見なければよかった・・・

「あぁ…っキヌちゃ…そこっ…いっ…ん…」

見なければ…

「ひぁっ…そこ…抓んだら…っあぁ…くんっ…んぅ…」

きっと、今まで通りの生活があったと思う…

「もっと…吸って…すごっ…んぁっ…」

私は望んでいないはずなのに…

「ひんっ…も…イき…っ!」
「絶頂(イ)きそうなんですか? 男のクセに、女の姿になって…そして、女の私に弄(もてあそ)ばれて」

見たく無いのに…
悦楽に喘ぐ横島さんの表情がとても愛しく感じてしまう

「ほら、イって下さい。淫らな嬌声を上げ、はしたなく…私の声を叫びながらっ!」
「あぁっ…も…ダメっ…イくよっ…おキヌっちゃ…んぁぁぁっっっ…っくぅぅ!」

もう…戻れない


GS美神短編「比翼の片羽」


あれは、そう。今から一週間ほど前が始まりでした。

今日は除霊の仕事がお休み。
六道女学院の勉強も一通り終わった夕方6時過ぎ。

ふと、思いついたんです。

『きっと、横島さんは事務所がお休みでお腹空かせてるから、ご飯を作りに行こう』って


レシピを考え、材料を買って横島さんの住むアパートに着き
横島さんの家の前に立って、ドアノブに手を掛けた時に…

あの時に、あと30分も遅ければ・・・



そう、あの時に女の喘ぎ声を聞いたんです。
最初は聞き間違いか、それとも隣に住んでる花戸さんの声かと思いました。

ゆっくりとノブを回す
カチリと軽い音と共にドアが開く
いつもの様にあの人は鍵を掛けていない

夢であれば、そう思いました。
でも、見てしまったんです。


横島さんの布団の上で自慰に耽(ふけ)る女の姿を


顔が私とは反対の方を向いていて、誰だか最初は判りませんでした。

怒り…そう、私は怒っていたんです。

ドアを開けても気付かない、台所に材料を少々乱暴に置いても気付きもしないその女に。


一歩、二歩
近付く度に怒りが疑問へと変わっていきました

『この人、見た事がある』

後2、3歩でその女にぶつかる。そんな場所まで来たのに全く気付いていない。

『にちゃにちゃ』と秘所をいやらしく擦(こす)りながら、嬌声を喘ぐなんとも艶(なまめ)かしい姿


私は、その時その女が誰なのか判りませんでした…いえ、判らないふりを自分に対してしていたんですね。


「おキヌちゃっ…そこっ…もっと擦って…んくっ…あぁっ!」

何で私の名前を呼びながら、横島さんの布団の上で自慰をしているのか。
いえ、私だけではなく美神さんやタマモちゃんやシロちゃんや…その他大勢の女性の名を言いながら。

「あっ…イ…ちゃ…ん…はぅっ…っくぁ…んんっっ」

左手できゅっとクリトリスを抓み、右手で秘所を激しく擦りながら絶頂を迎える女を見ながら
私は力なくその場に座り込んでしまいました。

「あ…あぁ……あ?…ふぇ?…っっっ!!!」

絶頂の余韻に浸りながら私と目が合う
その目が、私に現実を突きつけてくる

この女が、私の愛する『男』であると

「ひぃやぁぁぁぁっっっ!?」

真っ青な顔をして飛び起き、腰に力が入らないのか四つ這いで壁際まで逃げ、泣きながらこちらを見る…横島さん。恐らく混乱しているのでしょう。

逆に、自分でも恐ろしくなるほど私は冷静でした。

「何を…しているんですか、横島さん?」
「なっ…ななっ…ななななななななっっ」

呂律(ろれつ)が回らないのか、横島さんは『な』と言い続けてました。
きっと『何故ここに居るのか』と、聞きたいのでしょう。

「私は、横島さんがお腹空かせているんかもしれないなぁって思って、ご飯を作りに来たんです…けど、そんな事は今は関係ありません」

私は笑みを浮かべて立ち上がり、ゆっくりと彼に近付いて行きました。

後から聞いたのですが、この時の私はそら恐ろしい笑みを浮かべていたらしいです。
そんな心算(つもり)は無かったんですけどね。

「なんで、『男』の横島さんが『女』になって自慰していたんですか?」

目の前まで来て小さく囁くように聞くと、横島さんは逃げるかのように目を逸らしました。
横島さんの事ですから、恐らく『女の自慰は男の何倍も気持ちが良い』等と考え軽い気持ちでしたのでしょう。

「恥しく無いんですか? 一時(いっとき)の悦楽に絆(ほだ)されて、男としての自分を捨てて女になって、挙句の果てに私だけではなく様々な女性の名前を叫びながら絶頂(イ)くなんて」

俯(うつむ)きすすり泣く横島さんの顎に右手を沿え、こちらを向かせる

そこに、男の顔…いえ、男の目はありませんでした。

「最低ですね」
「ーっ!」

両肩を押さえ、彼…いえ彼女を押し倒す。

瞳に映る驚き、悲しみ…そして、期待

「この期に及んで、何を考えているんですか? 私に犯されたいのですか? 心は男の癖に女の姿になってアンアン喘ぐ位ですからね。この助兵衛、変態!」

今まで酷い言葉なんて言った事無かったのに、悪辣な言葉が私の口から出てきました。
でも、そんな言葉ですら横島さんは…

「こんな風に『ここ』を滅茶苦茶にかき回して…ーっ!?」
「っ…た…くっ…うぅっ!」

罵(ののし)りながら思い切り秘所に指を二本突き入れると同時に感じる圧迫感と、何かを引き裂く感覚。

いつもの私ならこの時点で驚きながら謝った事でしょう。
でも、『今』の私は止まりませんでした。

「へぇ…処女だったんですか? まさか雪乃丞さんかピートさんに貫かれたくて取っておいたんですか?」
「ち…っが…」

幾ら絶頂を向かえ、それなりに濡れているとは言え
貫いたばかりの秘所を無遠慮にかき回す私の指は、横島さんに快楽ではなく苦痛を与えているようでした。
涙を流しながら必死に否定する横島さんが…愛しくて…

そう…私にとって、横島さんが男だとか女だとか…そんなことは些事(さじ)だったんです。
愛する横島さんと愛し合う事が出来る。だたそれで良かったんです。

痛いほどに締めてくる秘書から指を抜き、すすり泣く横島さんを優しく抱き締め

「んっ…んふ…ん…ちゅ…」

優しいキス

私の舌が唇を割り、横島さんの舌と絡み合う


これが…横島さんの望んでいた…こと?


男として、女である私を犯すのではなく
女として、女である私に犯される

「っはぁ…はぁ…」

ゆっくりと唇が離れ、潤んだ横島さんの瞳が映る。
瞳の中に居るのは私。そして、もう横島さんの瞳に苦痛も恐怖も無い。

あるのは、淫らな期待だけ。

「横島さん。胸に刻んでください。貴方…いえ、貴女はこの私だけの物だと」

視線を逸らさぬままに、横島さんはゆっくりと頷く

もう、元には…戻れない…



はしがき

アンケ2位となりました白キヌX女横島をお送りしますゆめりあんでございます

って、暗いよ!?

何でこんなに暗くなったんだろう…

やっぱり、脳内で『おキヌちゃんは総受け』って思ってるからかもしれませんねぇ…
長編の『黒姫』の設定を持って来れば明るいえっちも書けはしたのですが、長編は結構設定弄ってますので、はい。

もしかしたら、あっちの設定ばりの明るいえっちを想像していたかもしれないですねー。

でも、『愛する男が女になって、それを犯す』って考えたら、どーしても暗くなってしまいまして。
だって、普通に考えて冷静になれる訳がないよ!?

はぅ…これも私の技術不足なのでしょうか…

って思ったら電波(σ´Д`)σゲッツ!!
白キヌでアンケSS書けそう〜

・・・という経緯でこの短編は出来たのです。えぇ電波様々ですねー

では、また次回に…
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