※触手、蟲、針、拷問、そんな話
彼女は多分凌辱されるだろう、お姉様が弱くなったら、咲夜は多分凌辱されるだろう。
大勢の輩に恨みをかっているから。
よそから黙ってものをもって来るから。いくらでも妖怪を殺しているから。殺されると痛いから。痛いのは苛々するから。
だから、お姉様に昔苛められた沢山の妖怪はお姉様に仕返しにくるだろう。
お姉様に力がなくなって、人間並に弱くなったら、必ず仕返しに来るに違いない。
多分、その時のお姉様はさぞかし見物のはずだ、ぞくぞくする。
だってお姉様はかわいいし、強がりだから、時が止められなくなった咲夜が自分のせいでひどい目に遭うのを見て、少なからず後悔するはずだ。
目の前で輪姦される咲夜を見せつけられて、泣きながらもうやめてあげてって言うかもしれない。
でも、咲夜を助けるなんてそんなことはどうでもいいや、そんなお姉様が見られるならいくらだって放っておく。
私は手の平に少しずつ集まってきた力の目や能力の目をじっくりと眺めた。
この狭い地下を与えてくれたお姉様に、今一度感謝申し上げたい。
でなくては私は幻想郷の中のものを壊そうなんて思わなかったことだろう。
そして、お姉様を手に入れようなんて思わなかったはずだ。
全部なくして壊れかかって、私を見てすがりつくお姉様?
私に抱き締めて慰めてほしいと思ったらあなたはもう私のもの。
死んでてもカケラ一つでも残ってたら、それをホルマリン入りの瓶詰にして可愛がってあげるからね?
あの真っ暗な地下室で一緒にいつまでもいようね?
でも、大丈夫、壊されかかってたら、全員私が壊してあげるから。
お姉様は無傷なまま、壊されて行く咲夜を泣きながら見学するといいよ。
壊れない人間なんてこの世にいないんだから。
だから、一緒にいよう、ずっとずっと一緒にいよう。
世界に変わらないものなんて何一つないんだから。
お姉様の大好きな咲夜も霊夢も魔理沙も、あっというまに死んじゃうんだから、だからずっと一緒にいよう。
壊してあげるから、ずっと一緒にいよう。
いなくなっても悲しくないように、記憶も壊してあげるから、ずっと一緒にいよう。
幻想郷から妖怪がいなくなったら、外の世界も私が壊すから、私達はずっと一緒だから、もう、霊夢にも、魔理沙にも、咲夜にも、お姉様を触らせなくてすむようになるの。
ずっとずっと私のもの、お姉様は私のもの。
だから、この手の中の目を、ちょっときゅってやったら、世界は壊れて、私もずっとお姉様ものだ。
目を潰す瞬間に、
なぜか、図書館で桜を見たことを思い出した。
刺さって、傷口からは血が滴り落ちた。
咲夜がナイフなんか持ち歩くから悪い、取り上げられて使われるのなんか目に見えてるのに。図書館に逃げ込んだのはよかったかもしれないけど、でもね、もうパチュリーだって魔法は使えないんだよ、咲夜。
パイプ椅子を振り降ろしてパチュリーを守ろうとする小悪魔は意外とかっこいい、それに比べてお姉様は情けないなぁ、咲夜にしがみついてかえって逃げるの邪魔してるもん。
逃げる気あるのかなぁ……。でも咲夜は背中刺されてもよく耐えてるね、もう時間とか止めれないはずなのに……。この二人は能力使えなくても強かったんだなぁ……。パチュリーなんか歩くので精一杯みたいだけど、まあ、たかが二人と数百人じゃあ勝てる物も勝てないけどね。
余計なメイドなんか雇っておくから悪いんだよ、いてもいなくても同じなら咲夜の負担増やすだけなんだからみんな首にしちゃえばいいのに。そんなことも分からないお姉様だから、まずメイドが反逆起こすんだよ。
ああ、研究室に逃げちゃった……、小悪魔と咲夜は頭いいなあ、あそこはいっぱい通路あるもんね。
でも、もうすぐ増援がくるだろうから、ほとんど窓ない紅魔館から出られるなんて思わない方がいいと思うんだけど。
やつらの好物って本当は血液で、破瓜の血とかは特に美味らしい。
美鈴も緑だけど触手も緑色してた、蛸みたいにうねうね動いている、動植物性の様々な触手。絨毯をはいつくばって咲夜の口の中に飲み込まれてく、もう、咲夜はほとんど涙流してた。もうすぐ吐くと思う。
あれは胃の中まで届いて中をかき回して突き刺すから、後半は拷問とたいして変わらない、気持ち良さの次に激痛が走る。でも脳内麻薬とやらのせいで死ぬ時はたいして痛くないらしい、本当だろうか。
咲夜は耳を塞ぎたいのを堪えては指の間を走る緑のぬめった蔦を睨んでいた。涎を垂らしてるから噛み千切ろうにもぬるぬるしてて歯が滑るんだろう、気管支塞がれてたらもっと早く死んじゃうはずだ。だからまだ喉までいってない。
咲夜が時折上がる声に顔を歪めた、小悪魔は触手と知り合いだったらしくて、パチュリーに使う刺引き受けてた。左腕一本まるまる刺で突き抜かれて、骨と骨の間に刺さった触手からは血が肉ごと粘土みたいに塊で落ちて、生爪と指の間に入った何本もの針が白い所まで届いてた。
焼けた砂粒を押し込まれてるみたいに指先が震え、針が動いて生爪を引き千切るに度にぽろぽろと涙流してパチュリーの手を握ってた。氷みたいに青白い指先を震えながらさすってた。
皮膚の下を束になった硫酸浸けのミミズみたいな触手が這っていく。関節に食い込むと、ハンマーで叩かれるみたいに樟骨が外される、重い激痛に歯を食いしばって、かろうじで痛みが伝播していない右手で触手まみれのパチュリーに覆うように触れた。
抱き締める力もない白い長袖の下で熱い鉄を埋められたみたいに骨がへし折れ、内から左右に破れた肉から染みた出た血で赤く染まった。その上を緑のイトミミズみたいな大量の触手が傷口を押し分けて血管を塞ぎ、浴びるように血を飲んだ。
「あなたは最高」
不意に、パチュリーはそんなことを言った。
小悪魔の計らいで、手と口だけはなんとか動かせたから、繋がった糸みたいに首まで血管を這い上がった触手が動脈を咬み切って、癌みたいに膨れ上がる顔を撫でた。
びちゃびちゃと触手が跳ねて喜ぶ中、パチュリーは小悪魔に口を付けて、落ちてきた小悪魔の血の雨を浴びて、頭にうじみたいな触手が落ちて来る。
二人は空間から生える細かい緑に覆われて、その後、内側からぐちゃって、天井まで届くような血液の雨を降らせた。
咲夜はなかなか死ななかった。
というか、触手が気に入ったのか、それとも二人分の血を飲んで満足したのか、なかなか殺さなかった。具体的には、特に腹を弄っていた。
すだれみたいな緑の触手が咲夜のスカートの中に潜り込んで、青いメイド服の下を撫でるように這っていた。双丘の上を通ると咲夜がおもしろいほどびくんと跳ねる。口に突っ込まれたやたら太いの触手のせいで声も出なくて、脇腹や胸の回り、背中の後ろ辺りを触られると痙攣してるんじゃないかと思うほど床が鳴った。
そのうち咲夜は顔を赤くして首を振った、スカートが盛り上がって大蛇みたいに動く、でも入れてないのは分かった、咲夜が内股になろうとしてるもん。
触手のひとつが咲夜のスカートをゆっくり持ち上げて黒いガーターベルトとショーツを晒した。
ガーターベルトの内側に別の触手が入ると、咲夜は右足で触手を蹴ろうとした。
また別の触手が咲夜の脚を押さえ付ける、腕を動かそうものならすぐに縛られる、ショーツを引きずり下ろそうとされる頃には咲夜はもう耳まで真っ赤だった。
そこまできて、なんとなく、咲夜は処女なんじゃないかなって思った。
だって口から抜かれた触手の先っぽからだらだら透明な液がこぼれるのを見てると嫌そうに顔をしかめてるし、処女って、裸見られるの嫌いらしいから。脱がされるだけで恥ずかしがるとか、たぶんそうなんだろう。
「ぁああ、はぁっ、や、やだあっ」
鎌みたいな鋭い触手が咲夜の襟に引っ掛かってぶちぶちという音を飛ばしながら咲夜の服を裂いていった。
下着まで切られて、また別の蛇みたいな触手が真っ二つに裂けた服を左右に引っ張って咲夜の白い肌を露出させる。
ぴんと蕾がたって、薄く紅色に色づく肌を見られたくないらしく、咲夜は押さえ付けられた腕を必死で持ち上げようとあがいて、腕どころか手首、指一本に至るまで緑色の触手に押さえ付けられてしまった。
舌みたいな触手が窪みのあるあたりからショーツの中に入り込んで、中をビチャビチャと音を立てて濡らす。
「やあぁあ、お嬢様ぁっ、お嬢様ああっ!!!」
本当はさっきからずっと、さくや!! さくやぁっ!!! って泣いてるけど、お姉様の声は弱々しくて、たぶん咲夜には届いてない。
シャンデリアの上で見学してる私にすら届いてないのに、もっと後ろの方で触手に捕まってる咲夜に届くわけない。
骨盤のあたりの布を触手が掴む、咲夜は身を強ばらせ、目を瞑って必死に荒い呼吸を整えようとしていた、他の触手は咲夜の背中から流れる血を飲みながら肌をはいずり回って鎖骨あたりに血の跡を残す。
ずるずると触手が動いて咲夜のショーツが引きずり下ろされてゆく。次第に溢れ出る潤滑液でぬめった肌が外気に晒された。
「やだ、やだ、こんなの、こんなの嫌!!!!!!! 嫌ぁ!!!!!!!!!!!!!!」
言葉なんて触手が分かるはずないのに。小悪魔ですら触手握ったり、モールス信号みたいにとんとん叩いたりして、やっとのことでパチュリーに痛みを与えないっていう契約するので精一杯だったのに。人間の咲夜の声じゃあ、触手の悪魔に届くはずがない。
口みたいな先端を持つ触手が何本も咲夜に襲いかかる、首を吸われ、鎖骨を吸われ、胸の蕾を吸われ、下乳を吸われ、味蕾のかたまりみたいな触手が開いた箇所をはいずり回り、その程度で腰が浮くほど感じている自分自身に、咲夜はぽろぽろと涙を流した。
陰毛の上を掠るだけで、触手に触れようと腰を跳ね上げはじめる、見ているこっちがぞくぞくするほど淫靡だ。
その欲求は応えられることもなく、さらに陰毛を撫でる手のような触手が増えただけだった。
ときたま表皮に触れたりするが、それも快楽にまで届かない。
「もう、やだ、やだ、犯して、犯して、助けて、助けてお嬢様!!1!」
ほぼ全身を押さえ付けられた完全で瀟洒なメイドが自身が信じたくないほど発情した姿を晒している。
このサディスティックな快楽に身を焼かれるような空間で今更ながら咲夜が性欲処理に最適な道具だったと気づいた、一度ぐらい抱いておけばよかったかもしれない。
そうしておけば、咲夜もこれほどまでにプライドを踏み潰されたりしなかったのに。
声に反応したのか、ちょっと前に咲夜の口の中を喉の奥まで蹂躙していた触手がふらふらと咲夜の上を回った。
ぽたぽた流れおちる滴の源を、もはや耐え切れないように見つめる咲夜。
口元までもっていかれると、しゃぶりつくようにそれを舐める。
目がもう、諦めて、先走りまで飲み干し、なおも出してほしいとすがりつくように、舌先は最後まで先端を撫でて糸を引いた。
その太い剛直で秘所を嬲られ、腰を動かそうとする咲夜。
入り口をさすられるだけで、物欲しげにきゅうきゅうと締め付け、涎をたらす。
やっと入り口にモノが宛てがわれ、先端を挿入される時。
ここでも、お姉様は役に立たなかった。
咲夜は、シャンデリアの上で羽をぱたぱたさせている私に気づいたから。
じれったいほどゆっくりと挿入されていく触手を、私に勝手についていることにしたそれと重ねた。
「……フランドールお嬢様がぁっ、やだ、入ってくる、フランドールお嬢様が入ってくるぅっ」
触手に声が聞こえないことを悟った咲夜は実に機転がきく。
お姉様に犯してもらえないから、私で代用するなんて、本当に咲夜はお姉様が好きだったのだろう。私を見つめて、触手に犯されながら荒く息をする咲夜は、今更ながらお姉様の手元においておくのは惜しい、でも本当に今更だ。
媚薬でも浴びたように濡れそぼった膣内は、私の息を上げるのに十分だった。
「んぁ、ああ、やだ、こんなに気持ちいいなんてっ、もっと、もっと奥まで入れて下さい、フランドールお嬢様あっ♪」
私はにやにや笑って、咲夜の言う通りもっと奥まで触手を延ばす。咲夜の中は、きゅうきゅう触手をしめつけて、本当に触手で咲夜を犯している気がした。
「破ってぇっ、私の、私の処女、フランドール様に貰ってほしいんです、お願いだからぁ……っ」
触手と私は気が合うらしい、お姉様はもうもはや私の名前も耳に入っていないみたいだった。虚ろなお姉様の目の前で、咲夜の唇を塞いで口蓋を貪り、唾液を散らせ、背中や脇腹に無数の緑色の指を這わせて、双丘の蕾をつまみ上げる。
「はぁああん♪ お嬢様ぁっ、もっと、もっと、お願いします、もっとして下さぃ」
まだ、破らない。
指が入るような深さまで押し込んで、先端を割って内側から咲夜を締め付け、硬くなった両蕾を同時に唇で吸い上げ、のけ反る咲夜を抱え上げる。
咲夜の中はもうおもちゃみたいに処女のまま犯されることを悦んでいた。
後ろに触手を延ばし、もう抵抗できなくなった咲夜の臀部を緑色の両手で広げ、入り口に触手をあてがい、前準備なしに挿入する。
後ろでも咲夜は悦んでいた、直腸を締め付け、触手を絞る。触手が蠢く度、身体がビクビクと震えていた、叫びたがっていても叫ばせない、ああ、もう、そろそろもっと突っ込んでもいいかも、私もいいかげん限界だ。
だってほら、見てよ咲夜、私のもうこんなになっちゃって、……。
「ぁ、ああ、ああああぁああああ、はあ、もっと、こ、壊してぇ、奥まで、一番奥まで、私のこと犯して下さい、お嬢様ぁっ!!!!」
味蕾のかたまりを抜くと、咲夜は涎を零しながら、私を抱き締めようと手を延ばす。
私はお姉様みたいにうなずいて触手を咲夜の中に沈めた。
「ぁあ、はあぁ、嬉しい、お嬢様ぁ……」
力を抜いてあげた触手が、ぼとぼとと指の間から落ちるけど、今の咲夜はそれすら嬉しそうに受け止め、ずるずると私の触手を飲み込んで。
もう、どこを見てるのかよく分からない。神経ごと紅魔館みたいな緋の色で染まったのかもしれない。それとも緑かな。
真っ赤な絨毯の上を緑色のぬめった触手が、咲夜を中心に波状に触手が跳ね上がって喜んで、すごい触手など天井近くまで飛び上がった。
大ホールの歓声を聞いているみたいな、びちゃびちゃという歓喜の声。
私は咲夜が堕ちたのを知った。
もう触手は咲夜を食料にしか見ていない。
落ちてくる触手が針に変わる。
「……さよなら、咲夜」
私が手を振ってあげると、咲夜はなぜか、笑っていた。
「ああああああぁあああああああ、嫌、いやあああっ!!!」
赤い肉片を敷き詰められた廊下を渡って、私はお姉様を迎えに行った。
足元でビクビク痙攣している触手が潰れて靴に纏わりく、ガムでも踏んだみたい、咲夜が死んだ後、触手が一斉にお姉様に覆いかぶさろうとするから壊したのだ。
「咲夜、さくやが、さくや、やだ、やだぁああぁあああぁああぁああああっ!!!!!!!!!」
触手の血を被って廊下の隅でがたがた震えているお姉様を膝ごと持ち上げて抱え上げる。
昔だったら引っ叩かれるような素敵な行為だ。嬉しい。これからお姉様はずっと私のものなのだ。
無傷で、ぼろぼろのお姉様、私を地下に閉じ込めて、私のことも忘れたお姉様。
霊夢が大好きで、しょっちゅう神社にいっては、楽しそうに霊夢のことを話すお姉様。
横暴で、みんなを困らせて、咲夜を疲れさせて、運命は操れるのに、自分は操れないお嬢様。
お姉様は私の運命も操っていたつもりなんだろうなぁ。
ちゃんと紅魔館にいればこんな事にならずに済んだんだよ? だってお姉様がいない間に、私は物質だけじゃなくて能力も壊せる事に気づいたんだもん。
お姉様が咲夜をくれなかったから、いくらでも実験できたし。
私は血ででできたバージンロードを降りながら、お姉様を私のお嫁さんにしてあげようと思った。
本当はこのあとのこととか、あんまり考えてなかったけど、咲夜がいない私達の紅魔館は、本当はあんまり広くないんだなぁって、分かったから。
二人で住むにはちょうどいいよ、きっと。
「やだ、やだ、さくやが、咲夜、痛いって言ってるのに、お腹があぁあああぁあっ!!!!!」
咲夜のこと好きすぎて、壊れちゃったお姉様は地下に行く間もずっと壊れてて、暗い地下室の中でもずっと泣きじゃくっていた。せっかくベッドに座らせてあげたのに、お姉様はずっと小さくなって、咲夜が痛いとか、いやだとか、やめてって、ずっと叫んでた。
私がぎゅってしても、ずっと泣いてて、私なんか見てないみたいで、でも、ちょっと力を入れると壊れちゃいそうで、それが私をゾクゾクさせた。
お姉様はもう羽もなくなってて、空も飛べなくて、人間みたいで、すごく弱い。
お姉様が鳥だったら、私は一生籠から出す気はない。
お姉様が魚だったら、私は一生水槽から出す気はない。
お姉様が人間だったら、私は一生、ここから出る気はない。
「でも、泣いてばっかりなんてやだな、やっぱり、……」
お姉様が、喉から血が出るまで泣くので、私は拳を握り締め、お姉様の記憶を消してしまった。
ケガするお姉様とか、本当は見たくないから、私は、お姉様がいればいいやって、思ったのだ。
「うー、……あそんで」
「うん、いいよ、なにしよっか?」
記憶を消したお姉様は大人しくて可愛かった。
これなら、昔みたいに、私のこと忘れて、どっか出て行っちゃったりしないよね?
「お姉様はかわいいなぁ、ずっとずっと好きだったよ、495年前から大好きだったよ」
「……えっと、ありがと、フラン」
ぎゅーってして、くしゃくしゃ頭を撫でたりした。
私は、お姉様とつながるより、そういうことの方が好きだったから、指とか舐めてあそんだり、裸のまま抱き合ったりしてた。
時間が経つ、時間が経つと、時々、お姉様は全部思い出したりして、私をひどく困らせる。
「あっ、ああ、やだ、やだ、フラン、咲夜、咲夜が……咲夜! 咲夜ぁっ!!!」
「うん、もう大丈夫だよ、全部壊したから、お姉様は泣かなくていいんだよ」
「だって、咲夜が、まだ、咲夜が!!!」
「お姉様、あれは咲夜じゃないよ、ただの肉の塊だよ」
「やだ、やだ!! 咲夜が、咲夜まだいるのに、咲夜がまだロビーにいるのに!!!」
「お姉様、人間はお腹破られてまで生きてたりしないんだよ?」
なだめすかして、お姉様を抱き締める、あんなにていねいに壊したのに、どこから記憶を拾って来るんだろうと思いながら。
「フラン、やだ、……どこにも、いかないでぇっ」
「うん、ずっと一緒だよ、ずっとずっと一緒、どこにも行かないよ、だって私はお姉様のものだから」
泣きじゃくって私の肩に涙を擦り付けて、濡れた肩をぺろぺろ舐める。
「くすぐったいよ……、ふふ」
最近のお姉様は捨てられた犬みたいだ。私がいないと死ぬかもしれない。
抱き締めると、柔らかくて、赤い目には私しか映ってなくて安心する。
お姉様にはもう誰もいないけど、私には最初からお姉様しかいないから。
「……フラン」
「なにかほしいの?」
口に指を突っ込むと、ぺろぺろ舐めてくれる。
根元から先っぽまで、裏側の溝をなぞって、回すようになめたり、吸ったりして、指を絡めると、舌を挟んだり、転がすように、モノでも舐めてるのかと、言いたくなるような具合で。こういうねだらせ方をさせたのは私だけど、こういうねだり方をしたのはお姉様の方なので、なんだか、無性に怖くなる。
「うー、お、お姉様って、処女だよね?」
「……うん、なんで?」
「あう、えっと」
でも、指じゃ処女膜って破れなくて、お姉様か処女か確かめる方法って、なかったのだ。
「レーヴァティン突っ込んだら、破ったの私じゃなくなっちゃうし、うー、どうしよ……」
ジレンマ。
私に棒とか生えてればいいのに。
「あ、そうだ、きゅってしたら破れるかな……、あ、でも痛いんだっけ、破るの……どうしよう、うーん」
お姉様は、私がそうやって考えてる間とか、ずっと舌でぺろぺろと私の指を舐めてた。
痩せた体を抱き締めると、お姉様は私の首もぺろぺろ舐めた。皮膚とか、弾力なくなっちゃって、栄養失調で、そのうち骨とか浮き出そうで、嫌だ。
「……お姉様は、幸せ?」
「幸せ、だってフランといられるもの」
お姉様は、食べ物食べてないから、このままほかっておくと、死んじゃうけど。
でも、私は、お姉様とずっと一緒にいたくて、外の世界も壊してしまったから。
「お姉様が死んじゃうなんてやだよぅ……、私って、ばかだ、ごめんね、ごめんね、お姉様」
骨と皮だけみたいになっちゃった手が、私の頭を撫でた。
いい子いい子するみたいに、私が閉じ込められる前のときみたいに、お姉様は私のこと撫でてくれた。
「ごめんなさいね、……今まで寂しい思いさせて」
「そんなことないよ、幸せだったよ!! お姉様と一緒にいられて、ずっとずっと幸せだった!!」
なんか昔みたいだ、昔に戻ったみたいだ。
ねぇ、お姉様、この扉開けたら、まだ紅魔館の階段あるかな?
階段上がったら、また、咲夜とかパチュリーとか、小悪魔とか美鈴とか、メイドのみんなとかに会えるかな?
また春には箱庭創って、みんなでお花見とかできるかな?
「ねぇフラン、私、……あなたのこと愛してた」
「今言わないでよそんなこと!! 私だって愛してたよ、お姉様以外のものぜんぶ壊しちゃうぐらい愛してたよぉっ!!」
細い手を握ると、お姉様は微笑ってくれて、溶けそうなくらい幸せだった。
「ねぇ、私の血、……吸ってくれる?」
「……うん、下手かもしれないけど、がんばる」
お姉様は頷いて、私に身体を預けてくれた。
ああ、どうか、もしかしたら、
お姉様がそう望んで、私にこんなことをさせたんじゃありませんように。
だってそうなら嬉しくて、決してこんなことしなかったはずだから。
−END−
- 作品集:
- 最新
- 投稿日時:
- 2008/09/02 22:17:07
- 更新日時:
- 2009/06/11 20:47:50
- 評価:
- 9/9
- POINT:
- 53
- Rate:
- 1.56
まぁ苦手なんですけど、こういうの……w
心が折れそうな程の狂気と姉妹愛と鬱、ありがとうございましたw
フランは可愛いなあ……。
この二人には幸せになって欲しい
虚しいけど、それでいて優しい気持ちになってくる。
表現が細かく、心理描写も上手く描かれていました。
前半の狂宴の激しさと、後半の静かな感じが良いギャップを生み出しています。
荒涼な結末ながら、どこかほっとさせるような優しさを感じる最後のパートも見事でした。
しかし、表現が複雑すぎて、何がどうなっているのか分からなくなる場面がいくつか見られます。
特に前半部分は読むのが少し難しかったです。
そしてくどいようですが、私が気になった部分をいくつか上げておきます。
パチュリーに使う刺引き受けてた。
→誤字?
助けてお嬢様!!1!
→助けてお嬢様!!!!
(作品の形式上、あえてそのままにする手もある)
お姉様はもうもはや私の名前も耳に入っていないみたいだった。
→お姉様はもはや私の名前も耳に入っていないみたいだった。
→お姉様はもう私の名前も耳に入っていないみたいだった。
(こちらも作品の形式上、あえてそのままにする手もある)
それと私はこの作品の裏テーマが咲夜とフランドールに思えて仕方ないです。
2人が結ばれていたらこの物語はどうなっていたことでしょうか?
最初はどうよこれと思っていたけど触手のあたりで目覚めてきちった。
外の世界を壊したっていう大切なことの描写がほしかったかな
エグいところはあるがネチョいところはあんまりない。グロ系が市民権を得るのは難しいですね。
壊れてて、ネチョが自然。
話そのものも展開が想像できず面白かった。
是非今後も貴方に書き続けて欲しいと思いました。
展開が繋ぎ繋ぎでちょっと良くわからなかったところあるけどエログロとしては極めておりますすげぇマジで吐く(褒め言葉)
(訳:良いやん)
正直ちょっと排水風味かなと思いつつ
でももっと書いてくれ
> 1. 凪羅氏
……何を隠そう自分も苦手です。
怖くてあまり読み直しできませんでした orz
> 2. 名前が無い程度の能力氏
ありがとうございます。 orz
フランは書いてみると本当に可愛くて今回も無意識に書いてたような節があります。
> 3. nanasi氏
そんな貴方の為のビターソーダです。冒頭と繋げると微妙に夢落ちになっています。
それでなくてもフランが血を吸ったあとはれみりゃが吸血鬼に戻るので運命操作も使えるようになれば、また幸せになれるはず……。
> 4. グランドトライン氏
誤字直そうと思ったんですけどなぜかパスが合いません。 orz
分かりづらいのは無駄な修飾があるのとと場面設定がないからですね、読み直して気づくとか何やってるんでしょうか自分。
チャットでは答えそびれましたが、咲夜が笑っていたのはフランが好きだったからです。二人がくっついてたら、みんなの咲夜よりかっこいいフランドールが咲夜の恋人になるでしょう。
> 5. 名前が無い程度の能力氏
執筆中も「触手のどこが面白いんだ」と首を捻っていましたが、キャラの反応見学と自由度の高さで納得しました。触手も面白い。(書く分には)
後半かなり書いてなくてごめんなさい、世界破壊の描写はふたりがずっとくっついてるので入れる雰囲気がなかった。(まあ、作ればよかったんですけど、作るのにも戻すのにも2シーンずつはかかりそうだったので……そんなにネタがなかった)
> 6. 名無し魂氏
咲夜ばっかり見てますもんね、フラン。
グロは実は苦手なのでそっちのほうがありがたいかもしれない……。いや、なら何で書いてるんだって話ですが。
> 7. 七紙氏
えろいって言ってくれる方がいてよかった……。本当よかった。orz
がんばります。
> 8. RoN氏
うぁ、すみません本当に申し訳ありません。
苦手なのに読みきった貴方がすごい。
次回はもっと分かりやすく書きたいと思います。ありがとうございます。
> 9. 泥田んぼ氏
ぱちゅこああたりならなんとかやれそうですよ!!