「水銀燈?」

足音が聞こえたので思わず声を出す。
夢の世界に乱入してくるなんて彼女くらいなものだ。

「あら、バレバレじゃない」

彼女は軽く笑みを含み、私のことを見ている。

「ねぇ、真紅。ちょっといい?」
「あら、何かしら」

いきなりの問いに聞き返すほかに手は無い

「アタシねぇ。今日一つ決めたことがあるのよぉ」
「だからそれは何?」

彼女は間を少し置いて、答えた

「アリスになるのを諦めるわ」

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