雪盲
作品集: 最新 投稿日時: 2009/01/10 23:59:18 更新日時: 2009/01/10 23:59:18 評価: 6/6 POINT: 40 Rate: 1.86
冬が来ると訳もなく悲しくなる、というのは誰の台詞だったろうか。
博麗神社の開放的な室内から戸外に降り始めた雪を望み、私は不意にそんな事を考えた。
風情を介する種類の生物ならばあるいは処女雪の静謐さに賛美の言葉を連ねもしようが、
私のような者にとって冬の訪れは病と飢えと死の表象に他ならない。
私が一介の畜生であった時代は遠い昔のことであるが、かつて野を馳せた者として言わせてもらえば
この雪の美しさはあまりに多くのものを覆い隠しているように思われるのだ。
慣れない台所で苦労して湯を沸かし、そこらにうっちゃってあった葉を使って茶を淹れる。
気温を計算に入れて少し熱めにしておく気配りを私の主人はことのほか喜んだ。
「紫(ゆかり)様、お待たせしました」
「……霊夢。敵よ、霊夢。倒しなさい」
神社の奥まった一室に私の主が人間の頭部ほどの球体を前に背中を丸めて座っている。
今頃は地面の下で奮闘しているであろうこの部屋本来の住人に言葉をかけると、
ようやく紫様は私の差し出した湯呑みに手を伸ばした。
「いかがでしょう、地底の様子は」私は間欠泉にも地底にも興味なぞない。
「さあ?分からないからこうして人間を下へ送り込んでいるわけだけど…
霊夢は駄目ねぇ。わたしが見ていないと真面目にやらないのだから」
困ったような口振りで返す紫様に、私は──ひどく苛立つ。
あの人間の話を振るだけであからさまに上機嫌になる主人にも、それに心をざらつかせる自分自身にも。
発端は永夜の異変の頃だと思う。あの夜私は紫様の手足として戦うことに満足していたが、
忌々しい月人どもにまつわる事件のために紫様は何かにつけて霊夢にちょっかいを出すようになった。
そして、いつしか紫様が変わっていった。
異変が起これば真っ先に顔を出し、巫女をせっつき、酷いときには親ら問題解決に走り回った。
今回にしても
「繰り返すようですが、紫様」
綺麗な雑巾、血脂にまみれない包丁ほど惨めな物はない。
なぜ、私ではなくあの人間を。地上の妖怪は地下に征くべきではない?
馬鹿げた話だ。八雲紫の意思に勝るものが幻想郷にあるとでもいうのか。
鬼が、忌み嫌われた妖怪が何だ。紫様が指一本動かせば私はたちどころに奴等の醢を今夜の食膳に供してご覧にいれる。
「貴方達(おにたち)が約束を破るとは思っていない。
さあ、そいつを地霊殿に案内してやって」
陰陽玉は地底へと紫様の声を届ける。
『紫、あんた何か隠してない?』
さりげないやり取りに私は私に久しく向けられたことのないものを
「ああ、神社にあったお茶はあまり美味しくなかったわ」
いや、私になどついぞ向いたことのない感情を認め、
『留守中に勝手に飲むな!』
衝動のままに私は私の感情を目の前の女にぶちまけた。
「………藍……?」
幻想郷に冠たる大妖が急須の茶を頭から浴びて口を開けている、というのはなかなかに不条理な情景だ。
式の乱心を咎めるでも有無を言わさず処断するでもなくただ呆然と過ぎる数瞬。
ああ、吸血鬼が生き血を啜らず、獣が人を喰らわないグロテスクな動物園の中で
私たちの関係だけが美しくシンプルな公式によって
成り立っていた。
強者が弱者を屈服させ蹂躙する、それだけだ。
「──ああ、いけませんね。すぐに冷やさないと。熱かったでしょう?」
強引に紫様の身体を床へ押し倒し、上半身の衣服を引き剥がす。
私が浴びせたものは既に熱湯というほどではなかったが、露になった白い肌はところどころ赤くなっている。
「紫様。あなたはこんなにも美しくて、柔らかくて」
唾液をたっぷり絡ませた舌で胸元をざらりと舐め上げる。
「ひぃっ!?」
「か弱い生き物だったのですね」
「やめて……やめなさい、藍」
腋から脇腹、魅力的な丘陵の麓を経てひときわ柔らかい腹部へと辿り着く。
ハラワタを引きずり出すのは勿体無いので可愛らしいおへそに舌を突っ込むことで妥協した。
「ううっ!」
「止めるのは貴女の方でしょう。聞こえますよ?霊夢に」
陰陽玉は地霊殿なる場所へ進入した巫女の姿を映し出す。
何かが起きればすぐに助言を与え、能力をもって救ってくれるはずの相手が
自分の式に組み敷かれて喘いでいると知ったらこいつはどう思うだろう?
霊夢の名前を聞いて紫様の目に決然とした意思が戻る。
やはり貴女はご自分自身ではなくあの人間のために力を振るわれるのですね。
「紫様……申し訳ありません」
「藍。分かったのなら」
「この状況では貴女が何をなさろうと無意味です。私の方が疾い」
私はお腹を愛していた口を紫様の喉まで滑らせ、躊躇いなく犬歯を根元まで埋め込んだ。
紫様の全身がびくりと痙攣し、ゆっくりと硬直に転ずる。
私は自分の舌にじわりと広がる血の味を口いっぱいに広げたい欲求を抑え、あぎとを離した。
「うつ伏せになって、お尻をこちらに突き出してください」
──紫様は、蒼ざめた顔をして命令に従った。
昼寝の時にでも枕代わりにしているのだろうか、霊夢の臭いが染み付いた
座布団があったので伏せた顔にあてがってやる。
下履きをことさらゆっくりと脱がせ、鼻先をむっちりとした肉の間に押しつけた。
「───!!」
イヌ科的には尻の臭いをかぐくらい挨拶の範疇なのでそう固くならないでほしい。
キスと同じだ、たぶん。
「んふっ…あむ…紫様の汚い穴、美味しいですよ…?霊夢にほじられてるって想像してみたらいかがです」
ぶんぶんと首を振るが、霊夢の座布団の匂いを胸一杯に吸い込みながらでは説得力がない。
いまだ手つかずの紫様の女の子の部分が垂らした涎を掬い、尻穴に注いでやる。
「心配しなくても可愛がって差し上げますよ。お尻だけじゃなく前もね」
「んう……ああ!うああ……」
紫様の腰に覆い被さって腕を回す。
指先を熱く濡れそぼった秘部へ、尖らせた舌を改めて後ろの穴へあてがい動き始める。
入り口付近を小刻みに出し入れされる舌から紫様は懸命に逃れようとし、
その度に却って深々とクレヴァスを抉られ矯声を漏らす。
「あうぅ……はぐ、れいむ、もう駄目、いっちゃう……!」
「ええ、いきますね」
最後の深い挿入とともに、紫様は終わった。そして、もう一人も。
「終わりましたよ、紫様」
陰陽玉が円く映し出す映像の中、紅白の蝶が落ちていく。
追い詰められて切り返しもせず、何もない壁をぐいぐい押しているのだから被弾して当然だが。
博麗が落ち、八雲の堕ちた幻想郷の運命を嘲笑い、私はただ紫様の御髪を撫でた。
ここまで駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました
背番号8
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2009/01/10 23:59:18
更新日時:
2009/01/10 23:59:18
評価:
6/6
POINT:
40
Rate:
1.86
1.
7
点
とくめー
■2009/01/11 00:49:28
駄文なんてとんでもない。
短いながら藍の心情がいい味を出してました。
2.
7
点
名前が無い程度の能力
■2009/01/16 00:03:51
藍様こえぇ…
主従逆転ものは良いものですね!
3.
6
点
nanasi
■2009/01/16 00:37:46
短いけど、雰囲気がとてもエロい
霊夢の匂いかぎながら尻穴を舐められる妄想をしていっちゃうゆかりんが特に素敵です
いいぞ藍様もっとやれ
4.
7
点
グランドトライン
■2009/01/22 22:40:07
まだ気付かないのか?その地底から放たれた呪いであることに。
畜生としての面を重視した藍の心理描写は良く出来ており、彼女が猛獣であることを改めて認識できました。
それに恐れて弱弱しく振舞いつつも、霊夢の匂いに夢中な紫も良い味出しています。
テーマの消化方法も凝っており、ネチョで反藍を見られるとは思ってもみませんでした。
最後のフォーリンダウンのシンクロには笑わせてもらった。
GAME OVER
5.
7
点
名無し魂
■2009/01/23 20:00:52
藍には自分が紫の第一の家臣であるという自覚を持っていたが、
永夜事変以降、段々紫が霊夢の方ばっかり見ていることに気づいた。
嫉妬心が生んだ悲劇。
ああ、幻想郷とはこうも残酷な世界なのか…。
> 追い詰められて切り返しもせず、何もない壁をぐいぐい押しているのだから被弾して当然だが。
ゆかれいむ6面道中の死亡原因はこれだったのか!
6.
6
点
泥田んぼ
■2009/01/23 23:56:29
黒い藍しゃまがいる……
橙には見せられないね! いいぞもっとやれ
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短いながら藍の心情がいい味を出してました。
主従逆転ものは良いものですね!
霊夢の匂いかぎながら尻穴を舐められる妄想をしていっちゃうゆかりんが特に素敵です
いいぞ藍様もっとやれ
畜生としての面を重視した藍の心理描写は良く出来ており、彼女が猛獣であることを改めて認識できました。
それに恐れて弱弱しく振舞いつつも、霊夢の匂いに夢中な紫も良い味出しています。
テーマの消化方法も凝っており、ネチョで反藍を見られるとは思ってもみませんでした。
最後のフォーリンダウンのシンクロには笑わせてもらった。
GAME OVER
永夜事変以降、段々紫が霊夢の方ばっかり見ていることに気づいた。
嫉妬心が生んだ悲劇。
ああ、幻想郷とはこうも残酷な世界なのか…。
> 追い詰められて切り返しもせず、何もない壁をぐいぐい押しているのだから被弾して当然だが。
ゆかれいむ6面道中の死亡原因はこれだったのか!
橙には見せられないね! いいぞもっとやれ