冬の天人有頂天タイム

作品集: 最新 投稿日時: 2008/12/14 00:15:10 更新日時: 2008/12/14 00:15:10 評価: 9/10 POINT: 51 Rate: 1.38
冬の天人有頂天タイム
※衣玖×天子
くっせぇくらいに王道


永江衣玖は一人妖怪の山中腹辺りを漂っていた。
特に大きな災害や異変がなく、彼女はとてつもなく暇になっていた。
「まぁ、暇な事は他の人にとっていいことですし」
そう呟いて、今日もただ空を仰いで漂っている。
その時、空から白い物が降ってきた。それは衣玖の頬にあたり、一瞬で水となった。
「雪、ですか」
ちらちらと降り始めた雪は、風に流されて里の方角へと向かっていく。
最初は、ついに冬の到来かと思っていたが、雪は勢いを増してさらに降り積もる。
そして、ものの数時間で雪は幻想郷を覆い尽くしてしまった。もはや異常気象の域である。
「あー、これは……」
衣玖は思わずため息を吐いて、妖怪の山をさらに上に飛んでいった。
凍えるほど冷たい雲を抜けて出てきたのは、有頂天。場所に似合わぬほどに白い花が咲き乱れたその中で、比那名居天子は自分の手に握られている剣、緋想の剣を振り回していた。
「総領娘様、またやってるんですか?」
「おや衣玖、あなたが暇つぶし第一号になるとは思わなかったわ」
なんの悪びれもせず天子は剣をくるくると回す。そのたびに下の雲が合わせて回り、渦を作っていく。
「残念ですが、あなたの遊びに付き合えません。それに、今回の異常気象は危険です、やめてください」
「あら、竜宮の使い如きが言うわね。止めたければ自分で止めたら?」
なおも天子は剣を振り回し、下界に雪を降らす。この時異変解決に出ようとした紅白巫女と白黒魔法使いは積もった雪のせいで外に出れなくなっていた。
「……もう一度言います、やめてください、総領娘様」
そう言って、ゆっくりと歩みはじめる。相変わらず剣は止まらない。徐々に距離を詰めて、ついに手が届くまでに近づいた。
それに気づき、天子は衣玖に向かって剣を真っ直ぐに突き出された。
「あっ」
「……っ」
声をあげたのは、天子だった。
地面に、朱色の液体が白い花を染めていく。
刃の部分を、衣玖が握り締め、そこから流れ出ているものだった。
「悪戯にしても度が過ぎます。やめてください、総領娘様」
落ち着きながらも、鋭い目つきで天子を見つめる。さすがの彼女も、思わず身を引いた。
ふと我に帰って剣を引き抜こうとするが、衣玖はそれを許さない。
「は、離しなさいよ!」
「嫌です」
血は、なおも剣を伝って滴り落ちる。天子は冷静かつ怒りを込めた表情の衣玖を見て、思わず手を離した。
剣を突き立てて、冷たく言い放つ。
「総領娘様、あなたは何をしようとしたのですか?」
「……」
天子は顔をそらして俯くが、頬をつかまれ無理矢理目を合わせられる。
「答えてください」
「……ひ、暇つぶし」
搾り出すように天子は答えた。衣玖はさらに続ける。
「あなたは、今下界がどうなっているかわかっているのですか」
「し、知らないわよ……そんなの」
あくまでいつもの自分のように喋ろうとしているのだが、気迫に圧倒され、語尾が震える。
「あなたが降らせた雪は、つもりに積もって里の機能を停止させました。これは幻想郷全域にも言えることで、異変を解決する人間も動けなくなってしまいました。これがどういった意味だかわかりますか?」
天子はわからない、と首を横に振る。衣玖はため息を吐きながらも続けた。
「雪は長期間積もり続けます、たとえ溶け始めたとしてもこの量ではあと2日ほどかかるでしょう、そのうちに妖怪達が勝手な行動を取ったらどうなるか、わかりますか?」
今度は建てに頷いた。
人間としての力の象徴ともされる博麗霊夢が2日も機能しなければどうなるか、頭の悪い妖怪達も、群れをなせば強大であり、人間達が襲われてしまえばひとたまりも無い。
さらにいえば、それにより幻想郷のバランスが崩れ、今彼女達がいる世界は崩壊してしまう可能性だってある。
「大げさな話かもしれませんが、わずかな可能性でも崩壊の危機は許せませんよ、総領娘様」
「あ、うん……」
天子は目尻に涙を浮かべながら何度も頷く。衣玖は手を離し、背を向けた。
「では、もう他の人に迷惑はかけないでくださいね」
そう言って切れた手のひらに羽衣を撒きつけ、彼女は有頂天を飛び去っていった。
天子は血に濡れた緋想の剣を持って、何も言わずしばらくそこに座り込んでいた。


天子が幻想郷を崩壊させかねないほどの大雪を降らせてから二日経った。
雪は不完全ながらも人や妖怪の生活に支障が無いくらいまでに溶けていた。あの後日照りを起こして強制的に溶かしたのである。
しかし、彼女は一つ気がかりな事があった。
衣玖の事だ。
喧嘩別れのような仕方をしてから一度も会っていない。もしかしたら愛想をつかされてしまったのかもしれない。そう思うと、天子は少しだけ寂しいと感じた。
「……今日も来ない」
いっそまた自然災害を起こして呼ぼうと思ったが、前回の衣玖の血を見てからそんな考えはすぐに消えてしまった。
 そんな事をしてしまえば今度は衣玖に忠告される程度ではすまないだろうし、天子も自分の居場所を失ってしまうであろう。
「早く帰ってきなさいよ……」
「はい、ただいま帰りました」
不意に背後から声をかけられて、天子は飛び上がった。慌てて振り返ると、きょとんとした顔で衣玖がそこに立っている。
「い、衣玖!?」
「安静にしろといわれていたので、二日ほど漂っていました」
そう言って手を上げる。その手には白い包帯が巻かれていた。
「その、衣玖…………ごめん」
「いえ、分かっていただければいいです」
しゅんと肩を落とした素直に謝った天子を、衣玖は思わず抱きしめた。
まるで悪さをして叱った後、涙ながらに謝りに来た子供をあやす母親のようだ。
「い、衣玖、苦しい」
「あっと、申し訳ございません」
慌てて手を離して衣玖は詫びた。
天子はいきなり抱きしめられた事に驚き、そしてなぜか赤面している。
「そ、その、衣玖? まだ手が痛むでしょう? 私の家に来ないかしら?」
今度は衣玖が驚いた顔をする。
「総領娘様のお家にですか?」
「ええ、お茶ぐらいは出せるから」
普段の我儘ぶりからしてみると、この発言は意外すぎて逆に何か裏があるのではないかと衣玖は思った。
(いや、素直に言う事を聞こう……酷い事はされない、たぶん)
衣玖に怪我をさせて2日しか経っていないのにまた悪さをしようとは思わないだろう。
結局彼女は素直に天子の家へと向かった。
天人の家と言っても、とても豪華、というわけではなくちょっとした金持ちがくらしていそうなほどの家だった。
「おじゃまします」
「いいのよ、今誰もいないから」
天子は手馴れたようにブーツを脱いで手招きをした。やはり、違和感を感じる。
(私の考えすぎだろうか)
「ほら、衣玖どうしたの?」
「あ、すみません」
居間に行き、座布団に座ってしばらくしていると、天子が団子と茶を乗せた盆を持ってきた。
受け取ろうとして立ち上がろうとすると、それを止められてしまう。
「衣玖は怪我してるんだから、座って」
テーブルに茶と団子を置いて、天子も向かい側に座る。
つい我慢できず、衣玖は口を開いた。
「あの、総領娘様……」
「ん?」
天子は団子を頬張りながら首をかしげる。
「2日前とだいぶ性格が変わったように思えますが……どうかなさったのですか? もしかして、どこかぶつけたとか」
「失礼ね! 私がそんなドジを踏むわけ無いでしょうが!」
むっとした表情で天子は腕を組む。
「私だって、好きな人にお茶ぐらい出すわよ」
衣玖は飲みかけていたお茶を思わず吹き出しそうになった。
濡れた顎をぬぐって、天子の顔をまじまじと見る。
「な、なによ」
「熱でもあるのですか?」
衣玖は言われた事が信じられなかった。自分は今、天子に告白された。
頭の中で、2日前の出来事から今まで何度も繰り返される。
「ないわよ、どうしたの?」
「総領娘様……先程自分が言った事、お分かりですか?」
もう一度、尋ねてみる。もしかしたら、何かの間違いかもしれない。
しかし天子が返した言葉は、衣玖の願いを掻き消してしまった。
「好きってこと? 分かっているけど? だって衣玖が好きだもの」
これは友達として、だ。そう信じたい。幻想郷で女性同士が恋人になることなどめずらしくもないが、衣玖にはその耐性はあまりなかった。
ある意味、天子が一番まともである。
「ねぇ衣玖? あなたの答えが聞きたい、私に、あそこまでできるあなたに」
テーブルから身を乗り出して、衣玖の頬に手を触れる。
天子の顔が近づき、生暖かい吐息が吹きかかる。
「じょ、冗談は……」
「冗談じゃないわ、だったらこんなことはしない」
衣玖が一歩引けば、天子は一歩前進する。それを繰り返し、やがて壁に行き着いた。
再び、質問が始まる。
「衣玖、あなたは私が……好き?」
衣玖は答えに迷う。好きとも、嫌いともいえず、ただ時間が過ぎていく。
「き、嫌いではありません……」
その答えに、彼女は嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとう、それで十分よ」
天子は一気に顔を近づけ、衣玖と唇を触れ合わせた。
キスというには、あまりにも稚拙なもの。ただ、無理矢理唇を当てたようなものだった。
「総領娘、様……」
「天子って言ってくれていいわ、呼びにくいでしょ?」
衣玖は唇を離してからも動悸が止まらない。心臓が張り裂けるように痛い。顔も、自然と熱くなる。
「ねぇ、衣玖? 私はもっとあなたの事を知りたいの、駄目?」
言いながら、衣玖の服に手をかける。思わず、その手を掴んで止めた。
今、ここでこれを許したら戻れなくなる。そんな恐怖に駆られた。
「衣玖……?」
「て、天子、様……」
やめてくださいといえば、ここで逃げられる。だが、そうしたくないという気持ちが浮かんでくる。
(何故……)
天子が好きだからか。
そうかもしれない。
今、ここで受け止めてから答えを見つけるのも、悪くは無い。
そう思った瞬間、天子を掴んでいた手が緩んだ。
「すみません、驚いてしまって……」
「い、いや! 衣玖が嫌ならいいのよ!? 別に――」
「続けてください」
天子は驚いて衣玖を見つめた。恐る恐る、尋ねる。
「い、いいの?」
「一度、すべてを受け止めます。そして、あなたの質問に、答えます」
「……ありがとう」
天子は、ゆっくりと衣玖の服のボタンを外していく。少しずつ晒されていく肌に、恥ずかしさを覚えたが、抵抗する気にはならなかった。
上をすべて脱がされ、白くて健康的で、それでいて形の言い胸が露になる。彼女の身を包むものは薄っぺらで透けている羽衣だけだった。
「あっと、私も脱がなきゃね」
天子は服をまくってするりと脱いだ。衣玖とは反対に、胸も胴もスレンダーな体が露になった。
「衣玖って、したことある?」
「いえ、自分でしたことぐらいしか」
「そっか、じゃあ私と一緒ね」
そう言って、もう一度二人はキスをする。先程のとは違った、今度は舌を絡めて。
「ん……ちゅ……ぷぁ」
何度も貪るようにしたあと、天子が衣玖の胸に触れる。
「んっ」
「あ、ごめんっ、大丈夫?」
衣玖は首を振ってその手をもち、自ら胸に触れさせる。
「大丈夫です」
円を描くように胸を揉み、キスを繰り返していると、天子の太ももに手が触れた。
「ふぁっ……!」
「天子様ばっかりずるい、ですよ?」
衣玖は太ももに滑らせた手を股へと移し、大切な場所を守る唯一の布に触れる。
ぐちゅり、と湿った音がした。
「濡れてらっしゃるんですね」
「い、言わないでよ……恥ずかしい」
天子も、衣玖のスカートの中に手を突っ込むと、同様に湿った音がした。
その音を聞いて、にやりと口の端が上がる。
「あら、あなたも人の事言えないじゃない」
互いに、布をずらして秘所を指でなぞる。
「ひ、ぁあ……い、衣玖ぅ……」
「あ、うぁっ……天子、さまぁ……」
片手で互いの秘所を弄り、再び貪るようにキスをする。
そして、余った片手で互いの胸を弄り、快感は全身を通して訪れた。
「は、ぁっ、わらひ……もう、駄目……」
「ちょ、まって……ください、私も、一緒に……」
「「ふぁああああああっ!!」」
同時に絶頂した二人は、抱き合いながらその場に倒れた。
霞む意識の中で、衣玖は天子の唇に軽くキスをして眠りについた。


「……で、答えはどうなの? 好きなの? どうなの?」
天子はそわそわと落ち着きなく尋ねる。
衣玖は、少し考えてから答えた。
「そんな話しましたっけ?」
「なっ!? ふさけないでよ! ちゃんと答えないとまた大雪降らすわよ!」
戸惑いながらも衣玖に迫る。
「冗談ですよ」
そう言って衣玖は天子の顎を少しだけ上に向けると、覆い被さるようにキスをした。
「!?」
「これが答えです、では」
逃げるように飛び降りて、衣玖は下界に帰っていってしまった。
取り残された天子は、しばらく自分の唇に触りながら、答えを考えていた。
「……はぁ、やれやれ、一応OKという意味で口付けしましたが……空気を読みすぎましたかね」
衣玖は山を降りながら顎に手を当てて考える。
「ああいう雰囲気では何も言わずに立ち去った方がいいと思いましたが、相手は天子様だったの忘れてました…………およ?」
目の前に、白い粒がふわふわと浮いている。
それを手にとると、水になって消えた。かと思えば、衣玖の頭に大量の雪が降ってきた。
「やっぱり分かってませんでしたか……」
結局、今度は衣玖が告白して二人ははれて恋人となった。
しかし、あの時に降らせた雪のせいで、山のふもとは再び大惨事になったという。
天子はジムカスタム乗れ
衣玖さんはゲッター2な
神社バイト
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2008/12/14 00:15:10
更新日時:
2008/12/14 00:15:10
評価:
9/10
POINT:
51
Rate:
1.38
1. 5 名前が無い程度の能力 ■2009/01/11 01:04:47
評価理由。

ネチョの薄さ、「雪」の関連感です。
つながっているのですが、主体、というわけではなかった感じです。
ゆるい流れが好きでした。
ネチョが何となく薄い気がしたので少し低めです。

それでは。
2. 6 名前が無い程度の能力 ■2009/01/11 13:52:36
てんいく読まないと死ぬ病気に掛かっていたんです、ありがとうございました。 orz
衣玖さんまじかわいいw
3. 5 名前が無い程度の能力 ■2009/01/11 20:58:27
誤字がありましたが、とてもよかったです
4. 6 にゃは♪ ■2009/01/12 00:38:15
くっせぇくらいに王道
↑そこがイイ!

楽しませてもらいました((
5. 7点 名前が無い程度の能力 ■2009/01/12 13:03:43
お題の使い方もよく、話の流れも自然で面白かった。
6. 5 グランドトライン ■2009/01/20 21:50:22
くっせぇくらいに王道。だがそれがいい!

冷静な口調で心境が次々と変わる衣玖は見ていて楽しかったです。
そんな彼女に振り回される天子もまた見ていて楽しかったです。

ネチョの部分が短いのが難点ですが、
天子の直球の告白に動揺する衣玖が特に面白かったです。
そして、最後の『およ?』で大爆笑してしまった。
7. 5 稜乃 ■2009/01/23 07:39:51
どんな行為よりもやっぱりキスってえろいです
後なんでジムカスタムwww
8. 6 名無し魂 ■2009/01/23 19:43:18
王道だからできる、まっすぐな愛情。
子供な天子の「恋」と、従者としての衣玖の「愛」を感じました。
できればもっと天子と衣玖の心境を詳しく知りたいです。

>>幻想郷を崩壊させかねないほどの大雪
豪雪地帯に住んでいた私には本当に脅威ですよ…。
9. 6 泥田んぼ ■2009/01/23 23:32:24
妙に初心な衣玖さんもへ
10. フリーレス 霞 百合 ■2009/12/13 23:14:45
やっぱり衣玖さんが好きだね
こういう甘い話が好きだ
名前 メール
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