最近、美神の様子がおかしい。
別に変になったわけではない。

でも…少し違う。

「タマモ」
「えっ…あ、うん。なに?」

じっと見つめていた所為か、美神に話しかけられて思わず声が上ずってしまう。

真剣な美神の眼差し。

「アンタ、今日は学校休みよね」
「うん、それが?」

今日はわたしの通う六道女学院付属中学校の休講日。
それは美神も知っているはずで、美神の口調も質問というより確認に近かった。

「悪いけど、今日は留守番してて。 これあげるから」

そう言って渡されたのは…
わたしが横島に奢って貰っているうどん屋の、10倍以上はする老舗の和食料理屋の無料チケットだった。
単に無料というわけではなく、一度食べたら忘れられぬ味を誇る
その店自慢のきつねうどんと稲荷食べ放題と書かれてある。

普通に考えれば軽く10万は超える代物と言ってもいい。
わたしの小遣いは月に5000円なので…って、考える必要も無いか。

しかし、ただの留守番でこんなものが貰えるなんて思っては居ない。
ただより高い物は無いのだ。

と、チケットを掴む指をスライドさせれば、次の紙が見えた。

『下着泥棒を捕まえる事』

なるほど、とわたしは美神に笑顔を向け

「まかせて」

と自信たっぷりに言うのだった。


GS美神短編「泥棒にお仕置きっ!」


…とは言うものの、美神自身その泥棒を見たことは無いらしいのだ。
時計を見れば10時半。
美神は美智恵の所に行ってしまっており、夕方までは帰ってこない。

「兎に角、泥棒にわたしの姿を見られたらダメよね」

下着泥棒なのだから、下着を盗むのだろう。
今は洗濯物を干しては居ない。
12時過ぎにキヌが来て洗濯する事になっていたはずなのだ。

「うわくさっ」

洗濯機のフタを空けた途端に臭ってくる悪臭。
まさに、悪臭である。

洗濯機の中に隠れようと思ったのだが、この悪臭の中に居たら
かなりの確率で意識を失ってしまうだろう。

「ったく、汚いわね…」

他に隠れる場所も無いので、指先で抓みながら洗濯籠に放り込んでいく。
汗臭い美神の服。
汗臭いシロの服。
人工物の匂いが汗の臭いと混ざったするキヌの服。

…自分の服も汗臭かった。
って、当たり前か。

そして、服に隠れたように下着が出てくる。

「ちょっと、これ…美神ってば朝からシたわね…うわ…また塗る付いてるし…」

下半分が変色した美神の下着が出てくる。
こんな臭くてぬるぬるしたのなんか誰も取らないだろうに…とも思うが、ポケットの中のチケットがわたしを奮い立たせてくれた。

「とりあえず、これは美神の服の中に突っ込んで…ぎゃーっ! 手に付いたぁぁっ!?」


…等と悪戦苦闘しながら洗濯籠に入れ…あれ?
底にあった一際大きいパンツ。

見た事のあるパンツ。
これは、とわたしが手に取った瞬間

「ひゃっ!」

身体が『きゅんっ』となって、膝の力が抜け
小さな悲鳴を上げながら床に尻餅をついてしまった。

顔が熱い。
心臓が『バクバク』と痛いほどに鳴ってる。

判る。解る。分かる。
これ…横島の…

『タマモ…お前、凄ぇ可愛い顔するんだな』

わたしを抱いてくれた…横島の顔が頭の中に浮かんでくる。

「横島…よこしま…よこしま…」

ためだ…この匂いは魔物だ。
どんどんと…わたしの思考を奪って、身体に自由が利かなくなって…

「すぅ…ふっ…ん…や…はぁ…ん…すん…よこしまぁ…」

止めろわたし。
一生懸命自分の身体に命令するのに、わたしの鼻は横島の匂いに陶酔し
わたしの身体は火照り、指が服の上から胸を弄(まさぐ)っていく。

『とさり』と洗濯機の前で横になってしまう。
ここはベッドの上じゃない。
ここはわたしの部屋じゃない。

何時誰が入ってくるか解らないこの状態で
横島のパンツの匂いを嗅ぎながら自分で弄ってるなんて…

指が秘所を下着越しに弄ってる。
わたしじゃない『私』が、わたしを犯してる。

それを…横島に、見られたら

「んぁうっ…ん…んんーーーーーっっっ!!!!!」

視界いっぱいに横島のパンツがあるのに
頭の中では、いやらしい目つきをしながらわたしの自慰を見ている横島の姿があった。

見られてる。やだ。見ないで。
でも横島は自分のを扱(しご)きながら、わたしの絶頂(イ)く姿を見てる。

絶頂(イ)ったのに、さらにわたしの指は強く秘所を擦りたてていく。
『にちゃにちゃ』といやらしい水音が頭に響き

「はぁっ…ん…ちゅ…じゅる…ん…はふ…よこしまぁっ…んっく…」

精液やおしっこの染み付いた横島のパンツをしゃぶる音がわたしの劣情を掻き立てて

「あ…や…またっ…来ちゃ…やだ…横島…見ちゃやだっ…やだぁっ」

嫌われたくない、早く止めたい
そう頭の中で叫ぶのに、指の動きはどんどん激しさを増していく。

頭の中の横島が、わたしを『変態』と罵る。
『ぽろぽろ』と涙が出る。本当は今、横島は居ないのに。

頭の中の横島に命令されて、クリトリスを強く抓み、激しく擦りたてて

「だめっ…あっ…ゃ…ん…絶頂(イ)っちゃ…ーーーーーーっっっ!!!」

頭が真っ白になる
息が出来ない…

全身を『がくがく』と震わせ、ただただ身を襲う悦楽に翻弄され
横島のパンツの匂いを嗅ぎながら、わたしは何時もより長い絶頂を味わっていた…



「はぁ…はぁ…さいてぇ…」

確かに、ここ一週間ほど横島に抱かれていないからと言って
まさか、横島のパンツをオカズにこんな所で発情してしまうなんて…

これでは、まるでわたしが下着泥棒…

「って、忘れてたぁっ!?」

少しだるい身体を跳ね上がらせて大急ぎで服を脱いでいく。
シャワーを浴びる暇など無い。
無いけど、服は着替えないと自分の愛液まみれで凄まじい事になっているから…



「や…やられた…」

自分の部屋に入り、クローゼットを開けたところで力尽きてしまう。
普段着は、さっきのが最後だったのだ。

わたしは制服というのは好きではない。
何と言うか、その…肩苦しく感じてしまうのだ。

だからといって、愛液塗れの服や汗臭い服を着るよりはマシというもの。

しぶしぶ袖を通し…

「あ…」

同時に、ドアの閉まる音が聞こえた。
時計を見れば11時。キヌが来るには1時間以上かかる。

美神は…未だ帰ってこないはず。
シロなら『ただいまでござるよー』と馬鹿みたいに叫ぶはずだ。

つまり…泥棒が来た


まさか堂々と正面から来るとは思って居なかった。
わたしは身支度を整えると、そのまま洗濯機のある脱衣所へ…

って、居たのは横島であった。
なんだ、と声を掛けようとして…

「あ…」

声が出なかった。
横島の手にあるのは…

今さっき、わたしが履いてた下着

「凄ぇ…美神さんって欲求不満なのかな…」

いやだから、それ…わたしの下着。
横島の一人事に思わずツッコミを入れたくなってしまうが、決定的瞬間を見なければならないのだ。

まさか、横島が下着泥棒だとは思っても見なかったけど。


「い、入れちゃった…」

横島が、わたしの下着を…大事そうにポケットに入れて…
って、美神の下着と間違えてるんだっけ

「せーの…うりゃぁっ!」
「んなっ…ごはぁっ!?」

逃げられないようにこっそりと近付き、後ろから足払いを掛けたのだが…
余程驚いたのか、バランスを崩した横島は洗濯機の角に頭をぶつけていた。

普通なら死ぬ角度である。

普通なら。

だって、横島が普通じゃないのは
常日頃の美神のシバきを見ていれば解るというもの。

わたしは横島の腕を後ろに回してガムテープで縛り

「…ふふっ」

ジーパンとパンツを脱がせた。

正直な話、まだ身体は満足して無いのだ。
飛んで火にいる夏の虫、というものである。


「う…お…俺…って何か縛られてるー!?」
「うわ気が付くの早っ」

まだ1分と経ってないのに、横島はあっさりと気付いてぎゃーぎゃーと喚き始めていた。
だが、わたしの手の中にあるモノを見て『さっ』と顔を青くしている。

「横島、コレが何か判ってるわよね?」
「か…カンニンやー! ほんの出来心やったんやぁぁっ!! 美神さんの芳(かぐわ)しい匂いに釣られてぇぇっ!!」

確かに、出来心だったかも知れない。
でも、許すわけにはいかない。

「残念だけど、美神から『下着泥棒を捕まえろ』って言われてるのよ」

そう言いながら『ぴらり』とうどんチケットを見せる。
今の横島の財政状況だと、このチケット以上のものは出せないだろう。

…もしかして、美神って横島が盗んでたの知ってた?
まさかね…

ま、何より許せないのは…わたしの下着だと気付かなかった事だけど。


「さて下着泥棒、死ぬ前に言いたいことは?」
「って、殺す気満々かよ!?」

無駄の無い横島の突っ込みが入る。
その声から、『わたしが殺すはずが無い』という意図が汲み取れて…

「はうっ!?」

怒り任せに横島のあそこを踏んだのだけど…
意外に気持ち良かったのか、横島は痛みとは全く違う声を上げる。

もしかして、横島も…?


「ねぇ…この下着…何に使うつもりだったの?」
「いや…それは…ぐはぁっ!?」

誤魔化しに入る横島の袋を思い切り踏んでやる。

あ…ぷるぷるしてる…
余程痛かったらしく、身体を振るわせながら口を『ぱくぱく』させていた。

「い、言うっ 言うから踏まんといてぇ!!」

余程痛かったらしい。
半泣きどころか、滝の様に涙を流しながら『言いますーっ』と叫んでいる。



「えと…なんつーか…それを…俺のに巻いて…」

一瞬耳を疑った。
パンツを…横島はアレに巻いて…

気持ち良いの…かな?


「こんな風に?」
「うひっ」

パンツを広げて見せた後、今さっきまでわたしの秘所を覆っていた部分を
横島の柔らかい先端に当てた。

すると、横島は変な声を上げたかと思えば…

「うわ…すご…」

パンツが軽く触れただけなのに『むくむく』と横島のが大きくなってきたのだ。
横島…も…変態なんだ…

「ねぇ横島…このパンツで、射精(イ)かせて欲しい?」
「是非頼む」

心臓を『ばくばく』とさせながら聞けば、真顔で即答してくる。
そんなに…良いんだ…

美神のじゃなく、わたしのパンツ。
それで、横島は気持ち良くなってくれる。


「…痛くない?」
「いや、もうちょっと強くても良いぞ」

パンツで横島のを包み込みながら、ゆっくりと扱いていく。
視線の先にある『わたしのパンツ』に包まれた横島のあれ。
ついさっきまでわたしをあそこを包んでいた、『ぐちゃぐちゃ』に濡れてるパンツに包まれて
わたしの手で擦られて

「ふっ…っく…はぁっ…はぁっ」

横島が、すごい気持ち良さそうにしてるのがよく解る。
わたしの愛液が横島の亀頭に塗(まぶ)されて、『くちくち』といやらしい音を立てて…

「横島って変態よね。こんなパンツで扱かれて気持ち良いなんて…このまま射精(イ)っちゃう? 射精しちゃうの? 変態な横島は、愛液塗れのパンツに『どくどくっ』て射精したいんだ?」

『くすくす』と笑みを浮かべる。
横島は気づいて無いけど、わたしの左手はもう『ぐちゃぐちゃ』になった下着を下ろして直接弄っていた。
横島の…咥えたい…入れたい…けど、教えてあげないといけないから。

横島が射精しようとしてるのは、わたしのなんだって。


「横島のおちんちんが『びくびく』ってして…射精しそうなんでしょう? 良いよ。いっぱい射精して…『わたしのパンツ』に」
「えっ…マジで…う…ぁ…いっ…あぁっ!!」

射精を早めようと、腰を動かしていた横島が
わたしの言葉に驚いて顔を上げるがもう遅い。

「わ…いっぱい…『どくどくっ』て…こんなに…わたしの愛液と横島の精液が混ざりあって…んっ…ちゅる…すごい匂い…」

下着の上から音を立てて吸ってあげると、気持ち良いのが続いてるのか射精が長く長く続いている。
でも横島は、荒い息を立てながらぐったりして…
茫然自失。といった所かな。
美神の下着と間違えたアンタが悪いのよ?

わたしは、一度も『これは美神の下着』だなんて言ってないし、ね。


「横島、気持ちよかった? こんなにいっぱい出したんだから、凄く気持ち良かったよね。 大丈夫よ。 アンタが下着盗んでた事は美神に言わないから…でも」

涙を流す横島の頬にゆっくりと手を沿え、私は優しく…彼の耳元で囁く。


『変態なアンタを好きになってくれる女なんて…わたしくらいなんだからね…覚えておきなさいよ』



はしがき

というわけで、パンツ扱きをお送りします夢璃杏でございます。
えぇ、感化されました。

スマガにっ!

ガーネット可愛いよガーネット
お陰で、横島君は変態さんになってしまいました…

協賛、はっかい。様
毎度、良い絵をありがとうございますっ


では、また次回に。

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