送ったのかしら」
「なっ、なんですってぇぇぇぇ」
「だからこのカメラを壊しても無駄なのかしら」
金糸雀は勝ち誇った。
そして、ムンクの叫び状態になった真紅に追い討ちをかける。
「あと私を倒そうとしても、もっと無駄なのかしら。
私が倒れたら、みっちゃんが写真を全世界のマスコミに送りつけてやることになってるのかしら。
明日の朝刊は凄いことになるのかしら。○ゥが取材に来ることも確実なのかしら!
マスコミに野次馬の大群がこの家に押し寄せる。
それに真紅のミーディアムの精神が耐えられるとは思えないのかしら。
だから私は真紅と同時にあなたのミーディアムの命を握ったのと同じなのかしら!」
「お、終わったなのだわ……」
真紅はへなへなと床に崩れ落ちた。
456 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2006/01/30(月) 16:02:17 ID:PHM5wo41
彼女の名前は『真紅』なのに、いまや彼女の色は『真っ白』であった。
脱力しきった真紅、もとい真白は、焦点を失った瞳で床の木目を数えている。
さらに床に「の」の字を描きながら
「ごめんなさい、おとうさま、お父様、お父様、おとうさま、ジュン、お父様」と呟き続けていた。
実は、金糸雀の言葉は真っ赤な嘘である。
キスシーンをフォーカスしたことは事実だが、メールで転送したわけではない。
その余裕はなかった。ましてマスコミ云々はその場の出捲かせだ。
精神的な攻撃に弱い真紅の性格を見抜いていた金糸雀の作戦勝ちである。
もっとも、正面から真紅に戦いを挑んでも絶対に勝てないと云う金糸雀の事情もあったが……。
「あははは、ともかくこれでカナの勝ちなのかしら」
「へぇ、真紅をここまで追い込むなんて、さすがは私のすぐ下の妹ね」
水銀燈が真紅の脇を通りぬけ、一歩前へ出た。
くるくると小躍りしていた金糸雀がピタリと構える。
「搦め手から真紅を揺さぶるなんて、見事ねぇ。
でも私には通用しないわぁ。
私は別にローゼンメイデンの存在が人間どもに知られようが、
私と真紅のキスが新聞を飾ろうがどうでも良いんだからぁ。
私を倒すというのならば…」
水銀燈の翼が廊下一杯に広げられる。
「実力で倒すしかないわぁ」
457 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2006/01/30(月) 16:03:49 ID:PHM5wo41
金糸雀は沈黙していた。
俯き、何かを考えているようである。
水銀燈の戦闘力は真紅に匹敵する。
金糸雀の力では到底かなわぬことがわからぬ「ローゼンメイデン一の頭脳派」ではあるまい。
罠か……と水銀燈は思った。だが、金糸雀の罠などたかがしれている、とも思った。
翠星石や蒼星石が金糸雀とコンビを組んでいるならともかく、
金糸雀単体で出来ることなどたかがしれている。
ならば、正面から挑む!
水銀燈は脚を前に進めた。
一歩ずつ、金糸雀との距離を縮める。
「待つのかしら」
「なあに?」
水銀燈は立ち止まった。
金糸雀の攻撃を警戒したからではない。
死刑執行人が囚人の最期の言葉を聞き残す、その習慣を実行しただけのこと。
「遺言を考えついたのぉ? それなら聞いてあげるわぁ。
命ごいなら締め切りはすぎちゃったけどぉ」
「水銀燈は勘違いしているのかしら」
「?」
「水銀燈のミーディアムは誰なのかしら?」
「!!?」
水銀燈の青白くと云って良い肌にさっと赤みがさした。
「戦いにミーディアムなんて関係ないじゃない」
と云いかけた水銀燈を金糸雀は制し、己の言葉を最後まで聞けと諭す。
「この間、カナは散歩に出掛けたのかしら。
たまたま病院の上を通りかかったのかしら。
そうしたら、水銀燈、あなたとミーディアムの姿をベッドの上で見かけたのかしらぁ」
「か、金糸雀!」
458 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2006/01/30(月) 16:05:21 ID:PHM5wo41
水銀燈は悲鳴に近い声で妹ドールの名を叫んだ。
それをBGMとして、金糸雀は会心の笑みを浮かべる。
「病弱なミーディアム。若くして断ち切られる人生。なんて儚いのかしら。
でも水銀燈、あなたが身体をはってミーディアムを慰めるなんて、カナ、
思わず目を疑ってしまったのかしら。自分の目が信じられないのなら、
カメラなら事実を確かめられると思ってシャッターを押したのかしら」
「し、真紅……。
わ、私も終わったわぁ」
黒い翼を純白にかえて、水銀燈は後にひっくりかえった。
ちょうど真紅の膝の上に頭を預ける格好になる。
放心した水銀燈の髪を、真紅は無言で梳いた。
「あーーーははははははっ!!
薔薇乙女No1の知謀は伊達じゃないのかしらぁ!!」
のけぞりかえらんばかりに高らかに勝利宣言を詠う金糸雀。
これだけ騒いでいるのにリビングから出てこないジュンと翠星石も
ただならぬことになっていそうだが、それはそれとして、
桜田家の廊下は金糸雀の手中に落ちた。
「水銀燈! 真紅!
あなたたちは今からカナの下僕になるのかしら!」
「……下僕?」
生気ない仕草で真紅が顔を上げる。
「聞き間違え無いのかしら。あなたたちは下僕。カナの言うことには絶対服従なのかしら。
では最初の命令。あなたたちのローザミスティカを私に差し出すのかしら!」
『は?』
真紅と水銀燈が身を起す。
戸惑いをこめた視線が金糸雀に送られる。
「2度は云わせないのかしら。 2人はカナの下僕なのかしら。
写真がばらまけれてミーディアムが廃人になったり命を落す姿を見たくなければ
さっさと私にローザミスティ」
100%勝利の美酒に酔っていた金糸雀の言葉が止まった。
459 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2006/01/30(月) 16:07:40 ID:PHM5wo41
金糸雀の背後に出現した水銀燈が、金糸雀の首を掴んでいた。
「ぜ、ゼロシフトなのかしら」
金糸雀の首筋をだらだらと冷や汗が伝う。
水銀燈の長い舌が一滴をそっとすくい、金糸雀は「ひゃああ」と悲鳴を上げた。
「ねぇ金糸雀」
ゆらり、と真紅が立ち上がった。金糸雀は思わず息を飲み込む。
そこにいたのは、抜け殻になった人形ではない。
超高温の蒼い火を瞳に燃やした、誇り高き第5薔薇乙女、真紅。
「あなた、土曜ワイドショーを見たことがある?」
「と、時々みっちゃんと一緒に見るかしら」
「2時間ドラマの犯人って、脅迫されて、逆ギレしちゃった人が多いのだわ」
「な、なんとなくわかるのかしら」
「なら、今の自分が置かれた状況がわかるでしょぉ?」
やけに甘ったるい水銀燈の息が金糸雀の耳元に吹きかけられる。
その瞬間、金糸雀は己の失策を悟った。
「先走りすぎたのかしらああああ!!!」
「ねぇ真紅、どうやって金糸雀をジャンクにしようかしらぁ」
「ダメよ水銀燈。ジャンクにする前に、私達を撮った写真のデータが
何処にあるかを白状させないと。それにこの精神的ダメージのお礼は、
単純にジャンクにするだけじゃ釣り合いが取れ無いわ」
「それもそうねぇ」
「真紅、水銀燈、あ、謝るから。
だから、た、助けてなのかしら」
水銀燈は金糸雀の命ごいを鼻先で笑い飛ばすと、翼で金糸雀をぐるぐる捲きした。
そして真紅と一緒に2階へ上っていった。
「あれ、金糸雀じゃないか。どうしたの?」と蒼星石が真紅に尋ねると、真紅は笑って答える。
金糸雀がどうしても私達に打ち明けたいことがあるのだ、と。
「玉子焼きあげるから許してなのかしらぁぁぁ」
続きドゾ~
459の続き
460 名前:459の続き[sage] 投稿日:2006/01/30(月) 16:44:23 ID:MSmf4rn8
一方、ジュンと翠星石は一足先に寝てしまっていた。
蒼星石は部屋の照明が消えているのを確認すると、静かに真紅の鞄を持ち出した。
蒼「(敵同士のはずの真紅と水銀燈が何故…これはアリスゲームとかそういうのに関係無く深刻だ。)」
1階へ戻ろうとすると、金糸雀を羽でぐるぐる巻きにした水銀燈と、立ち直ったらしい真紅が上がってきた。
460の続きではない
497 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2006/01/31(火) 03:24:31 ID:8tYcPamP
>>460の続きではないっすが…
同刻
「世界は間も無く闇へ堕ちる。今更貴様がどうあがこうが無駄なのだ…さぁ死ねロッテンマイアー!!」
はっと気がつくと見慣れた自分の部屋。どうやら夢を見ていたらしい。
「自分の寝言で目が覚めるとは僕もまだまだだな」
夢の内容は覚えていない。ただ何処か懐かしい夢だった。目には涙の跡がついていた。
「僕は泣いてたのか…」
とその時誰かが階段を上がる足音。
まずい。さっきの寝言を聞かれたか?!恥ずかしくなった僕は寝た振りをした。
部屋に入ってきたのは蒼星石だった。
蒼星石は物音を立てないようにして真紅の鞄を手にとるとそのまま部屋を出ていった。
そんなに金に困っていたとは…
0時00分
498 名前:460の続きっス[sage] 投稿日:2006/01/31(火) 06:46:54 ID:5czp1bNM
0時00分
1階のリビングに4体の薔薇乙女が集まった。
時計は既に日付変更を告げており、ジュン、のり、翠星石と雛苺は既に眠りについている。
蒼「とりあえず、何がどうなってるのか全然わからない。説明してもらおうか」
銀「私もサッパリわかんないわぁ」
金「だから、これはスキャンダルなのかしら~~うぐぇう!」
水銀灯が飛ばした羽、真紅が放った薔薇の花びらを同時に喉元に受けた金糸雀は悶絶した。
紅「金糸雀、まだ分かってないようね」
銀「お望みなら、今すぐにでもジャンクにしてあげるわぁ。わかったら大人しくしてなさい」
金「ひぃぃぃぃぃ!!」
金糸雀、完全敗北の瞬間であった。
蒼「…」
真紅は気絶する直前の状況を思い出していた。
意識が途切れる直前に見たもの、それは庭で次々とくんくんグッズを燃やすジュンと翠星石だった。
目の前で灰になるくんくん人形、それを見たショックで少しの間9秒前の白に逝ってしまったのだ。
紅「そう、思い出したわ。ジュンと翠星石が私の大切なくんくんグッズを1つ残らず焼却したのよ!!」
銀&金「くんくんグッズ?」
紅「そう、貴方達はテレビを観てないものね。くんくんは私の希望よ! 唯一の楽しみよ!」
銀「ちょっと落ち着きなさい真紅、あなたそのくんくんを燃やされたショックで気絶していたとか、そういうオチじゃないでしょうねぇ?」
紅「そうよ、私はショックで意識を失ったわ。悪い?!」
蒼「それで、気を失った真紅に君は人工呼吸を施した、と…」
銀「ぐっ、何よぉ貴方達、その視線は」
499 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2006/01/31(火) 07:06:05 ID:5czp1bNM
蒼「けど、どうしてジュン君と翠星石はくんくんグッズを処分したんだろう?」
紅「わからないわ、あの2人はとうとう狂ってしまったのだわ。気絶した私をゴミ箱に捨てたのよ!!」
原因は真紅の日頃の振舞いにあるのだが、本人にその自覚は無かった。
ジュンと翠星石が反撃のつもりでした今回の事も、真紅にとっては理不尽極まりない暴挙でしかない。
銀「とにかくどんな理由があろうと、薔薇乙女を廃棄するなんて許せないわぁ。」
蒼「へ?」
銀「契約した人間がドールを捨てるなんて、これは薔薇乙女全体に対する挑戦と考えられる…そうでしょう蒼星石?」
蒼「そ、それは…確かに真紅を捨てるなんて常軌を逸脱した行動だけどさ」
このとき水銀燈の頭の中には、全てをジュンと翠星石に押し付けて有耶無耶にする算段ができあがっていた。
真紅はもう共犯(?)なので問題なし、金糸雀は力技で抑え込んだ。
あとは蒼星石さえこちらに引きずり込んでしまえば、この一件は闇に葬れる。
立ち上がった水銀燈は宣言した。
銀「あの人間を懲らしめてやりましょう。」
紅「…そうね、もう一度、今度こそ主人と下僕の立場をはっきりさせてやるのだわ。」
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