「くはー…あぢぃぃ…」
梅雨も去って7月となり、夏真っ盛りと言わぬばかりの日差しに
俺こと全世界の美女の彼氏である横島忠夫の全身から噴出すように汗が流れてくる。
「ふむ、確かに暑いな」
俺の隣で『カチャリ』と魔銃を構えなおしながら、ワルキューレが本当に暑いのか疑わしくなる口調で小さく俺の言葉に返してくる。
ターゲットははぐれ魔貴族らしい。
この東京に人間に化けて悪事を働くその魔貴族を狙撃するのをサポートするのが俺の役目なのだが
本当の所、俺がする事は殆ど無いと言って良かった。
『危険なミッションではない。だが、不測の事態が起こらんとも限らないからな』
この狙撃ポイントに来るまでに言われたワルキューレの言葉が脳裏に響いてくる。
ワルキューレの言う不測の事態。
それは、ワルキューレ自身の死を意味している。
死んでもこのミッションは完遂しないといけない、という事なのだろう。
GS美神短編「秘めた願い、殺す想い」
俺は一度ワルキューレから視線を外し、周囲に目をやる。
俺たちが居るのは魔族が所有しているビルの一つの屋上
そこは昼間というのもあって、ゆらゆらと陽炎が立っている。
屋上というのもあって、少しは風通しが良いかとも思ったのだが
悲しいかな無風に近く、たまに吹く風も熱風を運んでくるだけだった。
熱気に気がやられそうになる俺の耳に『ターン!』という銃声が至近距離で響いてくる。
汗が一気に冷や汗に変わり、まるで冷水を浴びたかのように意識が一気に冷える。
視線を戻せば、ワルキューレがこちらを向いており
「終わった」
そう、小さく呟いたのだ。
一気に力が全身から抜け、床にへたり込むが
「あづっ!?」
十分に熱気を吸い込んだコンクリートの屋上は火傷するほどに熱く
思わず大声を上げて飛び上がってしまう。
だが、そんな痛みも『くすり』と微笑むワルキューレの表情に吹き飛んでしまうのだ。
「横島、お前が居てくれて助かった」
何もしていないのに…いや、どちらかと言えば邪魔しかしていないのに
ワルキューレの柔らかい真っ直ぐな視線は、その言葉が嘘ではないと告げている。
「お前が居たから、私は狙撃のみに集中する事が出来たのだ。感謝している」
恐らくワルキューレの言葉に裏は無いのだろう、と思う。
純粋に信頼してくれているからこその言葉なのだろうと。
だが、純粋すぎるその言葉に含まれる裏ではない『直接的な意味』に俺が気付くことは無かった。
無かったからこそ、俺の口から軽くこんな言葉が出たのだ。
「そっかー、んじゃ…汗だくだし、ワルキューレの身体で洗ってもらっちゃおうかなぁーっ」
『なんつってー!?』と、続けるつもりだったのに
「あぁ、私としても礼の一つはしたいと思っていた。それ位なら構わんぞ」
目を細めて笑むワルキューレの言葉。
俺の頬が熱く感じたのは、熱気の所為なのか…あるいは…
脱衣所に着けばワルキューレが、まるで俺の姿が見えていないかのように自然に脱ぎ始める。
軍服に隠れた形のいい胸やお尻が惜しげも無く露(あらわ)になるのが
まるで現実ではないと言っているような気がして、俺はただただ脱ぎ続けるワルキューレを見続けてしまう。
「ふむ、これもか」
「…へ?」
脱ぎ終わり、何一つ隠さないワルキューレの視線が俺の方を向き
『にこり』と笑みながら俺の服を脱がし始めたのだ。
突然の事に呆気に取られてしまうが、裸の美女に服を脱がされるという初めての体験に…
「あ…」
ワルキューレの…俺のズボンに手を掛けた瞬間に漏れた吐息。
流石に気付かれていた。
ズボンに手を掛けたまま、ワルキューレの頬がみるみる内に朱に染まっていく。
流石に俺も気恥ずかしくなって離れようとするも、ワルキューレがスボンを放してくれなくて
動く事すら間々ならない。
『こくり』とワルキューレの喉が鳴り、ズボンを脱がし始めたのだが
ワルキューレのような美女に股間へと顔を近づけられるという状況に、俺のモノは完全に固くなっていたのだ。
「あ…やべっ…」
「っ!?」
ズボンを脱がせた瞬間に勢い良く飛び出し、ワルキューレの顔に触れてしまう。
興奮しすぎていた俺にとって、ワルキューレの頬の感触はあまりに気持ちが良く
ワルキューレが驚きに顔を離すと同時に、先端から白濁液が噴出してしまう。
「〜〜〜〜っっ!!」
急いで離れれば良いものの、ワルキューレは『きゅう』と目を瞑りながら
俺の精液を顔で受け止めていく。
己の欲望で美女を汚すという、あまりに卑猥なその状況に
一度射精したにも関わらず、『びくびく』と震えながらも硬さは全く衰えてくれない。
「これが…男の…」
あまりの量に『ポタポタ』と胸に垂れた精液を掬(すく)い、『ちゅるっ』と音を立てながら吸うワルキューレの姿があまりに淫靡で…
って、違うだろ俺
「あ、ご…ごめんっ! ほ、ほほほら…顔洗わないと…」
慌てる俺とは反対に、ワルキューレの方は冷静のようで
『ここは風呂場だからな』と言いながら立ち上がり、顔につけた精液を拭おうともせずに浴室へと向かって行ってしまう。
「慣れてる…って…事なのかな」
あまりに自然体すぎるワルキューレの行動に、俺の口からため息交じりの言葉が漏れてしまう。
そうだ、あれだけ美人なんだ
ずっと経験豊富そうだよな
『だったら楽しんでやろう』と普段なら考えるのに
何故か、今はそんな気分にはなれなかった。
「遅かったな、準備は出来ているぞ」
浴室に入れば、そこにはプールで使いそうな空気を入れるマットが敷いてあり
その傍(かたわ)らでワルキューレが泡立てている。
既に顔には先ほどの残りは無く、元の…
「あれ?」
ふとした違和感。それは、ワルキューレの顔に無いのだ。
頬にあった黒い線はペイントだったのだろうか、ワルキューレの頬は透けるような白肌のみになっていた。
そういえば、ワルキューレのメイクしていない顔は今回初めて見…
「ほら、早くしないと石鹸が乾いてしまうだろう」
「う、うぉわっ!?」
思考に意識を奪われていた俺の腕を、待ちきれないとばかりにワルキューレが引っ張り
俺はマットの上にうつ伏せに寝かされてしまう。
「先ほどは済まなかった。男の物があれほど敏感だとは知らなかったのだ。今度は出来るだけ触れないように…触れる場合は優しく触れるように…する…から…」
うつ伏せになっている俺にはワルキューレの表情は窺えないが、尻すぼみに言葉が小さくなっていくワルキューレの声には
明らかに羞恥の色が混じっていた。
いや、それだけではない。
『敏感だとは知らなかった』
敏感なのではなく、興奮しすぎて暴発してしまったのだが
それをワルキューレは敏感だからだと思っている。
それが意味する事は…
「あ、あの…さ…もしかしてもしかすると…こういう事するの、初めて?」
「無論だ」
ワルキューレが覆い被さってきたのだろう。背中に来る圧迫感とぬるりとした感触
それに、ワルキューレの声は俺の耳元直ぐに聞こえていた。
「恥しく…無いのかなーって…思ったんだけど」
「勿論、顔から火が出るほどに恥しいが…な…お前の頼みだからな」
『ぬるり、ぬるり』と俺の背中を行き来しているワルキューレの冷静な言葉。
その冷静な言葉の中で一つだけ聞こえなかった。
それが、何を意味するのか
それこそが最も大事だったのに
ワルキューレの顔にぶっ掛けたのも、こうやって身体を身体で洗って貰うのも全て俺が初めてという状況に
俺の頭は全く回ってくれなかった。
「次は前…だが…」
「あ、大丈夫。一回出たし、さっきのは俺が興奮しすぎていたから暴発しちまったんだし」
仰向けになる俺に覆い被さって良いものかと思案するワルキューレに
『あれは俺の所為』だと伝えれば
「え、な…なんで泣くの!?」
「い、いやすまない…」
何と無表情のままに『ぽろぽろ』と涙を流し始めたのだ。
あたふたしてしまう俺を、ワルキューレは涙を拭いながら制止し
俺に覆い被さってくる。
「すげ…」
少し顔を上げればワルキューレにキスしてしまいそうになるほどの至近距離なのに
男の性(さが)なのか、ワルキューレが身体を動かす度に『ふにふに』と形を変える胸に視線が集中してしまう。
「横島、そんなに…私の胸が…好き…なのか?」
唐突に声をかけられてワルキューレに視線を戻せば、そこには無表情の欠片も無く
頬を染め、目の潤ませ、うっとりとした表情のワルキューレが居て
「あっ…」
「…すまない、動きすぎた」
『びくびく』と震えながらワルキューレの太股を汚していく快感も
みるみる内に表情が暗くなっていくワルキューレの顔の所為で殆ど感じない
「ち、違うって! その…ワルキューレの表情が…凄ぇ可愛くて、それで…」
「そう…なの…か?」
そうだ、ワルキューレが下手なのではない。
ワルキューレが可愛すぎて、そんなワルキューレにされるから出てしまったんだ。
別に…俺が早漏だからでは無いのだっ!
…等と頭の中で言い訳すれば、ワルキューレが突然俺を抱き締めてきた。
そして、耳元で掠れるほどに小さな声で『ありがとう』と。
「あ、足の方も洗わないとな」
どれくらい抱き締められていただろうか。
恐らく1分に満たなかったと思うが、ワルキューレはまるで自分に言い聞かせるように喋りながら
俺から離れて…
「っ!?」
反対になったのだ。
俺の足先にワルキューレの顔があり
必然的に、ワルキューレの股間が俺から丸見えになってしまう。
さらに言えば、全く収まらない俺の暴れん坊はワルキューレの胸の谷間の中に埋もれていた。
こんな状況で声を漏らさなかったのは、自分で褒めてやりたい。
ワルキューレは恐らく、一心に足を洗っていて今の状況に気付いて居ないのだ。
ワルキューレが足を開いているから、細部まで見えてしまっている。
足の指に自分の指を絡ませ、片足に抱きついたままに身体を動かす。
それと同時に俺のモノがワルキューレの胸から腹にと擦られて、甘い快感を生み出していく。
二度、三度と往復しただろうか
少し行き過ぎて、ワルキューレの身体で愛撫されていた俺のモノは
『ブルン』と勢い良く出ると同時に
「っ!」
そうなのだ。
ワルキューレの股間を思い切りなぞって行ったのだ。
声こそ出さないが、ワルキューレが全身を大きく反らせて『びくり』と震えるのが
俺にも良く判る。
ゆっくりとこちらを向くワルキューレの顔は溶けきっており
頬を真っ赤に染めて、潤んだ瞳で訴えるような視線と笑みを向けたのだ。
これで…何もしなかったら男じゃないよな、な?
そんな言い訳がましい思考が浮かんでくる。
俺ではない俺が、俺のモノを掴んでワルキューレの股間に当て…ゆっくりと突き入れた。
「〜〜〜っっっ!!!!」
『めりっ』と肉を無理矢理引き裂いて行くような感覚が伝わってくるのと同時に
ワルキューレの目が限界まで開かれ、直ぐに『ぎゅうっ』と強く目を瞑る。
股間から伝うのは、赤ではないが明らかに愛液ではない液体が流れていた。
『男のモノがこんなに敏感だとは知らなかった』
初めて…だったんだよ…な。
「うご…か…ないの…か?」
必死に痛みに耐えているのだろうか、歯を食い縛りながらワルキューレが聞いてくる。
だが、俺は動く気にはなれない。
目の前で必死に痛みに耐るのを見ながら自分だけ気持ち良くなれるほど無神経ではない。
「な…何故抜くのだっ!」
するにしても、今の体勢ではと一度抜けば
今まで聞いた事の無い、怒りと悲しみの混じった叫びが上がっていた。
初めて、ワルキューレが俺に感情を見せてくれた瞬間でもあったのだ。
「いや、するんならちゃんとワルキューレを抱き締めながらしたいなぁ…なんて…えぇぇぇっ!?」
「んっ…ちゅ…ちゅっ…ちゅ…」
へらへらと笑みを浮かべながら言えば、いきなり俺に飛びつくように抱きついて
俺の頬や首に、まるで小鳥が啄(ついば)む様にキスしてきたのだ。
「今更嘘だとは…言わせないからな…」
「おう。ほら、下になって」
抱きついたまま放してくれないワルキューレと上下を入れ替わり、再び入れようとするのだが
「あのさ…」
「…何だ?」
ワルキューレは横を向いて目を瞑っているのだ。
「こっち…向いてくれないかな?」
「し、死ぬほど恥しいのに見れ…んむっ!?」
『絶対に見ない』とばかりに強く目を瞑るワルキューレの頬に手を沿え、無理矢理唇を奪う。
驚いた所為か、最初は少しばかり暴れたが
俺が唇を放す気が無いと判ったのか、だんだんと大人しくなってくれた。
ワルキューレの力が抜けた頃に下を割り込ませれば、驚いたのだろう。
一瞬でも遅ければワルキューレに舌を噛み切られる所だったが、懲りもせずに再び下を入れれば
今度は受け入れてくれていた。
もしかして、キスすら初めてだったのだろうか。
「ん…ちゅ…ちゅる…んちゅ…はむ…」
口内を軽く舐めて、舌先でワルキューレの舌を舐めれば
だんだんとこちらの動きに応じてくれるようになってくれる。
暫く続ければ、今度はこちらが唇を放そうとしても
『ぎゅう』と俺の頭を抱き締めて放してくれなくなってしまう。
唾液と唾液の混じる音と共に、微かに聞こえる『好き』という言葉。
多分無意識なのだろうけど、何故初めてなのにここまでしてくれるのか
それがやっと判ったのだ。
一向に放してくれないからと、キスしたままに狙いを定めてゆっくりと埋めていく。
流石にまだまだ痛みが残っているのか、全部入りきるまでワルキューレの舌の動きは止まっていた。
俺から抱き返し、優しく撫でれば
安心したのか、再び熱烈なキスが再開される。
「ん…んっ…ちゅ…んんっ…はむ…ちゅる…」
キスしていて良く判らないが、恐らく痛いはずなのに俺に『動け』と言わぬばかりに腰をくねらせて俺に快感を与えてくるのだ。
「…っはぁ…ワルキューレ」
流石に疲れたのか、力が緩くなったその隙に唇を放せば
泣きそうな顔で、再びキスしようとしてくる。
まて、言わせろとワルキューレの唇に指を当てて名前を呼べば
目が『キスしたい』と訴えかけてくるのだ。
「ワルキューレ。俺さ、ワルキューレの事好きだよ…って、うわっっ!?」
「…っ!!」
やっと言えた、と安心した瞬間に『きゅきゅっ』と突然膣壁が動き出したのだ。
狭く、ざらざらと強く擦られて絶頂(イ)きそうになっていた俺に、止める事は出来ない。
「ん…膣内(なか)…あつ…」
うっとりとした表情で『ひくひく』と震えながら、ワルキューレが膣奥で俺のを受け止めている。
なのに…
「…すまない」
「何で謝るんだよ!」
暫くして落ち着いたのだろう、ワルキューレから出た言葉は謝罪だった。
俺は、反射的に叫んでしまう。
「横島は悪く無いのだ。私はお前の望みを叶えてやれなかった。私は…私の欲望を叶えるためだけに…っ!」
今まで、ワルキューレはこうやって自分を殺してきたのだろうか
『戦乙女』として女である事を捨て、戦の中に身を置かなければならなかったのだろうか。
でも、今は戦など無い。
小さな小競り合いこそあるが、アシュタロス戦役が終わってから天界魔界共に静かなものなのだ。
強く抱き締めてもなお俺の耳に謝罪の言葉が聞こえてくる。
何度も、何度も。
まるで、ワルキューレの身を縛る呪詛の如く。
だったら、俺がする事は決まっている。
「ワルキューレ、今日からお前は俺の彼女な」
「ま、待てよこし…」
俺の言葉に反論しようとするワルキューレの口を手で塞ぎ
「黙れ。 黙って俺を愛し、俺に愛され、俺の子を孕め。で、子供出来たら結婚しような」
言いたい事は全部伝えた。
少し強引だったかも知れないが、筋力等は根本的に人間である俺が魔族であるワルキューレに敵うはずも無い。
つまり、俺の行動はワルキューレに受け入れられたと言っても過言ではない。
だって、ほら…
「そんな事を言って…絶対に離れてやらないからな。絶対によ…忠夫…の…子供を身篭って…忠夫の妻に…なって…なり…ます…」
こんなに幸せそうな顔を浮かべてくれたから。
「うし。じゃあ一分でも早く孕ませる為に、第二ラウンド開始じゃー!」
「ま、待っ…あ…んんっ!」
はしがき
はい、某御方より頂きました電波第三弾をお送りしますゆめりあんでござります…
電波は怖いものです。
皆様ご注意くださいませ…
では、次の作品にて…
2008/08/12:はっかい。様より頂いた絵を掲載しました。
短編目次へ