第十手 炬燵隠れ
作品集: 最新 投稿日時: 2009/01/10 19:46:51 更新日時: 2009/01/10 19:46:51 評価: 9/9 POINT: 76 Rate: 2.02
「うう、寒……」
雪の降る竹林を歩く少女が一人。
もんぺ姿のその少女は、寒さに震えていた。
「……懐炉がわりに火を使う体力と、寒さに耐える体力だとどっちが消耗するかな……」
彼女はしばらく考えていた。
しかし、その間にも真冬の寒い風が雪とともに吹きつける、
やはり寒さに耐え切れなかったか、火をつけるほうを選んだ。
彼女の力で起こされた小さな火が、寒さを和らげる。
しかし降ってくる雪や吹き付ける風に負けないように火力を調整する必要があったので、
その火を維持するのに見かけ以上に力を使うことになった。
「くそっ……でも、行かないと……」
この少女、藤原妹紅には、どうしても先に進みたい理由があった。
「今日こそ、輝夜と戦う!」
何とか寒さを堪え、永遠亭にたどり着く。
雪は一向に止む気配がないばかりか、先ほどより量が増えた気がする。
積雪量も増加する一方だ。
これから殺し合いを始めようとする者が正面玄関から突入するわけもなく、
委細かまわず竹林から一番近い側にある庭から空を飛んで突撃する。
しかしその間にも凍える風は妹紅の戦意をじわじわと削る。
もともとが銀色の妹紅の髪は、雪でますます白銀色に染まってゆく。
これだけで妹紅の心は折れそうになっていた。
その弱い心を振り払うと同時に雪も払い落とし、さらに声を張る。
「輝夜!勝負だ!」
妹紅の声が、雪に溶けていった。
後に残ったのは、静寂と極寒のみ。
などと形容すると少々格好よいが、要するに輝夜の反応がなくて静かだっただけである。
「……輝夜ー!いないのかー!?」
萎えてくる心を無理やり奮い立たせてさらに屋敷に歩み寄り、また声を張る。
反応がないことを確認して、さらにもう一度。
ようやく返事らしきものが聞こえてきたのは四回目になってからであった。
声のするほうへ行くと、そこには輝夜がいた。
「かぐ……や」
降り積もる雪の白さと、輝夜の髪の黒のコントラスト。
妹紅はその美しさに目を奪われ、息を呑んだ。
輝夜はゆっくりと、雪の上に降りる。
その刹那、妹紅には彼女がまるで遠い存在に感じられた。
儚い雪の精か、あるいは触れることもかなわぬ幻想の姫か。
ちょうど、彼女が『かぐや姫』であったときのことを思い出させた。
「……っ、やっぱ駄目!寒い!」
すぐに妹紅の知る輝夜に戻った。
大きく身震いをしたと思うと、急ぎ足で部屋に引っ込んだ。
おい、ちょっと待て、と、つっこみの言葉をかけながら妹紅は後を追う。
ようやく追いついたかと思えば、そこにいたのは輝夜ですらない一体のこたつむりであった。
ちなみに余談だが、この炬燵は最近河童と三魔女の共同開発により生み出された、
電気炬燵を魔法仕様に改良したものである。
そして永遠亭にもそれが何台か導入されたのだ。
その開発には少なからざる争いや色恋やネチョネチョがあったのだが、
この話には関係ないので割合させていただく。
「……お前な、人がせっかく勝負を挑みに来たのに
すぐに引っ込んで炬燵の中に篭る奴があるか」
「だって仕方ないじゃない、寒いんだから」
その生命体は首だけを妹紅のほうに向けて喋る。
妹紅は、これが昔ずっと追い続けていたかたきであり、
永い人生を通してのライバルであり、
また父の愛した女性でもあるかと思うと、眩暈がした。
「……とりあえず、出て来い!今日こそは戦ってもらうぞ!」
「やーだー!寒いー!」
妹紅は腕を引っつかんで引きずり出そうとするが、輝夜の抵抗は強かった。
よく見ると輝夜の目は軽く潤んでいた。
そこまで嫌か、と妹紅は先ほど思い返した事実と見比べて、小さくため息をついた。
「……隙あり!」
「のわぁっ!?」
その一瞬の隙を突いて、輝夜は炬燵から少しだけ飛び出し、妹紅の腰をつかんで引き倒した。
倒れこむ妹紅を、抱きとめる形で受け止める。
妹紅の冷えきった全身と、輝夜の温まりきった全身が触れ合う。
輝夜にはひんやりしたほほの感触が、妹紅には輝夜の体の温かさが感じられた。
「ほら、妹紅だってこんなに冷えてるじゃない」
ほほをさりげなく軽くすり合わせながら、輝夜は言う。
そして妹紅の顔は見る見るうちに赤くなってゆく。
妹紅の体温が上昇したのは、決して熱力学の法則によるものだけではないだろう。
「……っだー!離せ!」
妹紅は、輝夜の腕を引き剥がそうととりあえずは暴れる。
しかし妙に力が篭らないその抵抗を、輝夜は軽く抑えてのけた。
「いいじゃない、妹紅も一緒に温まりましょうよ」
「だ、誰がお前なんかと!」
「ほら、みかんもあるわよ?」
うっ、と妹紅は軽くうめき声を上げた。
炬燵。そしてみかん。
日本人である妹紅の心をくすぐるには十分すぎるコンビネーションであった。
しかも妹紅は知っている。
永遠亭で消費されるみかんは、どこから仕入れてきたか非常に美味であることを。
非常に甘みが強く、それでいて酸味もしっかり利いている。
ちなみになぜそんなことを知っているかを妹紅に問うと、よくて黙殺、悪いと焼殺される。
「……いやだ!私はそんな邪悪な誘いには勧誘禁止だ!」
「それに、いま永琳がおしるこ作ってるのよ」
「何だよ、何をニヤニヤしてる!?」
「別にー?」
おしるこのダメ押しに、妹紅は落ちた。
そして輝夜と同じ炬燵に、向かい合って入っているのだった。
「……でも、うれしいわよ?
最初のころなんか、私を見れば問答無用だったもの」
「……だよな、だのにどこでどう間違ってこうなったんだ……」
妹紅は今日も結局戦えなかった、と頭を抱える。
輝夜は相変わらず笑いながらみかんを口に放り込んでいる。
「ま、あれはあれで楽しかったけど、やっぱり仲良くするほうが好きよ」
「…………」
妹紅は何も言わず、ただジト目で輝夜を見るだけだった。
ふと、輝夜は何かを思いついたように妹紅のほうを見る。
それに時間差で妹紅は気がつき、いぶかしげに見返す。
「……何だよ」
目の前には、みかんが一房。
「はい、あーん」
語尾にハートがついているかのような声色で、輝夜はそれを差し出す。
「……ガキか私は!」
「あら、恋人って言う発想は持ってくれないのね、残念」
「当たり前だ!」
突っ返そうとするも、輝夜はまだそれを食べさせようとする。
「おいしいわよ?みかん」
「そういう問題じゃない」
「別に誰も見てないんだから、いいでしょ?」
「…………」
またジト目で、輝夜の手を見つめる。
しかし、しばらくして何かを思いついたらしく、妹紅の表情が変わる。
ぱくっ。
妹紅は、みかんを食べた。
輝夜の指ごと。
「ひゃうっ!?」
妹紅の予想外の行動に、輝夜は思わず肩をすくみあがらせ、小さく可愛らしい悲鳴を上げる。
それにもかまわず、妹紅は舌でみかんを奪い取る。
唾液が指を濡らし、明かりを受けててかりだしていても、
輝夜はまだ怯みから立ち直れないでいた。
「ふふ、どうだ」
その様子に満足した妹紅は、にやりと口の端をあげる。
「いくらなんでもこれは予想外……」
などと得意げに言っていると、輝夜は突然自分の指を咥えた。
「って何してるんだ!」
「何って、せっかく妹紅のつばが……」
「いや、おい、それって……その、か、間接、キ……キ……」
もうすでに妹紅はちゃんと言葉を口にすることができなかった。
結局、輝夜のほうが一枚上手になってしまった。
「あら」
輝夜は、今度はこちらの番だと言わんばかりに口の端をあげる。
「この前なんか、もっとすごいことしてたのにねぇ?」
「そっ、それは、お前が無理やり……っておい、やめろ!」
いつのまにやら、輝夜の足は妹紅のほうへまで伸びていった。
その指が、ぐりぐりと、妹紅へ悪戯をする。
「やっ、ちょっ……ほんとに、やめ……」
妹紅は伸びてくるその足をつかんで抵抗するものの、
だんだん力が抜けてきて抵抗しきれない。
「あら、もしかしてもう感じてるの?」
「そ、そんなわけ……っ」
妹紅が否定しきれずにいるうちに、
輝夜の足は器用にもんぺを少しだけ脱がし、その中に潜り込む。
さらに下着も越えられ、直接敏感なところを刺激される。
「ふぁっ……んっ!」
「やっぱり、感じてるんじゃない。えっちね」
「ち、違うっ……」
布団をつかみ、顔を伏せ、肩を震わせながら妹紅は耐える。
しかし少しだけ声が漏れてしまう。
そのとき。
ほんの小さなものだったが、兎のものと思われる足音が聞こえてきた。
――見られてしまう。
そう思うと恐ろしかったが、意に反して妹紅の体はますます反応する。
その間にも、輝夜の親指は器用に妹紅の陰核を刺激する。
「……っ、それ、駄目……」
輝夜の執拗な責めで、妹紅の息づかいはますます荒くなる。
しかし、輝夜は容赦なく妹紅を責め立てる。
妹紅は声が出そうになるたびに、口をつぐんで堪えていた。
しかし感じてしまっていることは、肩の震えに如実に現れていた。
そんなとき、輝夜は足の指で妹紅の陰核をつまんだ。
「……ああぁっ!」
堪えていた声が、その分大きく出る。
体がひときわ大きく跳ね、その後一気に脱力した。
足音は遠ざかり、やがて完全に消える。
後に残ったのは、妹紅の熱の篭った息遣いだけであった。
「あら、もういっちゃったの?相変わらず早いわね」
その言葉を受けても、しばらくうつむいていた妹紅だったが、
しばらくして、まるで古びた人形が動くかのような動きで輝夜のほうへ視線を向け、
涙で潤んだ目で睨みつけた。
「……てめーは私を本気にさせた」
そう口にするや否や、妹紅は炬燵の中に潜り込む。
そして輝夜が反応する暇もないうちに、素早くスカートを奪い去った。
「あっ、こら、妹紅……」
「おっと、おとなしくしてろよ……?
まさか、かぐや姫ともあろうお方が、
パンツ丸出しのまま暴れたり外に出たりできないよなぁ……?」
「ぐ……卑怯者!」
スカートを人質に取られた輝夜は、
おとなしく下半身を炬燵の中に隠しておかなくてはならなかった。
今はまだ誰も見ていないが、ここで暴れて妹紅がスカートを持ち去ってしまったら、
永琳が気づくまで下着丸出しの状態で過ごすことになる。
下々のものに対しては一応ちゃんと姫として振舞っている輝夜には、許されざる失態である。
「何とでも言いやがれ、いきなり変なことをおっぱじめたお前が悪いんだ!」
「うぅ……」
輝夜は口には出さなかったが、心の中で負けを認めざるを得なかった。
からかったりいじめたりが好きでその逆はあまり好きでない輝夜だが、
今度ばかりは甘んじて受けなければならなかった。
妹紅は相変わらず炬燵の中にいる。
恐らく炎を操るために熱いのも平気なのだろう。
「ふふふ、今度はこっちの番だぞ……?」
左手で輝夜の太腿をつかみ、右手で下着の上から少々乱暴に愛撫する。
布と指のこすれる音のほかに、淫靡な水音が聞こえてくる。
「おいおい、もう濡れてるじゃんか、エロいのはどっちだよ」
「ふぁっ……、だって……あんなに、可愛い姿を見せられて……
興奮するなってほうが無理……あぁぅっ!」
妹紅への挑発は、嬌声にさえぎられる。
輝夜の言葉をさえぎるように、妹紅は下着の上から陰核をつねり上げたのだった。
「ほら、ちょっと弄っただけでこの有様だ」
「うぅ……妹紅の所為なのよ、妹紅があんなに可愛いから」
炬燵の外から聞こえてくる声に、強情な奴め、と妹紅は内心で舌打ちする。
それを誰かが聞いていたら、ほぼ確実にお前が言うなと返ってくるだろう。
「煩い、お前がスキモノなだけだろうが!」
「ひぁっ!?」
下着を横へずらし、そのまま指を乱暴に突っ込む。
輝夜の体が大きく反応したのが、太ももの動きだけでよくわかった。
そのまま妹紅の指は柔らかい壁を掻き分けてどんどん侵入する。
さらに速く出し入れすると、抑えきれない輝夜の声が炬燵内部からでもよく聞こえた。
「おいおい、そんなに声出したら誰かに聞こえるぞ?」
「だったらぁ、っ……も、も、う、やめ……んぁっ!」
「止めてやるもんか、私は別に困らないし」
「そ……そん、なぁっ……」
輝夜の言葉とはいえないほどに乱れた声が、妹紅により大きく聞こえてくる。
布団をつかみ、頑張って耐えていることがよくわかる。
(これほど、虐め甲斐のある輝夜は初めてだな……)
妹紅は、背筋がぞくぞくと震えるのを感じていた。
自然に口の端が上がってくる。
「失礼しまーす」
布団越しに、一匹のウサギの声が聞こえてくる。
鈴仙だ。
(ちょっ……もこ、ぅ……ほんとに、止めて!)
続いて輝夜の小さな声が聞こえてくる。
もちろん妹紅は聞こえないふりをした。
そればかりか、膣内を指の腹で引っかくように強く刺激する。
輝夜の腰が跳ね、そして輝夜の手が抗議するように妹紅の手をつかむが、
妹紅はそんなことまったくお構い無しに指先で弄り続ける。
「あれ、妹紅さんが来たと思ったんですが……
さっき洗濯終わったから、挨拶に来たんですが」
「さ、さあ……んっ、厠じゃ、ない、かしら?」
輝夜がどんな顔をして鈴仙に隠し通そうと頑張っているかは、妹紅からは見えない。
しかし、抑えてもなお溢れてくる嬌声は、妹紅を昂ぶらせるのに十分だった。
「……姫?大丈夫ですか?なんか様子が変ですよ?」
「そ、そう?……だ、だいじょ……うぶよ、気にしないで」
「顔、真っ赤じゃないですか?どうしたんです?」
「さあ……のぼせた、だけだと、おもうわ……」
輝夜の声は明らかに不自然だった。
勘が鋭いものが聞けば、何が起こっているのかわかってしまうだろう。
しかし鈴仙の声はただただ不思議そうなだけで、状況を察している様子は無かった。
「そ……そうですか。
あんまり、おこたに潜りっぱなしにならないようにしてくださいね」
「う、うん……」
幸いなことに、鈴仙は大丈夫だという輝夜をそれ以上追及しようとしなかった。
妹紅は先ほどはああ言ったが、さすがに輝夜を苛めている現場を押さえられるのは具合が悪かった。
そのまま鈴仙は、部屋を去った。
それとほぼ同時に、輝夜の体がひときわ大きく痙攣する。
そして一気に脱力し、炬燵の上に倒れ付す。
はぁ、はぁという息遣いがだけ、後に残った。
しばらくして、炬燵の布団がめくられる。
すっかり熱くなった炬燵の中の空気と、外の空気が入れ替わる。
「……妹紅のっ、馬鹿……」
輝夜の力の抜けた声が、布団と床との隙間から聞こえてくる。
妹紅のほうからも布団を持ち上げて見てみると、輝夜は目に涙を溜めていた。
それを見て、妹紅は少しだけ罪の意識を感じていた。
「あ、うー……」
「あの子が鈍かったからよかったけど……!
もしこれが永琳だったら、絶対に悟って……」
「姫ー」
うわさをすれば何とやら。
突然、輝夜の背後のふすまがすっと開いた。
「ひゃっ……え、永琳!?」
輝夜は反射的に妹紅を布団で覆い隠す。
先ほどとはまた違う意味で、体が飛び跳ねていたのが妹紅にはよくわかった。
「あら?さっき妹紅の声が聞こえた気がしたのだけれど……」
「え、さ、さあ、気のせいじゃないかしら?」
「…………」
輝夜の動揺は、明らかに声に出ていた。
「おかしいわね……ウドンゲも妹紅を見たって言ってるし……どうしたの?」
「ほ、本当に何も無いってば!」
輝夜の、説得力の無い反論が聞こえてくる。
ここで、妹紅がなにか悪戯をすれば、確実に永琳は気づくだろう。
しかも先ほど達したばかりの敏感な状態で、下手すればもう一度達してしまうかもしれない。
さすがにそれは少し可哀想かな、と妹紅は思った。
しかし、先ほどの嗜虐心を煽る輝夜の声は、その考えを簡単にぶっ飛ばした。
「ひゃあぅっ!?」
突然襲い来る、下腹部の異物感と電撃を受けたかのような感覚。
その甘い痺れに対しては、輝夜は抵抗しようが無く、声を漏らしてしまう。
「……あらあら、どうしたんですか姫?」
永琳の声のトーンは、わずかにではあるが明らかに変わっていた。
今の状況とこの一瞬の出来事で、大体を察したらしい。
「顔、真っ赤じゃないですか?どうしたんです?」
「ぁん、でも、ないって……」
先ほどの鈴仙とまったく同じ言葉だが、その意図は百八十度違っていた。
輝夜はあくまで隠そうとするが、確実にばれているであろうことはわかっているらしかった。
「……っ!」
どうせばれているのなら、と、妹紅は思いっきり輝夜を弄る。
輝夜は何とか声を押し殺しているが、炬燵の中から見てもわかるぐらいに不自然な姿勢だった。
妹紅からは永琳の表情は見えないが、ものすごくニヤニヤしているに違いない。
そして輝夜はこの恥辱に、歯を食いしばりながら耐えているだろう。
そんなことを考えながら弄っていると、また先ほどのような感覚に襲われた。
もっと苛めたい。泣かせたい。
そんな思いで、妹紅は指を深く突っ込んだ。
「んんんーっ!!」
再び、先ほどと同じように輝夜は大きな声を上げ、体を跳ねさせる。
また絶頂に達したらしかった。
その後、また輝夜の息遣い以外何も聞こえなくなった。
しばらくして、永琳がなにやらしゃべりだす。
「……じゃあ、姫は体調が悪いみたいだし、そっとしておきましょう。
では、お大事に〜♪」
その言葉から一秒ほどの間をおいて、ふすまを開けて閉める音。
そして、輝夜の嗚咽が聞こえてきた。
「なぁ、だからごめんって……」
まだ、同じ部屋の中、同じ炬燵に二人で向かい合って座っていた。
あのあと、しばらく間をおいて、輝夜は本格的に泣き出した。
輝夜の本気の涙を見ると、さすがの妹紅も罪悪感に駆られ、謝りだしたのだった。
「だっ、て……ぐすっ、永琳に、イッてる、ところっ……見られっ……」
「うぅ……」
いつまでも泣き止まない輝夜に、妹紅は困惑していた。
輝夜が泣いているところなど、初めて見た。
普段の因縁だとか意地だとかはとうに吹き飛んで、今はただただ申し訳なかった。
「その……私は、どうしたら……」
「…………ぐすっ……」
輝夜は嗚咽をあげながら、しばらく黙っていた。
妹紅にはその沈黙がただ痛かった。
そして自分がいつのまにかそんな風に感じているという事実を、客観的に見る余裕も妹紅には無かった。
「……じゃあ、そのままじっとしてて……」
「あ、ああ……」
妹紅は言われるがままにおとなしくしていると、輝夜は炬燵の中に潜る。
と思った次の瞬間、輝夜は反対側――妹紅のいる側から顔を出した。
妹紅が驚いているうちに、輝夜はそのままタックルするように抱きつく。
そのまま押し倒され、輝夜の体重を感じることになる。
また輝夜のほほが妹紅に触れる。
その突然の行動に、妹紅は心臓がどきんと跳ねたのを感じた。
「も、こ、う、の、ば、かー!」
「……って痛い痛い痛い!」
しかしその感情の余韻に浸る間もなく、輝夜は妹紅の体を両手で締め付けた。
「妹紅の馬鹿!大好き!」
「お、落ち着け輝夜!ってかさりげなくなに言ってるんだよ!」
しばらく全力で絞め続けていた輝夜だったが、そのうち力が少しづつ抜けてくる。
そのまま、妹紅を普通に抱きしめ、目をつぶる。
そうしていると、妹紅に先ほどのときめきがよみがえってくる。
「……ごめんな輝夜、さっきはやりすぎた」
「うん……」
輝夜は小さく返事を返して、また少しだけ強く抱きしめる。
今度のそれは、心地のよい抱擁であった。
妹紅も、それに応えて、輝夜の頭を撫でる。
「……落ち着いた?」
「……落ち着いた、けど」
顔を上げた輝夜の表情は、まだ涙は残っていたが、微笑みだった。
しかし、その手は妹紅のもんぺに行っていた。
「まだ、許すなんて言ってないわよ?」
「う……もしかして、さっきと同じことを私に?」
妹紅の心臓は高鳴りだす。
拒絶することはできない。
さっきの輝夜と同じ目にあうかもしれない。
しかし、少しだけ期待もしていた。
すごく気持ちよくなれるかもしれないという期待。
「違うわよ、どうして私が妹紅を気持ちよくしてあげなくちゃいけないの?」
しかし、その期待はあっさりと打ち破られる。
妹紅はほっとすると同時に、少しだけ残念そうな表情で輝夜を見た。
「妹紅が私に酷い仕打ちをした代償なんだから、妹紅が私を気持ちよくしてくれなきゃ駄目でしょ?」
「……ああ、確かにそうだな」
「……ただし、手は使っちゃ駄目よ?それじゃさっきと一緒じゃない」
「え?」
妹紅は今の言葉ではいまいちピンとこない様子だった。
そのまま輝夜は続ける。
「もちろん、足も舌も駄目よ……?」
「え……あ……まさか」
「ふふ、たぶん、そのまさかよ」
ようやく輝夜が何をしようとしているかに気づいた妹紅は、顔を真っ赤にした。
輝夜は、完全に笑顔になっていた。
「じゃ、じゃあ、いくぞ……」
「うん」
妹紅と輝夜は、また炬燵の両面に向かい合っていた。
上半身はちゃんと服を着ていたが、下半身には何も無い。
体を少しずつ倒し、前に突き出していく。
もともと足が触れ合っていたのが、太ももが触れ合い、そのまま炬燵隠れに移行する。
ゆっくりと二人の秘所が触れ合い、水気を持った独特の感触を味わう。
「……うわ、ぬるぬるしてる」
「あ、あんまりそういうこといわないでよ……」
しばらくは、くっつけているだけで、しばらく動かずにいた。
その後はお互い、責めてる最中の強気はどこへ行ったのか、たどたどしく腰を動かす。
「ぅあっ、なんか、せつない……」
「もこ、う、もっと、うごいて……」
二つの花びらが擦れあい、敏感なそこはお互いをよく感じあう。
それが気持ちよく、心地よかったが、その反面物足りなさもあり、
はじめゆっくりだった腰の動きがどんどん加速する。
その速さに比例し、だんだん快感も大きくなっていった。
声が大きく漏れていることに気づき、妹紅は口をつぐんで抑える。
そのときちょうど輝夜の声も小さくなった。
声が大きかったことに気づいたのは妹紅とほぼ同時だったらしい。
二人の間に会話はなくなり、ただただ抑えた嬌声が小さな部屋に響き渡るばかりであった。
今はもう、腰を動かして相手を貪ることと、
布団をぎゅっとつかみ、声を抑えることしか頭に無かった。
人がきたら確実にばれてしまうだろうという考えは完全に吹き飛んでいた。
炬燵の熱気と、二人の熱気が合わさり、酷く熱い。
しかし炬燵を消す余裕など二人にはまったく無かった。
「あっ、あぅっ、だめ、こぇ、でちゃうっ……」
「ぅあっ、んっ、わた、し、もぉっ……」
だんだん、二人の秘所のたてる水音は大きくなり、炬燵の外からでも聞こえてくるようになる。
嬌声も堪えきれなくなり、唇が決壊して大きな声が漏れ始める。
「はっ、あっ、んっ、んぅっ、か、ぐや、かぐやぁっ」
「もこ、う、ふぅっ、んっ、あぅっ、もこうっ……」
一度決壊すると、無意識のうちに二人は互いの名を呼び合っていた。
「かぐや、あっ、かぐ、やぁっ、うぁっ……」
「もこっ、もこ、ぅ、あんっ、もこうっ……」
堤防から水が溢れるがごとく、互いの名前が何度も口から飛び出す。
そしてその声色は、二人が絶頂に近いことを如実に示していた。
「あぅっ、かぐやっ、くるっ、なんかっくるっ……」
「ぁんっ、やぁっ、きもち、よくっ、なっちゃうっ……」
炬燵が、少しがたがたとゆれる。
もう、とにかく熱すぎて、何の熱さだかすでにわからない。
二人とも頭がぼうっとして、余計なことは何一つ考えられない。
ただひたすら、相手を感じるだけ。
声を抑える余裕すらなかった。
下手したら、炬燵をひっくり返しかねない勢いだった。
「「ああぁぁぁぁーっ!!」」
二人は、ほぼ同時に果てた。
布団をいっそう強く掴み、体を強張らせ、大きく痙攣させて。
「……誰かに聞かれてない?」
「聞かせとけばいいじゃんか」
事が終わった後も、二人はそのまま服も着ずに仰向けに倒れていた。
さすがに熱すぎるので炬燵の電源は消したが。
「うぅ、あんなに大きな声出しちゃうなんて……」
「でも、やろうって言い出したのは輝夜じゃないか」
「そうだけど……まさか、あんなに激しくイッちゃうなんて……」
「……まあ、それはな、うん……」
妹紅の、何が言いたいやら結局よくわからない言葉を最後に、二人はしばらく言葉を止める。
炬燵は切れているが、先ほどの余韻とお互いの熱で十分暖かい。
「……雪、まだ降ってるな」
「うん……」
雪を見て、妹紅はふと思った。
あの中を、輝夜と一緒に歩きたいと。
先ほどの、まるで雪の精のように綺麗だった輝夜を、また見たい。
今なら、素直にそう思えた。
体を重ねたときは、いつだって素直になれた。
本当はもう、輝夜を許しているのに、
普段はそれを認めたくなかった。
輝夜のいいところも、妹紅はこの長い間に色々知った。
そして、さきほど互いに求め合っていたときは、確かに輝夜を愛しいと思った。
本能のままに、一番素直に考えられるそのときの感情が、答えなのだろう。
あれだけ求めておいて、いまさら意地を張ることも無いだろう。
そう考えて、妹紅は口を開こうとした。
「なあ、輝夜……」
が。
「妹紅、輝夜、いるかー?」
聞き覚えのある声に、その声はさえぎられる。
「!? あ、け、慧音?」
「ど、どうしたのよ、いったい?」
上半身では平静を装いながら、炬燵に潜らせた手は必死に自分たちの衣服を探す。
だが、先ほどの行為でぐちゃぐちゃになり、どこにいったかわからなくなってしまっていた。
「永琳に里のことで相談と、まあ、個人的に話したいこともあってな。
だけど今は汁粉を作ってて忙しいらしいから、妹紅と輝夜のいる部屋に行って待っててって」
((謀ったな、永琳……!))
二人して、永琳を恨んだ。
「しかし、二人して炬燵とは、ずいぶん仲良くなったな。
私としても、お前たちを見守ってきた甲斐が……」
何も知らない慧音は、何の警戒も無く炬燵に入ろうとする。
妹紅は制止しようとするものの、あまりに自然な流れだったため、すでに遅かった。
その直後、慧音の驚きの叫び声が永遠亭に響き渡った。
「……まあ、お前らが仲良くしてくれるのは私としてはとてもありがたいことだ。
それに、何年生きてるかは知らないが、体は若い二人がそういうことになっても不思議は無いだろう。
だけどな、そういうことは場所と時間をわきまえるべきであってだな……」
二人は、正座で慧音の前に座らされた。
そして説教フルコース。もちろんちゃんと服は着ている。
慧音は顔を赤く染めたまま、それでもできるだけ平静を装っていた。
「……永琳も永琳だ、こういうときは、年長者がちゃんと注意しないと」
「盛んなことで、いいことだと思ったんだけどね」
「いや、あの、人が来るようなところでするべきことじゃないと思うぞ……
って永琳、知ってて私をそこへやったのか?」
「いや、まあ、さすがに終わってるだろうと思ったのよ。
まさか、二回戦に入ってるとはねぇ……若いのね♪」
永琳のその言葉に、三人ともが顔を赤らめてうつむく。
「……こほん、まあそれはともかく。
二人とも反省はしてくれているみたいだし、まあ、仲良くやってくれ」
「じゃあ、そろそろ邪魔者は消えるわね〜」
慧音は顔を赤くしたまま、永琳は手を振って、ふすまを開けて去っていった。
「……はぁーっ、つ、疲れた……」
「あ、足痺れた……」
二人は立ち上がるのもままならない様子で、床に突っ伏す。
「輝夜の所為だぞ、あんなこと言い出すから……」
「それだって、妹紅が意地悪したからじゃない……」
「元はといえば、お前がおっぱじめたんじゃないか……」
二人で責任をなすりあうが、行為と説教の疲れで、
もう喧嘩をする元気も無いようだ。
「……まあいいわ、それより妹紅……」
「……なんだ?」
少しだけ身を起こして、妹紅は応える。
「キスしていい?」
「なっ、何をいきなり……」
「だって、あの仕方じゃキスできなかったじゃない。……するわね」
「ちょ、ちょっとまてっ……んっ……」
有無を言わさず、輝夜は妹紅を押し倒して、口づけをする。
しかし、唇が触れた段階で妹紅は輝夜を押し返す。
「やめろって!」
予期せぬ衝撃に、輝夜は尻餅をつく。
そして、驚いたような目で妹紅を見ていた。
「え……嫌だった?」
輝夜の瞳は潤み始めていた。
それを見て、あわてて言葉を返す。
「……あ、当たり前だろ!私はお前なんか……」
いつもの調子で、意地を張りそうになった。
だけどもう、意地を張るのは止めにしようと、先ほど思ったばかりだったのだ。
妹紅は言葉を止め、ゆっくりと言いなおす。
「いや、その……慧音に、怒られるだろうが」
「あ……そうね」
さっきの情熱的なほどの行為で、妹紅の心の氷は溶けている。
だが同時に、かなり照れている。
それを感じて、輝夜も微笑む。
「だからさ……その……」
妹紅は輝夜から目をそらす。
やはり、照れるのだろう。
「……私の家に、来ないか」
昔だったら絶対言わなかった言葉を、妹紅はついに言った。
あれだけ激しくお互いを求め合っておいて、いまさら照れることは無いはずなのに。
やはり非常に恥ずかしかった。
「……うん」
輝夜は、すぐに首を縦に振った。
とても、うれしそうに。
「……でも、ちょっと寒いわね」
「……私が、いるじゃないか」
「……そうね」
二人で寄り添って。
雪の上へ降りた。
意地っ張りだった妹紅は、
輝夜の手を引いて歩き出す。
外は相変わらずの豪雪だったが、
二人の周りだけは雪が溶け始めていた。
「まったく、あの二人は仲良くしなくても問題だが、
仲良くしすぎたらしすぎたでまた問題を起こすんだな……」
「いいじゃない、蓬莱人であれだけ精神的に若くいられるなんて、うらやましいわ」
永遠亭の、先ほどとはまた別の一室。
永琳と慧音が、二人で炬燵に潜っていた。
妹紅と輝夜の関係がよくなるまで紆余曲折あったが、
そのさなかこの二人も仲良くなっていたのだった。
「てことは……あー、えと……永琳は、その、どうなんだ?」
「ん?そうね……あの二人ほどじゃないけど、まだまだ若いつもりよ」
そういいながら、永琳の足は慧音の足に触れていた。
「……あの、永琳?」
「少なくとも、今はすごく興奮してるわね」
すごくさわやかな笑顔で、永琳は慧音の太股に触れる。
「いやあの、まだ今は昼……」
「まあ、昔は女性経験は豊富だったけど、今は長年ご無沙汰ね」
下着に触れ、さすがに慧音も止めに入る。
「ちょ、これじゃ妹紅たちに示しがつかない……」
「あら、いいじゃない、炬燵でするのも盛り上がるものよ?」
水面下で両手と両足の激しい攻防が繰り広げられる。
しかし、しばらくしてそれは止まる。
「や、やっと分かってくれたか……」
「えーいもう、じれったい」
永琳は目にも留まらぬ早業で炬燵にダイビング、そのまま反対側の慧音に襲い掛かる。
「って、あっ、ちょっと、その、せめて布団を敷いてっ……」
(この先の出来事は慧音によってなかったことにされました)
初めてだったしね。(慧音が)
もうすこしちゃんとしたシチュエーションでしたいそうです。
えー、作中に雪が少ない気もしますが、
一応テーマは「雪降っている→よろしい、ならば炬燵だ」という連想的発想と「妹紅の心の雪解け」だったりします。
ごめんなさい、後ろのはこじつけ&後付けです。
でも素直になれない妹紅が素直になっていくってのはいいものだよね!
卯月由羽
http://park.geocities.jp/y0uy0u2003/
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2009/01/10 19:46:51
更新日時:
2009/01/10 19:46:51
評価:
9/9
POINT:
76
Rate:
2.02
1.
8
点
おでんがこげちゃう!
■2009/01/11 21:36:54
いいぞもっとやれ。
2.
9
点
nanashi
■2009/01/12 14:24:05
てるもこ好きにはいいものだ…。
3.
8
点
名前が無い程度の能力
■2009/01/13 21:40:37
永慧音が少しだけでも見れただけで眼福満足!ありがとう!
4.
10
点
名前が無い程度の能力
■2009/01/17 23:37:37
gj
5.
10
点
名前が無い程度の能力
■2009/01/18 01:13:58
輝夜も妹紅もかわいいよ。あと永琳ヒドイよ、最高だよ。
6.
9
点
グランドトライン
■2009/01/21 21:07:42
炬燵ってこんなにエロかったんだ。知ってたけどよく知らなかった。
ラブコメディ調で進む物語はテンポがよく。楽しく読ませていただきました。
特に格好良い登場をしたのに、雪に降りた途端にこたつむりになる輝夜には大笑いしました。
そして炬燵の中で繰り広げられる情事は顔がニヤけるほど甘く、エロかったです。
妹紅と輝夜のラブコメは楽しくていいものです。
どうでも、いいけど炬燵エロいね。
7.
7
点
名無し魂
■2009/01/23 19:49:52
今まで見たことないくらい可愛いなぁこの二人。
すごく(ベタベタに)甘くて、温かいネチョでした。
> ちなみになぜそんなことを知っているかを妹紅に問うと、よくて黙殺、悪いと焼殺される。
良い時には死んでないというのがミソなのか、上手い。
8.
8
点
名無し妖怪
■2009/01/23 23:40:00
さすが師匠と言わざるを得ない。
かぐもこ甘くて素敵でした。
9.
7
点
泥田んぼ
■2009/01/23 23:42:35
エロい話でこんなこというのもあれだけど、
ヲチがすばらしかったw 先生ーw
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ラブコメディ調で進む物語はテンポがよく。楽しく読ませていただきました。
特に格好良い登場をしたのに、雪に降りた途端にこたつむりになる輝夜には大笑いしました。
そして炬燵の中で繰り広げられる情事は顔がニヤけるほど甘く、エロかったです。
妹紅と輝夜のラブコメは楽しくていいものです。
どうでも、いいけど炬燵エロいね。
すごく(ベタベタに)甘くて、温かいネチョでした。
> ちなみになぜそんなことを知っているかを妹紅に問うと、よくて黙殺、悪いと焼殺される。
良い時には死んでないというのがミソなのか、上手い。
かぐもこ甘くて素敵でした。
ヲチがすばらしかったw 先生ーw