『横っち〜…助けてくれぇ〜』
「なんや、藪から棒に」

休日の昼下がり、オカンに言われた手伝いをどうやって切り抜けようかと思案中の俺に一本の電話がかかってきていた。
電話に出てみれば、それはクラスの友達ではなくミニ四駆の友達。
それも、俺の住む大阪では『四天王』とまで呼ばれている奴からである。

もちろん、トップは俺、『浪速のペガサス』こと横島忠夫だけどな。

何時も大威張りの四天王の奴が何とも情けない声を上げて俺に助けを求めているのだ。
何と言う声か。それでも10歳を前にしたミニ四駆使いの声か。
そう思うも、切羽詰る声に只ならぬ雰囲気を気取った俺は、子細を聞く事にしていた。

…建前上は、だけど。


45000ヒット リクエスト短編「First Love」


「オカン、すまんねんけど助け求められ…でっ!?」

電話を切り、事情を説明しようと台所に入った俺を迎えたのは
つい今まで汁物を混ぜていたであろう、熱く滾(たぎ)ったお玉であった。

「そんな嘘言うて…どうせ手伝いをせん為やないの」
「ちゃ、ちゃうねんてっ!」

『ギロリ』と睨むオカンに退ぎながらも『違う』と声を張る。
だがオカンは気付いていたのだ。嘘ではないにしても、本当の目的は手伝いから逃げる事なのだと。
しかしながら、友達を助ける事は嘘ではない。
プライドの高い四天王の奴が、トップとはいえ俺に泣き言を言ってるのだから。

「まぁまぁ百合子、忠夫の友達からの電話なのは俺も聞いていたからな…行かせてやればいいだろう?」
「むぅ…」

説得は無理か、と思う俺の頭を優しく撫でてくれて助け舟を出してくれたのはオトンであった。
普段ならば俺とオカンの言い合い(言い合い以前に俺が一方的に言い包められるのが殆どだが)に割って入ることは無いのに。

しかし、本当にオカンはオトンの事が好きなのは端から見ても丸分かりであった。
夫婦仲で言えば、恐らく大阪界隈でもダントツの仲の良さだと声を大にして言えるほどである。

オトンは俺の頭から手を退かせると、そのままオカンを抱き締めて耳元で何か囁いている。
あの状態になると、オカンはオトンに何も出来なくなるから不思議だ。
オトンに時々教えてもらっている『オンナを喜(本当は『悦』と書くらしい?)ばせる秘伝技』の一つでもあるけど
俺がオカンにすると、フルスイングのゲンコツが飛んでくるからなぁ…

まぁ、それは良いとして
オトンが目で『今の内に行け』と言ってくれていることだし…
少しだけ…台所から聞こえるすすり泣く様なオカンの声が気になったけど…オトンが居る時はしょっちゅうだし、気にしないことにしよう。
俺はなるべく音を立てないようにしてミニ四駆セットを持って家を出て行ったのだ。



「おぉ、皆! 浪速のペガサスが来てくれたでっ!!」
『おぉーーっ!!!』

タマヤカップ会場を借りての練習場には、既に沢山のギャラリーが来ていた。
ジャパンカップで優勝してからは、俺のミニ四駆の走り見たさに
態々県外から来てくれる奴も居てくれる。

ぐるりと見回ししてみれば、中央近くに四天王が居り
その直ぐ隣に…

「アホかぁっ!!」
「ふぎゃぁっ?!」

俺はギャラリーを書き分けると、全力で四天王の一人…対戦相手の腕を捕まえている奴の頭を全力で殴りつけた。
まるで猫のような叫びを上げながら地面に蹲るが関係ない。

「あー…大丈夫か?」
「別に」

余程強く掴まれていたのだろう。色白の腕に指の形がくっきりと残るほどに赤くなっていた。
釣り状のキツい瞳にTシャツ短パンと、傍目から見れば判り辛いが…

痛みが引いたのか、少し涙目で文句を居ようとする四天王の奴の腕を掴んで耳元で囁く。

「アホかお前は。女子相手に本気出して」
「っ!?」

怒り交じりの赤い顔が、さっと青くなる。
俺と、その対戦相手の子を交互に見て…今頃気付いたのか。
その位最初に気づけと言いたいんだけどなぁ…

「ごめんな、知り合いが乱暴して」
「き、気にして…無いから」

頭一つ低い彼女の目線に併せて愛想笑いを浮かべて謝罪すれば
彼女は『かぁっ』と頬を染め、視線をそらしながら小さく応えてくれる。
あかん、この子物ごっつぅ可愛ぇやん。

っとと…思わず俺も顔が赤くなりそうなのを堪えて彼女の隣に立つ。
キツい目つきだが鼻立ちの整った、いかにも都会風の子。

明らかに大阪界隈の子ではないのは判る。
恐らくオカンかオトン辺りが近くに居ると思うのだけど、今は探してる暇も無かった。

県外。それも恐らく関東の子。
ならば…見た目は小1の様に見えるが、恐らく俺らと大して年は変わらないのだろう。
俺は思わず頭を撫でようとした手を止め…

「あ…」

るのをさらに止めて、『わしわし』と何とも艶やかな髪を撫でる。
あかん…頭を撫でるのを止めようとした時のあの寂しそうな顔が、俺の心にクリティカルヒットしていた。

気恥ずかしさから、最初は乱暴に撫でていたが
『ほぅっ』と頬を染めながら、うっとりと撫でられるその子の余りの可愛さに
気付けば俺は、まるで子猫を撫でる様に優しく優しく彼女の頭を撫でていた。

「あ、あんな横っち…何時までそうしてん?」
「あ、あぁ…そうやな」

おずおずと四天王の奴に聞かれるまで、時間の経つのも忘れたままに撫で続けてしまった。
しかし、手を退けた途端に物欲しそうな彼女の顔を見てると、再び頭を撫でたくなってしまう。
恐らく彼女には子猫のような保護欲をそそる何かがあるのかもしれない。

「横っち、そいつが可愛いのは認めるねんけど…そいつ、あの『ダテ・ザ・キラー』やねんで」
「何っ!?」

『ダテ・ザ・キラー』と言えば、関東タマヤカップで優勝を重ねていると噂の奴だ。
俺は相当ゴツい奴を想像してたのだが、まさかこんな可愛い子が…

四天王の奴の『可愛い』発言でさらに頬を染める彼女を、流石に通り名で呼ぶのは気が引ける。
そう思い、俺は彼女の肩に手を…

「ひゃっ!?」

あかん。男の格好の所為か、気軽に手を肩に置いてしまったが
彼女は女の子なのだ。だが、このミニ四駆会場に男も女も無い。
俺は胸の中で自分に言い聞かせながら、心持ち強めに肩を握りながら
彼女と向かいに立つ。

「俺は、大阪ジャパンカップで優勝した『浪速のペガサス』こと横島忠夫。よろしくな」
「えっ…えとえと…あの…ボ…ボク…ボクは関東タマヤカップで優勝した『ダテ・ザ・キラー』こと…伊達…です」

流石に男子に直視されるのが恥しいのか、彼女の声はどんどんと声小さくなって
名前の辺りは殆ど聞こえなくなっていた。だが、『地獄耳のタダちゃん』と言われた俺には造作もない事。

「そっか、ユキちゃんか」
「ふぇっ!? あ、あのっ! ユキ…じゃなくて、雪之丞…なんですけど」

相当人見知りする子なのだろうか。名前を呼ばれた途端、赤かった顔がさらに赤くなり
まるでリンゴのようになってしまう。
それを隠すように『雪之丞』と、取って付けた様な名前に変えてしまっているが…

あ、そうか…と、俺は納得していた。ミニ四駆と言えば、男の戦場なのだ。
男も女も無いとは言っても、女が簡単に生き残れる世界ではない。
少なくとも、この戦場の中では男の振りをしていた方が何かと都合がいいのだろう。

「そ、それに…ボクを『雪ちゃん』って呼ぶの…ママだけだし…恥しくて」

俯いて、モジモジと俺だけに聞こえる程度の小さな声で言う雪之丞の声は
俺の心をどんどんと独り占めして行くのだ。

可愛すぎる…都会の女子ってこんなに可愛いのか。
そう考えながら、同級生の『夏子』の事が頭に思い浮かぶ。
浮かんで思い出されるのは、男勝りにゲンコツ振り回して遊ぶ姿。
雪之丞とは真逆だよなぁ…

「あんな雪之丞」

こんなに可愛い子に出会ったのは初めてであった俺は、自分でも信じられない言葉を発していたのだ。
今思えば、俺はこの時有頂天になっていたのかもしれない。
もしかしたら、俺に惚れているのではないか、と。

不思議そうな顔をしている雪之丞の耳元に口を近づけて、皆に聞こえない様に小さく囁く。

「この勝負で俺が勝ったら、雪ちゃんは俺の嫁さんな」
「えぇっ…むぐっ!?」

驚くほどの大きな声を上げようとしたのを、思わず思い切り手で塞いでしまう。
オトンだったら唇で塞ぐかもしれないけど、流石に嫁さんにもなってない女子にそんな事を出来るほど
俺はまだまだ大人ではなかった。

「横っちー! 何イチャついてんねん! 早ぉ始めるでー!!」
「おー、ちょお待ちぃー」

俺はミニ四駆のスイッチを入れ、スタートへと置く。
反対側に雪之丞が来て…

「あ、あれ…89年限定生産の『プテラノドンX』じゃないのか!?」
『えぇー!?』

絶妙なバランスで全てがトップクラスの能力を誇る、俺たちでの中では『伝説』とまで呼ばれた
現在最強ランクに位置するタイプ。
負け無しの俺が戦うとあって余裕を見せていた周りが、一気にざわめきだつ。

ミニ四駆を握る手に、汗が篭る

「忠夫くん」
「な、なんや?」

計算されつくしたであろうプテラノドンXに少々気おされ気味の俺に、雪之丞の静かな声が聞こえる。
対して、俺の声は少し上ずっていた。

視線を雪之丞に向ければ、そこに居たのは可愛い女子ではなく
そう…一人の戦士。

野獣の様なギラついた視線をこちらに向け、不敵な笑みを浮かべている。
まさに、トップに君臨する者の貫禄。

「ボクは忠夫くんに負けたら、ボクは忠夫君のお嫁さんになれって…言ったよね」
「お、おう」

緊張していた
何を言われるのかと
恐らくは、俺が負けた場合の話なのだろうけれど
このプテラノドンXを見せられるまでは余裕だったのに、今の俺には全く余裕が無い。

心臓が痛いぐらいに鳴っている
そして、その心臓が…

「ボクが勝ったら、キミはボクのお婿さんになってよね」
「っ!?」

鷲掴みにされた…

『おぉっと、浪速のペガサスいきなりのファールです!』

開始の合図を待たぬまま、俺の手から滑り落ちたラストエンペラーが走り出し
係員に止められる。

「そんなので、ボクに勝てるの?」

『フッ』と不適な笑みを浮かべる関東の王者。
そう、間違いない。コイツは『ダテ・ザ・キラー』だ。

「負けんな、浪速のペガサス!!」

ギャラリーの声援に俺は我に帰る。
落ち着け。ここは『ホーム』だ。『アウェー』なのはコイツの方なのだ。

どちらが勝っても、俺たち二人の話は変わらないが
俺が負ければ関東勢に関西勢がホームバトルで負けた事になるのだ。


大きく息を吸い
吐く…

もう、大丈夫だ。

「残念だけどな、俺は尻に敷かれるのは嫌いなんだ」
「じゃあ、敷かれない様に頑張らないとね」

俺のラストエンペラー。
大丈夫。今まで一緒に戦ってきた相棒だから。

今回も…勝つ

『スタート!』
『おぉぉぉぉぉ!!!!』

審判の合図と共に、俺達…いや、関東対関西の戦いが始まる。
スタートの勝負は互角…いや、若干俺の方が速いっ!

賽は投げられた。
後は、信じて…ただただ相棒を応援するのみ。

…の、筈なんだけど

「こんなん不履行やー! 俺は認めん、認めへんでぇ! 俺は聞いた! 横っちが勝っても負けても、あの可愛い子は横っちの嫁さんになるとなぁっ!!」
『なんだとー!?』

結果から言えば、勝負は全国ジャパンカップまでお預けとなってしまった…
試合開始直後に叫ばれた四天王の奴の声にギャラリーが呼応して、俺は奴らの中に引っ張れ込まれてしまったのだ。



「あの…だいじょうぶ?」
「っつ…あぁ、この位なんも気にせんでえぇって」

あれから俺と雪之丞は会場中を逃げ回って逃げ回って、気付けば人気の無い草むらの中に居た。
引っかき傷やら殴られた後やら
服もかなりボロボロになってしまっている俺を必死に雪之丞が心配してくれる。

だが、空を見れば夕方近い。
彼女の親も心配してる筈なのだ。
しかし…早く帰ろうと立ち上がろうとする俺の腕を、雪之丞が『ぎゅう』と掴んでくる。

瞳一杯に溜めた涙が、俺と目が合った瞬間に
堰を切ったかの如く、ぼろぼろと流れ始めていた。

「お、おい…どないしたん? アイツらに何かされたんか?」

焦るように聞くも、雪之丞は涙を流しながら首を振るばかり
どうしよう、と俺が思案し始めたその瞬間…

「だ、忠夫くんっ!」
「うぉわっ!?」

俺は…雪之丞に押し倒されていた。

「ああああっ…あのねあのねっ…ボク…ボク、忠夫くんの事が好きっ! 忠夫くんがボクをお嫁さんにしてくれるって言ってくれたとき、凄く嬉しかったっ! だから…だから…ボクを…」

ぽろぽろと雪之丞の流す涙が俺の頬を濡らして行く。
初めて言われる初めての告白。

俺の事が、好きだと

俺の…

「ボクを…忠夫くんの…お嫁さんにしてください」

嫁さんになりたいと…


もう、何も言う必要も言われる必要も無かった。
俺は、ただただ雪之丞…いや、雪ちゃんを強く抱き締めて…がたがたと震えていた。

怖い? いや違う。
嬉しすぎて、体が言う事を聞いてくれないのだ。

普段ちゃらんぽらんなオトンだけど、今この瞬間だけは本気で感謝したかった。
今こそ『オンナを喜ばせる技』を使うときなのだと。


「わ…わ…忠夫くん、顔が近…んむっ!?…ん…んー!!!」

俺は抱き締めたまま雪ちゃんの唇を奪い、そのまま舌を入れようとした瞬間に
雪ちゃんから身体を『ぱしぱし』と叩かれた。
間違えたか…とも思ったが、どうやら息が出来なくて苦しかったらしい。

「ちゅうするときは、鼻で息すんねんで」
「で、でも…それだと、鼻息が忠夫くんに当たっ…んんー!?」

オトンの言葉の中に『男たるもの常に冷静にあれ』というのがあったけど
俺の心臓は高鳴りっ放しの上、オトンの教わったちゅうも頭で考えてる時より荒々しい物になっていた。

「ひゃっ…た…だぉ…くん、くすぐったいよ…んんっ!」

雪ちゃんの首筋を舐めながらちゅうすれば、雪ちゃんの小さな身体が『ひくひく』と震え始める。
爪先で乳首を服の上から軽く引っかき、もう片方の手を股間へと持っていく。
既にそこは固くなっていた。
『女も感じれば、男の様に固くなる』というオトン教えの通りに。

確かに、雪ちゃんのは俺のより全然小さい。
小さいながらも、ちょこんと立っているのをズボンの上から感じる。

雪ちゃんが気持ち良くなってくれている。その事が嬉しくて。
俺は、ズボンの上から固くなったそれの先っぽを優しく揉んだり擦ったりしてあげていく

「たっ…忠夫くん…そこっ…弄ったらだめっ…だめぇっ!」

先ほどとは違う涙を流しながら、腰を浮かせて雪ちゃんが叫ぶ。
『きゃうきゃう』とまるで子猫か子犬の様な可愛らしい声に、俺のもズボンの中で痛いほどに固くなってきていた。

でも、してはいけない。
するのは結婚してから…大人になってから…でないと、子供のままに子供ができちゃうから。

『でもな、安心しろ忠夫。赤ちゃんが出来ない方法は、それこそ万通りあるんだぞ』

オトンの言葉が脳裏に浮かぶ。
子供を作らずに互いに思いを伝える、万を超える選択肢。
俺が聞いたのはその内10程度だが、今出来る事が一つだけあった。

「ひぁっ!? そ、そこっ おしっ…お尻…や、忠夫くんの指がぁっ!!」

雪ちゃんのズボンを緩めた俺は、雪ちゃんの腰に腕を回して後ろから雪ちゃんのお尻に指を入れていく。
雪ちゃんのお尻は痛いほどに俺の指を締め付けてきた。

事前に指に唾つけて置いてよかった。
俺の胸で泣く雪ちゃんの声。その声には痛みはないみたいだ。
恐らくお尻の穴を触られて酷く驚いてるのと同時に…

…感じてるみたいだった。
全身を『ふるふる』と震わせ、雪ちゃんは口を半開きのまま涎を垂らし俺を切なそうに見上げてくる。

「んんっ…ちゅ…ちゅる…んちゅ…はむ…っはぁ…忠夫くん…忠夫くぅん…はん…っちゅ…」

ちゅうしながら解していけば、そこは大分柔らかくなってきていた。
指も二本入るようになって、何とか俺のも入るくらいにはなったみたいだ。

俺は雪ちゃんの後ろ頭を支えて、草むらに寝転がせる。
粗い息を立てながら、潤んだ瞳で切なそうに見つめる雪ちゃんに軽くちゅうをして…

「あっ…あぁっ!! な、なにっ!? 何か…おっきいのが…おしっ…お尻にっ…入って…くぁ…」
「うぁ…すげぇ…」

指で解し、唾で塗らして入れたつもりだったが
入り口は思った以上に狭く、ゆっくりとしか入らない。
しかし、入り口を過ぎればその先は柔らかく塗る付いており
入り口を過ぎた途端に『ぬるっ』と一気に根元まで入ってしまう。

「た…んぁ…らぉ…くん…ひゃっ…にゃ…にゃに…あっ…あ…いりぇたの?」
「ん、俺のちんちん」

顎を反らし、腰を浮かせて泣く雪に軽く言う。
いや、軽く言ったつもりだ…何せ、雪ちゃんのお尻が余りに気持ち良過ぎて腰が抜けそうになっているのだ。

「あっ…あぁぁっ!!…んぁっ…あかっ…赤ちゃん…出来ちゃうよっ!?」
「大丈夫。お尻ですれば赤ちゃん出来ないってオトン言うてたし…うぁ…腰とまらへん…」

そう、出来ない…はず。だが確証はない。
ただオトンがそう言ってただけの話。
でもオトンが俺に嘘を付くとも思えなかった。

「たりゃおくん…の…ぁくっ…あか…ちゃん…にへへぇ…たりゃぉくんっ…ボク…がんばって産むからっ…良い…お嫁さんに…なりゅからぁっ!」
「いや、出来へん言うてるのに…」

俺の声が聞こえて無いのか、うわ言の様に『忠夫くんの赤ちゃん』と何度も呟き
俺に『ぎゅうっ』と抱きついてくる。

しかし…女子とするのがこんなに気持ち良い物だとは思っても見なかった。
多分前ですればもっと気持ち良いのだと思うけど、お尻ですら今の俺には溺れるほどの魅力がある。

身体が痺れて、頭がぼぅっとしてくる。
その頭に『忠夫くん好き』という雪ちゃんの声が延々と響いて
その声が俺の身体をさらに気持ち良くしてくれる。

「にゃ…にゃに…これぇ…ざわざわして…身体…浮いて…こわっ…怖いっ…怖いよぉっ!!」

お尻が『きゅきゅっ』と絞まりだした。きっと絶頂(イ)くのだろう、と思う。
俺に強く抱きつき、全身を『がくがく』と震わせ…

「ん…んぁ…来る…何か…来っ…ーーーーーーっっっ!!!!!」
「いだだだだだだっ!?」

オトンの話では、女が絶頂した時に中が絞まって
その気持ちよさで男が射精するのだと言われたけど…
あまりの痛みに、俺の…さっきまでの気持ち良さが飛んでしまっていた…



「ごっ…ごめんなさいごめんなさいっ!!」
「えぇって! 気にせぇへんでっ!」

絶頂の余韻というものだろうか、雪ちゃんが『はぅはぅ』と何とも可愛らしい吐息を吐きながらぐったりしている間…俺は股間を押さえて悶えていた。
あまりの痛みに泣きかけてしまうが、気が付いた途端に本気で泣いて謝る雪ちゃんに逆に申し訳なくなってしまう。

「あのねあのね…ボクばっかり凄いことされて、忠夫くんだけ痛い思いしたら不公平だから…その…」

汚くなってしまった俺のを近くの水道で洗う俺の後ろでモジモジしながら『教えて』と言ってくれる。
確かに痛かったが、それまでは気持ちよかったのだ。
それこそ、腰が抜けそうになるほどに。

そう言っても聞いてくれない。

確かに知らないわけではない。
女にしてもらう行為というのを、オトンが教えてくれているから。



「あ、あんな…ほら、洗った言うてもお尻に入れた後やし…」
「だいじょうぶだよっ! 未来の…だ、だんなさまの…だし…」

こう、何と言うか…雪ちゃんってオカンがよく見るドラマに出て来る
男を誑(たぶら)かす女みたいな子に感じる。
しかしドラマみたいな嫌な感じではなく、自然に俺の心を占領していくのだ。


「えと…口で…するんだね」
「お、おぅ…」

俺の説得も空しく、結局俺は雪ちゃんに教えてしまった。
ふぇなんとかという技。名前は難しいけど、要するに口で気持ちよくする方法だ。

「まずは、根元からね…アイスみたいに」
「うん…あ…ん…石鹸の良い香りがする…」

木に背中を預けて立つ俺に、雪ちゃんが膝立ちで俺のを舐めて…
なんつーか…凄ぇエロい格好で…

「うっ…ぁ…」
「ひゃっ!? な、何か白いのが出たよ!?」

10秒持たなかった…お尻のときは5分以上持ってたのに…

「ん…生卵…みたい?…大丈夫かな…はぷ…ちゅる…」
「うっ…うぁっ!!」

興味深そうに俺の精液を舐めていたかと思うと、雪ちゃんはいきなり先端の柔らかい所を口に含み
『ちゅるちゅる』と音を立てて吸い始めたのだ。
あまりの気持ちよさに膝ががくがくしてしまうが、雪ちゃんの行為は衰える事なく…

「んぶっ!?…ん…んく…ぷぁ…けほっ…けほっ…」
「あぁぁぁっ!!! ご、ごめんな…口の中に出してもうてっ」

そのまま雪ちゃんの口の中に出してしまったのだ。
咽(むせ)る雪ちゃんの背中を撫でながら滑稽な程に必死に謝る俺に、雪ちゃんは笑みを浮かべ

「ボクの口…そんなに気持ちよかった?」

そう、にっこりと笑みを浮かべて聞いてきた。
顔が熱い。俺は、ただ何度も頷く事しか出来なかった。




「…帰るね」
「あ…」

愛(いとお)しく互いを抱き締めあう何にも変え難い時間。
しかし、それは日が落ちると同時に終わりを告げていた。

淡々と、感情も無く言って立つ雪ちゃんの腕を…

「ここで笑ってお別れ。大人になるまで待ってて…絶対…」

掴めなかった…
淡々としていたのではないと、気付いたから

気付いてしまったから…

声を震わせ、必死に泣くのを堪える雪ちゃんを抱き締める事が出来ない。

俺は…あまりに子供だったのだ。
だから、言葉で伝えるしかなかった。

「絶対…雪ちゃんに似合う大人…いや、男になってみせる」
「ボクだって…忠夫くんがメロメロになっちゃう位に良い女になってみせるから…だから…」

『ばいばい』

最後の…最後の言葉だけが…重なっていた。
走り去る雪ちゃんの後姿を眺めながら、必死に涙を堪えて…堪えて…

「う…うぁぁぁぁぁんっっ!!!!」

堪えきれなかった…



「ただいま…」
「お帰り、忠夫」

それから、俺は会場に戻ってラストエンペラーを持って家に帰った…と思う。
あの事があった所為だろうけれど、今の俺には玄関で待っていた人がオトンだと気付くのにすら暫くかかってしまっていた。

「少しだけ、良い顔になったな」

そう言って、『くしゃり』とオトンが俺の頭を撫でてくれる。
見上げるオトンの顔はどこまでも優しかった…




「…なんて事があったのさ」
「なんだってぇぇ!?」

夏の林間学校で、罰ゲームと称して俺の初恋の話を聞かせろと言われて延々と喋っていたのだが
どうもみんなの反応がおかしい、特に女子。
一部数人が固まって『冬コミ』とか、『売れる』とかぶつぶつと喋ってる。

恐らくは、俺にあんな可愛い娘との初恋があった(序でに言えば初体験も)という事が信じられ無い所為だろうと思う。

不意に『ぽん』と肩が叩かれ、見ればピートの凄まじいほどの爽やかな笑顔。
俺と視線が合った瞬間に、『ぐっ』と親指を上げてくる。

「横島さん、『同性愛』って素晴らしいですよね」
「…へ?」

まてまて、何故そこで同性愛という言葉が出てくるんだ。
俺が全く想像していなかった言葉が出てきて、目が点になってしまうのを見て
ピートが不思議そうな顔をしている。

「横島さん、気付いていないんですか?」
「何がだよ?」

何を気づけというのだろうか。
俺は可愛い娘との甘い初恋の話をしていただけなのに。

「話の中ごろの辺り、自分で『伊達雪之丞』と言ったじゃないですか。彼、男ですよ。横島さんも知ってますよね?」
「ぶはぁっ!?」

い、今気付いた。
『ダテ・ザ・キラー』 そして 『雪之丞』

「俺の初恋は雪之丞やったんかぁぁぁぁ!?」

まさか、俺の初恋の相手が男だったなんて
俺の絶望の慟哭が、人気のない山林に木霊していた…

「大丈夫ですよ。愛は性別を超えるんです!」
「超えさすなぁぁっ!!」



はしがき

はい、というわけで45000ヒットをお送りしますゆめりあんでございます。

GSで言えば私の始めてのBL物になります。
じゃあ別のがあるのか!?と聞かれたら…企業秘密ですよ?

一応…男性読者が多いので男でも読めるようにファジーに書いたつもりです。
大丈夫…だと、思う…たぶん。

先に言っておきますと、基本的にキリ番リクエストかアンケートのBLについての場所以外で
私がBL物(菜設定物)を書くことはありませんので、BL物が読みたいんだぜっという方は狙って見てください。

恐らくは、大半こういう感じになると思いますが…


そういえば、関西弁の方は大丈夫だったでしょうか?
私は関西出身ではありませんので、もしかしたら表現がおかしい場所があるかもしれません。
『ここはこうなんだぜー』という物がありましたら
掲示板の誤字脱字辺りにでも書き込んでいただければ直ぐに修正しますのでよろしくお願いしますね。

では、また次のキリリクにて…
キリリクの部屋へ

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