「ったく…なんでアタシが…」
ぶつぶつと文句を言いながら逆天号の通路を歩いていく。
その苛立ちは後ろを歩くポチにも伝わっているのか、少しばかり怯えた空気がアタシに伝わってきていた。
それが、余計にアタシを苛立たせる。
だいたいポチ…いや、仲間になったのだから名前で呼ばなくてはならないか。
横島…横島忠夫はアタシの姉であるルシオラと恋仲にある。
それが何でアタシの後ろを付いてきているかと言うと
それは、今から15分ほど遡る事になる。
GS美神短編「姉さんの機械は欠陥品」
「ふっふーん、私の勝ちねっ!」
「ちっ…だからアタシは頭を使うゲームは嫌いなんだよ」
暇だからと、ブリッジでアタシと姉さんと横島でトランプをしていたのだが
イカサマをしているのではないかと思うほどに姉さんの一人勝ち状態が続いていた。
因みに、パピリオという妹が一人居るのだが、今は昼寝タイムらしい。
「あぁもう…やめた!」
アタシが苛立たしそうに立ったのを、まるで『待っていた』かの様に
「あ、立つんなら序(つい)でに倉庫から『P50012』を取って来てくれない?」
「何でアタ…」
倉庫と言えば、機械弄り好きの姉さんが作り置きしている『ガラクタ倉庫』の事だ。
そこはこのブリッジの丁度反対側。逆天号の船尾にある。
場所が場所の上に、姉さんの作る『自称お役立ち品』は類に及ばず殆どが無駄に重い。
腹立ちのままに反論しようとするアタシの目の前に、一枚の紙切れを突きつけられる。
そこには
『負けたら何でもする。 ベスパ』
とアタシの字で書かれていた。
これは、トランプゲームをやる前に姉さんに書かされた証文(しょうもん)だ。
『たかが』ゲームごときで負けるわけが無いと、軽い気持ちで書いたのが仇になった、というわけだ。
「ヨコシマの連れて行って。多分ベスパじゃ判らないと思うし」
だったら横島一人で行かせればいいだろうと思ったが、横島はアタシ達魔族と違って人間なのだ。
パピリオですら数百キロの物を片手で持てるが、横島なら精々100キロの物を両手で持つのが限界だろう。
「はいはい。んじゃ、人気の無い倉庫で横島とイチャついてくるよ」
「えぇ、頑張って」
アタシの皮肉もどこ吹く風。涼しい顔で『頑張って』とまで言われてしまった。
全く、それが彼女の言葉なのか?
だが、アタシは気付いていなかった。
『頑張って』というのは、アタシにではなく
横島に言っていたのだ。
「えーっと…何だよどれだか判らないっての…ったく」
入り口にあった、何に使うか判らない機械を蹴り飛ばしながら倉庫に入れば
横島がドアを閉め、室内灯を付けてくれる。
魔族最新鋭の逆天号の館内であると言うのに、この倉庫の室内灯は裸電球一つ。
金が無いのか、それとも姉さんの趣味なのか…
「なぁ、どれだよ」
「アレじゃないッスか?」
後ろで探しているだろう横島に、振り向かずに尋ねれば
アタシの肩辺りから指差してくる。
そこにあるのは小さい金属の玉。
…アタシが来る意味ってあったのか、これ?
もしかして、見た目以上に重いのかとも思ったが
「無駄に軽い…っ!?」
背筋を何かが『ゾクリ』と走っていく。
アタシの勘が『捨てろ』と叫んでいる。
だが、アタシは油断していた。
上位魔族すら凌ぐ力を持つアタシが、機械になどに負けはしないと思っていたから。
でも、それは『姉さんが作った機械』なのだ。
投げる暇も無く手から滑り落ちたその機械は、床に落ちた瞬間に弾けた。
「んなっ!?」
弾けると同時に機械から伸縮性に富んだロープみたいなのが飛び出し、アタシに絡みつき始めたのだ。
「く…このっ…はなっ…ひぃっ!?」
まず手首。
それから足首。
足から腰、腕と巻きついてくるコレは全てが塗る付いており
「うっ…あ…き…気持ち悪ぅぅぅっっ!!!」
見た目以上、想像以上に気持ち悪かった。
解こうにもすべって力が伝わらず、動けば動くほどに絡み付いてくる。
「よ…横し…」
そうだ、後ろには万能と呼べる『文珠使い』の横島が居るのだ。
アタシが後ろを向いて助けを求めようとしたのに…
「あー…あの…さ…なんで脱いでる…ん…だよ…」
何と嬉々とした表情で服を脱ぎ始めていたのだ。
異性の裸体など今初めて見たアタシは、何時もの口調が思わず尻すぼみになってしまう。
横島の裸を見て、顔がどんどん熱くなってくるのが判る。
姉さんには悪いとは思っていたけど、アタシだって横島の事は好きなのだ。
だけど、目の前で堂々と好き合う二人を見ていてはどうしても言えなかった…
「う…っく…だ…見ない…で…」
って、そんな事を考えている暇は無いのだ。
今のアタシは横島の方にお尻を突き出して四つ這いになって、それにこの機械ロープが巻きついている状態なのだ。
しかも意図的なのか偶然なのかは知らないが、機械ロープは痛く無い程度の締め付けのままに
アタシの身体を滑り始めたから。
「ん…」
気持ち悪いのが真っ先に来ているのに、ロープがアタシの敏感な部分を擦っていく感触が
良くは見えないが、恐らく後ろにいる横島に見られているという感覚が
どんどんアタシの身体を熱くしていった
「はな…せ…はなせ…ぇ…」
必死に虚勢を張るも、声に力が入らない。
「ベスパ、スーツに染みが出来てるよ…ほら、ここ」
「んひぃっ!!」
ぬるっと恐らくは横島の指が、アタシのボディスーツごとアタシの秘所に滑り込んできた。
痛みは無い。
濡れたつもりは無いのに、アタシのあそこは難なく横島の指を受け入れていく。
身体の中に、何か異物が入ってくるという変な感触。
普通なら『気持ち悪い』で済むのに、入ってきているのが横島の指だと…
「ベスパ…じっとしてろよ?」
「…へ?」
横島に秘所を弄られ、羞恥で頭が回らなくなった時に言われた言葉。
アタシがその意味をよく理解できぬままに、アタシの耳に何かを引き裂く音が聞こえてきた。
同時に、あそこにひやりとした空気を感じる…って…
「んっ…んぁぁぁっっ!?」
アタシは『馬鹿なことはやめろ』か何か言おうとしたんだと思う。
でも口から出たのは、今まで出したことも無い…まるで夜魔の女魔族のようなは色気づいた喘ぎ声だけだった。
「ちょっと濡れ方が足りないかな…んちゅ…ちゅる…」
「ばっ…こらっ…舐め…ん…あぁっ!」
『にゅるにゅる』と横島の舌がアタシの膣内(なか)をかき混ぜてくる。
びりびりとした強い電気のような物が背中を付き抜け
それが…
「うぁっ…胸…そんっ…こねっ…んぁっ!」
今まで『気持ち悪い』だけだった機械ロープの動きが、アタシに快感を与え始めてきたのだ。
横島に…あそこを舐められてる所為(せい)だ。
その所為でロープの動きが、まるで横島に触れられているように錯覚してしまって…
「もう、良いかな」
「あ…」
全身を襲う悦楽に、力の入らなくなったアタシは
ロープの動くままに仰向けにされ
足首と足の付け根を
両腕を頭の上で縛られてしまう。
…もしかして、これって
「なぁ、横し…んんっ…んっ…」
アタシの質問を、横島の唇が塞いでくる。
アタシの舌に横島の舌が絡んできて、頭がぼうっとして…
「ベスパは間違えて、ルシオラの機械を作動させてしまった。そして、俺はその姿に興奮した」
棒読みながら、訴えかけてくる横島の言葉。
そうだ…もし、この機械ロープを横島が操作していたとしら…
ちがう、コレは欠陥品なのだ。
偶然作動してしまい、スケベな横島はアタシのいやらしい姿を見て興奮して襲い掛かってきただけなのだ。
そうでないと…
「んっ…あ…入って…」
「う…凄ぇ締め付け…直ぐにでも出ちまいそうだ…」
ゆっくりとアタシの膣内(なか)に横島のが入ってくる。
肉を掻き分け、蹂躙され、征服される感覚。
縛られているからなおさらにそう感じてしまう。
「ベスパ…もしかして、縛られて感じてるのか?」
「んなわけ無いだろっ!!」
鼻が触れるほど近くで、真顔で凄まじい事を言われて思わず怒鳴ってしまう。
アタシは魔族で、横島は人間。
屈服させるのはアタシの方で、横島になんて…
「ベスパ…お前は俺の物だ」
「あ…」
全身に『ぞくぞくっ』とした快感が走っていく。
だめだ、力を入れろ…そんなアタシの思いも空しく
全身から…力が抜けていく…
「〜〜〜〜っっっ!!!!」
ゆっくりと引き抜かれ、膣奥まで一気に貫かれる
まるで杭でも打たれるような、まるで槍で突き刺されるような
それでいて…すごく…
「っく…あっ…んんっ!」
自分の意思とは無関係に横島の物を締め付けてしまう。
もっと、もっと気持ちよくなりたい…と、身体が訴えている。
ダメ…もう…
「激しく…して…く…ださい…」
これが…アタシ自ら、横島に服従してしまった瞬間だった。
それからは記憶が曖昧になって…
「そら、また出すぞ!」
「はいっ…いっぱい…出し…」
縛られたまま上になり、横島に下から突き上げられる快感に酔いしれ
もう何度目か判らない膣内射精(なかだし)を哀願するアタシの目に
倉庫の入り口で
薄く笑う
姉さんを見てしまった
「は…ぁ…い…絶頂(イ)く…イきますぅぅぅっっ!!!!」
「く…おぉぉぉっっ!!!」
見られながら、膣内に出される快感と絶頂が入り混じって
アタシの意識は、真っ白に塗り潰されて行った…
「あのさー…いい加減機嫌直してくれると、お姉さん嬉しいんだけどなぁ…?」
「嫌だね」
それから数時間後、アタシと横島と姉さんはブリッジに集まり
姉さんがさっきからすまなそうな顔をしてアタシに謝ってきていた。
今回の事は、姉さんが黒幕だったのだ。
「ほ、ほらぁ…ベスパだって想い人に初めて捧げられ…」
「どこに初めてを倉庫でしたいなんて思う奴が居るって言うんだよ!」
そう、姉さんはアタシの想いに気付いていたのだ。
それで、横島を説得して…アタシを抱くように…
「兎に角、いい加減にそこを退いて貰えるとすっごく嬉しいんだけどなぁ…」
「それは絶対に嫌」
アタシは『そこ』に『ぎゅっ』と抱きつきながら顔を埋める。
「アタシは、姉さんの所為で横島無しでは生きられない身体になったんだよ。 もうずぅぅっと横島から離れてやらないからね」
「えーっ! わ、私だって横島無しじゃ嫌だよっ!!」
半泣きの声が聞こえるが気にする必要も無い。
今まで散々目の前で乳繰り合ってるのを見せ付けられていたのだ。
暫くは、横島に甘えさせてもらおう。
「あ…また横島のが固くなってる…」
「あーっ! それ以上はダメーっ!!」
はしがき
久しぶりの電波SSですねー。
電波元は、某ERO画像描きの穏方より…
触手プレイは難しいですねぇ…
最初、横島君に触手生やしてみようかとも思ったりもしたんですけど…ね。
うーん…デレベスパも意外に可愛い…
体力があったら、もう一本書こうかな…
って、長編はどうした私!?
…と、取り敢えずまた次回に
2008/08/12:はっかい。様より頂きました絵を掲載しました。
短編目次へ