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　それは暑い夏の日のことだった。
「あっついですねぇ……」
　紅魔館の大図書館で、書架の整理をしながら、小悪魔──通称リトル──が呟いた。
　本を管理しているという場所柄、空調魔法はかけられているのだが、連日の暑さにとうに限界突破していた。
「そうねぇ……」
　パチュリーは、書き物をしながら相づちをうつ。
「こう暑いと、ナニもしたくないですねぇ……」
「そうねぇ……」
　パチュリーは、傍らの本を見ながら相づちをうつ。
「……咲夜さんってマンゴー味なんですよね」
「そうねぇ……」
　パチュリーは、考え込みながら相づちをうつ。
「聞いてないじゃないですか！」
　リトルはパチュリーの机の正面にまわると机をばん！　と叩いた。
「うわっ、な、なによリトル。驚くじゃない」
「はぁ、もういいです……。あの棚の整理終わりました。これが紛失、というか持って行かれたリストです」
　ため息をつき、パチュリーに報告するリトル。
「ああ、ありがと。……多いわね」
　ずら〜っと並んでいるリストに、眉をひそめるパチュリー。
「一応、確定した分だけです。未確定のを含めると一割は増えるんじゃないかと」
「やれやれね。まったく……」
「えっと、次どうしましょう？　隣の棚いきますか？」
「ああ、それは後で良いわ。先に咲夜を呼んできてちょうだい」
「咲夜さんですか？　判りました」
　よく分からないが、なにか用があるのだろう。リトルは咲夜を捜しに図書館を出て行った。

　ほどなくリトルは図書館に戻ってきた。一緒に咲夜もいる。この暑さだというのに、うっすらと汗をかいているだけで、メイド服には一片の乱れもない。
「パチュリー様、なにか御用でしょうか？」
「ええ。あ、リトルは整理に戻ってちょうだい。で、咲夜、とりあえずこれ、はい」
　パチュリーは、咲夜に小瓶を渡した。なにやら透明な液体が入っている。
「これは？」
「痺れ薬よ。でね、今度魔理沙が来たら、ソレを混ぜてお茶を出して欲しいの」
　さらっときついことを言うパチュリー。
「それは……つまり、一服盛る、ということですか？」
　やや警戒して咲夜。さすがに話が物騒だ。
「まあ、そういうことね。ちょっと魔法実験がしたくてね。魔理沙ったら、いつもいつも本を持っていったり暴れたりするんだもの。たまには、こっちの魔法実験につき合ってくれても良いと思わない？」
「わかりました。相手は魔理沙ですね？」
「ええ。お茶を出すタイミングは任せるわ。頼むわね」
「は、お任せください」


　次の日。
　何も知らない魔理沙は暢気に図書館へやってきた。
「いよ〜、おっ邪魔するぜ」
「……なによ、また来たの？」
　今日はひと味違うわよ、と内心ほくそえみながらも、いつもと同じ無愛想な態度を装う。
「まったく、門番は何をしてるのかしらね」
「うん？　美鈴なら寝てたぜ。立ったまま。器用なやつだよな」
　しゃべりながら、さも当然とばかりに魔理沙はソファに──お茶を飲む時等のために、書斎机とは別に応接コーナーとしてしつらえてある──腰を下ろす。
「パチュリー様、アイスティーはいかがですか……あら、白黒鼠」
　そこへ、ティーセットを乗せたカートを押して咲夜がやってきた。
「おお、茶か。気が利くな。一杯たのむ」
　これまた何のためらいもなくお茶を要求する魔理沙。
「ああ咲夜、ちょうど良いわ。お茶もらうわね。魔理沙には……水でいいわ。霧の湖の汲みたてのやつ」
「かしこまりました。急いで汲んできますわ」
　さらっとパチュリーが告げ、咲夜も響くように応じる。
「せめて沸かしてほしいぜ」
　冗談めかして魔理沙が言うが、咲夜はすでに消えていた。

　さすがに水ではなく、ちゃんと紅茶が出てきた。
「うん、冷たくてうまいぜ。メイドやってるのは伊達じゃないな。あ、もう一杯」
　応接コーナーで主よりくつろぎながら、魔理沙が追加を要求。
「少しは遠慮しなさい。パチュリー様の後よ」
「パチュリー、早く飲め」
「落ち着きなさい。紅茶は味わって飲むものよ」
　魔理沙はあっという間に飲みほしていたが、パチュリーはゆっくりゆっくり飲んでいる。
「そんなちびちひろんれられら……あ、れ？」
「どうしたの？」
　おっとりとパチュリーが尋ねた。魔理沙は力なくソファに身を預けている。
「な、に……からだ、うごかな……」
「ふふ。痺れ薬入りのお茶はいかがだったかしら」
　パチュリーは持ってきた紅茶を置き、昏い笑みを浮かべてゆっくりと立ち上がった。
「な、に、しやがる……！」
「あなたには、私の魔法実験に付き合ってもらうわ」
「な、んだと」
「パチュリー様、こちら準備できました」
　リトルが奥の部屋──パチュリーの魔法実験室──から出てきた。
「はいご苦労様。じゃ、魔理沙運ぶの手伝ってちょうだい」
「はぁい。判りました」
　リトルは、タコのようにソファに崩れている魔理沙に近づくと、耳元で囁いた。
「諦めてください、魔理沙さん。大丈夫、死んだり廃人になるようなことはありませんから」
「な、な」
　ひょい、と魔理沙を担ぐリトル。見た目は少女でも、悪魔族。力は人間の比ではない。
「あ、服も脱がしておいてね」
「はい、了解です」
「た、たすけ……」

　実験室。
　床には魔法陣が描かれ、真ん中に素っ裸にされた魔理沙が横たえられている。
「準備完了ね」
「はい、あとはパチュリー様の実行だけです」
　最終確認をするパチュリーとリトル。
「そういえばパチュリー様。一体どんな実験をなさるのですか」
　こちらは見学している咲夜。
「ん？　ふふ、まあ見てなさい。この暑い夏にぴったりの魔法よ」
「ぱ、ゅりー、お、ぉえて、ろ……」
　全身が痺れたままの魔理沙は、呪詛を吐くくらいしかできない。
「ん、忘れるまで覚えておくわ。それはそれとして、覚悟はいいかしら？」
「い、わけ、あるかっ……！」
「よろしい。では」
　一呼吸し、パチュリーは呪文を唱えだした。
「や、やめろ……うお？」
　魔理沙は、指先と足先に違和感を感じた。何かが蠢いているように感じる。
「な、なにを……」
　必死に目を動かし、なんとか指先を視界に納める。
「うおおおっっっ……！」
　指先が透明になっていた。といっても、完全に透明なわけではなく、わずかに青みがかっている。が、明らかに向こうが見えている。
　さらに、透明の領域がどんどん広がっていく。ゼリーのようなその領域が。躰の形を全く損なうことなく、肉体の構成物質が置き換わっているようだ。
「あら、まあ……」
　咲夜も驚きで声がでない。
「ひっ、や、やめ、いや、やめて……！」
　ざわざわ、ざわざわ。何かが蠢いている感覚が、上に移動してくる。
　すでに手首足首のあたりまでがゼリー状になっていた。
　痛みはない。崩れているわけでもない。ゼリー状に変化している断面（？）はざわざわするだけだし、ゼリー状に変化した部分も、床に触れている感覚がある。それだけに、この変化が一層不気味だった。
「わあああっっっ！？　あっ？　ああああっっっっ！！」
　魔理沙の叫びと、パチュリーの呪文詠唱が部屋に響く。魔理沙の躰は、すでに手足は完全にゼリー状になり、その領域は徐々に胴体を下から浸食していく。
「ひいいっっ！　た、たすけてぅれえ！」
「……これ、大丈夫なんでしょうね？」
　さすがに不安になったのか、咲夜がリトルに耳打ちする。
「大丈夫ですよ。その辺の動物で何度か試してますから」
「なら大丈夫なのかしらね」
　どこか釈然としない咲夜だが、どっしり構えているリトルを見て、大丈夫なんだろう、と思うことにした。
　そうこうしている間にも、魔理沙は胴体までゼリー状になっていた。
「ひぐっ、　ひぃっ」
　ぎゅっと目を閉じて震えるしかない魔理沙。やがて、ゼリー化は頭に及び、程なく髪まで置換していった。
「ふぅ……。魔理沙、もういいわよ」
「ひいっ、　ひああっ　あ、あ……？」
　おそるおそる目を開ける魔理沙。
「起きられる？　もう動けるはずだけど」
「え……」
　むく、と身を起こす魔理沙。自分の手を見つめ
「……うわああああああ！？！？？？！？！」
　事態を把握し、ぺたぺたと全身を確認する。全身が、青みがかった透明のゼリーにようになっていた。
「な、な、な、なんだこれ〜〜〜〜〜！？！？！？」
「認識、運動は正常。問題ないようね」
「パッパッパチュリーーーー！！！　なんだこれは！！」
「見ての通り、生命体の構造置換。そうねぇ、ゼリー生命体、とでも呼べばいいのかしら」
　スライムってほど流動性はないし……とぶつぶつ言うパチュリー。
「ここここのヤロー！！！」
　ブチ切れた魔理沙、パチュリーに殴りかかった。
　　ぼよん
「うぉわ！？」
「おっとと」
　思いっきり殴ったつもりだったが、なぜか柔らかく跳ね返り、逆にパチュリーに腕を捕まれる。
「全身、その軟体ゼリーなのよ。殴れるわけないでしょう」
「くっ、こ、この……！」
「ふふ、それに」
　にやり、とパチュリーは笑うと、ぐい、と魔理沙を引き寄せ抱き留める。
「ああっ……！　ひやっこくて気持ちいい！！」
「離れろ！　あつっくるしいな！　それから、元に戻しやがれ！」
「このぷにぷに感とひえひえ、たまらないわ……！　ほら、あなたたちも試してみなさい」
　とん、とパチュリーは魔理沙をリトルと咲夜のほうに押しやった。
「ととっ、と、わぁ、これは良いですね」
　受け止めた咲夜が感嘆の声を上げる。
「う〜ん、ひえひえ〜」
　リトルはすりすりとほおずり。
「私は暑いんだよ、莫迦野郎！！」
「フフ、これで涼しく過ごせそうね」
「なに？　なんだって、どういう意味だ」
「ん〜……抱き枕とか？」
「一晩中抱き付かれてろってか？」
「まあ、そうなるかしらね」
「こっ　ここ、こここ……！」
　怒りで呂律が回らなくなったようだ。
「嫌？」
「っったりまえだ！」
「そう……じゃ、仕方ないわね。お疲れ様」
「あ？」
　パチュリーはあっさり言うと、ひらひらと手をふった。
「咲夜、お客さんがお帰りよ。玄関まで案内してあげなさい」
「かしこまりました。さ、どうぞこちらへ」
　恭しく一礼する咲夜。
「まてコラ」
「なによ。嫌なんでしょ？　無理強いはしないわよ？」
　にや、と笑うパチュリー。
「……お前、分かってて言ってるだろ？」
「あら、何を？」
「……元にもど「いや」
　言い終わる前に返事がかえってきた。
「せっかくいい実験台が手に入ったのに、手放すのはないわねぇ」
　魔理沙は無言で手を構える。ミニ八卦炉は無いが、威力が落ちるだけで魔法が使えない訳ではない。
「力づくってわけ？　それはやめておいた方が良いと思うわ。あなたの安全のためにもね」
　余裕綽々で言うパチュリー。
「まて、どういう意味だ」
　あなたの安全、という気にかかる言い方に、つい聞き返す魔理沙。
「自分の状態はわかってるわよね？　なんの支えも無しに、その状態を維持できてるとでも？」
「おいまさか、魔法を使ったら死ぬ、とか言うんじゃないだろうな！？」
　慌てて言いつのる魔理沙。
「そりゃいきなり死ぬことはないと思うけど。使わないにこしたことはないでしょうね。まあ、その辺も含めて研究したいんだけど」
「くそ……最初からハメる気でお茶出したんだな？」
「ま、そういうことね。もっとも、私から言わせて貰うと、こんな魔女の館で、出されたモノを何の疑いもなく無防備に口にするあなたが信じられないんだけど」
「ぐ……」
「致死毒とかだったらどうするつもり？」
「……警戒心の足りない私が悪いって言いたいのか」
　絞り出すように呟く魔理沙。
「そんなことはないわ。それだけ相手を信頼している、とも言えるでしょう？」
　真顔で返され、返答に詰まる魔理沙。
「ま、そういうわけだから。しばらく実験台になってくるとありがたいんだけど」
「くっそう……覚えてやがれ。あとでひどいからな！」
「それは実験台になることを承諾するってことかしら？」
「好きしやがれ莫迦野郎」
　とにかく、このままでいる訳にはいかない。元に戻るまでの我慢である。復讐を誓いつつ、なげやりに答える魔理沙だった。
「くす、それじゃこっちにいらっしゃい。ああ、リトル、後はよろしくね」
「わかりました」
「では、私も仕事がありますので」
　リトルと咲夜はそろって図書館を出て行った。


　連れて行かれたのはパチュリーの部屋だった。
「まずは触覚のチェックからやりましょうか」
「触覚？」
「そう」
　いうと、パチュリーはいきなり魔理沙の胸──大変慎ましい──を両手でわしづかみにした。
「うひょわっ、な、何をするだー！？」
「……ほとんど無いわね」
「こ、これから成長するんだよ！」
「期待しましょう。ふむ、この弾力、やはり人肌じゃなくなるようね」
　もみもみ
「んはっ、　あっ、や、やめ、ちょ、こら……！」
　妙に色っぽい声をあげる魔理沙。
「こっちも同じ感覚ね……」
「うひゃひゃ、ひゃひっ、く、くすぐった、ひっひひぃ！」
　パチュリーは片方の手で魔理沙の脇腹をつかみ、触感を比較してみる。
「えい」
　いきなり魔理沙に足払いをかけるパチュリー。
「をわ！？　た！」
　不意打ちに、魔理沙はおしりからすっころんだ。
「こら、もっと丁寧に扱えよな！　崩れたらどうする！」
「おしりの痛みはどう？」
「聞けよ、まったく。ああ、痛み？　そういえばあんまり痛くないな」
　不思議そうにお尻を触る魔理沙。
「ふむ、それなりに弾力があるわけだし、むしろ弾んだって感じなのかしら」
「たしかに、なんか違うな」
　魔理沙は、そばにあった本をつかみつつ言った。
「ふむ……あ、ちょっとまっててね」
　何か思いついたのか、パチュリーは部屋を出て行ってしまった。
「くそ、完全にモルモット扱いだな、パチュリーのやつめ……」
　立ち上がった魔理沙は、ベッドに腰掛けつつ呟いた。
「おまたせ」
　戻ってきたパチュリーは、手にコップを持っていた。水らしき透明の液体が注がれている。
「飲んでみて」
「無防備に口にいれないことにしてるんだ」
「咲夜〜、お客さんがお帰「いやあ、ちょうど喉が渇いてたんだ！」
　魔理沙はパチュリーからコップをひったくると、一気に飲み干した。
「……なあ」
「なによ」
「これ、大丈夫なのか？」
　魔理沙は自分のお腹を見ながら呟いた。パチュリーも目を離せない。
　飲んだ液体は、胃と思われるところに溜まっていた。魔理沙の体はガラスのように透き通っているので、そこだけ見るとまるで前衛的な花瓶のようである。
「お？」
「あら？」
　と、見る間に液体の量が減っていく。
「吸収されているのかしら」
「おい、ホントに大丈夫なんだろうな、これ」
「吸収自体は正常のはずだけど。こんなに早いなんて……吸収というより、同化なのかも」
「う〜ん、別に違和感は感じないが……」
「そう……あ、また待っててね」
　再び、パチュリーは出て行ってしまった。
「忙しいやつだな。最初っからやるつもりなら、準備しとけよな」
　なんとなく手持ち無沙汰になってしまう魔理沙。
　とりあえずベッドに横になった。きれいにベッドメイキングされているが、知ったことではない。
「ん……」
　なんとなく、手が股間に伸びる。
「ふ、あ……」
　ちょいちょいと探ってみる。
「んふ」
　指先が、小さな突起を探り当てた。つまんでみる。
「ふあっっっ」
　そのまま、こりこりと嬲ってみる。
「あ、んっ、ああっっ」
　じゅん、と手が湿ってきた。
「あ、う、んああっっ」
　何をやってるんだ私は、という思いが頭をよぎったが、すぐに霧消した。思考が霞がかってくる。それよりも、いまは指をこの濡れてきた肉壺に入れるのが先決だ。
「あっ」
　じゅぶり、と中指が第二関節までめり込んだ。
「ふああっっっ」
　空いていた手は当然のように胸に伸び、小さな胸を懸命に揉みしだく。
「あ、くうっっ　ふああっっっ」
　　じゅぶ、じゅ、くちゅ
　肉壺からは指の出し入れに合わせてやや粘り気を帯びた液体が溢れ、シーツを汚していく。
「あああっっ、いいいいっっ」
　もっと、もっと。
　スイッチの入った躰は、さらなる愛撫を要求してくる。
「あ、ああっ、ふあああっっっっ」
　　ずちゅ、じゅ、くちゃ、びゅ
　いつのまにか肉壺は三本の指が激しく出入りしていた。そして指が動くたび、派手に飛び散る愛液。
「くふあっ、あひっ、くうううううっっっ」
　だが、まだまだイケない。どんなに激しく責め立てても、躰はさらなる刺激を求めてくる。
「やああっっ、イケないいっっっ！！　やああああっっっっ！！」
「ずいぶん楽しそうね」
　唐突にパチュリーの声が響いた。
「ひああああっっっっ！？！？」
　一瞬、思考は理性を取り戻すが、すぐに沸き上がる衝動に塗りつぶされた。
「あああっっ、見るな、見るなっっっっ、見ないでええぇぇぇえぇぇっっっっっ」
　叫ぶが、手は止まらない。別の生き物のように肉壺と胸を貪り続ける。
「無駄よ。また一杯盛らせてもらったわ。今度は強力な媚薬。一人じゃ絶対に追いつけないわよ」
「ひあああっっっ　あ　あ　ああああっっっっっ」
　聞いているのかいないのか、半狂乱になって叫ぶ魔理沙。
「へぇ、面白いモノが見えるって言ってたけど、これはまた」
　呼ばれたのか、レミリアも来ていた。
「気に入った？」
「ええ。これは面白いわね」
「ひあああっっ　いいいいいっっっ」
「レミィ、せっかくだし、アレで手伝ってあげたら？　冷やっこくて気持ちいいわよ」
「あら、いいの？」
「かまわないでしょ。それにこのままおかしく成られても困るし」
「じゃ、遠慮無く」
「なんれもいいからああっっっ　たすぇてえええええっっっっ」
　レミリアは手早く服を脱ぎ捨てると、股間に魔力を集める。
「んっ、くふうっ、特別に、ぶっとくしてあげるわ……！」
　あつまった魔力はカタチをなし、すりこぎほどもある凶悪なブツになった。
「これだけ濡れてれば何も準備いらないわね。一気にヤッてあげるわ」
「きてえっっっ、いいからああああっっっっっ」
　レミリアは魔理沙の手をつかんで強引にどかせると、びく、びく、と蠢いているモノを肉壺におしあてた。
「せいっっっ」
　　ぶじゅうっっ
「っっっっっっっっっっっーーーーー！！！！！！」
　一気に貫かれた魔理沙は、声を出すことすらないまま一撃で意識を刈り取られた。ぴくぴくと足が震えている。
　そして、透明なお腹の内部に、肉棒が埋まり込んでいるのが見えていた。
「ふあっ、うん、冷たくって、気持ちいいわ……！」
　レミリアは、魔理沙の手を挟み込むようにして背中に自分の手を回し、魔理沙を抱え起こした。
「っっっ！！」
　結合部に体重がかかり、さらに奥まで押し込まれる肉棒。
「う〜ん、不思議な眺めね」
　パチュリーは、埋まり込んでいる肉棒を観察していた。
「レミィ、それってたしか出せるのよね？」
「ええ、お望みとあらばね。ホントのアレじゃないから孕んだりはしないけど」
「じゃあ、中に出してみて。ていうか、好きにしちゃってかまわないわよ」
「や、やめ……」
　一度イッたことで意識が戻ってきたか、弱々しく抗議する魔理沙。
「じゃあ、好きにしちゃうわね」
「ひ……」
　レミリアは魔理沙をホールドしなおすと、腕の力だけで魔理沙を持ち上げた。
　自然、肉棒が半分ほど引きずり出されてくる。
「あふうっっ」
　そのまま、手の力を緩めるレミリア。今度は肉棒が奥深くまでえぐり込まれる。
「いぎああっっ」
　たまらず嬌声を上げる魔理沙。
「くふっ、これはいいわね」
　気に入ったか、持ち上げては落とす、を繰り返すレミリア。
「あひっ、あっ、んふあっ、あ、もっと、もっとおおおお！！！！」
　そのたびに嬌声を上げ、懇願する魔理沙。
「いわれなくてもっ……」
　　じゅり、じゅぶ、じゅ、ぶじゅ
　いつのまにか、レミリアは腰を打ち付けるようにしていた。
「いひいっ　いっ、ひいっ　けふうっっ」
「うくっ、うんっ、　くあっ、あ、っくっっ　ろそろ　いこうかしらっっっ」
　レミリアは魔理沙を抱きしめ、もっとも奥に肉棒を付き入れる。
「くあああああっっっっ」
　　どぐっ、どぐっ、どぐっ
「あああああああああっっっっっ」
　レミリアは魔理沙の胎内に思うさま欲望をまき散らす。透明の躰の中に白濁液が溜まっていく。
「はああ……面白いわね、これ。って、あら？」
　溜まっていた白濁液が、みるまに透明になっていく。
「ああ、吸収されてるのよ」
「へぇ。ますます面白いわ」
「はぁ……ひぃ……」
　おもしろがるレミリアと冷静なパチュリーとは裏腹に、魔理沙は疲労困憊だった。
「も、もういいぜ……」
「まあまあそんなこと言わずに。遠慮なくどうぞ」
　レミリアは魔理沙のうったえを無視し、再び肉棒を出し入れしはじめた。
「あくっ、くあっ、ちょ、まって、くれっっ　あああっっ」
「レミィったら、まだやるの？」
「だって気持ちいいもの。冷たいのと締め付けが」
「も、もういい！　もういいからあ！」
　魔理沙は身をよじって逃れようとするが、レミリアはがっちりホールドして離さない。
「ダメダメ。私が満足するまでつき合ってもらうわよ」
「くひいっっ　ひぎっ、　あぎいっ」

「んっ、くっ、んんんっっ……！」
　レミリアは、もう何度目か分からぬ白濁液をはき出した。回数は、５回目で魔理沙がマグロになって以降数えていない。パチュリーは、終わったら呼んでちょうだいと言い置いてどこかに言ってしまった。
「はぁっ、はぁっ、さすがに、やりすぎた、かしら」
「あ……う……」
「魔理沙〜、大丈夫〜？」
「う、あ……」
「ダメっぽいわね」
　レミリアは肉棒を抜き出すと、魔理沙をベッドに──愛液と白濁液ででろでろになっていたが──に魔理沙を横たえた。
「ふう。ま、夜は抱き枕にでも成って貰いましょうかね。フランも呼んであげようかしら」
　ぱしゅ、と魔力を解放し、肉棒を消した。
「それじゃあね魔理沙。また今夜にでもよろしく、って、あれ？」
　自分の汚れを拭き取り、服を整えたところでレミリアはその変化に気がついた。
「パチェ！　パチェ、居る！？」
　図書館のほうへ声を張り上げるレミリア。
「あ、終わったの？」
　近くにいたのか、すぐにパチュリーはやってきた。
「ああパチェ。見てよ。なんか魔理沙、曇りガラスみたいになってない？」
「ええ……？　あらほんと。なんか濁ってるわね」
　レミリアの言うとおり、もとは微妙に青みがかったガラスのようだった魔理沙の躰は、今はごく薄いスモーククリスタルのようになっていた。
「あ、もしかして、吸収した液体なのかも。相当出したでしょ？」
「ええ。間違いなく１０回以上はやってるわね」
「それね。どうやら混ざっちゃうみたいね」
「なるほど、って、大丈夫なのそれは」
　納得したレミリアだが、吸収して全身に廻るのは躰によくないのではないか。
「これは想定外ね……」
　考え込むパチュリー。
「そうだ、混ざったのがいけないのなら、水かなんかで薄めてみるのはどう？」
　レミリアが思いつきを口にする。
「あ、それいいかもね。採用」
「じゃあ、どうする？」
「そうねぇ……ちょっと、運んでくれる？」
「ええ、いいわよ」
　レミリアは、ぐったりしている魔理沙を軽々と抱え上げた。

　連れていった先は、風呂場だった。
「とりあえずその辺に寝かせてちょうだい」
「はいはい。で、どうするの？」
「こうするのよ」
　パチュリーは掃除用具入れからホースをもってくると、蛇口につないで栓を大きく開けた。
　ホースの先端から勢いよく水が出てくる。
「洗うわけ？」
「水をかけただけじゃ、たぶん吸収しないわ。中からじゃないと、ね」
　ホースをもったパチュリーがにやりと笑う。
「ああ、なるほどね」
「ちょっと押さえてて」
　レミリアは、魔理沙の躰を押さえつけた。パチュリーはそれを確認すると、
「じゃ、いくわよ」
　ホースを魔理沙の菊穴に思い切りつっこんだ。胎内に水が溜まっていくのがはっきり見える。
「う……ご、あ、あああっっっ　な、んだ！！？？！」
「あ、おきた」
　突然の衝撃に、魔理沙の意識が戻ってくる。
「いいいいっっっ　痛い！　冷たい！　や、やめてくれぇ！！」
　暴れようとするが、レミリアに押さえ込まれていてはいかんともしがたい。
「静かにしなさい。きれいにしてあげてるんだから」
　じわじわとふくらんでいく魔理沙のお腹。
「さ、裂ける、裂けちまう！！」
「大丈夫よ」
　魔理沙は悲痛に訴えるが、パチュリーは気にしない。
「パチェ、なんか濡れてきたんだけど」
「たぶん、よけいな水分がしみ出してるのよ。この調子よ」
「こここ殺す気か！？　そうなんだな！？！」
「まさか。あなたを助けようとしてるのよ。もうちょっと我慢しなさい」
　じゅくじゅくと液体分が魔理沙の体中からしみ出してきた。汗に見えないこともない。
「ぐううっ、くっ、ぱっ　ちゅりー！　お、覚えてろよ！！　絶対泣かしちゃる！！」
「はいはい、がんばってね」
　結局、魔理沙は透明度が元に戻るまで３０分ちかく“洗われ”続けた。


「くそう……パチュリーめぇ……」
　魔理沙は、パチュリーの実験室で毒づいていた。正確には、部屋に張られている結界の中で、である。
　風呂場での悪夢の後、この部屋に連れてこられてそのまま結界内に閉じこめられたのだ。
「私が何したっていうんだ……」
　あれから、すでに数時間以上たっている。次はどんなひどい目に遭わされるのかと内心怯えていたところに、今度は放置プレイである。さらにたちの悪いことに、目の前には大量の本があるのに、指一本ふれられない。
　嫌がらせもいいところだった。
「ハイ魔理沙、元気？」
　そうこう思っていたところに、やっとパチュリーがやってきた。
「ああ、お前をぼっこぼこにしたらさぞ元気になれるだろうな」
　睨み付けながら毒づく。それくらいしかすることがない。
　と、パチュリーがぱちん、と指を鳴らした。と同時に結界が消えた。
「お？」
「魔理沙」
「なんだよ」
「一つだけ守って欲しいことがあるの。約束してくれたら……元に戻すわよ」
「なんだと？」
　パチュリーからの唐突な発言に、きょとんとする魔理沙。いったいどういう風の吹き回しなのか。
「だから、守って欲しいことがあるのよ」
「なんだよ？」
「今回の件に関わりのある件を許すこと」
　魔理沙は、パチュリーの発言内容を理解するのに数十秒を必要とした。
「……つまり、この仕打ちを理由に暴れたり復讐したりするな、と？」
「まあ、そんな感じかしら」
「なるほどそういうことか……ふざけるなあ！！」
　冗談ではなかった。踏んだり蹴ったりもいいところだ。
「そう、じゃあ仕方ないわね。お疲れ様。気をつけて帰ってね」
「ぐぐぐ……」
　不自由な二択だった。約束すれば元の躰に戻れるが、怒りのやり場がなくなる。一方、パチュリーを永遠亭送りにしてやったら、残りの人生をこのユカイな躰で過ごさねばならないことに。
「……ったよ」
「え？　なんですって？」
「わかったよ！　怒らない！　許す！！　それでいいんだろ！！」
「まあありがとう。心が広いのね」
「お前の顔面にフルパワーマスタースパークを叩き込むことが出来ればどんなにすっきりするか……！！」
　ぶっちゃけ、元に戻すという件を握られている以上、最初から選択肢などない。それに、一度交わした約束を違えることもできない。
　魔法を使う者にとって、どんなに些細な約束でもそれは契約であり、これを破ることは魔法という契約をも否定することになってしまう。
「それじゃ早速、元に戻してあげるわ。そのままそこに居てね」
　パチュリーは再び指をならした。と、床の魔法陣が別なモノに入れ替わる。
「じっとしててね……」
　パチュリーは浪々と呪文を唱え始めた。



　月明かりを浴びながら、魔理沙は箒にのってぶちぶち文句を言いながら自宅に向かっていた。
「くそっくそっ。パチュリーの野郎、な〜にが、「お礼にお茶とケーキをどうぞ」、だ！」
　あんな事の後ではブラックジョーク以外のなにものでもない。
「しかし、あいつがあんなに性格悪いとは思わなかったぜ……どうにかしてむきゅーと言わせてやりたいが」
　だが今回の一件を利用することはできない。どうしたもんかと思案しているうちに、魔法の森の中にある自宅が見えてきた。
「ふう……なんだかすごく久しぶりな気がするぜ」
　魔理沙はふわりと玄関前に着地する。
「ん？　結界が……」
　そこで異変に気がつく。外出するときに設定しておいた防御結界が消えているのだ。
「……まさか！！」
　結界が無いということは、誰かが破壊したということだ。つまり侵入者である。
　慌てて家の中に入る魔理沙。
「や、やられた！！」
　案の定と言うべきか、家の中は異常にすっきりしていた。本が無いのだ。一冊のこらず消えている。
「くっそ〜！！！　どこのどいつだ！！　って、なんだこれ？」
　家中を確認し、自室に入ったところで──例外なくからっぽ──机の上の二枚のメモ用紙に気がついた。
「ええと、なになに……『回収報告書。貴殿が無断借用していた紅魔館付属図書館の本は全て回収させていただきました。リトル』『預かり書。真に貴殿所有の本との早急なる分別が不可能であったため、全て当方で預かっております。返却を求める場合は本書を持参の上、紅魔館付属図書館までおいでください。リトル』」
　ぶるぶる震える手で、ぐしゃ、と無言で書状を握りつぶした。
「パァァァァチュリイイイィィィィーーーーーー！！！！」


「むーっきゅしゅ！！」
「それ、くしゃみ？」
　月光の下で紅茶を楽しんでいたパチュリーに、レミリアが声をかけた。
「う〜ん、だれかウワサしてるわね」
「まあいいけど。ところで、なんで魔理沙帰しちゃったの？　抱き枕楽しみだったのに」
「ああ、あれ。実はあの後、魔法式にちょっとした問題をみつけちゃってね」
「問題？」
「変換のロジック間違えててね。あの状態が完全に固着するまで反応が進むようになっちゃってたのよ」
「えーと、つまり、あまり長い間変換されたままだと、元に戻れなくなるってこと？」
「そういうことね。さすがにそれはまずいし。本の回収を待って、予定を切り上げてお引き取り願ったわ」
「な〜んだ、残念」
「まあロジックは修正したから、次は大丈夫よ」
「次ねぇ……さすがに引っかからないんじゃない？　それに、復讐に来るかもよ？」
「だから、約束させたのよ」
　今回の件に関わりのある件、という妙な言い回し。魔理沙を紅魔館に足止めしている間に回収したことも、関わりのある件には違いない。
「さすが魔女。抜け目ないわね」
「ふふ、弾幕勝負ならいざ知らず、魔法に関する限り、まだまだヒヨッコに遅れをとるつもりはないわよ」