夢を見ぬ眠り
ふっと、意識が戻るのを感じる
朝だ
まだ日の上らぬ時間。私…横島キヌはゆっくりと目を開けた。
GS美神短編「キヌの日常〜黒キ者ノ願イ〜」
真っ暗な部屋
セミダブルのベッド
私は視線を天井からゆっくりと下ろしていく。
天井が切れ、壁、ドア…そして、愛しき夫の寝姿。
ふと、顔がほころぶのが分かる。
まだ居る、私の傍に居てくれている、と。
夫…忠夫さんを起こさないようにゆっくり忠夫さんの方を向く。
至近距離で見るあどけない表情。
まるで子供のようにも感じてしまう。
ピクリと身体に電気が走る。
その甘い感覚に『ほぅ』と熱いため息が零れてしまう。
こんな、何も知らない少年の様な夫に…何度も…
いけない。今は劣情を出す時ではない。
今この時間…時計は見てないが、およそ5時過ぎ…から忠夫さんの起きる10時までは、まるで天使の様に眠る忠夫さんの愛らしい寝顔を見る時間なのだから。
「ん…」
忠夫さんの声に『起きた?』とも思ったが、違うようだ。
すんすんと鼻を鳴らし、私の胸に顔を埋めると、落ち着いたのか再び寝入ってしまう。
胸がきゅんっと熱くなる。
何と愛らしい事か。
今すぐにでも唇を奪い、忠夫さんの肉棒を口に含…
違う。
待て、私。
それは忠夫さんが起きてから。
私だけを見ながら、私だけに微笑みを浮かべ、私だけに『おはよう』って言ってくれてからなのだ。
私は私の胸に顔を埋めた忠夫さんの頭を優しく抱きしめ、胸一杯に匂いを嗅ぐ。
とても…落ち着く匂い
愉楽悦楽では得られない幸せなひと時。
こうやって、私の胸の中で眠る忠夫さんを優しく抱きしめるこの時
私が今までやって来た事全てを『やってよかった』と思える。
「ん…ぁ…」
ふと気付けば、もそもそと動き始めている。
時計を見ると既に9時45分。
もう起きる時間になってしまった。
名残惜しさを噛み締めながら、抱きしめた腕を解いて再び仰向けになる。
後10分もすれば起きるはずだ。
頬に感じる優しい視線。
ゆっくりと振り向くと、忠夫さんがこちらを向いて微笑んでいた。
「おはよう、キヌ…今起きた?」
「おはようございます、忠夫さん。もしかして、寝顔見てました?」
『キヌの横顔に見とれてたよ』って小さく呟かれ、全身をゾクゾクっとした快感が突き抜けてしまう。
頬が『かぁっ』と熱くなるのを感じる。
「キヌ…」
小さく…哀願するような声。
分かります…分かりますよ。忠夫さんがどうして欲しいのか。
パチリと部屋の電気をつけ、明るくしてから忠夫さんの猛る肉…じゃない…
「忠夫さんのおちんちん…朝だちで苦しそうですから、私のオマンコで鎮め「違うよ、キヌ」…ふぇ?」
毎日している事なのに、何が違うというのか。
まさか…という黒い物が心を染め始めるが、唯の一言で…一瞬で払拭されてしまった。
「キヌの寝顔があまりにも可愛いから…興奮しちゃって…」
全く…この人はどれだけ私の心をかき乱せば気が済むのだろう。
絶頂(イ)ってしまいそうになる身体を何とか抑えて、ゆっくりと腰を下ろしていく。
「んっ…はぁ…っく…はぅ…」
『にちゅっ』という淫音と共に熱く滾る…私に興奮して大きくなったおちんちんをゆっくりと膣奥に導いていく。
私の中でおちんちんがぴくぴく震えて居るのを感じる。
私の中で気持ちよくなってくれている…それだけで嬉しくて
「うっく…き、キヌ…そんな強くしたらすぐイってしまうっ」
「はぁっ…んぅ…忠夫さん…忠夫さぁんっ」
本当はもっとゆっくりと時間を掛けて愛し合いたいけれど、今日の忠夫さんの言葉で私の身体は火照ってしまい、最初から激しく腰を振りたててしまった。
私の嬌声と共に結合口から『ぐじゅっ』といやらしい音が聞こえる
それに混ざる忠夫さんの荒い息。
自分で動けない忠夫さんは、もうイってしまいそうなのか涙を流しながら『キヌ、キヌッ』て叫んでくれている。
そう、これが私の望んだ忠夫さんの姿なのだ。
「はむ…ちゅる…ん…っちゅ…はぁ…」
事が終わり、私の淫液の着いた忠夫さんのおちんちんを優しく舐めて綺麗にしていく。
忠夫さんが物足りない時は硬さが収まらないのでそのまま二回戦へと行くのだが、今日は良いようだ。
「じゃ、ご飯作りに行きま…ひゃう!?」
ベッドを降り、スリッパを履いて忠夫さんの方を向いた瞬間、『ガクッ』と膝が折れた。
それに忠夫さんはベッドから落ちそうになるのも気にせず、おろおろと『大丈夫か!?』って心配して
「あはは…忠夫さんが膣内射精(ナカダシ)してくれた精液が、膣を通って出てきたんですよ」
こぽこぽと出てくる精液を片手で掬いながら忠夫さんに優しく笑む。
こんなに出してくれたんだ…と片手で掬い切れない精液をもう片方で掬いながら、手一杯に貯まった精液を愛しく舐め取っていく。
むくむくと忠夫さんのおちんちんが大きくなっていくのが分かる。
でも、ご飯を食べてもらわないといけないから、小さく舌を出して『えっち』って微笑みを残してキッチンへと向かった。
「忠夫さ〜ん、ご飯出来ましたから行きますよ〜」
まだおちんちんを大きくしている、切ない視線を投げる忠夫さんを抱き上げる。
「ごめんな…重いだろう?」
少し沈んだ声、この人は何を馬鹿な事を言っているのだろう。
「忠夫さん、こういうのを『幸せの重み』って言うんですよ」
頬に軽くキスをして耳元で囁く。
重いなんて一度も思った事はない。
邪魔な手や足は無いんだし。
私は椅子に座ると、膝の上に忠夫さんを乗せる。
何時もの定位置だ。
「はい、あーん…「あーん」…ぱくっ…んくんく…」
「ちょ…キヌ!?」
あーん、って私を信頼しきった表情で口を開ける忠夫さんが可愛すぎてちょっと悪戯してしまいました。
にこにこと笑みながら咀嚼する私を忠夫さんがむすっとした顔で見つめてきます。
でも、私の悪戯はこの程度では終わりませんよ。
「ん…んー…んむ…んっ…」
咀嚼したご飯を直接口移しで食べさせてあげます。
殆ど噛む必要の無い食べ物が忠夫さんの喉を通っていくのを感じます。
でも、やっぱり忠夫さんはえっちです。
私は口移しで食べさせてあげているだけなのに、そのままディープキスしようとするんですから。
だから、今日は全部口移しで食べさせちゃいます。
「あーぁ…」
食事が終わって数分した時か。
忠夫さんのため息が零れていた。
「どうしたんです、忠夫さん?」
「いやー…何というか…」
ぽつりと呟いた、きっと忠夫さんにとっては切実な思いの篭った言葉。
「手と、足があったらなって…」
「えっ…」
この人は、また私ではない女の所に行きたがっているのか
この人は、また私ではない女を抱きしめたがっているのか
「手があれば、キヌの事を抱きしめてあげる事も出来るし…足があれば、キヌと一緒に出かけることも出来るのに」
胸が締め付けられた
どれだけ
どれだけその言葉を待っていたことか
あと少し
あと少し早く貴方からその言葉が聞けたら
貴方は手足を失う事なんて無かったのに
「まぁ、生まれつきこんな身体だからさ…無い物強請りなのは判るけどな…」
「私は今のままで十分…ううん、十二分に幸せですよ」
私によって改変された記憶が忠夫さんの脳裏を過ぎっているのだろうか…
先にこうすれば良かった
そうすれば、怒りに任せて手足を切断する必要なんて無かった。
『殺してくれ』って、忠夫さん言いましたよね。だから『昔の』忠夫さんには死んでもらいました。
全世界全ての存在から忠夫さんの事を忘れさせ
忠夫さんの記憶全てを消し去り、新しい記憶を植えつけた。
そして、私だけを見て
私だけに話しかけ
私の声だけを聞き
私だけを愛する理想の忠夫さんになってくれた
「忠夫さん、今幸せですか?」
ベッドに横になり、忠夫さんを優しく抱きしめながら問う。
もし、私が思っている事と違う答えが返ってきたら…と黒い思いが滲むが、忠夫さんは気にした風もなく
「勿論さ…こんな可愛くて…スケベな癖に自分ひとりでは何も出来ない俺を全て受け止めてくれる優しいくて…ちょっとえっちな嫁さんが傍に居てくれるんだからな」
「…ちょっとじゃないですよ」
そうだ、ちょっとなわけがない。
えっちになるのは互いを愛しているからだから。
だから、他の女にえっちな思いを抱いていた『昔の』忠夫さんは忠夫さんじゃなかったんです。
「忠夫さんの為だけに、忠夫さんを愛するが為だけに、私は忠夫さんを悦ばせたい…ううん、一緒に感じ合いたいからすっごくえっちになるんです」
「あはは…じゃ、俺も一杯えっちにならないとなぁ」
そう笑みながら私の乳首を含み、熱いおちんちんを太股にこすり付けてくれます。
私は今…凄く幸せです
ですから、一生とは言いません
永遠に、傍に居てくださいね。
はしがき
こっこえぇぇぇぇぇっっっ
書いてて背筋が寒くなってきました。
他作者様の触発作品はヤバいですねー
って何で黒キヌなんて書いてるの私!?
タイガーはどーしたぁぁ…
えぇもう、はしがき書いてる今思い出しました。
どんだけ存在感無いのよ…
出来るだけドス黒くならないように書いたつもりです。
軽く飛ばして書いたので、エロシーンは少なめですねー
次は逆転して白キヌを…
タイガーはまた今度でっ
『どーせワッシはそういうキャラなんジャー!?』
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