これは・・・
春を過ぎて間もない昼も間近な時。妙神山居住区の調理場にて起きた
日々を緩やかに過ごす竜神の夫婦が織り成す他愛も無い出来事のお話。
GS美神短編「竜神夫婦の他愛も無い日常 〜無理矢理はお好き?〜」
「ふんふふん〜ふん〜ふん〜」
各々に様々な技を極めし者達が訪れ修行する場、妙神山の一角に作られた調理場に、人界では聞いた事が無いフレーズを口ずさみ、機嫌よく食事を作る女性が一人。
彼女の名は、小竜姫。
十人中八、九人の男が振り向くであろう、見るもあどけなさの残る顔立ちに騙される者も多いが、彼女は竜神の一人…平たく言えば神の一柱であり、数百年前には武神と呼ばれた存在である。
「ん、おいし・・・」
何かのスープだろうか。お玉に汁を掬い一口飲み、その顔に笑みが浮かぶ。
どうやら満足のいく味になったらしい。
「旦那さま〜、お昼ご飯出来ましたよ〜」
愛しき夫…嘗て人間であり、嘗てアシュタロス戦役で魔神アシュタロスを屠った英雄であり、数百年前に人神魔の三界に渡る女性達を魅了した男…忠夫の居るであろう書斎に向かって呼びかけるが返事が無かった。
おかしい、そんな思いが小竜姫の頭に過ぎる。
何時もこの時間は書斎で、人間界から買ってきた漫画を読んでいるはずなのだ。
「ーっ!」
一瞬の隙を突かれた。
何かは判らないが、恐らくは布製の物で視界を奪われてしまったのだ。
『カチャリ』という金属製の音と共に、首筋に冷たい何かを感じる。
虚脱感
『しまった』と小竜姫が思ったが既に遅い。
恐らく首に付けられたのは『対竜神用』の道具なのだろう。
全身の力が抜けてその場にへたりこんでしまう。
『逃げなければ』という思いが浮かぶ。
もう剣を持たなくなって久しい小竜姫には、気配すら感じさせずにこれだけの事をこなす相手に勝てるとは思えなかった。
この者は何をするつもりなのだと、唯一使える頭で考えたが一瞬で全身に恐怖が走った。
小竜姫の服を脱がせ始めたのだ。
「や・・・」
声すらまともに出ない自分が悔しい。
嘗ての、武神であった自分ならば何とか出来たかも知れないが。
「だん・・・さ・・・たすけ・・・」
必死に声を出そうとするがか細く、脱がされる衣擦れの音に半ばかき消されてしまう。
首輪さえ何とか出来れば、という思いもあるが既に腕を上げる力すら入らぬ自分ではどうしようもない。
そして何も出来ぬまま、状況は悪化し続けた。
恐らくは男であろうその物に、夫以外には見せた事の無い素肌を晒してしまったのだ。
湧き上がる羞恥に追い討ちを掛けるがごとく、小竜姫の耳に衣擦れの音が聞こえる。
小竜姫は既に何も着けていない。なのに、衣擦れの音がする。
裸にされたのだ。何を相手が望んでいるのかは大体察知できるが、だからといって享受出来る筈も無いのだ。
夫以外の男に素肌を晒すだけでも死にたいと思うのに、その先など想像すらしたくも無かった。
相手は終始無言。目の見えない小竜姫には、不気味に感じてしまう。
衣擦れの音が・・・止まる。
「あ・・・あ・・・」
見えはしないが、目の前に夫ではない裸の男が居る。
泣きたかった・・・いや、力が入るなら相手を消し飛ばして夫の前に飛んで行き、血の涙を流して許しを請いたい位だ。
相手が夫ならば脹れ面をするだけで済む話なのに。
楽観的過ぎる考えが浮かぶ。
それならどれほど幸せだろうか。
口に、暖かくて柔らか味のある『何か』が触れた
「ひっ・・・」
匂いが、感触が、小竜姫に見えなくとも『それ』が何かを指し示していた。
小竜姫は思い切り後退りしたつもりだったが、僅かに顔を動かすだけに留まってしまう。
だが、男はソレすらも許さなかった。
「む、むぐっ!?」
小竜姫の頭を掴み、無理矢理口に『それ』を突っ込んだのだ。
口中で感じる『男』の臭い。
夫の物であれば、それは芳しい興奮剤となるが・・・
涙が溢れる。目を塞ぐ布が涙を吸うが、全く関係ないとばかりに布越しに溢れてきていた。
突如男が動き始める。最初はゆっくりと小竜姫の口を味わうように、掴んだ小竜姫の頭をグラインドさせていたが我慢できなくなったのか、男も腰を動かし始めた。
「んっ…んぐっ…ぐぅっ…ぐっ」
『ぐちゅり』と口の中で男の物と己の唾の混じるいやらしい音と、男の粗い息遣いが耳に響いてくる。
『死にたい』そんな思いが浮かんでくる。いっその事このまま喉を貫いて殺してくれないか、と
「はぁっ・・・はぁっ・・・」
限界が近いのか男は息を荒げ、小竜姫の顔を振りながら滅茶苦茶に腰を動かしていく
呼吸すらままならない。
頭を振られる所為でまともな思考すら叶わなくなって来る。
「っくぅ!」
喉奥まで突っ込まれた瞬間、爆ぜた。
吐き出したいのに、出された精液は逆流してくれない。
意に副ぐわぬまま喉を通っていく感触。
「あっ」
男の間の抜けた声と、『キンッ』という軽い音。
目を覆う布の緩む感触と、首に付けられた封環の外れる感触。
目が・・・合った・・・
「いてぇぇぇぇぇぇっっっ!!!!!」
思いっきり噛んだ。噛んでしまった。
小竜姫に…いや、本人にとってもとても大事なものだったが、今回の仕打ちは流石に腹に据えた。
相手は夫…忠夫だったのだ。
「小竜姫〜」
「ぷいっ」
畳に座る夫の膝の上に、小竜姫は膝を抱えて座っている。
これは、小竜姫にとって『怒ってます』という意思表示らしい。
何とか妻の機嫌を直して貰おうと甘い声で名を呼ぶが、小竜姫は半泣きのまま忠夫と目を合わせようとはしない。
「ん〜・・・ちゅっ」
「ひゃぁぁ!?」
小竜姫の背中に電気が走る。敏感な耳にキスをされたのだ。
思わず、真っ赤になりながら忠夫の方に顔を向けてしまう。
怒る? そんなもの、彼の目を見た瞬間にそんな思いは消し飛んでしまった。
吸い込まれそうな瞳。見るだけで溶けてしまいそうな彼の笑み。
そして
「んっ・・・んんっ」
甘いキス
だめだ。
今度ばかりは説教しないといけないのだ。
こんな事二度としてはいけないと怒鳴らないといけないのだ。
そんな思いが、キスの気持ちよさと共に消えていく
身も、心も、溶けてしまう・・・
全てを許してしまう。
このままではいけないと思うのに
「じゃ、いくよ・・・」
「はい、いっぱい愛してください・・・旦那さま」
結局、愛しの夫の全てを受け入れてしまうのだ。
はしがき
ちょっと鬼畜め〜から一転してラブX2になるお話をお送りしますゆめりあんでございますー
はっかい。様の絵を元に・・・してるのに、相変わらずその場面は一瞬という・・・
イラマチオ・・・どーなんでしょうね
男の人にとって気持ちの良い物なのでしょうか
私としては互いに気持ち良くならなければ速攻冷めるタイプなので、どーも気持ちが掴めず…
などと言いつつ
また、次回に。
2008/08/12:はっかい。様より頂きました絵を掲載しました。
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