その日はよく晴れた、とても清々しい日だった。
太陽はまるで地上の生ける物全てを慈愛に満ちた微笑で優しく包括し、その全てを許容するかのように、ただ燦々と輝いていた。
窓の外からははしゃぎ合う少年たちの無邪気な声が聞こえてくる。
そう、世界は今日も平和であった。
流れ行く雲の合間から、キラリと光る物があった。
窓辺に立つ少年には、その光に何か思い当たる物でもあったのか、フッと軽い微笑みが漏れる。
「どうせ、窓開けたって、壊して入ってくるんだろうな」
少年は空を仰ぎながら鼻歌を奏でる。
かつて彼女のミーディアムがよく歌った歌。
かつて彼女が好きだった歌。
物憂げな表情を少しだけ浮かべて、少年は空より来る来客者を心待ちにしていた。
やがて……
がしゃーん!
「遊びに来てやったですぅ!」
「こんにちは」
だがその呼び声に答える者はいない。
「チビ人間! せっかく翠星石が来てやったんですから、お茶くらい……え……?」
「どうしたの、翠星石? ……うん? あ……」
「し、死んでる……」
少年には硝子が深々と突き刺さっていた。
おわり。