「はっ・・・はっ・・・はっ・・・」 一人の少女が駆けている。 中学生の、それも巷で有名な『六道女学院付属中学校(通称:六中)』の制服で身を包んだ少女 金色の髪を7つのポニーテールにした独特の髪型 「まぁーにぃーあぁーえぇぇぇぇぇっっ」 嘗ては東アジアを中心に人々を震撼させた、九つの尾を持つ金色の狐 今は美神令子除霊事務所の一員であり、ゴーストスイーパーS級ライセンスを持つ横島忠夫の彼女。 彼女の名は 『タマモ』 と言った。 GS美神外伝「初秋に繰り広げられし日常に似た非日常」 タマモが全速力で走っていたのには非常に深い理由(わけ)がある。 簡単に言えば 寝坊したのだ 居候している美神令子除霊事務所から六中まで電車を利用しなければいけない。 そして、授業に間に合う一番最後の電車が出るのは7時45分。 現時刻は、7時43分である。 いっその事妖力を使えば、という思いもタマモの心に湧いて来るが首に付けているプラチナのチョーカーがそれを許してはくれない。 『タマモ。今日からあなたは中学校に通う事になるんだけど』 そう言いながら美神がタマモに渡した、装飾の凝ったプラチナのチョーカー。 これには、妖(あやかし)の能力を抑制する特殊な呪いが籠められているのだ。 何かとあれば妖力に頼るタマモを慮(おもんぱか)っての事だが、妖狐であるタマモにとっては『飛べる翼をもがれた鳥』の気分だった。 だが・・・ 『大丈夫だって。中学校っつっても冥子さんのお母さんが理事してる学校だし、何かあったらすぐ駆けつけてやるからさ』 横島の言葉と、その屈託のない笑みがタマモの首を縦に振らせていた。 因みに、横島の言葉に出た『冥子さん』というのは六道女学院理事である『六道幽子』の愛娘であり、ゴーストスイーパーA級ライセンスを持つ『十二神将』と呼ばれる式神を自在に操る式神使いの人であり そして、横島に恋をする少女(実年齢上は横島の4つ年上だが、外見が年下に見えるため)である。 「はぁっ・・・はぁっ・・・ま・・・間に合ったぁ〜・・・」 満員電車に小さい身体を滑り込ませる。時刻7時44分52秒。 あと3秒遅れればドアが閉まる所であった。まさに間一髪といった所である。 「あぁづぅぅ・・・」 盆も過ぎ、夏も終わる9月に入った時とは言え、まだ暑さの色は濃く 全速力で走ってきたタマモに追い討ちを掛けるかのような満員電車。 まさに熱地獄である。 人の波を避け何とか空いている場所を探すかのように、タマモは反対側の開閉ドアの前に着いていた。 事務所からほど近い駅から六中までここのドアは開かない。 逆を返せば、ここに居れば六中に着いて直ぐ一番に降りられる場所である。 この電車にのるようになってから、ここがタマモの定位置になっていた。 暑さで頭がくらくらする。 ぼぅっとした頭で景色を見ていると、目の前に手が現れた。 タマモの視線が景色からその手に移る。どうやら後方の人の指のようである。 握りこぶしを作り、人差し指だけを伸ばしている手。 それがすっと傾いて、窓の方を指す。 何がしたいのかタマモには理解しがたいが、くらくらする頭では何も考えたくはないし、どうせさっきまで景色をぼうっと見ていたのだ。 指から景色に視線を移して直ぐ、耳に何かを当てられた。 耳や頬に当たる感触からして携帯電話のようだが 「も・・・もしもし?」 電話でもしろという事なのかと、恐る恐る声を出すと 『あっ…はぁっ…たっ…忠夫ぉ…すきっ…すきぃっ』 どこかで聞いた声 耳にした事のある水音 『忠夫』という名前 「まさか・・・わたし?」 タマモの呟きに答えるかの如く、携帯は耳から離れてタマモの目の前に来た。 「っ!?」 『やぁっ・・・こんなっ…こんっ…気持ちっ…良い…気持ち良いのぉっ!』 携帯の小さい画面に映る自分の自慰姿に息が止まった。 まて、考えろ、よく見ろ、どこだ 冷や水を浴びせられたかの様にだらだらと脂汗が流れ落ちる。 見る、観る。 見覚えがある場所。 『なぁタマモ、一回で良いからさ』 そうだ・・・これは横島に言われて仕方なく、そう仕方なく撮ったオナニーシーンだ。 力が抜けた。 見なくても分かる。後ろに居るのは横島だとタマモは確信する。 だが、何をしたいのか良くわからない。 何故『今』『ここで』『これ』を見せるのか 「ひゃっ」 思わず出た声に驚いてしまう。どうやら横島の手がタマモのお尻を触ったようだ。 「全く・・・シたいなら最初からそう言えば良いのに・・・」 痴漢ごっこでもしたいのだろうか、そんな考えも浮かぶ。 愚痴は出るがタマモは横島の彼女である自覚がある。 『横島の劣情は全て受け止める』 横島に浮気をさせないために出した交換条件も覚えている。 「まぁいっか・・・」 諦めにも似た声が漏れる。 どうせ全身汗だくで、下着も既に汗まみれなのだ。 学校に着いたら着替えるつもりもあったから、カバンの中に一式入っている。 『なんだ。忠夫の精液を全身にぶっ掛けられても全く問題ないじゃない』 公共の場として凄まじく問題のある思考だが、基本的にタマモの思考は横島中心なのだ。 「ん…はぁ…ふっ…っく」 だったら楽しまなければ損である。 楽しむなら一緒に。 そう頭を切り替えて、尻を撫で摩る手に神経を集中させる。 途端に身体が痺れてくる 吐息に甘い声が混じる 心臓が高鳴る 「良い感度してるな、『タマモちゃん』?」 一気に全身から血の気が引いた 後ろに居るのは横島ではなかった。 タマモの事を『ちゃん』付けで呼んだ事など一度も無いのだ。 いや、それ以前にタマモ自身が横島の声を他の誰かと間違える事などありえるはずも無い。 「いっ…んぶっ!?」 悪寒が叫びに変わる瞬間、『ぐじゅっ』という音と共に男の指が口に突っ込まれる。 指で口内を犯される『にちゃにちゃ』という音が頭に響いてくる。 まるで、知らない男に秘部を弄られているような音。 甘美な感覚が欠片ほども残らない。残るはずも無い。相手が横島ではないから。 「おやおや、もう濡れているのか。結構淫乱だな」 「っ!…っ!」 お尻を触っていた手が、ショーツ越しに股間に手を伸ばし弄り始めてくる。 身体が嫌が応にも反応する。声を出したいのに男の指がそれを許してくれない。 スイッチを自分で入れてしまったから 感じたいと思ってしまったから 横島に開発され尽くした幼い身体はより強い快感を求めてくる、貪欲に 「ふぁ…はぁっ…はぅっ!…っくぅ」 ショーツをずらされ直接指が触れてくる感覚 足がガクガクする 脳神経が焼き切れてしまうかのような感覚が身を焦がす 男の手は上手すぎた まるで、タマモの感じる所全てを知り尽くしているかのようにどんどん快感を引き出してしまう 「逃げたければ逃げても良いよ、まぁ代わりにさっき見せた映像を全世界の人に見て貰う事になるかもしれないけど」 「・・・だぁ・・・やだぁ・・・」 涙が頬を伝う。哀願も男は聞き入れてくれそうも無い。 タマモの身体は横島だけの物 そのはずなのに、今は知らない男に好きなように弄り回されている しかも、抵抗したり逃げたりすれば比べ物にならないほどの数の人に痴態を晒す事になる 「んぁっ!」 きゅうっと乳首を抓む感覚に、身体がビクリと跳ねる。 「ほら、向こうの女がタマモのいやらしい痴態を見てるぞ」 何時の間か電車はどこかの駅に止まっていた。 窓越しに見える女性と視線が重なる。その瞬間 「ひぃっ…あっ…あ…やっ…やぁぁっっ!!!」 千切れる程に強くクリトリスを抓まれ、無理矢理絶頂(イ)かされてしまう。 痛いほどの快楽が全身を突き抜けていく 「良かったなぁ…あの女だけでなく、あそこにいた男たち皆にタマモちゃんのイき顔見てもらって…気付いてたか? 皆タマモちゃんを見て股間を膨らませていたぞ」 耳を舐(ねぶ)られながら囁かれる。 見た? 見れるはずが無い。 目の前に居た女性を見た瞬間イかされたから、他に誰か居たかなんて気付きもしなかった。 「もうやだ・・・もうやだぁ・・・」 絶望に苛(さいな)まれ、崩れ落ようとするタマモの腰を男が掴む 自然と腰を男の方に突き出す様な格好になってしまう 「ほら、いくぞ」 「や・・・それだけは・・・それっ…やっ…やぁぁぁっっ」 ここがどこかなんて、もうタマモには関係無かった。 泣き叫び、暴れる 妖力があればこんなニンゲンに負けるなんてありえないのに、力の使えない自分の無力さに死にたくなる。 だが、男はお構い無しに熱く滾る肉棒をタマモの秘所にあてがい 一気に貫いた 「んぁぁぁっっ」 嬌声がタマモの口から一気に漏れる。 火照りきった身体は男の物を旨そうに咥え込んでいく。 「そっ…はぁ…たっ…だおだけ…な…にぃ!…やだぁ…抜いてっ…抜いてぇっ!」 「そんなにきゅうきゅうと旨そうに締め付けなくても、一杯膣(なか)で射精(ぬ)いてやるさ」 男の荒々しいピストンにすらも過敏に反応する自分の身体が憎らしかった いっその事、舌噛んで死んでやりたい気分なのに、身体は貪欲に悦楽を貪り続けるのだ 「そら…沢山膣内射精(なかだし)してやるから、しっかり孕めよっ」 「いや…いやぁぁぁぁっっっ」 もう、叫ぶ事しか出来ない。享受するしか選択肢は残っては居ない。 せめて・・・せめて心変わりしてくれればと祈る事しか出来なかった。 だが、現実は非情なのだと痛感させられる。 後ろから抱き締められ、逃げられないまま耳元で獣の方な男のうめき声が聞こえた。 中で男の物がビクビクと振るえ… 「あ…あぁ…」 こんな男の精液でも感じてしまう自分が憎い さぁ、もうすぐ六中に近い駅だ そうすれば目の前のドアが開く 開いたら 全速力で走り 電車にでも轢かれて死のう 失意と絶望に彩られていく もう、タマモの脳裏に『生』の字は無い 無いのに 無理矢理書き足された 「あー…すげぇ気持ちよかった…」 「・・・へ?」 男は何処へ行った 抱き締めていた腕が、手が、耳元に聞こえる声が 全てが後ろに居るのは横島だと告げていた 「いやー…タマモにも効くんだな」 そんな声と共に見せられる玉…横島の特異な能力である『文珠』…それには 『幻』 と浮かんでいた 「・・・最初から説明して」 「おー。俺さ、今日早朝に仕事だったんだけど電車で帰って来たんだよね」 能天気な横島の声がタマモの心に光と温もりを与えてくる どうやら、仕事帰りに電車で帰ってきたら偶々タマモが乗ってきて 汗だくのタマモに欲情した横島が痴漢とレイプ紛いの事をやるために今回の事をやったらしい。 「今私の中に入ってるのは…」 「おう、いつもタマモに入れてる奴だぞ」 「じゃ、痴漢してたのは…」 「俺だな」 「携帯は…」 「あぁ、ビデオから落とすのが難しかったなぁ」 つまり 「最初から最後まで、全部忠夫?」 「おうっ」 良いよね、もう我慢しなくても 今まで我慢していた色々な物が解(ほつ)れて行く 全身のゾクゾクが止まらない 脳裏に浮かぶ男の姿が全て横島に代わる 「あ…ぁはっ…イく…イっちゃ…んぁぁぁぁぁっっ!!!!」 「うぉい!?」 ただ、ぎゅうと抱き締められているだけ、何もしてしなかった でもそれだけでタマモは何度も絶頂(イ)ってしまう 散々我慢していたのだ。 嫌悪と感じていたものが、愛しい横島によって齎(もたら)された甘美な悦楽だったのだから。 でも…足りない 「忠夫、首の取って」 「ん? お、おう」 『キンッ』という軽い音と共に首輪が外れる。 一気に妖力が戻る。いや、戻るだけではない。 思い切り膣内射精(なかだし)された、特濃の横島の精液には凄まじい程の霊力が篭っている。 その霊力がタマモの妖力を更に引き上げていく 床に『隠』『行』という二つの文珠を見つけ、摘み取る。 タマモ達の事は回りに全く見えて居なかったという事。 ならば 「おっ…おいっ…引っ張るなぁぁぁぁっっ!!」 横島の抗議の声なんて聞かない 散々嫌な思いをさせられて、全く感じる余裕なんて無かったから 横島の首根っこを掴んだまま、ずるずると男子トイレの個室に入り、便器に横島を座らせる。 「はぁむ…ぢゅる…ちゅっ…んっ…んっ…」 「ア、アノー…タマモサン?」 徐(おもむろ)に横島の物を咥え愛撫し始めるタマモに、恐る恐る横島が声をかけるが ギラリと凄まじい睨みに声を噤(つぐ)んでしまう。 「んっ…はぁ…忠夫」 「ナ、ナンデショーカ…」 「アタシさ、忠夫の劣情…まぁ煩悩だけど…全部受け止めるって言ったわよね」 「お、おう・・・」 横島の物から口を離し、上目遣いになりながらタマモが囁くように語っていく 勿論、手の動きは止まらず『にちゃっにちゃっ』とタマモの唾と横島のカウパー液の混ざった音が個室トイレ内に響いている。 「私さ、思ったんだけど」 「な、なに?」 にこりとタマモが笑む。だが、何時もの笑みではなく…老獪な…かつ妖艶な笑み。 その笑みに横島は背筋が寒くなる 「私の劣情も、全部忠夫が受けるべきよね?」 「へ?」 間抜けな声を出す横島など気にした風もなく横島に跨り、横島の物を秘部にあてがう 「アタシがこんなにエッチになったのは全部忠夫の所為なんだから、責任取ってアタシが満足するまで付き合いなさい!」 「お…おい、ここトイレ…」 横島の反論も聞かず一気に飲み込み、タマモは全身を走る悦楽に嬌声を上げ始めた 「やっ…あぁっ…はぁ…もう、イっちゃいそう…」 「お、おいタマモ…声が大きいって、もっと小さく」 「たーだーおーのおちんちんがぁぁ…私のオマンコぐちゃぐちゃにかき回してすぅっごく気持ちいーのぉぉっっ」 まるで雄叫びを上げるように叫ぶ、叫ぶ。 慌ててタマモの口を塞ごうとする横島に怪訝な顔を浮かべてしまう 『隠』『行』の文珠で外には全く聞こえて無いはずなのだ 「なに慌ててるのよ忠夫? どうせ文珠で・・・あれ?」 手に持っていたはずの文珠がない 「とっくに効果切れてるよ・・・」 「・・・はひ?」 文珠の効果が切れてる つまり 今ここでしている事は外に居る人に普通に聞こえているわけで… 「あー…コホン…大人しく出てきなさい。幼女誘拐・監禁及び性的暴行の現行犯で逮捕する!」 『逃げられると思うなこの羨ま…もとい、極悪人めが!』などという叫びがドア越しに聞こえる 文珠を取り出そうとする横島の手にそっと手を重ね、優しく微笑む 「忠夫…何年でも待ってるから」 「っておい、俺を抹殺する気か? 社会的に!?」 「大丈夫だよ、アタシは経歴とか気にしないから」 「そういう問題じゃねぇぇぇ!!」 警官の怒号と 横島の叫びと 六中の始業のチャイムが重なる そんな晩夏の日常 「おいこら作者っ こんな所で終わらせるなよ、普通こういうのは夢オチとかだろ!?」 そんな、日常と非日常の狭間に起こったお話 はしがき はい、タマモンで痴漢物をお送りしますゆめりあんでございます。 そして、ホームページ開設後の第一作目となります。 って、一作目からコレかい私!? いやー…痴漢物は一回書いてみたかったんですよね。 最初はおキヌちゃんでプロットを書いたのですが 『タマモを書けぇぇ…タマモン書けぇぇ…』 って電波を受信しまして…えぇ。 難しいですね、痴漢物。 現実の痴漢って、相手が好きな人でも大して気持ち良くないんですよ。 でもほら、エロ系だと『イっちゃうぅぅっ』ってのばかりじゃないですか。 ですから、構想を練るのが難しかったですねぇ… もっと精進せねば では、また次回に。