ゆらゆら。

作品集: 最新 投稿日時: 2008/12/14 05:20:17 更新日時: 2009/01/10 23:48:09 評価: 8/9 POINT: 54 Rate: 1.58
ゆらゆら。
ゆらゆら。

今夜も、雪が降っている。

ゆらゆら。
ゆらゆら。

今夜も、雪が積もっていく。

ゆらゆら。
ゆらゆら。

今夜も、彼女は来るだろう。

ゆらゆら。
ゆらゆら。

私に会いに、来るだろう。

あぁ、来た。やっと来た。
雪みたいに、揺れながら。

ゆらゆら。
ゆらゆら。

「よお、アリス。いやぁ、外は寒くてな・・・・・・」
「もう・・・あんたの家、暖房もないんでしょ? 無茶するんじゃないわよ」
 ずずっ、と鼻を啜り、彼女は笑った。
「・・・ほら、入って。丁度、スープができたし。どうせ余るのもなんだし、食べて行きなさい」

 おう、と彼女は箒を壁へ立てかけ、私の先導に従う。
・・・・・・うそ。実は、ずっと煮込んでた・・・彼女と一緒に、食事がしたかったから。
 彼女も、きっと知っているだろう。彼女は、察しがいい。
それでもいい。彼女は、甘える私を見たくはないだろうから。
 少しは甘えてくれてもいい・・・そう言われたこともある。
でも、それはリップサービス。・・・本当は、私に距離を持った態度をとっていて欲しいんだ。

「はい、どうぞ」
「おう、ありがとなアリス」
「別に。あんたのタイミングがよかっただけよ」

 彼女は苦笑して、スプーンを手に取った。
私も向かいの椅子に座る。

「なあ、アリス」
「?」
「・・・・・・やっぱ、なんでもない」
「あっそ」
 そして私は、外を眺め始めた。

ゆらゆら。
ゆらゆら。

 まるで、私の心のように、雪は僅かな風に揺らいでいた。
 魅入られたように、ずっと私は眺めていた。
 それはまるで、永遠のようだった。・・・いや、私の中の、限りある永遠だった。

「・・・・・・アリス?」
「へっ、どうしたの?」
「いや、何で外ばっか眺めてるのかな〜・・・って思ってさ」
「何、そんなこと? 別に、どうってことじゃないわ」
 そうか、と彼女は呟き、またスープを頬張り始める。

ゆらゆら。
ゆらゆら。

「・・・魔理沙」
「ん?」
 皿から顔を上げて、彼女は呟いた。
「泊まってく? どうせ、暖房もないんでしょ」
「いいのか?」

 彼女の質問は、二つ。
一つ目は、『泊まってもいいのか?』
二つ目は・・・つまり、夜伽、という事だろう。
 私達は、そういう関係なのだ。体ばかり重ね、気持ちを通じ合わせることなく、すれ違うことも、遠ざかることもなく、ずっと止まったままの関係。
 私達は、その関係に満足している。少なくとも、彼女はそうだろう。
 さっきも言ったように、彼女は察しがいい。私の気持ちなど、とっくにわかっているだろう。

「もう慣れたわよ・・・それに、こんなに寒くちゃ一人で寝られないんじゃないの?」
「そんなことはないぜ。むしろ、お前がそうなんじゃないか?」

 やっぱり・・・彼女は、私のことなどわかりきっている。
こんな寒い夜は、彼女なしでは過ごせない。

「そんなわけないじゃないの。普通の人間と一緒にしないの」
「こんなスープ作っておいて、異常な人間だなんて思えないぜ」
「莫迦。普通の人間以外よ」

ゆらゆら。
ゆらゆら。

 窓を眺める私は、彼女の目に、どう映っているのだろう。
・・・・・・本当は、彼女をじっと見つめていたい。でも、彼女はそれを求めていない。
 そうでなくても、彼女は私を愛してくれている・・・そう感じられるから。

「アリス、おかわり」
「・・・はいはい」
 渋々と言った様子で立ち上がり、私は彼女の皿へ二杯目を垂らす。


「ふい〜・・・大分あったまったぜ、ありがとなアリス」
「別に。あんた一人で全部なくなるとは思わなかったわ」

 やがて彼女だけでなべは空になった。それほど大きいものではなかったにしろ、彼女の食欲には驚くものがある。でも、それくらいのほうが、つくりがいがあるというものだ。

「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」

 皿も洗い終え、鍋も片付けた。
何かもどかしそうに、彼女は私を見たり目を逸らしたりしている。

「・・・・・・・・・」
「・・・何? 言いたい事があるんなら、はっきり言えばいいじゃない」

 私は彼女の煮え切らない態度に痺れを切らし、彼女に言葉をかけてしまった。

「・・・・・・そりゃ、まぁ、そうだが・・・言いづらいだろ、そういう事ってさ。嬉々として言うもんでもないし。切り出し方っていうか、シチュエーションっていうか」

 はぁ・・・・・・と私は溜息をつき、
「シャワー浴びてくるわ。・・・・・・って、あんたはどうすんの」
 更衣室へ向かおうとした。

「私は、お前が入った後にするぜ」
「別にいいでしょ、どうせ後で脱ぐんだから」
「いや、それは、なんというか・・・・・・話が別っていうか・・・」

 呆れたようにもう一度溜息をつき、私はシャワーを浴びに行った。


 シャワー室には、当然窓はある。

ゆらゆら。
ゆらゆら。

 私の心も、まだ揺れていた。
 いつまでもこれでいいのか、と。
 しかし、それもいつの間にか、流れる水に掻き消えていった。


 私の家の暖房は、暖炉だ。
彼女の家の暖炉は、酷く煤だらけで、掃除しに行く気にもなれない。
 私は彼女に服を着させられると、部屋で待たされた。

「・・・・・・待たせたな」
 彼女は、、なぜかタオルで現れた。
「何で、あんただけタオルなの」
「いや、別に理由はないが・・・」
「じゃ、どうして私はコレなの」

 服をつまんで、首を傾げた。ちょっと可愛く見せるくらいは、許されるはずだ。
それが効いたのか、魔理沙は少し目を逸らして、恥ずかしそうに呟いた。

「そりゃ、お前・・・脱がすのにも楽しみがあるからだよ」
「・・・・・・・・・莫迦」
 わかってた。彼女は、こういう人なのだ。夜伽になると、途端にこういうことをしだす。
「・・・じゃ、早速、いいな?」
「・・・・・・好きにすれば」

 私に近づき、彼女は頬に触れる。
そして、そっと自分の顔に近づけていった。

「アリス・・・・・・」
「魔理沙・・・・・・」
 私は彼女の、彼女は私の名を、求めるように呟きあう。

「ん」
 まず始めは、短く、唇を重ねるようなキス。
彼女との行為は、これから始まる。

「・・・・・・んっ・・・」
「ふっ・・・・・」

 重なった唇を、彼女の舌が割って入ってくる。

「んっ・・・ぅ、ふぁ・・・」
「んぅ・・・ちゅ・・・・・・」

 私の口内に侵入してくる、彼女の舌・・・私は、それに答えて舌を絡めていく。

「ん・・・ふ・・・っ」
「んぅっ、ふぅ・・・」

 私の、とくに弱い所をよく知っている彼女は、その辺りを重点的に刺激する。

「ふ・・・・・・ぅ」
「ぅ、んんっ、ふぅ、ぁ・・・」

 余裕がなくなってきた。キスだけで、絶頂させられそう・・・彼女は、やりたがるのだ。

「ふぅ・・・・・・っ、んんっ!」
「んっ!・・・はぁ、はぁ・・・キスでイカせるのは、やめてって・・・いつも言ってるでしょ・・・」
 無理矢理身体から彼女を剥がし、荒い息で私は呟く。

「えぇ〜・・・?」
 残念そうに彼女は言う。

「何でだよ〜」
 口先を尖らせて、彼女は文句を言っている。

「だって・・・それは・・・」
 今度は、私が口ごもってしまった。
言うのが恥ずかしいようなことだから。
 前にキスだけで絶頂させられて、そのまま失神していたことがあった。
それ以来、私はキスで絶頂はしないように自制している。
・・・・・・彼女との夜を、キスだけで終わらせたくないから。

「ま、いいか」
 諦めたように彼女は、私の手に触れる。
そのまま、空いている手で私の胸を服越しに触り始めた。

「急いでたのか? ブラしてないせいで、服越しからでも勃ってるのがわかるぜ」
 
指先で、彼女は私の胸の突起を弄る。
そのたびに私は、甘ったるい声を上げていた。

「んっ、ふぁぁ・・・やぁ、ん」
「相変わらず敏感だな、アリスは」
「あぁ、ぁっ、んん!」

 彼女は、私の手から腰へ手を移し、抱き寄せた。
その顔を首へ近づけ、その首へ舌を這わせていく。

「やぁ、首はぁ・・・んっ、はぁ・・・」

 そのまま押し倒し、彼女は私の服を脱がしにかかる。
上からボタンを一つ一つ外し、ワンピースの一番下から二つほど空けると、彼女は手を止めた。首を舐めるのは、止まっていないが。

「んぁ、ぅ、ふっ、あぁ・・・」

 腹部を指でなぞり、胸へと近づける。
私は彼女の背中に手をあて、荒い息を上げている。
 彼女は胸の上で、指を螺旋状に滑らせていく。・・・まるで焦らすように。

「ん、やぁ、ふっ・・・うぅ」

 私も自負する、薄い胸を、彼女は丁寧に揉みしだいていく。

「ぅあ、っ、ひぅ・・・んっ」
「アリス・・・」

 首から舌が離れ、今度は胸へ。

「れろ・・・」
「んん・・・やぁ」

 ざらざらした舌の感触が、感覚を痺れさせていく。

「まり、さぁ・・・あっ、んぁ、ぁ、ん・・・」
「ちゅ・・・ぴちゃ・・・」
 だんだん、音を出し始める。
「んっ、んんっ、ふぁあっ・・・! おと、たてちゃ・・・やぁぁあ!」
「ん・・・らって、こっひろほうぁ、ひぉひいぃんらお?」

『だって、こっちの方が、気持ちいいんだろ?』

 彼女は、わざと舌で突起を転がす。
「んんっ! しゃべらなくて、いいからぁ・・・」
「やーらぇ」

『やーだね。』

「ひぁぁぁっ!」

 私は、彼女の愛撫に翻弄されるばかり。
突然喋られたせいで、私は軽く絶頂してしまう。

「ん・・・そろそろ、いいか?」
「はぁ、はぁ・・・っ、ん・・・」

 息を荒げ、焦点の合わない視線で彼女を見上げる。
その舌はてらてらと淫靡に光り、その笑みは妖しさを増していた。

「アリス・・・・・・? なぁ、アリス」
「・・・・・・・・・」

 私は何も言わずこくりと頷いた。
それを確認すると、彼女は私のスカートをたくし上げて、ショーツをじっと見始めた。

「・・・・・・何してんの」
「いやぁ、こんだけやったら、流石に濡れるなぁ〜・・・と」
「当たり前じゃないの」
「それも、そうだな・・・」

 じゃあいくぜ、と私のショーツを取り去り、彼女は自分のタオルを脱いだ。
まじまじと見なくてもわかる。
・・・彼女は、私を愛撫しているだけで、濡れているのだ。

「・・・・・・あんまり見ないで欲しいぜ」
「何よ、あんただって見たくせに」
「う・・・」

 わからないでもない。私だって、彼女の体温が間近にあると考えるだけで、濡れてしまう。心臓が高鳴ってしまう。

「ん、しょ・・・」
 彼女が、私に四つんばいの体制をとった。

「・・・・・・魔理沙」
「アリス・・・・・・」
 互いに、名前を呼びあい、本当に『身体を重ねる』。

「んっ・・・・・・!」
「くっ・・・・・・」
 互いの淫核が擦れあい、直に身体が高揚する。

「んっ、ふぁ、あ・・・・・・!」
「やぁ、っ、んん・・・・・・!」

 アリス、と彼女は私を呼ぶ。
でも、私はそれに答える余裕を持ち合わせてはいなかった。

「んっ、んぅ、あり、すぅ、アリス・・・・・・!」
「はっ、あぁ、んっ、やぁ!」

 アリス、アリス、と何度も彼女は私を呼ぶが、答えられない。
身体を襲う快感に、私は抵抗しきれない。

「あっ、ん、ひぁ!」
「んくぅっ! まりさっ、まりさぁ!」

 やっと言葉を発する余裕ができた頃には、今度は彼女の絶頂が近くなっている。
なんて残酷・・・・・・でも、彼女が求めているなら。

「あっ、アリス、私、もうっ・・・・・・!」
「まって、まりさっ・・・私も、一緒にぃ・・・・・・!」
 互いの背中に互いの爪が立っている。にじむ血も、今は気にならない。

「や、ぁ! アリス、アリス――――――――――――!!」

「んっ、まり、さぁ―――――――――――ぁ!!」

 二人、ほぼ同時に―――――私は一瞬遅れて―――――絶頂を迎えた。

「はぁ、はぁ・・・はぁ・・・っ、アリス・・・」
「んっ、は・・・ま、りさ・・・」
 暗闇の中、部屋は薄暗く、月光だけが照らしていた。

ゆらゆら。
ゆらゆら。

 私の心は、もう揺らいでいない――――――――――――――――

ゆらゆら。
ゆらゆら。

「魔理沙、好きよ・・・・・・」

ゆらゆら。
ゆらゆら。

 小さく呟いた言葉は、届いていないだろう。

ゆらゆら。
ゆらゆら。

 雪だけが、空を舞っていた。







 陽光が目を覚まさせる。
 いつもの癖だ。早起きの癖が悪くないとは知っていても、こんな時はゆっくり寝ていたいものだ。身体にだるさが残る。

「―――――ん、アリス。起きたか?」
「魔理沙・・・?」

 昨日のことがフラッシュバックした。
でも、それももう慣れた。

「・・・・・・昨日は、あんまりできなかったよな」
「あんたがいつもやりすぎなのよ、莫迦」

 彼女は、あの後私にガウンを着せてくれたのだと言う。
と、いう事は――――――――

「あのさ、アリス・・・私のこと、好きだって言ったの・・・あれ、ほんとか?」
―――――――――やはり、聞かれていた。

「なぁ、どうなんだ、アリス」

 今なら、きっと受け入れてくれるだろう。
私の気持ちを。
 でも、それじゃ、何か駄目な気がした。
 事の流れに任せて、成就した恋なんて。

「莫迦。そんなわけないじゃない」
「アリス・・・・・・」

 本当の事なんて、絶対に言えない。
 私は、今以上を求めない。今以上は要らない。

「私が、あなたに恋してるなんて・・・莫迦よ、ほんと」

 と言いつつ、私は彼女に抱きついてみた。

「言ってる事とやってることが反対だぜ、アリス?」

 やっぱり、甘える私は、私じゃない。
 私は彼女から離れて、ベッドから降りる。

「・・・朝御飯作ってくるわ。貴女はシャワーでも浴びてきたら?」
 後ろ髪を手で浚い、扉へ向かって歩き出そうとした、そのとき。

「ぁ、アリス!」
 彼女に、呼び止められた。

「・・・・・・?」
 鬱陶しそうな顔をして、私は振り向く。

「私は・・・私は、お前のこと・・・好き、だぜ!」

 めいっぱい、無理した笑顔を彼女は作った。
 私は、彼女から目を離して、

「・・・・・・莫迦」
キッチンへ歩き出した。

ゆらゆら。
ゆらゆら。

雪はまだ、やんでいない。

ゆらゆら。
ゆらゆら。

そろそろ、異変と呼べる頃ではないだろうか。三日は降り続いている。それ以外でも、ここ最近ずっと降ったり止んだりが続いている。

ゆらゆら。
ゆらゆら。

私の心はまた、揺らぎ始めた。

ゆらゆら。
ゆらゆら。

ゆらゆら。
ゆらゆら。
寂しい感じに仕上げましたが、どうでしょうか。
ネチョに勢いが足りないかもです。
何かしら進展があるかと思ったら、何もなかった。
そんな感じをかいてみたいと思ったので。
紅魔の雑用
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2008/12/14 05:20:17
更新日時:
2009/01/10 23:48:09
評価:
8/9
POINT:
54
Rate:
1.58
1. フリーレス 名前が無い程度の能力 ■2009/01/12 18:40:47
これは良い!!
現実的な気持ちの動き方でとても共感できました…
2人の気持ちの動き方がこんなにわかるその技術に感服です。
2. 10 名前が無い程度の能力 ■2009/01/13 23:39:05
ネチョは少し物足りなかったけれども、このアリマリは凄くツボに入ハマりました。アリス可愛いよアリス
3. 9 nanashi ■2009/01/15 12:18:56
心臓を一定の力で握り締められているような。
良かったです。
4. 4 nanasi ■2009/01/17 16:07:15
まったりとした雰囲気はよかったです
5. 6 グランドトライン ■2009/01/20 21:30:02
雪が降る擬音で「ゆらゆら」は思い浮かばなかったなぁ……

意図的にちょうどいい距離をとろうとするアリスの心理描写がいい味を出しています。
そのせいなのか、ストレートなはずの魔理沙の心理描写がゆがんで見えてしまい、
「やられた!」と思ってしまいました。

ただ、エンディングが微妙な感じで、ちょっとすっきりしないです。

ですが、ネチョを含めたビターな感じはそれはそれでいい雰囲気を醸し出しています。
行動が素直なアリスにもニヤリときます。

これぞ大人のネチョ小説だな……
6. 5 名無し ■2009/01/22 23:10:20
進展しそうで、なかなか進まない二人。
これから先の展開に期待。

それと、・・・(中点)ではなく…(三点リーダ)を使った方がいいかと思いますよ。
―と同じように、……と二個セットです。
7. 6 稜乃 ■2009/01/23 07:46:36
なんだろうこのじれったい甘さ。ザラメ口に突っ込まされたぐらいの感覚がぎゃあ
キスは やっぱり えろい です
8. 7 名無し魂 ■2009/01/23 19:44:25
>>ゆらゆら。
ゆらゆらした雪と、鍋と、アリスと魔理沙の、愛がないようであるような物語。
アリスには何かツンデレっぽいものを感じてならないですね。
魔理沙はいじらしさの裏に時々子供っぽい可愛さが見えました。
こういうつかず離れずの関係は壊れにくくて好きです。
9. 7 泥田んぼ ■2009/01/23 23:33:18
煮え切らない、甘くなり過ぎないやり取りが良過ぎた
名前 メール
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