σ(⌒∀⌒;) ローゼンメイデン、大好きです。
          とにかく気持ちだけでも表現しました。

 真っ赤な夕日が青く染まりはじめた頃、ジュンはパソコンをやめたのだった。
 夕暮れのチャイムが僕のお腹のチャイムを知らせてくれた。雛苺もグ〜っとまねする。
「うにゅ〜食べた〜い。ジュン、ジューン!」
「あ〜うるさいなあ、もう」
 雛苺の抱っこがいつもより激しい。どうやら、今日の夕食でノリに乗ってるのかもしれない。さっとよけたり、
押しのけたりしながら、夕食が待つテーブルへ急ぐ。久々の姉ちゃん特性花丸ハンバーグが今日食べられる。だか
らたまにはみんなで食べるのも悪くない。一緒に食事するぐらい、たまには良い。僕でもこんな日ぐらい、ある。
 ジュンは自然鼻歌を歌っていた。
 雛苺も、せかせかして言った。
「真紅、早く早く」
「分かったわ。では少し黙りなさい」
「は〜い。花丸。はな〜ま〜るハンバーグ♪。」
 テーブルにつくと、ハンバーグの熱気に胸が躍った。
「早く、はやく!」
「ちびいちご、そんなに急いでも逃げないから」
「花丸ハンバーグ、うにゅ〜が楽しみなの」
 ニコニコしたのりが花丸ハンバーグを雛苺の所に運びながら言った。
「はい。ヒナちゃん。おまちどおさま」
「馬鹿イチゴ早く座りやがれですぅ」
 性悪人形の目が笑ってる。ニヤニヤが奴の口から感じられた。
 ジュンは嫌な予感を感じたが、とりあえず花丸ハンバーグの方へ気持ちを集中することにした。
「せ〜のなの」
「いただきまーす」
「ですぅ」
「なのぉ」
 黄色い半熟卵に白いドレス。そして焦げ茶色のハンバーグ。それぞれが、それぞれを引き立てている。一口食べる
と、肉汁がジュワーっと広がっていった。
「おいしい」
 素直な言葉が口から出ていた。
「はむ……はむんむ」
「ヒナちゃん、そんなに急がなくても」
「喉詰まって死ぬですぅ」
「だっておいしいんだもん」
「うふふ。ヒナちゃんありがと」
「ボス猿、私もなのですぅ。美味しいですぅ♪」
 雛苺すでにはんぶん食べ終わっていた。かきこんで食べるから、口のまわりが汚い。次の目標はうにゅうらしい。
「ヒナちゃん、ふきふき」
「ん〜ん〜。ん〜んん」

「雛苺、ゆっくり食べなさい」
「うにゅう。うにゅうが食べたい」
「はいはい。今取ってあげますからねえ」
 のりは急いで立ち上がると、冷蔵庫の中を探し始めた。しかし、すぐに困ったような顔になり、言った。
「あれれ。ないわねえ。どうしたのかしら」
「ボス猿、今日散歩がてら、食べたですぅ。しょうもないジジイと食うのもたまには悪くないですう」
「うにゅ? そんな、それはヒナのなの」
「そんなもん最初からないのですぅ」
「ええ。今日予約したの。翠星石、返して」
「返せるもんなら、ここで返してやりたいですぅ」
 真紅は二人を一瞥して言った。
「うるさい。ないものはないんでしょ。我慢しなさい」
「真紅もひどい。わあん、ジュン、お願い、ジュ〜ン」
「そうよジュン。買ってきなさい」
「うにゅう、食べた〜い」
「ごちそうさま」
 雛苺がそでを引っ張った。
「だめだ。離れろ」
「ジュン、お願いなの」
「我慢しろ」
「う゛わあああああん。今日は特別なの」
「あのなあ。お前にとってはが特別だろう」
「馬鹿苺、うるさいですぅ」
「だまりなさい」
「うわあああん。みんなひどいの。のり!」
「ごめんなさい。今日はちょっと無理なのよ。明日買ってあげるから、我慢して」
「の、のりまで」
「あ〜もううるさい。だまれ」
 ジュンはせっかくの食事を台無しにされて少しイライラしていた。足にしがみついてる雛苺が離れようとしないので、そのまま
階段にのぼることにした。
「ふぅ〜」
 ため息をつく。
「もうみんなのことなんか、知らないもん。ジュンのこともよ」
 雛苺の目は真っ赤になってた。彼女はしばらくぶす〜っとした目でこちらを見ると、鞄を開けた。
 カタン。
「そこで静かにしろ」
「ふ〜んだ」
 机に振り返り、パソコンをつけると、そこに見慣れないはがきがあった。
「また読めない勧誘か?」
『JUMへ。大好きなのよ。
  いつも一緒に居てくれて、すごくうれしいの。
                 雛苺よれ』
「意味分からん。これを雛苺が?」
 ミミズが死んだような文字にとまどいながら、雛苺の鞄を見る。この文字は雛苺に違いない。
「雛苺、これお前が書いたのか」
「ふ〜んだ、もう寝てるもん」
「いや、普通に寝てないだろ」
「ふ〜んだ」
 完璧にふてくされていた。これじゃあ、どうしようもない。

 バタン。ドアの閉じる音に振り返ると真紅が立っている。
「ジュン。雛苺はまた立てこもったのかしら」
「そうだよ」
「そう、しょうがない子ね」
 いつものことでしょ、そんな顔で見つめてくる。確かにこのままでも良いかもしれないが、このはがきを見ると。それに、翠星石もなにかしたに違いない。
(やっぱり……)
 はぁ〜、ジュンはため息をついた。
「ジュン、どうかした?」
「ちょっと文房具買ってくるから」
「そう。だめなしもべね」
 素っ気ない真紅に少し嫌な感じがしたが、気にしないことにした。玄関へおりると、のりと翠星石が話しこんでいる。
「ジュン君、どうしたの」
「ちょっと必要なものがあるから買いに行くだけだ」
「そんな、お姉ちゃんにたのめば買いに行くのに」
「そうですぅ。ボス猿を忘れるなですぅ」
「あ〜うるさいなあ。……行ってきます」
「いってらっしゃい」
「いってらっしゃいですぅ」
「まいどあり」
 雛苺と自分の分、それに真紅の買った。性悪人形のことは忘れたことにする。
「ただいま」
「翠星石、ひどいの」
「ちびいちご、待ちやがれですぅ。ちょっと聞けですぅ」
「うるさいうるさいうるさい!」
「あ、ジュン。お帰り」
「お帰りなの〜」
「ちびいちご、止まれ!」
「そうですぅ、止まれですぅ」
 翠星石はサッと潰れた『うにゅう』を取り出すと、言った。
「ほおら、潰れてしまったですぅ。」
「う、うにゅうが……」
 雛苺は泣きそうで、慌てて
「待って、泣くな。ほら、これを見ろ」
 二人は驚いて顔を見合わせた。
「ジュン、ありがと〜。大好きなの〜」
「ジュン! 私にも下さいですぅ」
「だめなの、だめなの」
「馬鹿いちご、うるさいですぅ」
 驚いた顔が一転、もう怒った顔が二つになった。
「こら、やめやめ。ほら、雛苺、二階行くぞ」
 雛苺は目を輝かせて言った。
「うん、早く行くの! ジュン大好きなの」
「ちび、お願いですぅ。くれやがれですぅ」
「嘘つきは黙ってろ。これはちびいちごのもの」
「う〜、この馬鹿ちび! チビチビチビ」
 後ろでぎゃーぎゃー騒いでる奴を無視しることにする。
「あ、こら。首に巻き付くな」
「大好き、ジュンのこと大好き」
「あ〜もう」
 だが、嫌なわけではなかった。部屋は静まりかえっている。

「よし。ちびいちご、食べるぞ」
「はいなの〜」
「ほら、そんな食べかたしたら……」
 雛苺の口を拭いてやると、隣に真紅がいた。
「なにが、『よし!』なのかしらね」
「あ、真紅。真紅の分もあるなの」
「ちょっ真紅。いつのまに」
「ず〜っと居たわ」
「ね〜」
 ふ〜っと真紅のため息が胸についた。雛苺の笑顔がただひとつの慰めだった

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