セフィティダ同盟

知られざる瑕疵故に

作者:はこ様 匣入-はこいり-

警戒することもなく俺の膝で眠るこどもの体温は、浴びている陽気と同じだけ暖かく心に染みてくる…などと、終ぞ考えたこともない奇妙な感情にかつては苛立っていた。
眼前で風にそよぐ金色を目で追いながら、時折ずり落ちそうになる小さな肢体を両手で支え、全く、このこどもは、と溜息を吐く。
思えば出会ったその時から、相対する立場にありながら不思議と俺を敵対視することがなかった。悪く言えば痴れ者だ。そんなこどもに、まさか俺が絆される時が来るなど努努思わなかった。
どれだけ手酷い言葉を投げかけても、こどもは怯むことなく俺と向かい合いたがる。苛立ち、呆れ、諦めて、つい笑った時にこどもは泣いた。どんなに痛め付けても泣かなかったこどもは、俺の笑顔で泣いたのだ。
おかしな奴だと未だに思う。ひょっとして、俺に父性を求めているのであろうか。実の父親が気性の荒い人間だから、こどもはこどもらしい生活がままならなかったのかもしれない。
「どうかしているな」
俺はそれを決してこどもには与えられない。こどもも既にそれは理解している筈であるのに、警戒の欠片もなく近寄って、擦り寄って、こうして眠る。
「俺も、お前も、どうかしている」
俺は、こどもが望むものなど一つも与えてやれないのに。
聞けばプロのスポーツ選手だというこどもの身体は、鍛えてはいるがソルジャーのそれとは違う。剛健な筋肉はなく、俺から見ればまだまだ成長しきっていない柔いものだ。
ほら、さっさと自覚するがいい。
俺はお前の何だ。
もともと大きく開いている上着を更に寛ろがせ、弛緩しきっている身体に手を這わせれば、ようやくこどもは身動ぎして小さく息を吐いた。
まさか、安堵の溜息ではなかろうな。
ふ、と笑いながら、かくんと仰け反り顕わになった首筋に唇を落とし、滑らかな肌に吸い付き、嘗める。
「……ん…、」
伏せた睫毛が細かく震える様も、幼さを残す頬が紅潮する様もつぶさに見届けながら、俺は首筋を一嘗めしてこどもに言ってやる。
「起きているんだろう?」
身体に走った緊張は僅かであったけれども、大概こどもの隠し事はすぐばれるものだ。
しかし目を開けようとしないこどもに、俺は悪戯心が沸いて晒された両の赤い粒を指先で軽く摘む、と。
「…ひゃ…っ」
はっきりと判る震えが俺にまで伝わった。
「そうか、寝たフリをしてまで俺に触れて欲しかったのか」
「な…、ち、ちが…!」
「…悪いが、俺はいつまでもお前の心地好い椅子に徹することは出来んのでな」
抵抗らしくない抵抗を始めたこどもの顎を掴み、後ろへ向かせて深く口付ければ、ほら見ろと言わんばかりにこどもはすぐ反応を返して舌を差し出してくる。そう覚えこませたのは誰あろう俺自身であったが。
「んっ、ん、ふ…」
暫く口付けを交わしていると、こどもは自ら身体の向きを変えて俺の胸に縋ってきた。違うなどと口では言っていたくせに、それはこどもの好奇心か、または俺と同じ悪戯心か。
「……は、」
銀糸で繋がる舌はこの陽気の下では酷く不似合いで、そのギャップに俺は目を細めた。
ギャップと言えば、こども自身がそうだった。
手練手管を用いて覚えこませた有るべき仕草を、太陽の名を冠したこどもは体言する。
「…セフィ…」
尤も、眦を濡らして見上げる所作や、初心を装う狡猾な態度は教えていなかったが。
ああ、これだから。
「ほら、言うがいい」
光そのもののような存在が、闇そのものの俺に何を求めるのか、その濡れた唇で懇願するがいい。
指先の一本一本に至るまで走る甘い痺れ。うっかりすれば俺が溺れそうになる。
お前は、隠された瑕疵を俺だけの前でだけ見せればいい。

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こちらも匣入-はこいりのはこ様から頂きました!!
穏やか〜な日差しの中でお昼寝中のティーダとそれを見守る英雄!
この時点でほのぼのかと思いきやちょいエロな展開にドキドキが止まりませんv
実はこれ、私が描いたイラストにあわせてはこさんが描いてくださったものですv
そのイラストは捧げ物なのでここには載せられませんが、サイトやpixivにアップしてあるのでよろしければそちらもあわせてご覧くださいませ!
はこ様、素敵な小説ありがとうございました〜!

10.06/27

  

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