『全く…体調管理くらいしっかりしなさいよね』
「ずび…ずんまぜん…」

夏も終わりに差し掛かる頃。
急激な気温の変化の所為だろうか、とれとも日頃の不摂生が祟ったのだろうか
俺は風邪をひいてしまい、美神さんに電話を入れていた。


GS美神短編「風邪の治し方」


「では…横島さん、ちゃんとゆっくり休んでくださいね?」
「おー、ありがと」

美神さんに電話して1時間もしない内におキヌちゃんが来てくれて、甲斐甲斐しくも身の世話をしてくれる。
弱った時には人の親切が見に染みると言うが、確かに俺は少し涙ぐんでしまっていた。

小綺麗に整頓された部屋。
おキヌちゃんの作ってくれた暖かい食事。
後はゆっくり寝ていれば、明日には治っている事だろう。

ゆっくり…寝て…


「起きなさいよ、折角来たんだから」
「…って、寝かせろよ!?」

まだ暑さの残っている所為だろうか
シャツと短パンを身に纏ったタマモが、俺を揺り起こしてくる。

手ならまだ良い。

「何で足でやってんだよっ!」
「見れば判るでしょう?」

怒鳴る俺に、『ほら』と棒アイスを見せてくる。
つまり、手にアイスを持っているから手は使えないと言いたいのだろう。


そもそもタマモは、何を考えているのかおキヌちゃんに付いて来ていたのだ。
俺はすぐ帰るだろうからと出来るだけ見ないように、意識を向けないようにとしていたのだが
コイツはおキヌちゃんが帰ってからも、ここに居座り続けている。

しかも、病気で伏せている俺を起こ…

「…横島ってさ、どんな時でもやっぱりスケベよね」

『にやっ』と笑いながら、タマモは俺に顔を近づける。
俺が今何処を見ていたのか気付いたのだろう。
シャツから覗くタマモのそこはかとなく成長した下チチが俺の視線を釘付けにしていたのだと。

「お、お前がそんな格好してるからだろう…」

ばつが悪くなり顔を背ける俺の耳に、『くすくす』と笑むタマモの声が届く。
全く何を考えているのか良く判らない。

「大体、そんな格好で外出歩いていたら」
「心配してくれるんだっ」

呟くように言う俺の視界一杯にタマモの顔が映る。
嬉しそうなタマモの顔に、少しだけ顔が熱くなるのは
恐らく、風邪の所為では無いだろう。

「な、なに言ってるんだよ。お前には真友とか言う彼氏が…」
「ぷっ」

そう、こいつは何かと『真友』とか言う男とデートしているのは
おキヌちゃんやシロからよく聞いているのだ。
先週だって、二人きりで遊園地にデートに行ったらしいし
先々週だって…

なのに、俺の言葉が面白かったのか『あはははっ』とタマモは大声で笑い始めた。
憮然とした顔をしているだろう俺の背中を『ばしばし』と叩きながら。

「横島ぁ…先週、私アンタに何て言ったか覚えてる?」
「…先週?」

大体毎日が除霊だなんだと忙しくて、タマモが何かを言ったかなんて詳しく覚えているわけが無い。
タマモもそれは判っていたのだろう、俺の回答を待たずに喋り続ける。

「私はね、『今週末に…』って言ったのよ」

今週末っていう事は、先週の日曜日のことだろう。その日は真友とかいう奴とデートをしていたはずだ。
タマモは、そう言おうとする俺の唇に指を当て

「そしたら横島は『週末予約入ってるから』って言ったのよ」

確かに、日曜はエミさんの所にヘルプに行ったな
と、エミさんの部下であるタイガーと走り回った事を思い出す。
それが、何なんだ?

タマモは、『まだ判らないの?』という顔をしている。
大体、謎解きをしていられるほど体調は良くは…

「私はね、『今週末に遊園地に行かない? チケット貰ったから』って言おうとしたのよ、アンタに」
「それって…」

思わず身を起こしてしまう。
それだけで、小柄なタマモを見下ろす事になり
見下ろす俺の視界に

大き目のシャツから見えるタマモの桜色の乳首が見えた…

思わず俺の喉が、鳴る

「ふふっ…良いわねその表情。 横島の私を見る欲情しきった目…」

少し頬を染めたタマモの手が、俺の頬に添えられる。
『凄く、好き』と嬉しそうに笑みながら。


『とさり』と、布団の上に押し倒される。
馬乗りになるタマモの瞳から目が離せない…

「先週も、先々週も…その前だって…ずっとアンタを誘ってたのに、アンタは一度として乗ってくれなかったよね」

タマモの細い指が、俺の髪を撫でていく。
まるで子をあやす母のような仕草なのに
見た目だけで言えば中学生と変わらぬ容姿体躯なのに

俺はロリコンじゃないのに…って、そこはあんまり関係ないか。

そのタマモの表情が俺の心を鷲掴みにしていた。


「真友くんはね、友達。アンタが思っているような好きは無いわ。だって、私は人間じゃないから」

人間じゃないから、何なんだ。
魔族でも神族でも好きになるのに、妖怪だから九尾だから好きにならないなんてあるはずが…

「私はね、強い男が好き。その辺りの人間なんて石ころと変わらないのよ。判る?」

諭すように、ゆっくりと喋りながら
タマモの指が俺の寝間着のボタンを外していく。

「横島…アンタは強いわ。私が見た中で…ううん、今居る人間の中で一番強い」
「タ…マ…」

『止めろ』と言いたいのに、口がまともに動いてくれない。
身体が痺れたように言う事を聞いてくれない。

「ん…ふ…くちゅ…ん…ちゅ…」

半開きになった唇に、タマモの柔らかな唇が当てられる。
舌に感じる小さく滑ったタマモの舌。

熱っぽい吐息と共に、口内がタマモの舌に犯されていく。
いや、口だけではない。

キスの音が、タマモの舌に舐められる快感が
耳を、脳を犯していくのだ。


「ふふっ…ちゅ…もうこんなに元気になってる…」

寝間着の前を肌蹴られ、シャツをたくし上げられ
タマモは俺の乳首にキスをしながら、股間に手を伸ばしていた。

自分の指とは全く違う感覚に、俺のモノが『ピクリ』と震える。
まるで、タマモにされるのを期待しているかのように痛いほどに張り詰めている。

「う…っく…」

パンツの中に手を差し込まれ、軽く撫でられただけなのに
俺はその…タマモの手に射精してしまっていた。

だが、タマモは驚くどころかそのまま手を動かし始めたのだ。


「気持ち良い、横島? 横島が望むなら、この先も…ううん、私の全てをアンタのモノに出来るのよ?」

望む?
タマモの言葉が俺の心に…


いや、待て。
何かおかしい。
いくら溜まっているからって、そう簡単に射精させられるのか?

そんあ疑問が確信を呼び


「あちゃあ…バレちゃった…」

一瞬の眩暈の後、『えへ』と悪戯子みたいなタマモの顔が見えた。
服も乱れていなければ、射精もしていない。

幻術を使われたのだ。

どこからかは判らないが、タマモの手にはアイスがまだ残っており
タマモはそれを舐め続けている。

「ったく、こんな事してないでさっさと帰れよ…うつるぞ?」

怒りを超えて呆れが出てしまい、ため息まじりに呟く。
人間の風邪だが、うつらないとは限らないのだ。

「お、おいっ…んむっ!?」

だが、気にした風も無くタマモは俺にキスをしてきた。
小さく、冷えた舌が俺の舌に絡んでくる。

「ん…はぁ…良いじゃない、うつせば。うつって風邪引いたら、横島に看病してもらうから」

『えへへ』と、幻術の時のような妖艶さは無いものの
魅力的な笑みを浮かべながら俺に圧し掛かってくる。

「また…幻術じゃないだろうな?」
「うわ、疑り深い…じゃあ、横島が…して?」

『ほら、代わりなさい』と俺の下に身体を潜り込ませ、期待に満ちた瞳で俺を見上げてくる。
幻術の時と同じな事もある。
俺の心は…タマモに囚われているという事。

とても、細く儚い鎖で

タマモからかすかに感じる不安。
俺は、その不安を拭うように優しく髪を撫で

「ん…ぁは…ちゅ…横島ぁ…ん…ふ…ちゅる…好きっ…」

荒々しくキスをした。


下着を全く着けずに素肌のまま短パンを穿いていたのか
ボタンを外されていた短パンに手を差し込めば
少し汗ばんだタマモの秘所の温もりを感じていた。

なんて格好なんだと言えば、『勝負服よ』と訳の判らない事を言い出す。
二度とするなと言えば

『横島の女にしてくれたら、しない』と。

どこまで俺の心に入り込んだら気が済むのだろうか。
恐らく『全て』と言い出しそうで怖い。



「やっぱ胸小さいな」
「散々シャツから見える私の胸に欲情していた男の言葉?」

服を脱ぎ去ったタマモに軽口を叩けば、弾くように軽口が返ってくる。
『揉めば大きくなる』というが、どうなんだろうな。

軽く胸に手を沿え、ゆっくりと揉みしだいていく。
顔を近づければ、微かに感じる汗の匂い。


「よ…横しっ…ん…はぁ…胸ばっかり…触って…」
「揉んだら大きくなるかなぁって…」

やっぱり小さいよりは大きい方が良いからな、と両手で愛撫すれば
意外に胸が感じ易いのか、タマモは潤んだ瞳で切なそうに喘いでいた。

「横島の…手つきっ…っはぁ…いやらし過ぎるのよ…んぁっ…も、もう良いから…早く…」

何を焦っているのか、と思うが
膝を立てるタマモの秘書に手を伸ばせば、既にそこは熱い愛液で濡れていたのだ。


「ぁ…は…んっ…あぁっ!!」
「く…きつ…」

ぐっと腰を進めれば、熱く滾る膣壁が俺のを締め上げてくる。
少しでも動いたら射精(で)てしまいそうになる。

「おくっ…子宮(おく)までっ…横島ぁっ!」
「ま、待て…そんな動かしたら…出っ…」

幾らなんでも膣内射精(なかだし)は駄目だろうと、一旦抜こうとする俺の腰に足を絡ませ
タマモは『ぐいぐい』と腰を押し付けてくる。

縦横無尽に擦られ、8割方入った辺りで我慢は限界に達していた。

「ぁ…出て…ん…ぁは…はふ…」
「っく…ぁ…」

抜く事すら出来ず、ただタマモを抱き締めながら
射精の快感に身を振るわせる。

まったく、童貞を捧げた相手がタマモになるなんて思っても…


…あれ?

「タマモ?」
「んぁ…まだ膣内(なか)でびくびくして…なに?」

聞いてはいけないかもしれない
そう思うが、聞かなければならない。

「お前…処女だったよな?」
「横島も童貞だったよね?」

嫌な汗が流れてくる。
凄まじく自然にここまできたが、違和感が一気に噴出してきた。

「何でタマ…うぁっ!」
「や…ん…また大きくなってきた…いいよ…また…一杯出しても…」

まて、流されるな
何で『俺はタマモとしてる』んだよ!?

そんな理性もタマモの嬌声と快感に押し流され、腰は俺の意思とは関係なく
タマモの膣内を蹂躙していく。

「ん…ぁっ…やっ…絶頂(イ)きそ…凄っ…こんなっ…あぁっ!!」

ちらりと股間に目をやれば、血で濡れた俺のモノが見える。
滅茶苦茶に、本能で動いて良い状態ではない筈なのに
タマモは甲高い声を上げながら、俺の胸の中で激しく痙攣していた。



「っはぁ…っはぁ…」

それからさらに二回、抜く事も叶わず膣内射精(なかだし)を続け
今だなお、俺の腰は止まってくれない。

「良いよぉ…横島ぁ…はぅっ!…凄っ…また…んっ…ーーーっっ!!!」

気持ちが良いのは確かなのだが…

「んなっ!?」
「あ…ばれちゃった…」

流石に疲れたのだろう、ずっと閉じていたタマモの左手が
アイスを持っていた反対の手が開く。

中にあったのは『淫』の文字の入った文珠。
その力も終わったとばかりに、空気に溶けて消えてしまった。


「え…あー…えっと…その…」

だるくはあるが、先ほどまであった甘い空気など欠片も残っては居ない。
気まずい雰囲気の中、タマモは俺にどう言い訳しようかと考えているようだった。
だが、文珠の力とはいえタマモの処女を奪ったのは確かな訳だし

「あ…」

俺の心を掴んだのは、決して文珠の力ではないだろう。
やり方としては褒められるものではないが、俺はタマモを抱き締め…優しく耳元で囁く

「タマモ…文珠の効果が無くなった後に犯したら…どれだけ痛いんだろうな?」
「げ…あ、あの…ほら私、初めてだから…やさしく…し…ひだだだだっ!!!!!」

明らかに、快感を感じていた時とは違い
涙を流しながら『痛い』と泣くタマモを抱き締めながら、俺は激しく腰を振りたてた。



俺が好きな女性は確かにたくさん居る。
タマモもその内の一人だ。
今までの関係を続けていれば、タマモでなくても自ずと誰かとこういう関係になっただろう事は確実なのだ。

「本気っ…本気で痛いからっ!…やめっ…やめぇっ!!」
「タマモ、初体験ってのは痛いらしいからな…我慢して犯されてろっ!」

『死ぬぅぅ!』と半ば本気で泣くタマモの頬にキスをしながら
これから、こいつを…出来る限りこいつだけを愛していこうと

「いてぇぇっ! こら、腕に噛み付くんじゃねぇっ!!」
「少しは…っく…アンタも痛い思いしなさいよ、バカ横島ぁっ!!」

誓うのだ。



風邪…治ったみたいだな、俺。



はしがき

おひさしぶりでございますゆめりあんでございます。
忙しくて忙しくて、しかも体調崩してもーやばめな感じです。

でも流石に更新無しはアレかなぁと…


今回は少し搦手で書いてみましたが…
少し判り辛いかなぁ…なんて思います。

もう少し単純にした方が良かったでしょうか?
タマモだし幻術とか使わせた方がいいかな、なんて思いまして…

では、また次回に
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