シロが踊っている。私…タマモの彼氏である忠夫が持つCDプレイヤーに合わせて。
ウサギのつもりなのだろうか両手を頭の上に乗せて耳の様に見せて腰を振りながら踊っていた。
そう、忠夫の前で
GS美神短編「うっーうっーうまうまっ 〜私に不可能は無し〜」
「バルサミコ酢〜やっぱいらへんで〜っ」
踊りに合わせて歌ってるつもりなのだろうか、しかし歌詞は全く意味不明。どうやら原曲は日本語ではないらしい。それを空耳という技法で半ば無理矢理日本語っぽくしているらしいのだが…
「きゃう〜んっ」
シロは踊る事か、それとも先生である忠夫に見られる事かのどちらか、もしくは両方なのか心底嬉しそうな顔で踊っている。
これは別に良い。
問題はこっちだ。
「おー、シロ。もうちょっと腰をだな」
「はいでござるよ、先生っ」
呆れて物も言えなくなる。
明らかに下心…いや煩悩丸出しの目つきで絡みつくような視線をシロに送っている忠夫。
…むかつく。
「シロ、一歩右にずれて」
「ん、タマモも一緒に踊るでござるか?」
にこやかな顔、踊りながら器用に右にずれてくれるシロ。
踊りは覚えた。完璧である。私に不可能などは無い。
ぴっと両手を頭の上に乗せ…いち…にぃ…さんっ
「「バルサミコ酢〜やっぱいらへんで〜」」
シロの声にハモらせながら踊りを開始する。
腰を左右に振りながら落とし、上げる。いち、に。
「きゃほーっ」
私が加わった事でさらにテンションが上がったのか、雄叫びを上げるシロの動きがさらに良くなる。
私は…負けない。
「おぉ、やっぱりタマモは違うな。やっぱり腰の辺りが充実しているし」
ぼんっという擬音が聞こえるほどに一瞬で顔が真っ赤になってしまった。
忠夫は何て事を言うのだ。如何に今シロと私と忠夫の3人しか居ないとは言え、明らかに『そういう』関係にあると明言しているようなものなのに…
そう、私と忠夫が付き合っているのは内緒なのだ。
理由は…まぁ…色々とあるのだが…
恥かしくて忠夫の顔が見れない。だが、プライドが赦さないので踊りは続ける。
「「うっーうっーうまうま〜」」
視線はシロの方にずらしているのに、横島がじぃっと私の全身を舐めるかのように見ているのを感じる。
鼓動が高鳴る
身体が…あそこの奥が熱く…
「どうしたタマモ…欲しくなったか?」
「なっ…ななななっ!?」
あまりの言葉に腰を抜かす私の目に映る、にやりとした忠夫の顔。
「あ、せんせぇ…拙者も欲しいでござるよー」
「えぇー!?」
なっ…忠夫の奴…まさかシロにまで手を出したの…
そんな思いが過ぎる私を置いて、二人の会話は続いていく
「おう、んじゃシロはオレンジで良いか?」
「おっけーでござるっ」
何だジュースか。全く、勘違いをさせられ…
「タマモには、後で大好きな特濃のカルピスを一杯飲ませてやるからな」
「ぶーっ!?」
直接な言葉は使っていないが、明らかに判るだろう…流石にシロでも…
「タマモはあんな甘ったるい奴が良いでござるか。 飲みすぎると太るでござるよ」
「そ、そうね…あは…あはは…」
手を口に当てて笑いを堪えるシロを見て、思い切り乾いた笑いが出てしまった…
シロは良くも悪くもまだ子供ということか…
「ただいまー。暑かったぁぁ…あら、横島君。私にもオレンジちょうだい」
ミカミが帰ってきた。ボディコンスーツと言うらしい面積の少ない服を着ているというのに暑いのか、机にあるファイルを団扇代わりにパタパタと扇いでいる。
「どうぞ、美神さん」
「ん、ありがと…ってアンタは兎に角、何でタマモは飲んで無いの?」
妙に気が利く人である。 何故そんなことに気が付く。
そんな事を聞いたら、きっと空気の読めない…いや、先ほど横島の発した言葉の意味の判らないシロは…
「あぁ、シロは後でせんせぇが特濃カルピスを飲ませてくれるらしいのでござる」
「はぁ!?」
・・・ほら。
後は何時も通りだ。
問い詰め、言い訳をする忠夫をミカミは問答無用でシバく。
だが、彼女として殴られる彼氏など見たくは無い。
「なに、カルピス飲んだらいけないの? アタシ、カルピス好きなんだけど」
「あ、あははー…そうよねぇ…何考えてるんだか…はぁ…」
ミカミは私の発言であっさり騙される。
それだけ私を信頼してくれているのか…いや、子供(がき)相手に『そういうこと』などするはずがないとでも考えているのだろう。
忠夫は貧乳で生えてない女で無いと勃(た)たないのに。
…そういう風に躾けたのは私だけどね。
はしがき
外国アーティストのCaramellという方が歌うCaramell Dansenという歌がありまして
それのspeedy remixをBGMに踊る姿を元にしたお話です。
はっかい。さんの二人の踊る絵が元ネタですねっ
でも、ゆめりあん的解釈でこーなりました。
何でいつもエロの方に持っていく私!?
えぇ、電波がいけないんです。 電波が。
はっかい。さんのうまうまダンス絵が見たい方は是非ともリンクからはっかい。さんのHPへっ
では、また次回に。
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