季節は冬に変わり、日はイヴを指している。
肌寒い空の下、男女ペアをなし頬に笑みを浮べて
楽しそうに歩き回る、人間達。
その輪に紛れて、一匹の実装はそこにいた。
「寒…いデスゥ…」
飢えと寒さが彼を襲い、辛さと寂しさが周りを包む。
普通ならば、すでに力尽きているその状況下で、彼は命の火を灯し続けていた。

そこに、あるカップルが彼の傍を通りかかった。
「デスデス…デス…」(御腹が減ったデス。寒いです…)
人間達の道を塞ぐように出て、何かを訴え掛ける実装。
「え…?」
今まで楽しそうに話していた女の人が、実装を視界に入れ 急に言葉を濁した。
連れの雰囲気が変わったのを、すぐさま男が察し
煮えたぎる目を実装に向け、怒鳴り声をあげた。
「なんだてめぇ!? 邪魔なんだよ糞蟲!」
たじろぐ実装、だが実装には引けない理由がある。
これ以上、何の補給も無しに寒空の下で過ごす事は、
死刑宣告を受けるのと、同義だったからだ。
「デスデ…… デベッ!!」
食べ物を懇願し様とした矢先、巨大なものが彼を押し上げた。
遅れて届く、気合の入った耳障りな言葉。
「うざいんだよ!」
そう言いながら、男は実装を蹴り上げたのだ。
だが、実装には巨大な物 としか認識できず、
目の前に迫った男の足に、為す術も無く蹴り上げられていた。

そして、缶を子供が強く蹴り飛ばしたかのように
きれいな放物線を描いて、実装は空を舞った。
爽やかな空を尻目に、高度を徐々に落としていく実装。

ゴミ袋を地面に投げ捨てた時のような音をたて、地面へと着地した。
実装は地面と一体化しても、一切呻き声をあていない。
空を舞う途中で、彼が絶命していたからであろう。

命なき肉槐となった、彼の周りは 体液が飛び散っている。
何の因果か、新に流れる実装の体液によって、書き出された一つの言葉。
「メリクリ」
と、読めない事もない。

〜fin〜

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル