僕の名前は桜田ジュン。どこにでもいる公立中学校の生徒。ホントは某学校付属校を目指していたんだけど見事に不合格。
不本意ながら通っていた公立学校だけど悪くは無い。小学生のときにちゃんと勉強していただけあって何もしなくてもそこそこの成績を収めている。
親はよく思っていないけど、別に公立だからっていい大学にいけないとは限らないんだから別に中学なんてどこでもいいでしょ。
そう適当に納得してダラダラ生活してます。
姉は普通の進学校に通っているだけなのに、なぜ僕だけこう無理な期待をさせるんだろう。
中学受験に失敗してから口うるさいし、しまいには二人してどこかに行ってしまった。
最初は「夫婦で心中か!?」なんて驚いていたけど、姉が言うには仕事で海外出張らしく、確かに家族の口座には毎月まとまった額が振り込まれていた。
金には困らないなら別にいいや。気にしないことにしよう。
ある日、学校から帰るとポストの中に水道料金の明細書と一緒に何も書いていない封筒がひとつ。何かのダイレクトメールだろう。
僕はそれをポケットに入れて、クソ重いスクールバッグを二階の僕の部屋に運んで手洗いうがいを済ませ、制服のままリビングのソファーに横たわってテレビをつける。
しかしこの時間帯にやっているテレビ番組はどこも中途半端なもので、チャンネルを何回か変えてみて電源を切った。
「あ〜、暇」 意味もなく言った所でどうにもならない。
宿題は学校で終わらせてきた。テレビもつまらない。
ひとまず飴でも食べようとポケットに手を突っ込む。
(あ、さっきの封筒)
中の便箋には下手糞な文字であなたは運がいいという趣旨のことが書いてある。
人口精霊ホーリエがどうのこうの。記入欄があるけどあいにく筆記用具はここにはない。
僕は飴を噛み砕き、紙飛行機を折ってゴミ箱に向けて飛ばした。
(寝ようか。起きたら八時ぐらいにはなってるかな)
終わり