「行くよ、シルフィード」 「きゅい、きゅい〜っ!」 私とタバサを乗せた風竜は一気に空を駆け上がり、瞬く間に遥か上空へと到達していた。 眼下に広がるトリスティン魔法学院。地上で見ると物凄く大きいのに、空から見るとこんなにも… いや、空から見ても凄い。『元の世界』でこんな造りをした建物なんて無かったから。 「目標、アルビオンに向かっているグリフォン。食べちゃだめ」 「きゅい〜」 「お、おぉぉっ!!」 竜に乗るなんて体験、初めてなのだけれど…予想以上に乗り心地が良い。 馬と比べたら速いし安定しているし…空に舞う分少し寒く感じるけれど、それ以外は全て勝っていると言っても過言ではないかもしれない。 でも…それでも間に合わないかもしれない。 最低でも日が落ちる前までにルイ姉さま達に追いつかねば… −綺麗だよ、僕の小さなルイズ。さぁ、今一つに…− 「くっ!…タバサ! 帰ったら美味しいものいっぱい食べさせてあげるから、急いでっ!!」 最悪の予感が脳裏に浮かび、それを振り払うように頭を振ってタバサに叫ぶ。 1メイルでも、1秒でも急がねば…と。 そして、私は知ることになる。使い魔は、主人に似る。ということを… 「イルククゥ!聞いた通り。全速力。私もフォローする」 「きゅいきゅいっ!風韻竜の底力見せてあげるのねっ!きゅい〜〜っ!!」 「えっ、今シルフィードがしゃべっ…きゃぁぁぁっ!!!!」 前方から襲ってくる空気の壁…違う、一気に凄まじい加速をしたため大量の空気が私を襲って来たのだ。 「ウィンド!ウィンド!…ウィンド・ブレイク!!」 「きゅいっきゅいっきゅいぃ〜〜〜っ!!」 「た〜す〜け〜てぇぇぇ…」 −−−−−−−−−− ゼロの使い魔中期連載SS「オクトメイジ」 第十二話「陰謀と策謀と姦計と −あるびおん道中記 前編−」 −−−−−−−−−− 「かひゅ〜…かひゅ〜…」 「きゅいぃぃ…きゅいぃぃ…」 「ふ、二人ともお疲れさま…宿を取りに行って…あ、シルフィードのご飯も貰って来るね」 精も根も尽きたとばかりにぐったりと横たわる二人の頭を撫で、苦笑を噛み殺しながら宿のある方へと向かう。 結局、二人に追いつく事は出来なかった。 流石に夜間飛行はしていないだろうから、ここから遠くない場所で宿を取っているはずだ。 「くっ…」 口から出るのは溜息と後悔と愚痴ばかり。 二人を信じたいのに、信じ切れていない自分がもどかしい。 そもそも、私に一言言ってくれればこんなに焦る必要は無かったはずなのだ。 なのに、ワルド様は何も言わずにルイ姉さまなんかと… …あれ? いや、違う違う。 『ルイ姉さまは何で私に何も言わずにワルド様なんかと』だ。 突風に煽られたままにここまで飛んできたから、少し頭の回転が悪くなっているのだろう。 薄暗くなり、粗方の店が閉めている中、二件の建物のドアから光が零れている。どうやらあの二件が宿屋なのだろう。 私は片方の宿屋の扉に手を掛け、そっと開けると カウンターに座っていたおじさんが私の事に気付いたのか、少し驚きながらも中に招き入れてくれた。 「いらっしゃい。おや、お嬢ちゃんはトリスティンから来たのかい? 一人で今のアルビオンに向かうのは止めた方が良いと思うよ」 「いえ、外に仲間が待っているんです。すみませんが、食事を二人分と…」 一階は食堂兼酒場になっているようで、賑やかな笑い声がフロアに響いている。 私が二人分の食事と、シルフィードにあげる食べ物を注文していると突然後ろから声をかけられた。 「リズ?…もしかして、リズなの!?」 「る、ルイ姉さまっ!!」 後ろを振り向けば、ずっと先に行っていたと思っていた人…ルイ姉さまが驚いた表情でこちらを見ている。 恐らく早めに休息をとるため、この中継点で宿をとることにしたのだろう。 運が良いと言える。もしここで、私が逆の宿を取っていたら… 「っ!?」 乾いた何かを叩く音。一瞬遅れて頬に鋭い痛みが走り、頬が熱くなった時 私は初めて、目の前に居るルイ姉さまが私の頬を叩いたのだと分かった。 「手紙は読まなかったの? アルビオンが今危ない時期だというのは知っているでしょう」 「で、でも…」 アルビオンに行く事なんてどうでも良かった。 ただ、あんなロリコンをルイ姉さまと一緒に旅させたらどれほど危険なのか… そればかりが気にかかっていたのだ。 「まぁまぁ、リーゼロッテは僕たちを心配して追って来たのだろう。そこまで邪険にする事は無いんじゃないかな」 「ワルド様…」 「…ふぅ。タバサの分の食事と…あぁ、シルフィードの分ね。ちょっと、タバサと話があるからもって行くわ」 もう一度私の頬を叩こうとするルイ姉さまの手を止めてくれたのはワルド様だった。 柔和な笑みを浮かべ、優しくルイ姉さまの肩を抱くワルド様を見ると、胸が少し苦しくなる。 そんな私の気持ちを知ってか知らずかルイ姉さまはワルド様の手を除けると、タバサたちの分の食事を持って外へと出て行ってしまっていた。 『早く寝なさい』と念を押して。 「では、僕のリーゼロッテ。一緒に食事を取ろうか」 「ルイ姉さまを抱いた手で、今度は私を抱きますか。節操がありませんね、ワルド様」 ルイ姉さまの肩を抱いた手で、私の肩を抱く。 流石にルイ姉さまほどの身長が無い上に、ワルド様は身長が高いので 肩を抱く…と言うよりも、背に回した手を肩に置く…と言った方が良いかも知れないが。 「ははっ…これは手厳しいね。確かに、配慮が欠けていたかもしれない」 そう言うも、あまり悪びれた感じはしない。 ワルド様が引いてくれた椅子に座れば、少し暖かい。さっきまでルイ姉さまがここに座っていたのだろう。 ワルド様と向かい合いながら、何かを話して… 「口に…合わなかったかな」 「えっ…いえ、まぁ…宿町の食事ですし。でも、悪くはないと思いますよ」 置かれた食事に怒りをぶつけるように、半ばやけ食いをしてしまっていた。 その苛立ちは、ワルド様には食事が美味しくないせいだと思ったのだろうか。 全部、貴方のせいなのに… 「リーゼロッテ…大事な話があるんだ。食事の後に、一緒に…僕の部屋に来てくれないか」 「はく…んく…んく…ぶふぅっ!? けほっ…けほっ…い、いきなり何を言うのですかっ!」 なんともはしたないことをしてしまった。ワルド様が悪いのだ。私を部屋に連れ込もうなどと…そもそもワルド様と婚約しているのはルイ姉さまで、私とそういう関係になりたいと、例え思っていたとしてもそれをこんな公衆の場で言うなんて節操が無いというにも甚だしいというか、大体… 「駄目かな、僕の小さな…可愛いリーゼロッテ」 「ひぅっ!?…わ、分かりましたから…手を…どけて下さい。しょ、食事が…出来ません…から…」 『ぎゅっ』と手を握るワルド様の手が暖かい。その温もりが私の心を熱くする。 これではまるで、この人に恋をしているみたいではないか。 「…っ!」 「ふふっ…では、食べようか。折角の食事だ。冷えてしまっては勿体無いからね」 目が合った瞬間、ワルド様はにっこりと微笑を返してくる。 まるで私の心を見透かされているようで、目が合っただけで息が詰まって胸が苦しくなっていた。 「すまないが、寝るためだけの部屋なのでね。ベッドにでも座って貰えるかな」 「は、はい…」 来ちゃった…来てしまった。凄く狭い部屋。ドアと小さな窓、そして小さな明かりに照らされたシングルベッドしかない部屋に。 明らかに、私に何かするために連れ込みましたと言っているとしか思えない部屋に 雰囲気も何も無く、キス一つすらなくいきなりベッドに座れだなんて… でも、ワルド様の言葉が魔法の様に私の身体に響いて、言うことを聞いてしまう。 言われるがまま、請われるがままに。 「リーゼロッテ…」 「は、はいっ!!」 思わず大きな声が出てしまった。仕方ない。仕方ないのだ。 だって…いきなり私の両膝に両手を置きながら、屈んだのだから。 キスもなしにいきなりク○ニですかっ! ロリコンなのだから、私の様な小さな女の子のスカートの中に顔をツッコみたいという衝動は 分かりたくないけど、なんとなく分かるけど…物には順序と言うものが… …… ごめん、自分で小さな女の子って言って自分で傷ついた… 痛い…痛いよっ。キュルケ程は無くても良いけど、せめてケティ位あればきっとワルド様のも少しは挟めるはずだし…ワルド様ごめんなさい、発展途上過ぎて… Aカップでは挟むどころか置く事すら出来ないです…で、でも、口でなら頑張りますからっ! 「…ッテ…リーゼロッテ!」 「は、はひぃっ!?」 あれ?『ハァハァ』言いながらスカートの中に頭突っ込むのではないのですか? 『抵抗しても無駄だよ、フフフ』とか言いながら、必死に足を閉じようとするのをこじ開けて 髪を振り乱しながらも感じてくる私を見たかったのでは… 「緊張しているのは分かる。だが、大事な話なんだ。心を落ち着けて聞いて欲しい」 「あ、は…はい」 あれ?…もしかして、話するだけ? ワルド様から聞かされた話は寝耳に水と言っても過言ではなかった。 ウェールズ様の敵対組織である貴族派である事、レコン=キスタとかいう組織に所属している事 ルイ姉さまが凄い魔法使いで、その力があれば世界を平定出来るとかなんとか… 何よりも驚いたのが 「冗談はいい加減にして下さい。私を妻にしたいなど…ルイ姉さまはどうされるのですかっ」 「断られたよ…すっぱり、きっぱりとね」 私を妻にしたいという事。掛け値なしに、本気で惚れてしまった、と。 でも、ルイ姉さまに先に告白しているわけで。つまり、私は滑り止めですか…安全牌ですか。 「…覚悟はしていたけど、そう冷たい目で見られると辛いな。確かに僕はルイズの力を手に入れるためにルイズに近づいた。今日だって、その為に告白をした…」 「ちょ、ちょっと待ってください! つ、つつっ…つまり…ワルド様は、ルイ姉さまの事…」 つまり、ルイ姉さまを惚れさせようとしていたのは、婚約者になろうとしていたのは ルイ姉さまの力が欲しかった…から? じゃ、じゃあ私に惚れたっていうのは… …なんて現金なのだろう。ルイ姉さまへの恋心が無いと分かった瞬間、これほどまでにこの人を想ってしまうなんて。 「僕のリーゼロッテ。ただ君は、僕の傍に居てくれるだけで良い。君に危害は絶対に加えさせない。僕が、君を守るから」 「ワルド…さま…あっ…」 『とさり』とベッドに押し倒される。いや、ベッドへと導かれる。 優しく抱きしめられ、身を包まれたままにベッドへと横たえられた。 「僕の…僕のモノになってほしい。リーゼロッテ…君の、全てが欲しいんだ」 「ワル…ド…さっ…やっ…ぁ…んんっ!」 胸の動悸が激しくて、恥ずかしくて目の前に居るワルド様の顔が見れない。 顔を背ける私の頬に、顎に優しくキスをしてきて 服の上から優しく、胸に手を当ててくる。 「…ぁ…あっ…ワル…さっ…ワルド様ぁっ…」 「とても綺麗だよ、僕の小さなリーゼロッテ。君の肌はまるで、僕の手に吸い付いてくるようだ」 何時の間にボタンが外されたのだろうか。既に服のボタンは外され、前は肌蹴られている。 ワルド様の手がゆっくりと私の胸を這い、優しく揉む度に 私の身体には、甘い快感が走っていた。 「はぁっ…くっ…なんて魅力的なんだ…リーゼロッテの身体を優しく撫でていただけなのに、くそっ…入れても居ないどころか、触っても居ないのにもう出てしまいそうだ…」 「ぁはっ…ワルド様の…おちんちん…触りますね…」 勃起して仕方ないのだろうか、起き上がったワルド様が必死にズボンを脱ぎ去ると 既に先端は先走りで『ドロドロ』になっており、ワルド様の言うとおりすぐにでも射精(はて)てしまいそうになっていた。 「ま、待ってくれ!今触られると…うぐっ!!」 「きゃっ…ぁ…勿体無いですね…ぁ…ん…ちゅ…ちゅる…」 腰を引いて逃げようとするワルド様を追いかけるように、ワルド様のおちんちんに手を伸ばすと 触れるか触れないか位の所で、私の顔目掛けて暴発してしまっていた。 凄く…良い匂いがする…これが、精液の匂い… どきどきして…興奮してきて…もっと、飲みたい… 顔に付いた精液を舐め取る度に、身体全体に甘く甘美な絶頂が走ってくる。 快感ではなく、突き上げる絶頂が。 やはり、女同士とは全然違う。私が女であり、男を欲しているという確かな証拠とでも言えた。 「ガッ!アァッ!! な、なんだっ! 何なんだっ!? 凄いっ! こ、こんなっ! きもっ気持ち良いぃっ!!」 「そんなに気持ち良いんですか?…じゃぁ…もっと、気持ちよくしてあげますね…はぁ…ん…ちゅ…ちゅる…んちゅ…れぅ…っちゅ…っちゅ…」 私の手がよほど気持ち良いのか、ワルド様は声を荒げて何度も『気持ち良い』と叫んでいた。 流石ロリコンと言った所か。 嬉しくなって、私はワルド様のおちんちんを咥え込むと、舌を絡ませて優しく…そう、優しく愛撫し始めた。 そういえば、男相手にフェラするのって初めてかもしれない。 「あぁっ!! そんなっ…そんなにされたら…でっ…出るっ! 出てしまうぅっ!!」 「んっ…んんっ…ん…んく…こく…こくっ…っはぁ…もう…早漏さんですね、ワルド様は。私は優しく…やさぁしく、ワルド様のおちんちんを可愛がってあげてただけなのに…」 かなりの早漏だ。口に咥えて30秒どころか10秒すら持たなかった。 激しくしたわけでもないのに… 「じゃぁじゃぁ…激しくしちゃったら…どうなるのか…試してみましょうか…はぁっ…んっ!…じゅるっ…っちゅ…ちゅるるっ…んぷ…っちゅ…じゅるるっ!」 「ガッ!…ガァッ!…吸われっ!…吸い取られるっ!!…リ…も、もう…出てる!…出てるからっ!!…ぐぁぁっ!!」 まるでポンプのように、私が『ちゅっちゅっ』て吸うたびにワルド様のおちんちんが『ぴゅっぴゅっ』て射精をしてくる。 早漏にも程がある、限度があると思うけど…濃くて美味しいから、良いかな。 「きゃっ!…もう…フェラしてる娘を押し倒しちゃダメですよ、ワルド様?」 「ふぅっ!…ふぅっ!…全く…君は魔性の女だな。ここまで男を篭絡するとは…僕でなかったら意識を失っていたよ」 いやいや、ワルド様みたいなポンプ早漏なんてそうそう居ませんから なんて、言えるはずも無く…ただ、『えへっ』と笑みを浮かべるだけ。 「ひゃっ…ぁ…ぁっ…ワルドさまっ…もう…そこ…ぐちゅぐちゅって…ワルド様のおちんちんが欲しいって…泣いているんですぅ…早く…早くぅ…」 「っ!…あぁ。くっ…こんな年端も行かない娘に言い様にされるなんてな…やはりっ…君は、僕が手綱を引いてあげね…ばっ!」 おぉ、意外。一気に貫いて気持ち良いのは良いのだけれど。 本当に意外に、ワルド様は射精していなかった。 もしかして、尽きた? でも、未だガチガチなのだから、まだまだ沢山出るはずなんだけど… 「はっ…あぁっ…ワルドさまの…おちんっ…ちん…凄く…熱くって…固くて…おっき…ぃ…あんっ!」 「はぁっ…くっ…うぅっ!…気を抜けば、一気に腰まで持っていかれそうだ…ここまでの名器は初めてだな…しかも…くそっ!! 誰だ…リーゼロッテの始めてを奪った奴はっ!!」 ゆっくりと、あまりにもゆっくりと動かすから私の膣をじっくり味わいたいのだと思っていたけれど 残念ながら予想とは違い、強く動かすと瞬く間に射精してしまいそうなのだろう。 でも、火照りきった身体に…この焦らしは…凄い、気持ち良いかもしれない。 ワルド様の瞳が黒く渦巻く。強い嫉妬…私の始めてを奪った人に、この人は嫉妬している。 ルイ姉さまの使い魔だって、言った方が良いのかな… 「ウェールズ…様…」 「ウェールズ? ウェールズだとっ!? くそっ…くそっ!くそっ!くそっ!! 何故アイツなんだ! 絶対に殺す…殺してやるっ! あんな奴に、僕のリーゼロッテを渡すものかっ!…あぁっ…僕の…僕のだ…リーゼロッテ…君は僕のものなんだ…」 何で…こんな時にウェールズ様の事が頭に浮かんだのだろう。 何で…こんな時にウェールズ様の名前が私の口から出たのだろう。 分からない…分からない… でも、私の瞳からは涙が溢れてくる… 「ウェールズさま…ウェール…あぁっ!!」 「違うっ! 違う違う違うぅっ!! 君を…リーゼロッテを抱いているのは僕なんだ。ウェールズ・テューダーではなく、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドなんだっ!!」 先ほどの様な緩やかな抽送(ちゅうそう)から打って変わって、打ち付けるような激しいものになる。 打ちつけながら射精する。射精しながら抜き、射精しながら突く。 強く、激しいワルド様の想いが私の身体を蹂躙し… 私は、犯されているんだ… 「絶頂(イ)けっ! 絶頂くんだっ! 僕に貫かれ、はしたなく絶頂してみせろっ!!」 「はぁっ…はいっ…絶頂きますっ…絶頂ちゃいますぅっ…ぁっ…ん…んんっ…〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!」 『ぐりぐり』と、子宮をこじ開けるように貫いてくるワルド様のおちんちんから 私を落とそうという、執念染みた思いが伝わってくる。 技術も何も無く、ただ突っ込むだけ。でも、その凄まじい思いが私を絶頂へと追い上げていた。 「…終わった?」 「ん…ワルド様…重い…って…ぁ?…あぁっ!…る、るるっ…ルイ姉さまっ!?」 何時の間に部屋に入ってきたのだろう、ルイ姉さまが私の顔を覗き込むような姿勢でベッドの横に立っていた。 驚きの声を上げる私を他所(よそ)に、ルイ姉さまは私に覆い被さるワルド様の横腹に蹴りを入れれば 何も抵抗することなく、ワルド様はベッドから落ちてしまった。 「ワルド様?…ワルド様っ!?」 「別に騒がなくても死んでやしないわよ。アンタが射精させ過ぎて気絶してるだけ。幾ら早くスクゥエアになりたいからって…吸い取りすぎよ。もう少し手加減してあげなさい、こんなのでも可哀相でしょう?ワルドも意外に頑張ったわね。Dランクのクセにセックスまでするなんて…望んで発狂するようなものじゃない。」 あまりに無反応なために、もしかして死んだのではと思ったがどうやら気絶しているだけらしい。 にしても、何でスクウェアが関係あるのだろうか。 そんな私の疑問も関係なしと、話を続けてくる。 「ま、大体予想はしていたけどね。にしてもレコン=キスタって何かしら…」 「真面目な顔して喋っているのに、何で脱ぎ始めるんですかっ!?」 話し続けながら、ルイ姉さまの姿は既にショーツ一枚。 真面目な展開というものは、ルイ姉さまの頭の中には無いのだろうか。 「どうせ一回しか絶頂してなくて欲求不満なんでしょ。私もアンタの喘ぎ声で身体が火照って仕方ないのよ。それと、これ。まぁ…帰ってから渡す心算(つもり)だったんだけど」 「何の覚書(おぼえがき)って…これ…えぇっ!? うそ…」 ぞんざいに渡されたもの、それは…私が求めて已(や)まなかったもの。 『アレ』を造り出す魔法の…完全版だった。