<ルイズSide> 酷く沈んだ表情のリズをタバサが促(うなが)し、部屋を出る二人を黙って見送る。 言ってしまえれば楽なのだけれど、それを言ってしまってはトリスティンの全てが終わってしまうような… そんな、気がする。いや、『気』なんてものじゃなく、確実に。 「はぁ…崩して良いわよ、アン」 「ぷはぁ〜…疲れたぁ…」 アンは…アンリエッタ・ド・トリスティンはまるで一本の針のように張り詰めた表情から一転して、だらけた表情を浮かべ、椅子に腰掛けた。 誰が見たとしても、今の彼女が王女などとは思うことが出来ないだろうがそれでも彼女は彼女。 『つかれたぁぁ…』とだらけきった声を上げたとしても、王女なのだ。 「いい加減妹に悪戯するの、止めてもらえない?」 「やだ。だって可愛いもの。あの怯えた表情…堪らないわっ!」 呆れた声で聞いて見ればアンは、染めた頬に手を当て全身をくねくねとさせていた。 どうしようもない。この『フタユル(フタナリでゆるゆるの性格の意味)王女』めと心の中で私は呟いた。 −−−−−−−−−− ゼロの使い魔中期連載SS「オクトメイジ」 外伝ノ三「エスとエムとリバーシブル −フタユル王女は両刀派?−」 −−−−−−−−−− 「そうそう、ゲルマニアに行ってきたのでしょう? 婚約のために」 「婚約のためじゃなくて、同盟のためよ」 アンは毅然と『同盟』と言うのだが、何かとキナ臭いガリアに対抗するためにはゲルマニアの力が必要で そして、ゲルマニアの王子?王?…ま、詳しくは知らないけど…が、アンに恋心を抱いていたはずである。 そうなれば、自然と婚約の話が出るはずなのだが… 「でも、出たのでしょう?そういう話」 「あ〜…出る以前に部屋に連れて行かれたわ。ま、押し倒してものの数秒で逃げられたけど、ね」 『くすくす』と、アンがおかしそうに笑う。と、いうことはアンの『あれ』を触ったということだろう。 『あれ』…分かりやすく言うなら男性器。砕けて言うならおちんちんか。アンは女性の身でありながら、同時に男性器を持っている。 若いながらも、女としての魅力溢れるアンが未だ結婚しないのはそれが原因だった。 それを唯一受け入れることが出来たのは、従兄であるウェールズ皇太子だけ。 それもあってアンは、少なからずウェールズ皇太子に恋心を抱いていた。 …リズに会うまでは。 「それにしても、また可愛くなったわねぇ…一目見ただけでおちんちん勃起しちゃったわ…もう少しで、あの可愛らしいリズちゃんを押し倒してしまうかと…」 「近づくだけで勃起するほど抵抗の無い貴方が何を言っているのよ。入れるどころか触られるだけで射精(はて)てしまうわよ」 抵抗。リズの特異体質…とでも言うのだろうか。リズの魔力に抵抗できない者は、その手に振れられるだけで絶頂に導かれてしまう。互いの意思も関係なく。 そして残念ながら、アンの抵抗能力はランクE。全くなしだ。 その所為で、何かを喋る時はリズを近づかせることは出来ないし、近くに居る時には心を持っていかれない様に常に気を張っていなければならない。 最初に会った時は本当に酷かった。 心の幼いアンと、力の弱いリズ。間にウェールズ皇太子が割って入ってくれたお陰で何とか最悪の状態は避けられたけれど 話によれば、アンは一週間ほど興奮状態が止まらず王城内で暴れまわったらしい。 「リズちゃんと結婚する男性は大変ね」 「えぇ、しかも結婚出来る可能性がある男性は…」 今、内乱の真っ只中に居るのだ。 そう、リズ…リーゼロッテの夫となれるのは、世界で唯一人。ウェールズ皇太子だけ。 状況は最悪と言っていい。 生きているかどうかすら分からない男に嫁がせる位なら、いっその事私が妻にでもしたほうがマシというものだから。 「そんな思いつめた顔しなくても大丈夫よ、ほら」 「…手紙?」 アンの手にあったのは、一通の手紙。羊皮紙に書くのが一般的な昨今に、上質の紙を使っているということは… 私は奪い取るようにアンから手紙を受け取ると、跳ね上がる心臓を押さえながら裏を見た。 あて先はアンリエッタ、そして宛名は… 「生きて…いたのね…」 「えぇ。だから、貴方に行って欲しいの。虚無の魔法使い、エクスプローダーのルイズに」 私は目を瞠(みは)った。私が虚無の魔法使いである事はリズを除く家族と、タバサ以外知らないはずなのだ。 でもそういえば、お父様が送ってくれた虚無の魔道書『始祖の祈祷書』って王家に伝わっていたような… 「アン…もしかして、全部知ってたの?」 「ウフフッ何のことかしら?」 半目でアンを睨むけれど、にこやかに返されてしまってはどうしようもない。 こういう時のアンは、何を聞いても教えてくれないから。 でもそんな私の気持ちとは裏腹に、アンの言葉は続いていた。 「『マイヤール』に虚無の使い手が現れるのは昔から分かっていた事だもの。カトレアさんが使えたのには驚いたけれど、魔法が使えない〜なんて言う貴方なら絶対に使えるって信じていたから。それにね…虚無の初級魔法の名は『爆破(エクスプロージョン)』でしょう。『爆破せし者(エクスプローダー)』なんて名乗っていたら、虚無を知っている人ならすぐ分かるわよ?」 「う…で、でも二つ名をお母様から貰った時はまだ虚無の力に目覚めてなかったわけだし…って、それより…ちいねえさまって虚無の魔法使えたんだ…」 そう考えると、お母様は私が虚無の力に目覚めることを予見していたという事なのかもしれない。 それにしてもちいねえさままで虚無の魔法が使えるなんて…あれ? 「で、でも…ちいねえさまって水のトライアングルだったはず…なんだけど…」 「くすくす…他人の私が言うのは何だけれど…ルイズは『マイヤール』を甘く見ているのね。詳しくは本人なりに聞いてみると良いと思うわよ」 そう言われてしまっては黙るしかない。 今の内にお父様とちいねえさまに手紙を出した方が良いか。 ついでにリズに置手紙を… 「行く気になってくれたのね」 「手立てがあると分かっているのに、行かないわけにはいかないでしょう」 羊皮紙を手に取った私を『肯定』と受け取ったのだろうアンの言葉が耳に届く。 私が顔を上げたときには、テーブルの上に伝書梟(ふくろう)が鎮座していた。 恐らくはアンが呼んでくれたのだろう。逆を返せば、そこまで時間が無いと言える。 「ワルドに同行するよう伝えてあるわ。手紙は私が出しておくから」 「…私が断ることは想定してなかったのね」 そうすると、今までの全ての会話は私が行くように仕向けるためのものだったのだろうか。 ゆるゆるの力の入ってない顔をしているクセに、流石は王女と言った所か。 「あぁ、時間はあるわよ。ただ早くエッチしたくなっただけで…もう我慢できないのよ…いい、よね?」 「はぁっ!?」 さっきのシリアスな会話は何処へ行ったのだろうか。 力の抜けそうなアンの表情に我慢しながら、シリアスな話を続けた私の努力はどうなるのだ。 「早くルイズの部屋に連れて行ってくれると思ったら、媚薬満載の部屋に居させ続けるんだもの。私を犯したくて仕方ないのかと思ったわ」 「違うわよっ! …でも、そう取られても仕方ないわね。ほら、舐めてあげるからスカート上げて」 抵抗の無いアンがリズの匂いが充満した部屋に居るのは、アンが言う通り『媚薬満載』の部屋に居るのと変わらないだろう。 よく今まで我慢できたものだと、今更ながら感心してしまった。さすが王女の精神力という事か。 「えぇ〜舐めるだけ〜?私、ルイズとえっちしたーいっ!したいったらしーたーいーっ!!」 「そんな時間あるわけが無いでしょう!? 急がないとリズが帰ってくるじゃない!!」 我慢していたのではなく、さっきから疼いて仕方なかったのか。 にしても、王女の言葉では完全になくなっている。マザリーニ卿辺りが聞いたら卒倒するのではないだろうか。 「じゃあじゃあ、一杯出すから…全部…飲んでっ」 「分かったわよ。アルビオンに行く時に大分魔法も使うだろうし、精々魔力の足しにしてあげるわ」 私の…ううん、『マイヤール』の魔力の元は普通の人とは違う。 人の精力。簡単に言えば、エッチな時に出る力が魔力になるのだ。 特に力になるのは、男の精液。アンは女だけれど、生まれつき両性具有であり魔力の質の高い『トリスティン』であるお陰で 彼女の精液はかなりの魔力を秘めているのだ。 ちいねえさまの話では、お父様の精液は特に凄いと聞いたけれど…まさか『そういう関係』になってないわよね? いまさら考えても意味の無い話だけれど… 「うっわ…すごい…ガッチガチじゃない。先走りも多いし…ん…やば…匂いだけで頭がくらくらしてくるわ…はぁ…ん…ちゅる…」 「あっ…ん…我慢…しなくて良いから…ちゃんとおねだり出来たら、入れてあげる…」 自分のおちんちんの匂いがどれ程私に興奮を与えるのか知っているからだろう。 アンは嗜虐的な笑みを浮かべながら、おちんちんを舐める私の頭を優しく撫でた。 でも残念ながら、私はそんなに爛(ただ)れた頭はしていない。 私が屈服するのはリズにだけなんだから。 「んっ…っちゅ…はぁ…あんまりナメた事言ってると…四点攻めして数秒で射精(い)かせるわよ」 「だっダメよ! そんな事したら、気持ち良いのがすぐに終わっちゃうじゃないっ!」 おちんちん、クリトリス、膣にアナル。頭を吹っ飛ばすほどの強烈な快感で一気に射精させても良いのだけれど そんな事をしたら、アンの精気はあまり籠(こ)められない。 やはり、じっくりねっとりと愛撫して…ギリギリまで我慢させてから射精させた方が とっても濃くて、美味しい精液が出るのだから。 「ふふっ…良い感じに頭がトんで来たのではないかしら? 一言言うだけで、一杯気持ち良くしてあげるわよ?」 「はいはい、受け体質のクセに攻めの真似事なんてしなくて良いわよ。ん…ん〜…っちゅ…じゅるっ…ちゅ…んふ…はぁ…んっ…れぅ…」 さっさと気持ち良くしてあげないと、何をし始めるか分からないわね。そもそもアンは攻めも受けも出来るのだし。 そもそも、アンとエッチするときは大抵アンが攻めなのだし… でも、今攻められたら恐らく今日は間違いなく腰が抜けてしまう。 そうなればアルビオンに行く時期が遅くなり、そして何処からか聞き付けたリズもアルビオンに同行したいと言い出すだろう。 それだけは絶対に避けなければならない。 危険な場所にでも連れて行って、封印が解けでもしたら目も当てられない。 あの娘は、普通の人間の女として暮らして貰うんだから。 でも、リズが付いて来るならば…恐らく、ウェールズ皇太子も二つ返事で私たちと共にトリスティンに来てくれるだろう事は想像に難くない。 「あっ…あっ…あっ…はげっ…はげしっ…絶頂(い)くっ!…出るっ…出ちゃうぅ〜〜〜っ!!!」 「ちゅっ…じゅるっ…っ!?…ん…んっ…こく…こくっ…ぷぁ…い、いきなり出さないでよっ! ビックリしちゃったじゃない…もう…ん…ちゅ…」 考えている間に、無意識に激しく攻めてしまったのだろうか。 気が付いたら口の中に盛大に射精させられてしまっていた。 「〜〜〜〜っっ!!…っはぁ…っはぁ…しないって言ったのにぃ…オ○○コ弱いって知ってるクセに…」 「…ん…あ、あははっ…む、無意識にかき回してたのね。今度はちゃんとおちんちんだけで射精させてあげるから」 涙声のアンの言葉に、手が噴出したアンの愛液に塗(まみ)れている事に今更ながら気付いた。 どうやら両手でさっき言った『四点攻め』をしてしまっていたらしい ドロドロになった両手でアンのおちんちんを握り、擦ってみれば案外良い感じに滑るようだ。 これなら手コキでも良さそう。 「ねぇ…お口でしてくれないの? 手だけ? お口で…変態王女の淫乱お○○ぽ苛めてくださぁい…」 「何お願いしてるのよ…全く…はいはい、分かってるわよ。はぁ…ぁ…ん…ちゅっ…手と口でちゃんと射精(い)かせて…っちゅ…あげるから…」 四点攻めで良い感じに頭が溶けてきたのだろう。涎を垂らしながら、アンが私に懇願してくる。 しかし、どんな攻めをしていたのだろう。今更だけど。 「んっ…んっ…っちゅ…じゅる…んちゅ…れぅ…っちゅ…」 「しょれしょれぇっ!…お口でちゅっちゅしながら舌でぺろぺろされるの…しゅごっ…しゅごいぃいいっ!」 ぬるぬるになった手で竿を扱き、唇で亀頭を、舌で鈴口を弄って上げれば、椅子に座っていられなくなったのだろう 腰を浮かせ、もっと咥えろと腰を振り始めた。 でも頭を捕まえて突っ込む事をしないのは、しない方がもっと気持ち良くなると分かっているからだろう。 その期待に沿えてあげなければ。 「ひゃぁっ!…すっちゃ…吸うの…だめっ…だめぇっ!!…すぐ絶頂(い)っちゃ…射精(で)ちゃっ…あぁっ!!」 「ん…っちゅ…っちゅ…じゅるっ…んふ…ほうら、我慢しないとすぐ気持ち良いのが終わっちゃうわよ? 一杯我慢して我慢して…そしたら、すっごい気持ち良いのがクるから…んっ…じゅるっ…ちゅっ…れぅ…ちゅるるっ」 吸い、頬を窄(すぼ)ませ亀頭全体を扱いていく。 アンのおちんちんは普通の男の倍以上あるから、窄ませれば私の口全部にぴったりと収まってしまうのだ。 そのまま一気に喉の奥まで迎え入れ、喉と口で扱いていく。 勿論おちんちん全部が口の中に入るわけが無いが、余った所は手で激しく扱いてあげる。 愛液交じりの手だから、少しくらい激しくしても痛みは感じないだろう。 「らめっ…りゃめぇっ!…むりっ…むりぃっ!…ぁ…ぁ…出る…出ちゃうよ…びゅびゅぅって…ルイズのお口に…お口マ○コに射精しちゃうからぁっ!!」 「んっ…んっ…ちゅっ…じゅるっ…んぷ…んふ…じゅるっ…じゅるるっ…っちゅ…」 口の中でおちんちんが『びくびく』と跳ね上がって止まらない。もう射精間近なのだろう。 多分30秒持ってないかもしれない。終わったあと、『早漏!』って言ってあげようか。 あ、でもそんな事言うともっと興奮して、押し倒されるかも… それも良いかも知れない。良い感じに興奮しているし、今入れられたらすっごく気持ち良さそう… って、そんな事している暇は無いのよっ!ほら、アンが折角口の中に一杯射精してくれているのだから。 …あ、もう射精してた。 「出てるっ! 出てるからぁっ!! 口…くちぃっ…ちゅぽちゅぽ止めてぇっ! しんじゃっ…死んじゃうっ! ぴゅっぴゅ止まらなくて死んじゃうぅっ!!」 「んっ…んっ…こく…こくっ…こくっ…?…っちゅ…じゅるっ…じゅるうるっ…んふ♪…こくっ…ごくっ…」 ごめんね、アン。凄く美味しいからもうちょっと… 「うぅ…ルイズに犯された…親友だと思っていた人に穢(けが)されたぁ…」 「あ、謝っているじゃないっ! ちょ、ちょぉっと意地悪したかっただけで…べ、別に…アンの精液が美味しすぎて口離すの勿体無いなぁ…とか思ったわけじゃないわよっ!」 5分位…かな、ずっと飲み続けていたお陰でかなりの魔力を持つことが出来たみたい。 その分アンはぐったりとしてしまっている様だけれど… そういえば、アンの少し肌がカサカサになっているような… 「こ、この淫魔ぁっ! 私の純潔を返してよぉっ!!」 「純潔も何も無いでしょ。既に処女じゃないんだし。それに、私は人間よ」 何時の間に来たのだろうか。ワルド様が外にグリフォンに乗りながら待っていたようだ。 もしかして、アンにフェラしている姿も見られたのだろうか? 何も言わぬままにワルド様は横を向いているけれど、その頬が少し赤くなっているのを私が見逃すことは無かった。 「ほら、ワルド様も来ている事だし。私はアルビオンに向かうわ」 「あ、ちょっと待って!…これを」 そう言いながらアンは指に填めた指輪をこちらに渡してくる。 たしかこれは、王家に伝わる『水のルビー』とかいう指輪のはず。 「これ、王家に伝わる指輪でしょ? 良いの?」 「えぇ、王家に伝わるからこそ王家勅命である証にもなるでしょう。持って行って下さい。必要ないと感じれば、路銀の足しにしても構いませんから」 確かに王家の勅命だという証にはなるだろうけれど、路銀にするわけにはいかないだろう。 それにグリフォンなら一晩でアルビオン行きの船に乗れるはずだ。 何か、理由があると思って良いかもしれない。 「分かりました。この指輪、責任を持って預かります、姫殿下」 「…ごめっ…なさっ…精液臭い口でまじめにされたら…くすっ…笑いがっ…ぷっ…くすくすっ…」 このおバカ。一発殴ってやろうかしら。 折角締めに、と真面目に喋ったのに完全にぶち壊し。 一通り終わって、世界が落ち着いたら全部暴露してやろうかしら。 「それも良いけど、その時はルイズが女王ね」 「何で…て…私が虚無使いだからか…うぅ…言うにも言えないじゃない」 『女王になりたかったら何時でもどうぞ』等とにこやかに言われては言える筈も無い。 それが分かっているからこそ、アンも言うのだろうけれど… 「え〜…ルイズが女王になってくれたら、私は自由じゃない。ね?さっさと暴露して楽になりましょう?」 「こンの、おバカぁっ!!」 『ふぎゃんっ!?』と言う声と、子気味の良いスリッパの叩く音に 窓の外に居るワルドさまが『わたわた』と焦っているけれど、私の怒りが止まる事は無かった。