迂闊

作品集: 最新 投稿日時: 2008/09/11 05:49:51 更新日時: 2008/09/11 06:06:50 評価: 10/10 POINT: 70 Rate: 1.73
「あ、っは……ふぁ、あ、蓮子、蓮子……!」
「やぁ、あ、あぁああっ! メリー、ダメ、はげ、激し、すぎィ……!!」
 腰を打ちつける度に粘着質で湿った卑猥な音が私の部屋の中にこだまする。
 蓮子の気持ち良さそうな声が私を興奮させる。
 もっと聴きたくて、蓮子と共有する快感を得たくて、殊更に動きが激しくなる。
 それはきっと蓮子も一緒で、事実、蓮子は私の動きに合わせて自らも動いている。
 そうこうしていると、私と蓮子の淫らな叫びが高く、大きくなってくる。
 もうそろそろだと、限界が近い、と頭が真っ白に染まる感覚が教えてくれる。
「あ、アァ、も、もうイッちゃ……!」
「私も、もう……メリー、メリー……一緒にぃ……!」
 蓮子の求めに、ひたすら首を縦に振って肯定を返す。
 もっとも、わざわざそんな事しなくても、ここまで高まっていては止まれやしないのだけども。
 それでもまぁ、蓮子がそうやって求めてくるのだから、応えてあげたいと思うのは当然の事だと私は思うのだ。
 そうして腰を何度も打ちつけ、クリトリスが蓮子の秘部で摩られたと同時

「は、あぁ、アァアあああァ――――!」
「ひあぁあああッッッ!!」

 蓮子の望み通りに、私達はほぼ同時に絶頂を迎えた。
 絶頂に全身が痙攣を繰り返し、それが過ぎ去り、蓮子へと倒れこみ、過度の運動による過呼吸に喘ぐ。
 それすら落ち着けば私達は抱き合ったまま向かい合い、気持ち良かったとか、可愛かったとか、好きとか愛してるとか、そういう睦言を囁き合うのだった――――





 もうこの行為を何度繰り返しただろう。
 いや回数は知らないけど、日数ぐらいは覚えてる。
 今日で確か丁度一週間。
 恋人同士なんだから別に悪い事じゃないのだけど、我ながら毎日毎日大学サボって一日中繰り返すのはどうかと思う。思うにだけども、止められないのだから仕方ない。
 中断するのなんて食事とトイレと水分補給と睡眠ぐらいのもの。ちなみにお風呂は一緒に入ってそこでもエッチするから中断とは言えない為、省くとするわ。スポンジとかお互いの身体で直接洗いっこだし。
 寝る時はクーラー付けっぱなしだけど下着とシャツ羽着てひとつのベッドに二人寄り添って寝てるから何の問題も無いわ。
 食事と飲み物は全部買い置きのインスタント食品と清涼飲料水の類だけ。
 不摂生もいいとこだし、まぁ腐りきってるなぁなんて思うのだけど、蓮子が求めてきたら拒みたくないし、私だって何度だって蓮子と身体を重ねたい。
 蓮子もきっと同じような気持ちでいるのだろうし、こうしている事に私も蓮子も特に何も言わない。
 そもそも、言わないというよりは
「ん、ちゅ……」
「ちゅ……ちゅ、ちゅ、ちゅぅ……」
 こんなしょっちゅう唇合わせてたら言えないとも言うのだけど。
 私の部屋はクーラー入れっぱなしだから外が真夏だろうとまったく関係が無い。
 お互い裸だけど、エッチしかしないんじゃ身体は火照りっぱなしだからまったく寒いなんて感じない。
 快適と言えば快適で、多分、最低でも買い置きのインスタント食品が尽きるまではこんな爛れた性活、基、生活を続けるんだろうなぁって何となく思う。
 まだまだ二人とも若いからこういう無駄な時間の使い方を少しぐらいしたっていいよね、なんていう駄目な思考だって蓮子と一緒なら受け入れてしまうというものだ。
 嗚呼駄目人間万歳。
 とにかく、大好きな蓮子と同じ感覚を共有出来るというのは、それだけでエッチを何度も何度も飽きずに繰り返す理由足りえる。少なくとも、私にとっては。




 そうして話は先ほどの睦言の下りまで戻る。
 外は既にとっぷりと暮れてはいるがカーテンを閉め切っている為に二人は気づかないし、気づいたところで何の意味も為さないのは明白である。
 ただ眠くなれば寝るだけで、二人にとっての夜とは、きっとそんな時間帯なのだろう。
 お互いに何度も甘い言葉を囁き合い、そうしている内に肉体から疲労感が抜けていく。
 一見回復したかに見える疲労感だが、肉体に沈殿した疲労物質は少しの運動ですぐに疲労感を与え、動きを鈍くしてしまう。
 だが、快楽はそれを麻痺させる。
 肉体の発情反応が、本能が、それを許さない。
 お互いを求める激情が性欲と愛欲と本能に乗って二人を突き動かす。
 二人は熱く溶けた飴のような愛の囁きを吐き出し続けていた口を止め、見詰め合ったまま、静かに近づく。
 数瞬、瞬きの間に熟れた苺のように瑞々しく柔らかい唇同士が触れ合う。
 重なった唇はすぐに離れ、またすぐに合わさる。
 それを角度を少しずつ変えながら、小鳥のように啄ばみ合う。
 バードキスを繰り返しながら、メリーは蓮子の丁度良い大きさの乳房に触れる。
 すべすべとした肌触りに任せて滑らせ、下側にずらして持ち上げるように、円を描くようにして胸を愛撫する。
 すっかり快感を覚えた蓮子の躰はすぐに反応を示し、中央の突起が固く芯を持ち始める。
 同時に啄ばむ間々で蓮子は短く喘ぐように深い吐息を漏らす。
 やがて蓮子は、何処かに吹っ飛んでしまいそうな理性で、自身ばかりに快感を与えられている事に対して不平等だなぁ、などという感想を抱く。
 このままされるが侭では何度も繰り返した経験が無駄であるし、先ほどはメリーが主導権を握っていた。
 今度は自分の番だ、とばかりに蓮子は自身よりふたつ程大きいカップサイズの巨乳に片手を伸ばす。
 女の子の小さい手ではとても掴みきれない程の豊満な柔肉に、蓮子の五指が目一杯に広げられて、沈み込む。
 心地よい弾力と、浮き始めた汗のしっとりとして吸い付くような肌触りが蓮子を魅了する。
 空いた片手はすぐに伸ばされ、メリーの双丘は蓮子の両手に掌握される。
 蠢く五指の間から零れる乳肉は卑猥で、いびつに歪む様は淫靡。
 メリーの口からも蓮子と同じように熱い吐息が漏れ始め、乳房を程よく圧迫する掌を押し上げるように赤い蕾が膨らみ始めた。
 乳房と乳首から与えられる快感は二人の欲求を膨れ上がらせ、行動をよりエスカレートさせる。
 乱れる吐息はキスを遮り、鈍らせ、ついには完全に止まる。
 しかしキスが終わったとて、口は休みはしない。
 熱く湿った吐息を漏らし、乳房と乳首から走る快楽に喘ぎ声を発し、情愛の篭った声でお互いの名を囁き、甘えるような声で更なる快楽をお互いにねだる。
 淫らに乱れた熱い吐息を繰り返し吐きながら、蓮子はメリーの上に逆向きに乗って目の前にメリーの秘部を、自身の秘部をメリーの眼前に晒す――所謂、シックスナインという体位になる。
 休憩を挟む前に既にしていて、且つ先程の胸愛撫も相まってか、蓮子とメリーの秘部は溢れる程の愛液を湛えている。
 蜜を湛えた花弁は淫靡な魅力に満ちていて、二人は誘われるように舌を伸ばす。
 ぬちゃり、紅く柔らかい舌が媚肉に触れる。
 びくりと、二人の肉体が快感に跳ねる。電流が流れたかのように、一瞬だけ。
 とろりと、待ち侘びた快感に奥から蜜が湧き出る。
 メリーは垂れてくる愛液を舌で掬い取り、それを塗りつけるようにして舌で肉芽に覆うように触れる。
 女性の躰で最も敏感な場所に愛液まみれの舌を押し付けられ、蓮子は顎を逸らせて甲高く喘ぐ。
 それに気を良くしたのか、メリーは肉芽を執拗に舌で攻める。
 舌愛撫を繰り返される度に蓮子は全身をビクつかせてはしたなく喘ぎ、上と下の口から止め処無く涎を垂らしている。
 このままでは一方的にイカされてしまう――そんな予感に突き動かされ、蓮子は口を大きく開けて秘部全体を覆って我武者羅に大陰唇を、膣口を、肉芽を嬲る。
 そうして、今度はメリーが快楽に喘ぐ番になるのだった。
 メリーがしたようなピンポイントでは無い為に与える快感にムラはあるが、むしろそれがメリーを翻弄してしまう。
 何せ、熱い口中は元々熱くなっていた秘部を更に熱くさせている上に、肉芽の強烈な快感のやって来るタイミングは殆どランダムに近いのだから。
 メリーは堪らず蓮子の秘部から顔を離し、先程の蓮子と同じように快楽に喘いで啼き始める。
 恋人のいやらしい嬌声は耳から浸透する媚薬のように、蓮子の僅かに残った理性を蝕む。
 メリーをイカせて噴出す潮を顔中に浴びて、自身もメリーに浴びせかけたい――そんな、どこか倒錯じみた欲求に、蓮子は何の異常性も感じない。
 メリーの脚の間に顔を深く埋め、ただただ舌愛撫を繰り返し、切なく疼く秘部をメリーの顔に押し付けて自身も快楽を貪る。
 いきなり押し付けられてメリーは驚くが、これまでの経験から一度愛撫に意識を集中すれば攻められていようとある程度は与えられる快楽から意識を逸らせるのが分かっていた為に、すぐに舌を這わせ始める、
 切なさと疼きを慰めてくれるメリーの舌に、蓮子は全身で悦びを示す。
 だがメリーは構わず、蓮子の腰に手を回して固定すると、舌を膣内に埋めて、内側からの攻めに切り替えるのだった。
 膣襞をざらつきのある舌で嬲られ、蓮子の快楽に対する反応が大きくなる。
 舌に力を込めて膣襞に押し付け、強く擦れば蓮子は堪らず逃げようとするが、腰を固定されていては叶わない。
 蓮子の膣内は応えるようにうねり、メリーの舌を締め付ける。だが唾液と愛液にまみれた舌の動きは阻害出来ず、むしろ締め付けられる分だけ動かせば強く擦れてしまう。それがまた強い快楽を生み、蓮子を絶頂へと押し上げていく。
 膣内の収縮の強さがメリーに限界が近い事を示す。
 蓮子はそれを紛らすように口を離して呼吸を快楽に合わせ、少しでも絶頂への時間を長引かせる。
 そして蓮子はこの呼吸の妨げないよう、愛撫の方法を口から指へと切り替える。
 熱く熟れてすっかり解れた膣口に中指をあてがい、愛液の泥濘に任せて一気に挿入していく。同時に親指を立て、クリトリスにも当たるようにすると、長く速いストロークで自分と同じようにメリーを一気に追い詰めていくのだった。
 強く激しくなった、容赦の無い愛撫にメリーは全身を戦慄かせる。
 腰がガクガクと震え始め、自身の限界が近くなった事を悟る。
 メリーの口元を汚す愛液は更に量を増し、舌をきゅうきゅうと締め付け、蓮子も限界が近いと悟る。
 絶頂へと向かって二人はただひたすらに指を、口を動かす。
 そうして数分。蓮子の切羽詰った嬌声を合図に、二人は愛液と潮を吹きながら全身を激しく痙攣させて絶頂に達するのだった。


 絶頂の余韻に浸って少々。
 それが過ぎ去っても、二人の肉体はまだ火照っている。
 雌芯はまだ疼きを残している。
 お互いを求める心はまだまだ萎えないし、口と舌と指だけでは快楽に慣れた躰は満足などしやしない。
 しかしながら、可能な体位は全て試して、一番お互いが感じられる体位ばかりを二人は猿のように繰り返していた。
 きっと、そうやって秘部を擦り付けあって絶頂に達しても疼きは収まらないだろう。
 女性は男性よりも強い快楽を得られながらも、男性のように射精という明確な終わりが無い。
 だから、メリーと蓮子という一組は疼けば愛欲と情欲と性欲に従ってお互いを求めてしまう。
 しかし得られる快楽に飽きては先が続かない。
 ――――そんな事態に備えでもしていたのだろうか。
 メリーはベッドを降りてその下をごそごそと探り始め、立ち上がった時。

「あの、メリー……その凶悪というか豪快な代物は一体ナンデショウ?」
「何って、見たら分かるじゃない。双頭ディルドーじゃない」

 マエリベリー・ハーンの右手には長さ50センチ近く、直径5センチ程もある真っ黒いボディの双頭ディルドが握られていた。黒光りする亀頭がやけに凶悪である。
「いやそれは分かってる、初めて見たとは言え分かってるけど! なんでそんな洋物のAVに出てくる男優のアレみたいにでかいのよ!? アレか、アレなのね! メリーは日本人じゃないからその大きさじゃないと駄目なのね!?」
「いや私蓮子の指より太いのはオナニーと蓮子攻める時に使ってる普通のバイブぐらいしか挿れた事無いわよ? これ使うの今日が初めてだし」
「まずそれだけ大きい物を選んだ理由が知りたいわ。というかんなでっかいブツ何処で買ったのよ……」
 そう言って呆れ顔を見せる蓮子に対し、メリーは何故かうきうきと非常に楽しげである。
 そして双頭ディルドの先を一舐め、今度は妖艶に微笑み、メリーは蓮子の回答を口にする。
「だって大きい方が蓮子を苛められそうだもの」
 メリーはそのままベッドへと上がり、ベッドのスプリングがキシリと音を立てた。
 既に頬を火照らせてやや嗜虐的な笑みを浮かべて這い寄るメリーに対し、蓮子は怯えたような、困ったような表情を浮かべて後ずさる。
「えぇと、そりゃ拒もうとは思わない、けど……せめてもう少し心の準備が……ほら、何処で買ったのかも聞いてないしね?」
「私の国で暮らしてるママに頼んでこっそり買って送って貰ったのよ。大丈夫よ、無理はしないし、ゆっくり挿れてあげるから……」
 メリーの部屋のベッドは壁際、窓の前に置かれている。
 故に逃げる方向によっては壁を背にしてしまう。
 そして蓮子はお約束かのように、壁を背にしてしまっていた。
「さぁもう逃げられないわよ、蓮子」
「あ、あはは……分かった、分かったから、せめてその怖い笑顔やめよ? ね?」
「えぇすぐに笑顔なんて気にしてられなくしたげるから安心しなさい」
 逃げられない蓮子に、メリーは身体を思い切り寄せて、顔の前で相変わらずのやや嗜虐的な笑みを湛えたまま、そんな返答を口にする。
 既に先程メリーが舐めあげた双頭ディルドの先は蓮子の膣口に押し付けられていて、ともすれば、返答如何によっては容赦無くブチ込んでしまいそうな圧迫感を醸し出している。
「んっ……ちゃんと優しくしてね、メリー……今回ばっかりはメリーに全部任せるからさ……」
「ふふ……可愛い……」
 メリーは空いた左手で蓮子の肩を掴むと、横に押してベッドの上にそっと押し倒す。
 蓮子は抵抗を止め、言葉通りメリーに全てを任せる気でいるのだろう。ただ瞳を潤ませ、初めて行為に及んだ時のようにメリーを不安げに見つめていた。

 蓮子をベッドに横たえたメリーは左手を自身の秘部に伸ばし、先程の蓮子のように中指をゆっくりと沈み込ませる。
 メリーのそこは多少の間を置いていたものの、その前に何度も何度も蓮子の指や口、秘部でずっと刺激されていた所為だろうか――十分に解れ、愛液も指に反応してすぐに分泌を始めていた。
 挿入に十分な状態である事を確認したメリーは双頭ディルドの先を口に含んで全体に唾液を塗すと、ゆっくりと自身の膣口にあてがう。
 蓮子にちゃんと挿入出来る事を示す為か、それとも自身が蓮子に挿入して攻めたいという欲求からかは定かではないが。
 メリーはカリのすぐ下の辺りを持って固定すると、ゆっくりと力を込める。
 解れた膣口は亀頭をゆっくりと、無理なく込めた力に従って飲み込まれていく。
 亀頭が飲み込まれ、その先がゆっくりと飲み込まれていく様子を、蓮子は顔を真っ赤にして見つめ続けている。
 生唾を飲み込み、内心で「うわぁあんなに広がって飲み込んでる」だとか「お汁垂れていやらしいなぁ」とか「私のもあんな広がるのかな」とか様々な感想を呟きながら。
 やがて双頭ディルドの片側は大部分が膣に収まり、メリーは深く息を吐く。
 まるでメリーに男根が生えたと錯覚しそうになり、蓮子の胸が倒錯に高鳴る。
 自身の秘部に挿さっている黒い擬似男根をじぃっと凝視する正面からの視線。それに気づいたメリーは、直感で蓮子が擬似とはいえ、男性器に興味を示していると感じ取る。
 戯れのつもりなのか、メリーは妖しく嗜虐的な笑みを浮かべて近づき、腰を突き出してソレの切っ先を蓮子の眼前へと差し出した。
 目の前で凶悪に黒光りする双頭ディルドの片側を見つめて、蓮子は困惑を表情に宿してメリーを見遣る。
 その視線に対し、メリーは興味あるのでしょう、と図星を口にする。嗜虐的で、愉しむような声色で。
 蓮子は顔を真っ赤に染めて慌てて否定するも、メリーは問答するのは面倒だとばかりに亀頭を蓮子の愛らしい唇に押し当てる。
 ゴムのような弾力の癖にゴムとはかけ離れた匂いに蓮子は眉を顰めるが、恐々としながらも、右手でゆっくりと竿の部分に触れる。
 やはりゴムのような触り心地。そこに、メリーの秘部から溢れて伝ってきた愛液が指に絡む。それで若干の潤滑を得て、指はスムーズに滑る。
 まるで男根を扱いているようなその動きに、メリーは奇妙な興奮を覚えた。
 別にこの双頭ディルドに与えられる感触が得られている訳でも何でもない。だと言うのに、メリーの背筋を寒気に似た快感が駆け上る。
 ただ単に、自身に男根が生えて蓮子がそれに奉仕しているような錯覚に見舞われているだけ――そうだと分かっていながらも、興奮を抑えきれない。
 蓮子が双頭ディルドを扱く様を見たい――その欲求が蓮子の手を取らせる。溢れる愛液に無理やり擦り付け、扱いて欲しいと強請らせる。
 やや強引なメリー。蓮子はメリーにややサディスティックな性癖がある事を十分に理解している。自分はその性癖を受け入れ、大抵はメリーに主導権を握らせていた――否、握られていた。だから、メリーがそうして欲しいと言うのならそうしてやりたくなってしまう、潜在的にマゾヒストな側面を蓮子は持っていた。
 秘封倶楽部の活動や日常では蓮子が引っ張る立場なだけに、そのギャップは際立っている、
 蓮子は愛液に塗れた右手で再び竿を握り、ゆっくりと前後に滑らせる。
 潤滑を得てスムーズに動くその手を見ているだけで、メリーは自分の中にある男性的な欲求が満たされていくのを感じる。
 しかし満たされながらも、欲求は膨らんでいく。
 手で扱く様だけでは物足りない。
 ――咥えさせてみたい。
 咥えさせて、腰を動かして、蓮子の口を蹂躙したい。
 発情しきって本能に支配されたメリーの欲望はすぐに実行に移された。
 腰を突き出し、蓮子の唇にぐいぐいと亀頭を押し付け、意思を示す。
 女性でありながらフェラチオを要求する、若干変態的な嗜好を持った恋人に困った顔をしながらも、蓮子はメリーの望みだから、と素直に口を開ける。
 即座に侵入してくる双頭ディルドの片側。
 鼻を抜ける妙な匂いと味、舌触りに顔を顰めるのも束の間。
 メリーが腰を動かし始めたものだから、蓮子はすぐに舌で口内のディルド全体に唾液を塗りたくってスムーズに動くよう、努める。
 スムーズに動かせると分かると、メリーは背筋を駆け上がる快感を得ながら何度も何度も腰を前後に振りたくる。
 はぁはぁと息を乱しながら腰を振って自身の口を犯す恋人の姿。浅ましくも愛しいその姿。擬似男根で口を犯されているという倒錯を含んだ被虐的な快感に、蓮子の思考は少しずつ鈍くなっていく。
 蓮子の口から空気を含んだ水音が立ち、唾液が口の端から零れる。唾液に塗れた竿部分を掴めば、メリーの眼前は更に卑猥な光景になる。
 やがてされるが侭だった蓮子が顔を前後に振り、擬似口戯は更に激しさを増す。増した激しさは震動を生み、メリーに明確な快感を与え始める。
 倒錯的で刺激的な快感は暫くの間メリーを愉しませるが、肉体的な快感は実質その震動だけである。
 そんな微弱な快感ではとても達せられない。
 メリーは動きを止め、蓮子の口からずるりと唾液に塗れた双頭ディルドの片側を引き抜く。
 先端から垂れる唾液はまるで先走りのよう。
 腰を引いて覆い被さるメリーに、蓮子はいよいよ自分にもこの大きなモノが埋め込まれるのだなぁ、と鈍った思考回路で理解する。
 蓮子の口内の温かさを纏った先端が、蓮子の秘部に触れる。僅かに湿った音が立つ。
 メリーはディルドの中程を掴んで数度秘部に摩り付け、蓮子の入り口を探る。
 じわりと広がる快感に甘く喘ぐ蓮子を見ていると、挿入したいという男性的な欲望がメリーの中で高まる。
 そして亀頭が僅かに引っかかるような感覚を覚え、メリーはそこで腰をぐっと前に押し出す。
 亀頭が蓮子の膣口を少しずつ広げながら、ゆっくりと埋め込まれていく。
 侵入してきたディルドに、蓮子は圧迫感による苦しさと、それを上回る膣内を擦られる快感に甘く喘ぐ。
 蓮子の膣は侵入を阻むようにディルド全体を締め付ける。
 それはそのままメリーの膣奥に圧迫を与える結果となり、そこからメリーは確かな快感を感じ取る。
 そうして挿入はゆっくりとした速度で続き、やがて際奥へと達した。
 ディルド越しとは言え、大好きな相手と繋がったという充足感が二人を満たす。
 メリーの中の獣的な欲望はナリを潜め、残るのは蓮子を愛したいという欲求。
 そっと、メリーは蓮子と唇を重ねる。
 舌を相手の口中に侵入させ、絡め、なぞり、唾液を交換して甘く熱いねっとりとしたディープキスに、二人は暫しの間溺れる。
 そしてキスの始まりのようにそっと唇は離れ、今度は視線が絡み合う。
 視線は伝えたい感情を乗せて相手へと届く。
 愛する人と繋がっている、という確かな喜び。
 やがてそれをもっと明確に感じて、気持ち良くさせて絶頂に押し上げ、又、達したいという欲求が湧き上がり、上であるメリーが腰を引いたのを皮切りに蓮子もメリーの腎部を抱え上げて腰を使い始めた。
 ディルドを咥え込んだ二人が腰を振る度に愛液は飛び散り、淫猥で粘着質な水音が立つ。
 秘封の少女二人の身体からはクーラーの吐き出す冷気を無視しているかのように玉のような汗が浮かび、動く度に躰をいやらしく垂れてベッドシーツに小さな染みを作る。
 二人は腰を振りながらお互いの名前を何度も嬌声混じりに叫びながら求め合い、高め合っていく。
 膣内から送られる快感を強く感じるようになる。
 息が乱れ、詰まり、思考が白く染まって何も考えられなくなり、何を言っているのかも分からなくなってくる。
 ただひたすらに高みを目指し、腰をめちゃくちゃに振りたくる。
 そして両端の先が二人の最奥――子宮口を抉るように勢い良く突いた瞬間、声にならない声を上げながら全身をガクガクと痙攣するように震わせ、愛液を噴出しながらほぼ同時に絶頂に達した。
 これまでで最も強烈な快感は二人の体力を根こそぎ奪い取ったのか、絶頂が収まると二人は抱き合ったまま、気絶するように深い眠りへと落ちていった。




 いやもういくら気持ち良かったからって、さすがにクーラー消すか何か被るか着るかぐらいはするべきだったか……。
 そりゃ素っ裸で汗まみれのまま寝たら身体をどこか壊したって何の不思議も無い訳――――うぉあ!? 雷落ちたってか鳴ってるっ! あぁもう私のお腹で鳴ってるってかそんなんいいからっ!!

「ト、トイレトイレぇー!!」

 叫びながら駆け込む私、宇佐見蓮子。
 ズボン脱いでパンツ下ろして便座座って準備完了、と同時にお腹がきゅぅーっと締まって苦しいと思った瞬間、まぁ乙女としては描写したくない生理現象が発生、即座に安堵感に包まれ――

「うあぁ、またぁ……」

 即座に催すのだった。
 そしてまた安堵感に包まれたら、今度はドアを忙しく叩く音。
「れ、蓮子っ、で、出て、お、お願いっ……!」
「えちょ、ま、待って待って! だ、第三波きたから――――――――あふうぅぅぅぅ……」
 いやもうごめんメリー。
「お願いだか、ら……も、漏れちゃ……ハぐゥゥッ!?」
 あ、なんかメリーもほんとやばそう。
 まだお腹気持ち悪いけど、一度出た方が良さそうね……。
 そして色々とまぁ描写したくない行動をしてからトイレを出る私。
「おっけ、メリー……いってらっしゃい……」
「はう、うぅううう……といれ、トイレぇ……」
 と同時、四つん這いで這いながらトイレに入るメリー。
 私はそれを見送ってからお腹を押さえてベッドでダウン。
 すぐに布団を被ったものの、お腹はまだまだ土砂降りの大洪水が起きそうな予感。
 そりゃ一週間も殆ど素っ裸のままカップ麺とジュースだけで生活して激しい運動してりゃそりゃ身体だって壊すわよねぇ……。
 んでトドメにクーラーでお腹冷やすなんて小学生みたいなオチ。
 涼を取るなんてもんじゃない現代の三種の神器のひとつが妬ましいわ。
 ……いやまぁ、分かってるのよ?

 単純に私達が迂闊だったって事は。

-FIN-
酷いオチと言わざるを得ない( ゚д゚ )
凪羅
作品集:
最新
投稿日時:
2008/09/11 05:49:51
更新日時:
2008/09/11 06:06:50
評価:
10/10
POINT:
70
Rate:
1.73
1. 5名前が無い程度の能力 ■2008/09/14 11:25:35
オチがひでぇw
でもネチョがえろくて大変よかった。
2. 7nanasi ■2008/09/14 23:06:44
ひたすら互いを貪る蓮子とメリーがエロくてとてもベネ
二人が両思いになった直後はこんな感じなんだろうなあ
3. 8名前が無い程度の能力 ■2008/09/15 20:43:08
これは良い秘封クラブ…
4. 10名無し? ■2008/09/20 13:51:02
すごい好きです
5. 8グランドトライン ■2008/09/23 14:23:22
性活が続いて腹を壊すようならば、生活環境を見直さざるを得ない!

表現が細かく、状況がとても把握しやすかったです。
台詞が殆ど無かったものの、それでも十分に興奮できました。
また、途中と最後にあるコミカルな部分が、官能部分が終わった後のちょっとした癒しになっているのもよかったです。

ただ、改行が殆どなされておらず、少し読みにくい気がしました
あとちょっとしたアドバイスとしては……

というかんなでっかいブツ何処で買ったのよ……
→というか、んなでっかいブツ何処で買ったのよ……

このようにしたほうが「んなでっかい」が読みやすくなります。

そういえば似たように引きこもってエッチばかりする話は色んな場所で聞くなぁ……
オチで大いに笑わせてもらいましたが、誤字も少なく、官能小説としてのレベルも高いです。
6. 6名前が無い程度の能力 ■2008/09/24 13:23:11
倒錯的で非日常的なエロさが立ち込めている。
盲目すぎる二人に乾杯。
7. 5名無し魂 ■2008/09/24 23:41:39
蓮子もメリーも社会復帰できそうにない……。
いや、健康じゃないと性欲尽きて愛想も尽きて……ってなるから、体は大事にね。
8. 8七紙 ■2008/09/25 16:36:35
酷いオチと言わざるを得ない( ゚д゚ )
これでもかッ! というほどのねっとりとした濃厚なエロス。
ご馳走様でした。
9. 5RoN ■2008/09/26 10:26:12
落ちひどいw
地の文がねっちょり濃すぎて、思わず眼が疲れてしまうほどだった。ちょっと目薬とティッシュ買ってくる
10. 8泥田んぼ ■2008/09/26 23:36:42
過程が素晴らしすぎただけに、酷いオチと言わざるを得ない( ゚д゚ )
エロエロなれんことめりーがウフフ
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