9日目+



キミを見た瞬間に感情が止められない。
モニターに映る姿を見た。その中で自ら付けていた右手の八本の痛み。
今目の前にある傷はボクを引き裂く。

招いた事は間違いだった。
この子は既に向かう先を決めている。ボク一人で行く筈の道へ共に進もうとしている。

どう言えばこの子が動くのかを知っていた。
だから言い続けた。待っている、楽しみにしていると。
この子の心の動きを読む力は何故か出会った時からボクに備わっていた。
どう語ればいいのかをボクは知っていた。
それはこの子がボクのモノだという証拠のように思えた。
だから、ボクを追う盲目さを幼い柔らかな心に植え付けた。ボク以外を見ない程に狂わせた。
ボクの独占欲からこの子を壊した事をゲーム開始前は確かに良かったと思っていたのに。
だからこそこの子は生き残る道を進むだろうと。
どれ程紅い道を進んでも心が穢れる事はないと知っていたから。
辛く険しい道すらも乗り越えて生きていけると知っていたから。

一目会い最期の瞬間はキミを思いながらと望んだ。
彼等の大半は許されなかった贅沢を望んだ罰なのか。
ボクの唯一人のキミを選び彼等を切り捨てた代償は、そのキミの命を失う事なのか。

今、この穢れた洗脳からキミを解放する事もできるけれど……。

キミの望みが見える。向けられた言葉もグリップも叫んでいる。
ボクがここまでキミを壊した。
ずっと渇いていた哀しい頬を伝う光ですらもキミの狂気を浄化する事はない。
これはボクへの罰でありボクの本当の望みだ。キミと共に逝く事ができる。

グリップを握る手にそっとボクの手を重ねた。人差し指をトリガーに掛ける。
キミの手が薄く熱を持った気がする。


力の入った人差し指がキミの胸に紅い模様を作り出した。


切れ切れの言葉に笑みを飾るキミにボクも笑みを返す。
ボクの頬が冷たくなったのもキミの今の目には見えない。

閉じた瞼に唇を落としそのまま耳へと辿らせる。


「ゆっくり、休んでいてください。ボクもすぐにいきますけど。心を休めてから打ちましょう」


柔らかく囁きながら細く息を吹き込む。
グリップをキミの手ごと軽く上げ、二人の罪を増やすように人差し指は再び紅い絵を描く。
ボクの胸に咲いた華はキミの痛みと同じ苦い甘さを含んでいた。


「すぐに……追いつけますね……待たせずに……済みそう…です…………」


意識が落ちる時までキミを目に焼き付けて。
いえ、ボクの全てがなくなってもキミの姿がボクの中から消える事はないでしょう。

二人で罪の道を行く。一人で行くハズだった冥い遥かな道をキミと二人で行ける。
昏い幸せの中でボクはキミを追った。








第**回政府制定青少年保護教育法内指定プログラム
(仮称バトルロワイアル)


参加者
関東硬式庭球部上位三校+特別参加校

青春学園中等部
三年 手塚国光 大石秀一郎 乾貞治 河村隆 菊丸英二 不二周助
二年 海堂薫 桃城武
一年 越前リョーマ
計九名

立海大附属中学校
三年 幸村精市 真田弦一郎 ジャッカル桑原 仁王雅治 丸井ブン太 柳生比呂士 柳蓮二
二年 切原赤也
計八名

不動峰中学校
三年 橘桔平
二年 石田鉄 伊武深司 内村京介 神尾アキラ 桜井雅也 森辰徳
計七名

氷帝学園中等部
三年 跡部景吾 芥川慈郎 忍足侑士 宍戸亮 向日岳人
二年 鳳長太郎 樺地崇弘 日吉若
計八名

計四校三十二名



施行予定期日
****年**月**日より14日間

施行期日
****年**月**日より9日間


制覇者
青春学園中等部三年硬式庭球部部長、手塚国光


生存帰還者
無し
(参加者、担当教官、政府派遣兵含む)


以上、プログラムデータ報告



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